エンジンの内部で、最も高荷重にさらされる部分です。
クランクシャフトとクランクケース&ホルダー、コネクティングロッド(コンロッド)とクランクシャフトの間には、ベアリングが装備されています。
ここに採用されるベアリングは、高剛性かつ硬い鋼を使った「ローラーベアリング(転がり軸受け)」、もしくは柔らかい銅合金、もしくはアルミ合金を使った「プレーンベアリング(滑り軸受け)」の二種類があり、現在のエンジンに多く採用されているのは、柔らかい素材を使ったプレーンベアリングです。
プレーンベアリングは、一般的には「メタル」とも呼ばれます。
ベアリングの寿命比較をした場合、硬い素材を用いたローラーベアリングの方がむしろ短く、柔らかな素材であるメタルの方が長寿命です。
ローラーベアリングは、メタルコンタクトが発生する構造であるために硬い鋼を使うのですが、金属接触があるために、硬いベアリング球やベアリングレースであっても、磨耗や欠けなどが発生してしまいます。
メタルは柔らかい素材ではありますが、主に油膜を介して軸を支える構造ですので、油膜が切れなければメタルコンタクトが発生しません。
金属同士の接触がなければ一切の磨耗はありませんので、柔らかい素材であっても寿命を長くする事が出来ます。
通常回転中のエンジンであれば、メタルは油膜によって保護され、金属接触はありません。
ただ一つの例外は始動時です。
この始動時には油膜がないために金属接触が発生し、メタルの磨耗が進みます。
メタルの加工技術や表面素材の進化は、この始動時のためにある、と断言しても良いでしょう。
接触していない通常回転中なら、どんな素材であっても「接触しないのだから磨耗しない」のです。
始動時に、油膜が切れていても焼き付かない理由は、エンジン内部の部品が冷えていれば、摩擦熱が発生しても、溶解するほどの温度にならない、と言うだけの事です。
メタルアタックで、ダメージを負わないエンジンは無いのです。
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エンジンの概念図です。
赤色に着色された部分がクランクシャフトの軸部分です。
この部分にベアリングが入り、回転する軸を支えています。
メタルを使用しているエンジンの場合、エンジン回転中は、ここに油圧がかかり、オイルの圧力を使って油膜を強化し、メタルアタックを防止しています。 |
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エンジン圧縮行程です。
圧縮中の空気の反発力と、回転するクランクシャフトの間でコンロッドは強く押されています。
一般的なレシプロNAエンジンの場合、圧縮圧力は10.0kg/cu程度が多いのですが、ボアが86mmのエンジンの場合(某社の2000cc4気筒エンジンのピストン内径です)、ピストンの表面積は58cuとなります。
10.0kg/cuが58倍となりますので、コンロッド&クランクベアリングにかかる荷重は、圧縮時には580kgになります。
メタル採用のエンジンの場合、エンジン回転中は、オイルポンプから送られてくるエンジンオイルの油膜圧力で、メタルアタックを防止していますが、エンジンオイルが届かない始動時には、圧力に押され、磨耗が進んでいきます。
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爆発後の膨張行程です。
混合気の爆発圧力により、ピストンは下に強く押し下げられます。
このピストンの圧力を、コンロッドベアリングとクランクベアリングで受け止め、ピストンの上下運動を、回転運動へと変換します。
圧縮された混合気による爆発圧力は、実用NAエンジンで、70kg/cuに、レーシングエンジンでは100kg/cuにもなります。
上記エンジンのピストン径の場合、コンロッド&クランクベアリングにかかる荷重は、実用エンジンで、4060kgにもなります。
その極圧も、きちんと油圧がかかって油膜が維持されていれば、メタルは油膜圧力で爆発圧力を受け止め、メタルアタックは発生しません。
ローラーベアリング採用のエンジンでは、メタルアタックが発生してしまいます
メタルを採用しているエンジンの、メーター内部にあるオイルの警告灯が、「オイルプレッシャーランプ」もしくは「油圧計」と言う、油圧を検知する装置であるのは、エンジンにとって、オイルを送る圧力(油圧)が、エンジン保護には必須である、と言う事を表しています。
油膜の保護が無い状態のベアリングは、極圧にさらされ、大きなダメージを受けています。
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