年金問題を問う(1)


JALの企業年金 (2009.11.24)

 日本航空は現役5割・退職者3割の減額という案を提示した。これで3分の2以上の同意を得られるのか判らないが、仮に得られなければ法的整理も視野に入れるべきだろう。そもそも日航は親方日の丸で、まともな経営をしてこなかった。本来であれば倒産させるべきだが、元国策会社という日本国の面子なのか、それは避けた。

 しかし結局それはモラルハザードを助長するだけだろう。日航を倒産させていれば、企業年金なんかは残余財産の分配だけとなり、OBが7割も確保出来る事すら有り得ないだろう。一般の企業倒産で企業年金が0となった例は数多であり、そうした企業との比較で言えば、税金で倒産を回避して、年金の減額を少なく済まそうという事自体が単なる甘えという他ない。

 但し、日本航空にも同情すべき点はある。日本各地に採算度外視で地方空港を作った挙句、日航に赤字確実な路線への就航を迫ってきたのはある意味政治そのものだからだ。かっての国鉄と同様に政治家に食い物にされた言えるだろう。しかしだからといって、赤字回避の経営をしなかった日航経営者の責任が逃れられる訳ではなく、その企業の従業員とOBが割を食わされるのは、ある意味当然の事と言うしかない。


年金調査費用は誰が負担する? (2009.10.12)

 4年間で延べ6万〜7万人の要員を投入して、宙に浮いた年金の調査をしようというのが厚労相の方針だ。

http://www.asahi.com/politics/update/1012/TKY200910110301.html

 社会保険庁の杜撰な管理の為に、本来貰えるはずの年金が貰えずにいる方々の事を思えば当然であるし、この社保庁不祥事を暴いた長妻氏自身が厚労相になったのだから、そうした方向性を打ち出すのも予測の範囲内である。問題は誰が延べ6万〜7万人の要員の人件費を負担するのかだ。責任ある方々のポケットマネーで負担して欲しいと考えるが、実際には我々納税者の税金でそれは行なわれる。それでは問題解決にならないだろう。

 年金の世代格差という声を聞くが、今現に年金を受けている世代は最も手厚い給付を受けている世代であり、今後は65歳までは支給されず、且つ給付も減額されていく。更には少子高齢化に伴う年金財政の破綻も懸念されており、より一層の給付減額が想定される。財政赤字で借金で国を運営している実態を見れば、今回の調査費は若い世代つまりは将来の年金受給者が支払う税金負担で行なわれると考えてよい。それで良いのかはかなり疑問という他にない。

 長妻氏が厚労相となった以上この流れを止める事は無理だろう。一見年金被害者に対する救済措置をしているように見えながら、実は将来の年金受給者の利益を先食いしているのである。個人的にはそこまでして調査するのではなく、責任ある方々の責任追及のみで我慢すべきと考えるが、そういう流れとなる可能性は限りなく少ない。


年金問題は過去責任追及から (2009.09.20)

 名古屋市が年金記録不備問題で独自調査を開始した事で書かれたのが下の東京新聞社説である。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2009091802000079.html

 名古屋市以外も調査に協力しようといった趣旨だが、必要な事は先ず責任追及だと私は思う。確かに保険料を納めていながら、社保庁の杜撰な記録管理の為に年金の一部が消えてしまう事は酷い事であり、被保険者として許せる事ではない。しかし例えば百万円の支給漏れの回復の為に、百万円の調査費を使うような事はすべきではない。仮に消えた年金が回復しても誰がその調査費用を払うのだろうか? 社保庁職員は責任も取らず、当然調査費負担もしないのである。結局は国民負担、もっといえば未だ年金を貰っていない若い世代に負担が来るだけである。

 消えた年金記録5000万件を暴いたのが、現厚生労働大臣長妻氏である。自民党政権下の検証委では、歴代社保庁長官に責任を取らせる事はなかったが、民主党政権として責任追及をやり直すべきである。どれだけ過去の年金行政が酷いものであったのか、国民の前に知らしむるべきである。もし責任追及を行なわないとすれば、新政権に対する期待は裏切られ、当然世論の失望を招くだろう。


納付率62.1% (2009.08.01)

 国民年金1号被保険者の納付率が過去最低の62.1%となった。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090731-OYT1T00513.htm

将来の年金財政の問題になるとも言うが、これは他にも書いているように困るのは納付しない方本人である。国を信頼せず自分年金を確保するといった方は構わないが、多くの方は今の生活を切り詰めてまで払いたくはないという事なのだろう。そのツケは将来自分自身が払う事となる。

 自ら無年金や年金額低下を選ぶのは勝手だが、この方々が将来生活保護を頼ろうとしているのであれば、それはそれで問題である。将来年金を受け取る為の努力をしなかった方々が、生活保護という一般市民の税金財源を使えるというのは結局のところ矛盾である。年金未納付者は将来の生活保護給付に一定の足枷を履かせる事で、未納そのものを防止させる努力をすべきだ。


年金運用9兆円の赤字 (2009.06.29)

 株価下落だから当然と言ってはいけない。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009062801000522.html

 7兆円有ったはずの累積黒字はなくなり、累積赤字の領域に入ったという事になる。しかし今の市場は現物が下げるのならば、先物でヘッジ出来る時代である。そうした事は出来ない運用スタッフであるなら、そもそも株式なんかで運用するべきではない。

 民間会社の運用を任された投資顧問会社であれば、赤字になって損失発生となれば当然に責任を取らされる。しかし年金積立金管理運用独立行政法人の運用スタッフの誰がこの赤字の責任を取るのだろうか? 責任を取れない方々に元本保証なき運用などさせるべきではないだろう。


低い年金額 (2009.06.23)

 日本は下から2番目という低さである。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009062301000757.html

 この低い年金額ですら、将来的に保証されているのかどうか怪しい。少子高齢化の進行の中、保険料は十分に上げない一方で、給付の適正化は先送りしてきた。結果は当然負担の先送りである。消費増税など抜本策の先送りが、更に財政悪化の原因となっており、このままだと年金の破綻は避けられないと見る。

 それでは堪らないという事で、保険料を上げ給付を下げれば、年金の破綻は先送りできても、下から2番目という低さは更に最下位転落という事になりかねない。それでも破綻よりはマシなのでろうが。 まともに年金改革を行なえる人物を首相に就け、政権を担わせるべきだろう。民主党の唱える最低保障年金が解決策とは、少なくとも私は考えない。


世代間格差拡大 (2009.05.27)

 厚労省の新たな試算によれば、年金の世代間格差は更に広がった。2010年に70歳の方の場合、納めた保険料の6.5倍(企業負担分も入れると3..2倍)の給付を受けられるのに、30歳の場合は2.3倍(同1.1倍)しか受け取れない。しかもこの試算は運用利回りが年4.1%といった、最近の実績からして有り得ない前提で作られており、現実には更に格差が広がるのはほぼ確実になっている。

 2004年の年金改革では百年安心などと言っていたが、全くの出鱈目であった。しかもこれだけ世代間格差が問題視されているのに、例えば来年65歳になる方だと5年前の試算で4.6倍だったものが、今回の試算では4.7倍と更に有利になっている。改革になっていないと言うどころか、投票率の高い世代への政治家たちの有利な取り計らいの結果である。

 これは以前にも書いたが、現在給付されている年金額は本来の額よりも1.7%高い。物価スライドのはずでありながら、物価が下がっても年金世代の反発を恐れた政治家諸氏が、年金を下げずに据え置いた。それがこのデフレ社会の中いつまでも解消しないのだ。解消するまでは今給付を受けている年金世代は、より有利になっている事となる。

 現役世代の50%を確保するというのも、既に画に描いた餅になっている。とにかく新たな年金改革を行なわなければ、矛盾は更に深くなっていく。近々の総選挙で政権交代が有ろうと無かろうと、保険料のアップなど対策を行なわざるを得ない状況になっている。


2031年に年金破綻 (2009.05.02)

 現在の様にマイナス1%成長が続いたらという試算である。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090501-OYT1T01015.htm

 従来の厚労省試算が現実を無視した甘い予測値を使っていた事と比較すれば、こちらの方がより現実に近いとも言えるものである。少子化で人口が減少すれば、マイナス成長するのは今後当たり前になると考えるべきだろう。

 数年前に百年安心と言って、保険料を徐々に引上げるが2017年で固定させる一方、マクロ経済スライドにより給付を低い方へ誘導する措置も盛り込んだ。しかしそれでもマイナス1%成長の継続だと22年後には破綻という試算である。破綻を回避するには、更なる保険料引き上げと、給付の削減が必要となる。

 医療費の増大で社会保険費の国民負担は増えるのは確実であり、そこに保険料の値上げとなれば、現役世代可処分所得の減少で更に経済力を弱める。例えば今補正バラマキ予算の成立を図ろうとする勢力は15兆円の借金を将来世代に先送りしようとしており、年金破綻・国家破綻を現実のものにしようとしている勢力と見なす事が出来る。この勢力の政策が将来の年金破綻の火種となる訳である。


年金水準2割減へ (2009.02.25)

 年金財政の維持には20%近く給付を下げないといけないという。標準世帯の話だが、今65歳の夫婦は現役世代比62.3%の年金を受けているのに、30年後は50.1%になるという試算があるが、この試算はどう見ても怪しいというか、現役世代比5割維持の為に作られた数字という感じだ。

 そもそもこのデフレ圧力の中、現役世代の収入が増えるのかという疑問がある。更には運用利回り4.1%という予測は余りにも過大だと考えられる。現実に2%前後しかなく、更にはこの株安で大幅なマイナス運用すら想定されているのに、4.1%という殆ど根拠のない数字で予測を語られても、それは希望であって予測ではない。

 そもそも年金だけで論じて良いのかという問題もある。昨年後期高齢者医療費の年金天引きが大きな問題となったが、上の数字でも判るように今の受給者は将来の受給者に較べて格段に条件が良い訳だ。将来の受給者は年金の水準が下がるだけではなく、医療費などの社会保険費用も更に上がると想定される。こんな話を聞いても安心出来る人は例外で、誰でも節約・貯蓄に励み、消費は益々低迷だろう。そもそも世代によって年金の受け取りに有利・不利が有るという構図がおかしい。年金官僚は好い加減な予測を繰り返してきた責任を問われるべきだ。


日経研究会の2次報告 (2008.12.10)

 これは8日の日経朝刊トップなので、多くの方が読まれただろう。今回のハイライトは積立て年金を加えて、若者の不利改善という面だ。それなりに筋立って説明もされているが、ではこの案で良いとも勿論言えない。

 日経の記事を読むと過去の年金行政のどこに間違いがあったのか、的確に書いてある。そもそも日本の年金は当初完全積立てを建て前としてスタートした。つまりこれは私が保険金をベースにすべきと書いている事が、元々は行なわれいたと言う事だ。ところがその後給付を厚くしたのに、保険料を十分に上げなかった。この結果、1955年生まれならまだトントンのはずが、1965年生まれだと労使で負担した保険料の方が将来貰えるはずの年金総額よりも小さいという逆転現象となっている。つまり年金保険料なんか納めず、自分で運用した方がマシだというのが今の現状だ。その結果積み上がった積み立て不足が270兆円という。(以前読んだ金子勝氏り本では480兆円だった。) これを40年で解消するにしても、それだけで毎年約7兆円の負担になる。それは若者の肩に掛かっている。

 その若者たちの不信を拭う方法の一つとして、1.5%分を自分の為に積立て、積立て年金として貰えるというのが、今回の報告案のポイントだ。共通年金・賦課年金に積立年金が三階に乗るという構図だ。受給者への給付を現役世代が賄うという現行の賦課方式では、若者の負担が重くなり世代間格差が大きい事に対する解決策として日経の研究会は挙げている事になる。しかし良く考えてみると、ならば全て積立て式の方が良いではないかという事になる。仮に積立て式にすると、現役世代は自分の分の積立てに加えて、既にある積立て不足も負担する事となり、負担が大き過ぎるからというのが、全て積立て式として提言しない理由だが、かなり中途半端という面は否定出来ない。


組織的改竄の責任は? (2008.12.06)

 今週書く暇のなかったのがこの改竄問題だ。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/archive/news/20081130ddm005070005000c.html

 真面目に仕事をし、厚生年金相当分が給与から天引きされていながら、実際には社会保険庁職員主導の改竄で、実際の標準報酬よりも低い金額で処理され、結果として将来の年金額が減るというものだ。社会保険庁職員は経営状態の悪い事業主に滞納されると納付率が落ちて自分の成績に影響する為、事業主と謀って偽りの給与つまりはより低い給与だったと見せ掛けて、納付する社会保険料を少なくする事で滞納を防止していた。

 先ずこれは役所である社会保険庁の組織的犯罪行為であり、それが社会保険庁長官だか、管理職だか、職員だかを問わず責任ある方々に然るべき責任を取らせるべきだ。詐欺であるなら刑事訴追もすべきだ。しかし問題は単純ではなく根が深い。例えば赤字会社は法人税は納めないで良いが、社会保険料はそうはいかず、仮に差し押さえでもすれば、会社そのものが倒産して、救おうとすべき従業員が路頭に迷うという本末転倒な結果となってしまう可能性もあるからだ。

 結局何がおかしいかと言えば個人の年金を事業所が代行して納める制度自体にそもそも問題が有ったと思う。残念ながらこの制度は既に数十年以上行なわれていて今更変更は出来ないだろうが、所得税の天引きと一緒で見掛け従業員・給与所得者が楽な良い制度に見えながら、いったい幾ら国家に社会保険料・税金を収めているのか良く判らないシステムとされてしまった。仮にこれを個人が支払うシステムとしていれば、社会保険料にも税金にも国民の関心は高まり、結果として無駄遣いへの監視が強まり、例えばグリーンピアのようなものが作られる事はなかったと考えられる。


社会保障審議会の4案提示(2008.11.24)

 これは20日の朝刊に載っていた。4案提示なので、当然問題提起といったものであり、どの案を強く推奨というのは取り敢えずないらしい。4案とは、「全額税方式」「最低保障年金創設」「保険料軽減税支援方式」「単身低所得高齢者加算」の4案という事らしいが、さっと見てこれは良いと言えるものはない。

 「最低保障年金創設」は受給資格さえ満たせば最低保証年金を貰えるという事で、問題となっている未納が更に拡大する可能性が高い。全額税方式は将来的に未納問題は無くなるが、既に保険料を収めてきている世代との不公平問題があり、しかも9兆円と言われる財源を消費増税出来るのかという問題がある。残りの二つも一部の問題解決の為の小手先の細工に感じる。

 基礎年金の国庫負担は現在3分の1で近々2分の1になるのだが、その財源問題は解決していない。この6分の1分約2兆3千億円ですら簡単には工面出来ないのに、全額税方式も何も有ったものではない。寧ろ未納は勝手だが、そうした場合その方の将来年金は無くなりますよという自己責任方式の方が未納防止に役立つのではないだろうか? 苦しくても年金保険料を納めている人はいる訳で、そうした人が受け取れる年金と、無年金だから生活保護といって受け取る生活保護費の方が多いようでは不可思議な話だが、基礎年金は満額80万円弱/年なのに、一人当たり生活保護費が約180万円/年というのは何かの間違いかと考えてしまう。

 保険金を納めずとも年金を貰えますという発想はモラルハザードを招くだけと私は考える。よって民主党なども主張する全額税方式は良い解決案ではない。保険料を払うのも消費税として収めるのも払う側としては基本的には同じであり、将来の年金資金を自分が負担しましたという自覚の為には、寧ろ全額保険料方式とした方が良い。障害年金などの弱者救済的なものは年金と切り離し、生活保護などの制度に組み入れる方が望ましい。


年金来年度は据え置き (2008.10.28)

 これは先日の朝日新聞に載っていた話だが、まだ決定した訳ではない。しかし話を知らない人は混乱するので、知識として知っておく必要はある。

 年金は物価スライドするので、物価が上がれば上がり、下がれば下がる。ところが平成12年からの3年間、物価は下がっているのに年金は下げなかった。与党の方々が自分達で決めた法律を守らず、年金が下がる事で票の減るのを嫌った結果、現在の基礎年金の額は本来の額より1.7%高い水準にある。これは今後の物価上昇時に吸収する事になっている。今年度は2.5%程度の物価上昇という事で、この1.7%は相殺される方向だ。

 しかし仮に2.5%ならまだ0.8%は年金が上がりそうだが、事はそんなに単純ではない。現役世代賃金の伸び悩み(0.4%相当)の他にマクロ経済スライドで0.4%と0.8%分を吸収する可能性があるのだ。マクロ経済スライドは平成16年の改正だかで制度として取り入れられたものだが、少子化による保険料収入の伸び悩みを吸収する仕組みだ。

 朝日新聞の数値予想がその通りという事になると仮に物価上昇2.5%でも年金は上がらない。しかし過去に下げるべき時に下げなかった政府与党である。解散の時期にもよるがまた法律を曲げて、票獲得に有利な細工をする可能性は否定出来ない。これは今年金を貰っている世代には有利だが、将来にツケを回しているという事でしかない。


厚生年金組織的改竄(2) (2008.10.04)

 9/21に6万9千件という数字を「当然氷山の一角と考えるべきだ」と書いたが、半月たってこれは100万件を越えそうな状況となった。単純合算で143万9000件で、一部重複はあるだろうが、逆に5等級以内の引き下げとか厚生省の篩よりも緩い不正も有るだろうと考えれば、実数は更に多いとも推測出来る。

 とにかく社会保険庁という本来取り締まるべきスタンスの側に居ながら改竄を主導し、しかもそれについて実際に行なった人物はその実態を語らないのだから呆れるしかない。改竄された被保険者からすれば、社会保険庁と事業主の共謀で、本来貰えるはずの年金が貰えず経済的損失を蒙る。これは確実に詐欺というか、刑法犯罪に該当すると思うのだが、そうではないのだろうか? 理科系人間としては苦しいところだが、法学部卒の刑法に詳しい方は是非社会保険庁職員を告発して欲しい。

 更に良く判らないのは、社会保険庁の組織的犯罪行為だとして、どうやって改竄被害を受けた被保険者又は被保険者だった者を救おうというのだろうか? 改竄した事業主は払う金が無かった事がその理由のはずであり、過去に遡って払ってくれるとは考え難い。だからといって社会保険庁の不祥事を国民の税金で補填する事は到底許されない。やはりこれも改竄を主導した社保庁職員に償って貰うしかないはずだが、彼らがそんな事をするはずがないと私は思う。


厚労省の年金改革案 (2008.09.27)

 2003年の年金国会の時には100年安心と言っていたはずの厚労省だが、とうとう改革案の公表に追い詰められたようで、本日朝刊各紙に記事が出ていた。民主党が最低保証年金を提唱している事も意識した案となっているようだ。

 1.低所得者は申請がなくても軽減措置、2.25年の受給資格期間の短縮、3.国民年金適用年齢の見直し(現在60歳までを65歳までに)といった内容のようだが、細部は良く判らない。そもそも現在のいびつな年金体系が出来たのは、過去のその場凌ぎの改正の繰り返しが原因であり、同じ轍を踏むうとしているようにしか見えない。

 軽減措置は今でも全額,3/4,半額,1/4とあるが、申請が中心なので余り利用されず、結果として無年金者が増えている現実への反省のようだ。25年の資格期間は確かに諸外国と比較して長いという事もあるが、仮に10年といった様に短くした場合、過去受給資格を得られなかった方々との不公平をどう埋めるつもりでいるのだろうか?

 現在被保険者期間は60歳までなのに受給は65歳からで5年のタイムラグがある。よって65歳からとするのは一見正しいように見えるが、では改正した時に例えば62歳の人はまた保険料を支払い始めるのか? 65歳未満の特別支給の厚生年金受給者は年金受け取りながら、保険料を支払うのかと、矛盾だらけの改革案に見える。


厚生年金組織的改竄 (2008.09.21)

 先週書く暇が無かったのがこの問題だ。過去に会社勤めしていた時の標準報酬が異様に低いのが、実は社会保険庁が事業主に改竄を教唆していたというものだ。会社の事業が順調な時は良いが、そうでなくなると保険料が支払えなくなり、滞納という事になる。滞納されると徴収率が下がって困る社保庁は、事業主が社員に払っていた給料が低かった事にしてしまい、保険料は安くする事で、事業主に滞納せず支払う事を勧める。これが記録改竄のあらましである。

 こうなるとどうなるのか? 事業主は本来の保険料ならば滞納するしかなかったが、安い保険料で滞納を回避出来、社保庁は徴収率低下を回避出来る。割りを食うのは社員つまり厚生年金の被保険者で、給料に見合って保険料は天引きされているのに、実際に支払われている保険料は少なく、その分将来の年金給付が低く抑えられてしまう。そんな馬鹿なという事だが、そのような事を役所である社保庁が進んで行わせていた訳である。

 今の時点で改竄の疑いが濃いのは6万9千件とされているが、これは当然氷山の一角と考えるべきだ。しかし社保庁という役所は悪事のオンパレードであり、宙に浮いた記録、横領、不正免除等々考えられる悪事は全て行なっていますという感じの役所だ。去年たった一回のボーナス一部返上というパフォーマンスがあったが、とてもそんな小さい事で国民に対する謝罪は済まない。今一度新組織移行前に、再度徹底的な調査と責任追及をすべきだ。自民党政権にそれが出来る事は有り得ず、やはり政権交代してもらうしかないと考える年金不正問題だ。


マクロ経済スライド (2008.08.11)

 この話は本日の日経朝刊トップに出ているので、興味のある方は読んで欲しい。問題は今の国民年金の額は本来の額より1.7%上の水準にあるという事だ。これは2000-2002の三年間物価が下がっているのにも関わらず年金額を下げなかった。当時の政治家のパラマキの一種だが、この1.7%分は今後の物価上昇局面で相殺する事になっている。

 しかし政府与党には反対の意見が出ているそうだ。物価が上がっても年金額が据え置かれれば、選挙の時の票に響くと考えるからだ。最終的にどうなるかは不明だが、過去の特例が異例・悪例であり、現在の本来よりも1.7%高い水準などというのは早く解消すべきだ。

 本来より高いという事は今年金を受けている人は得をしているという事だ。逆に言えばその分将来の年金受給者が損をする。ただでさえ年金不信が広がり、3分の1の国民は保険料を納めない。彼らの一部はどうせ納めても、自分達が年金世代になる頃は年金が破綻し、納めた分も戻って来ないと考えている。重要な事は選挙対策の特例を繰り返すのではなく、年金システムの信頼を取り戻す事だ。


費用2000億円? (2008.07.21)

 社会保険庁の職員が1万5千人として、一人当たり1300万円にもなろうかという数字である。全職員を詐欺の共同正犯とし、この出費の償いをさせるべきではないだろうか?

http://www.asahi.com/special/070529/TKY200807170288.html

 国民が納めた保険料に応じて、正しく年金が支払われるのは当然の事である。しかし例えば100億の埋もれた年金を支払う為に、幾ら税金で調査する事が許容されるのだろうか? 1億円なら良しとしても数10億円かかるなら、そこまでして行なうのが正しいのか疑問に思う。

 これは以前にも言って来たが、国民は厚生労働省・社会保険庁という詐欺集団に騙されてきたのである。失ったものの全てを取り返すという発想が間違っていて、行なうべきは詐欺集団の責任追及と、損失補填をさせる事だ。

 2000億円掛かりますというのは同時に多くの人が必要ですと言っている事だ。これは社会保険庁の後継組織で、過去に問題の有った社会保険庁職員の採用を見送ろうと言っている裏で、そういう人材も突貫作業には必要だから、仕事を与えましょうと言っているのが透けて見える。税金で調査するのではなく、職員の償い金で調査を行なうべきで、それが出来ないというのなら、国民は失った年金を諦める代わりに、社会保険庁の責任ある方々の投獄を見たい。


社保庁の闇 (2008.07.17)

 今朝電車で読んでいて、酷いと思ったのがこの記事だ。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080717AT1G1604U16072008.html

社会保険庁は例の未納問題の時の覗き見事件から始まり、違法免除、浮いた5000万件、保険料横領と、考えられる年金回りの犯罪的行為は何でもやっている役所だが、被保険者の個人情報を売り飛ばして賄賂を受けている者までいる訳だ。

 しかも今、この最悪の組織に対する十分な責任追及もしないまま、看板の架け替えを行なおうとしているのだ。必要な事は今一度まともな検証委員会を作り直し、誰にどんな責任があり、どう責任を負わせるのか再調査をする事だ。それもしないで看板だけ架け替えたところで、年金行政が良くなる事など有り得ないだろう。


国庫負担引上げ先送り? (2008.07.11)

 この話はかなり前から出ていたが、今日の日経朝刊ではトップ記事だった。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080711AT3S1002010072008.html

 しかし与党、自民・公明党は何を考えているのだろうか? 自分達で2009年度からの国庫負担上げを決めていながら、土壇場になって先送りとはどういう事だろうか? 先送りするという事はそれだけ年金資金が減り、将来の給付が減るという事だ。

 バブル崩壊直後の経験に照らせば、問題解決の先送りはそれだけ余計に将来の負担を増やしただけであった。財源はきちんと確保し、法律通りに執行すべきである。

 因みに私は国庫負担ではなく、保険金重視の立場にいる。その立場で言えば国庫負担を先送りするなら、その穴埋めで保険金を上げるべきだ。勿論、世論の反発が怖くて消費増税を躊躇う与党に、保険金上げという結論を導くことはそもそも不可能な事だ。


厚生年金ミス推計560万件 (2008.06.28)

 社会保険庁の過去の杜撰さは、底無しになっている。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20080627-OYT8T00446.htm?from=nwla

 これでいて民間から来た村瀬前長官以前の社会保険庁長官達の責任を問わない、政府・世論は愚かというほかない。今からでも厚生省出身のこれら元長官達の徹底した責任追及を行なうべきだ。

 そもそも私は年金の仕組みそのものに問題があると、このサイト内での議論を始め、当コラムも作ってきた。しかし仕組み以前に問われているのは、仕組みの運営を行なってきた役所とその役人達の余りにも好い加減な行政である。

 昨年の検証委報告の無意味さについては既に書いた。私は年金行政の誰にどういう責任があるのか、再度の検証委の設置を求める。宙に浮いた5000万件とは別で、更に500万件以上のミスがあると推測されながら、それを行なった過去の役人達の責任を問わない日本という国はおかしいと言うしかない。


国民会議試算 (2008.05.20)

 政府の社会保障国民会議は9.5%から18%という全額税方式での消費税率試算の結果を発表した。

http://www.asahi.com/politics/update/0519/TKY200805190254.html

現行水準で過去未納者は減額するパターンでも最低9.5%の税率が必要という結論である。個人的にはこれが限界だと思うので、先ずは消費税10%への移行議論をすべきだと考える。

 加入歴に関わらず満額支給というのは、不公平感が強く受入れは困難だろう。水準上乗せの場合は最低14%という事で、現行の消費税を3倍にしますという事になるが、ここまでの消費税上げは極めて困難と見る。

 私自身は既に保険方式が望ましいとの考えを出している。つまり国庫負担を1/3から1/2へ引き上げるのではなく、国庫負担を減らすべきと言っているので全額税方式には賛同していない。1円も支払わないでも年金は貰えるとなれば、多くの方々の勤労意欲をそぐ事は確実と考えるからだ。全額税方式はある意味、審査無き生活保護制度のようなものであり、健康的な社会を築くものとは私は考えない。


10改革案 (2008.04.24)

 これは昨日の日経朝刊に出ていた。以前書いた事もある、日経新聞や朝日新聞による提言を含め10の改革案について比較しての記事だった。この内の8案が基礎年金を税方式にしようとしている。確かに税方式にする事で、徴収コストが下がるといったメリットはある。

 しかし既に保険金を支払って来た者と、払わなかった者との不公平感については、明確な解決策は提示されていない。税率は各案それぞれだが、現行5%の消費税が10%になる事を想定しているものが多い。

 仮にこれで改革案がまとまると例えば、これから年金を貰おうとする世代は、既に保険金支払いを終えているはずでありながら、プラス5%の自分自身に見返りの来ない税金を支払う必要が発生する。後期高齢者で年金から保険金を天引きされ始めた方々にとっては、納得の行かない消費増税となる案が多数を占めているという事になる。


特定不能2025万件 (2008.03.14)

 これは昨年の6月に無理と書いたので、当然の帰結との受け止めだ。よってそれ自体で、政府や厚労大臣を責めたいとは思わない。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080314-OYT1T00381.htm

 問題はこれらに対して責任を負うべき過去の社会保険庁長官や、同庁幹部の責任が追及されていない点だ。保険金だけ取っておいて、判らなくなったからその分払えませんというのう詐欺同然である。特定の元社会保険庁長官を責めるのではなく、基本的には全員、特にはコンピュータ化の責任を担った元長官・幹部を厳しく罰すべきだ。

 先日薬害エイズ事件で元技官の有罪が確定したが、規模からしたらこの年金問題の方が罪が重い。薬害エイズでは行政の不作為が問われたが、この年金問題ではまさしく適切な処理を怠った不作為が問題であり、責任を問うべきだ。今一度調査委員会を作り直し、責任を負う者の範囲を決め、今回の照合調査に掛かった経費の何%でも償わせるべきだ。


朝日の年金提言 (2008.02.11)

 本日の朝日新聞社説による提言は先日の日経の基礎年金を全額税で賄えというものではなく、保険・税の併用方式である。

http://www.asahi.com/paper/editorial20080211.html

 併用式というのは基本的には現状の延長という事である。一方の日経は未納問題が無くなるとか、保険料の徴収コストが無くなるという点を全額税方式の利点として上げていたが、朝日が併用方式を提言した理由は何か? 

 社説によれば、既に保険金を支払った人との不公平感だけではなく、2025年度には年金よりも医療費・介護費の方がコストが掛かると予想されているので、増税はそちらに振り向けるべきとしている。少し整理してみよう。

 

方式

利点

欠点

日経提言 基礎年金全額税方式 未納問題が無くなり、保険料の徴収コスト不要。 既に保険金を支払った世代との不公平感。移行期間が長い。
朝日提言 税・保険金併用 (現行式) 税負担を増やさず、その分は医療・介護費の増額に振り向ける。 未納問題は残り、非効率な社保庁徴収組織も残る。
ozawa私案 保険金単独 減った税負担分を国債償還に回し、財政赤字を減らせる。 保険金が更に高くなり、未納は増え、結果として無年金者も増える。

 それぞれ長所・短所はあり、その選択は容易ではない。前回日経の時にも書いたが、最終的な選択は総選挙のマニフェストに示し、国民判断を仰ぐべきだ。しかしそれはそれとして、どの案が一番現実的なのかも考えてみる。

 私は自分で提言したozawa私案を推す立場だが、この案を主張している政党はないので、実現可能性は現状ゼロである。つまり現行の保険料・税併用式を続けるのか、全額税方式に変えるのかだ。後者は民主党が主張しているだけではなく、自民党の麻生氏なども月刊現代への寄稿などで提言している。

 麻生氏は月刊現代で消費税を現行5%から10%へと主張されているようだが、朝日の言うように医療・介護費の方が将来的には年金給付費用よりも掛かるというのであれば、当然10%では納まらず日本の消費税は欧州並みの十数パーセントにならざるを得ないだろう。デンマーク辺りでは食料品も含め消費税は25%だから、日本の消費税十数パーセントも容認されるという見方も出来るだろうが、少なくとも私にはそうは思われない。

 最終的には国民が高い消費税率を容認するのかどうかに掛かるが、それが難しいだろうとの推測を交えて言えば、朝日提言がより現実的な選択肢のように今は感じられる。


生活保護高齢受給者52%無年金 (2008.01.23)

 これは昨日(22日)の日経朝刊のトップ記事である。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080122AT3S1801321012008.html

これを基礎年金税方式との関わりでどう捉えるかであるが、私は未納あるいは被保険者期間25年未満の者であり無年金であっても生活保護が代替の役割を担っていると考える。満額の年金と生活保護の給付どちらが多いのかはさておいて、民主党が主張する最低保障年金など実施しなくても、日本人は憲法25条の精神により、最低限の生活は保障されている。勿論、市民たる者は生活保護のお世話になるような事になってはだめだ。真面目に仕事をして年金保険金は支払い、老後は自らの年金+貯蓄で生活すべきだ。

 さて、仮に民主党が政権を取ると、本当に全額税方式の年金に移行しようとするのだろうか? この場合既に年金保険金を支払ってきた人達との不公平感を無くす策を考えないと、ある年齢以上の有権者からかなりの反感を買うのではないだろうか? 私個人としては政権交代は悪い事とは思わないが、基礎年金税方式については別に書いたように反対の立場である。


日経の年金提言 (2008.01.07)

 本日の日経新聞朝刊のトップは「基礎年金、全額消費税で」というもので、初め見た時は何だこれはという感じだった。これは日経社内の年金制度改革に関する研究会での報告であり、政府への提言と考えられるが、勿論私的な案にしか過ぎない。しかし、一面以外でも2ページを全面的に使っての提言はそれなりに評価されて良いものだと思う。

 日経案の骨子は、(1) 全額税方式で、消費税5%増税、(2)給付水準は現行と同じ月額6万6千円で国内居住10年が支給要件 [現行は納付25年] (3) 厚生年金の企業負担軽減分はパートの厚生年金加入拡大などに当てる、というもの。全額税方式は以前の民主党案に近いと思われ、財源を明確にしない今の民主党案よりは良いと考えられる。

 ではこの日経案に賛成するかと言えば、私は先日社会保険方式を前提としたものにすべきと書いたので、原則的には反対の立場である。但し、最終的にどの案を選ぶかは国民全体の選択であり、各政党は総選挙のマニフェストに明記して、国民の判断を仰ぐべきだ。結果として国民が全額税方式を選ぶのであれば、私はそれに従う。

 その国民判断前としては、やはり全額税方式には反対である。確かに日経新聞の言うように、未納問題が無くなるとか、保険料の徴収コストが無くなるとか利点もあるが、欠点も大きい。短所と考えるのは移行までの40年間、世代間不公平を引き摺り、且つ個人の言わばモラルハザードを助長するという点だ。

 例えば60歳で既に保険料を払い終えている人が85歳まで生きるとすると、その後25年間自らには反映されない5%増税となり、給付の実質削減に等しい。40歳の人でも85歳まで払う増税5%で将来の20年分の保険料はなくなるが、過去に遡る訳ではない。保険料無しの恩恵を受けるのはこの年金施行時に20歳未満の方だけだ。

 月額6万6千円で生活出来るとは思わないが、全額税方式にすると生活保護との分岐が何なのか判らなくなる。人間生活保護を受けたいとは思わないだろうが、負担無き年金は当然貰いたいと思うだろう。生活保護は認定の敷居が高いが、誰でも貰える年金となっては底辺に近い部分での勤労意欲を損なうだろう事は想像に難くない。個人的には先日書いたように、寧ろ社会保険としての機能を強め、国庫負担を減らすべきものと考える。


制度以前の問題 (2008.01.05)

 未納問題が問題になった頃、私は年金問題に興味を持った。当時多くの未納者がいても所詮自ら将来貰える額が少なくなるだけで構わないのではないかと思っていた。しかし世間の論調は少なくともそうではなく、年金制度に何か致命的欠陥があるのでは考えた。

 ところがその後話題となっている年金問題ははっきりと言って制度の問題以前である。昨年の一番の話題、宙に浮いた年金記録などというのは、民間会社ならそもそも有り得そうもないというか、社会保険庁という好い加減な公務員組織自体の問題である。

 しかも年金記録問題検証委員会を総務省に設け、厚労省外部からちきんと責任追及するのかと思えば、ただの一人歴代社会保険庁長官や厚生官僚の責任を問わないのだ。これでは年金官僚はつけ上がるだろうし、逆に一般国民の年金行政に対する不信が増すのは当たり前である。

 今日私は新刊書の書評に「年金大崩壊」について書いたが、この本で多く追及しているのは年金制度そのものと言うよりは、好い加減な年金官僚の悪事・不祥事である。グリーピアの件が典型だが、パンフレットの随時契約にからむ贈収賄事件、研修名目の海外観光旅行等々。

 特に多くの天下りを受け入れているNTTデータとのソフト開発受託契約は大きな問題である。これは単に開発コストが高いというだけでなく、宙に浮いた五千万件の年金記録問題の本質がここにあるからである。もしまともな会社にソフト開発を行なわせていたならば、こうした事態は起こらなかっただろう。NTTデータ側にもかなりの責任があると考えるが、もし無いと言うのであれば、過去社会保険庁側の誰が、データの入力ミスや入力漏れについてどういう指導を行なって来たのか明らかにすべきだ。黙認してきた社会保険庁の責任者名を明らかにする事がない限り、天下り受入れ会社に責任が無いなどと私は考えない。


特定困難1975万件 (2007.12.12)

 宙に浮いた5000万件の年金記録の内、1975万件は特定困難とされた。

http://www.asahi.com/politics/update/1210/TKY200712100248.html

私は既に半年以上も前に1年以内の照合など無理と書いた。一方で参院選前に当時の安倍首相は年内に最後まで照合を終えると言っていた。現舛添厚労相は以前「来年3月までに5000万件の名寄せを実施したうえで、あと3年くらいいただければほぼ完璧なデータを構築できる」と言っていたが、完璧データになるどころか、3月末日まで3か月以上もある段階で、データの約4割は特定困難だと言う訳だ。

 しかもその理由が酷い。死亡したからというのは許せる範囲だろうが、漢字カナの変換時の間違えなどというのは、社会保険庁側の責任問題である。ところが、先日ただの一人過去の社会保険庁長官の責任を問わなかった事は記憶に新しい。

 初めは出来ると言って、その後困難という政府のやり方は、初め従業員がやったと言って、実は役員が指示していたという船場吉兆と一緒ではないだろうか? 吉兆の役員が引責辞任するのであれば、今回の名寄せに責任を持つ社会保険庁管理職も引責すべきだ。舛添大臣自身も今のように開き直りに終始するなら、不信任決議すべきだ。


最低保証年金 (2007.11.14)

 昨日の朝日新聞朝刊で、民主党の主張するこの年金について書かれていた。私のサイトでは以前にも書いた事はあるが、多少整理してみる。

 先ず、現行の国民年金は国庫負担1/3だが、近々1/2となる。(財源は決まっていない。) つまり全額保険方式ではないが、さりとて全額税方式でもない中途半端な制度に見える。国民年金は満額でも年額80万円程度だが、保険金を支払っていない未納期間があればその分少なくなる。この結果本来貧しくより多くの年金を貰いたい方々が、自らの未納の為に十分な年金を得ていない。

 民主党の主張する最低保証年金は全額税方式 (こちらも財源は判らない) で、年収600万円以下では満額、その後年収が増えると漸減し、年収1200万円以上だとこの最低保証年金はなくなる。つまり年収が多いのだから、報酬比例の方の年金で十分でしょうという考え方のようである。

 この民主党の案は年収の少ない層にとって良い案のように見えるがかなり問題も多いのように感じる。先ずは財源であり、以前は消費税で賄うと言っていたはずなのに、今は消費税率を上げませんと言っていて、実現可能性が無いように見える。それから既に保険金を支払ってきた被保険者と払わなかったあるいは未納の多い被保険者との不公平是正を考えると、ある一定期間は暫定対応せざるを得ないように思え、仮にこの制度導入と決まっても、すぐに全面適用にはならないと思われる。

 個人的意見で言えば財源の裏づけの無い年金議論は意味がない。日本の財政赤字を考えればより国庫負担を増やすというのは間違いであり、寧ろ全額保険方式の方がまともに思える。そもそも貰える年金が少ないと文句を言う方々は自分達が若い頃未納を繰り返し、払うべき保険料を払っていない方々だ。その方々の年金額が少ないのは自業自得であり、若い頃に苦労してでも保険料を納める事をしなかった当然の報いではないか? どちらにしても超財政赤字国日本で、全額税方式の年金にしようというのは、机上の空論としか思えず、今のままの最低保証年金に賛意を示すことは出来ない。


何の為の検証委か? (2007.11.01)

 私だったらこんな意味の報告は受け取らない。受け取った増田総務相は更迭する。それをしない福田首相は早く辞めた方が良い。そもそもこの人は何故総理になれたのか? 安倍前首相が年金問題で躓いたからだ。であれば、ずさんな年金記録を行なって来た誰に責任があり、どう責任を取らせるかが問題ではないか? それを全員が悪いので、特定の個人には責任を取らせられない等と詭弁を吐かれては、好い加減な公務員達の思う壺ではないか? 

 こんな無駄な報告をさせる為に、検証委員会を作ったのか? 厚労省ではなく総務省下においたのは、仲間同士で責任逃れをする事を防ぐ事が目的ではなかったのか? こうした無責任な報告で終わられては、今後も年金行政の改善等望めないだろう。福田首相はこんな酷い報告を受け取るのを止めるか、あるいは自ら辞めるか、どちらかを選択すべきだ。


基礎年金税方式 (2007.09.21)

 御手洗経団連会長がこの方式について言及した。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070921AT3S2001A20092007.html

この方式はそもそも民主党が提唱しているものである。しかし民主党はその負担税源を明示していない一方で、5%の現行消費税も上げないとしているので、そもそも実現可能性のない提唱と見ている。では税源の裏付けがあれば良いのかといってそれで全て良いという訳にもいかない。

 現在国民年金の国庫負担は1/3で、2009年度に1/2となる事が決まっていて、これに必要な税源だけでも消費税1%に相当するが、当然まだどう手当てするのか決まっていない。全額国庫負担となると増えるのがこの1/6 (1/2-1/3)ではなく4/6になるという事で、消費税4%増は最低必要になる。切りの良いところで現行消費税5%を10%にし、その差額は全額国民年金の国庫負担にしますといって、国民合意は得られるだろうか?

 仮にこの決定をすると喜ぶ人は過去未納として納めて来なかった方々である。この人達が得したと喜ぶという事は過去真面目に納めて来た人は損をするという事で、この不公平感を是正する為にまた姑息な経過法を作れば、今でも複雑怪奇な年金法が更に判り難いものとなるのは火を見るより明らかである。

 日本には国民年金の他にも生活保護法による支給がある。そして最低賃金で働いても、生活保護金額より収入は少ないといった問題もあり、生活保護・国民年金など一体化して、本当はどうあるべきなのか、今一度考察の必要がある。


横領は3億9600万円に (2007.09.20)

当初1億3千万円だったものが、今はもうその3倍である。社会保険庁職員から市町村職員へと、調査をするだけ件数と額は増え続けている。それでいながら、告発をする事なく時効とさせた責任を誰がどう取った、取るのかという話が出て来ない。9月4日の当欄に時効延長の話を書いたが、特別立法してでも、横領した犯罪者を裁くべきだ。

 ところでこの4億円弱と下の6.8兆円流用とどちらが問題だろうか? 当然桁違いの額である流用問題の方が大きい。4億円で何人刑務所に入れられるかという問題よりも、6.8兆円の流用に対し、その責任者にどれだけの責任を負わせる事が出来るのか? この方が一般国民・被保険者としては重要な問題である。一人でも多くの厚生官僚、社会保険庁職員にその責任を取らせるべく、国会の場で追及する事が重要だ。


保険料流用6.8兆円 (2007.09.14)

 保険料が横領されたり真面目に納めた記録を消されたりする一方で、これだけ巨額の金が年金給付以外に公然と流用されてきた。グリーンピア等がその典型的な例だ。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070914it15.htm?from=top

 先日、社会保険庁職員の賞与一部返上という選挙前パフォーマンスがあったが、とてもその程度の額では補えない金額が、政治と公務員達の策略で消えて行き、しかも誰一人まともに責任を取っていない事になる。

 民主党は流用禁止法案を出すのは良いが、それと共に責任追及を行なうべきだ。それから横領の方についても、刑事告発を見送ってきた方々は、その事についての責任を追及されるべきだ。それが地方自治体の問題であるなら当該の自治体の首長他、責任ある地位に居た方々の責任を追及すべきだ。


年金問題ドミノ (2007.09.07)

 毎日、毎日新しい問題が出て来る。

企業年金連合会未払い = http://www.asahi.com/life/update/0905/TKY200709050360.html

確定拠出年金運用漏れ = http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070906i213.htm

横領金額2652万円増加 = http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070907/jkn070907025.htm
 
 特に上の未払い問題は申請が無ければ払わないという、親方日の丸発想の延長で起きたと言えるだろう。消えた年金問題が典型だが、年金問題の最も大きな問題の一つは保険料を毎月支払っていても、まともな領収書や通帳のようなものが無かったという事だ。

 確かに第一号被保険者の様に本人が直接支払う場合の領収書はあるが、厚生年金の場合などは給料明細に項目が有るだけで、当然履歴を示す通帳はない。(私の勤める会社で言えば、給与明細も廃止されてしまったので、電子メールもどきを保管しないと、支払い事実すら保管出来ない。)

 新党日本の田中代表が年金通帳の構想を上げて、民主党などもそうした話を出している。遅すぎる制度と思うが、民間の生命保険のような事を考えれば、まともな保険料支払い履歴を被保険者に提出して来なかったのは、単なる行政の怠慢である。


横領は3億4千万円に (2007.09.04)

 前回8月5日に書いた時は1億3千万円だったが、今は3億4千万円である。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070903it15.htm

しかしこの数字ですらかなり矮小化された数字と考える。これは判明した数字であり、資料には金額不明といったものまであるのだ。賢い社保庁職員さん達は、どうせ発覚した時にはもう時効なのだと良く判って、この犯罪を犯したのだ。恐らく発覚している数字の10倍では以上はあると推測するのが妥当である。選挙前にボーナスの一部返済といったパフォーマンスをされたが、とてもその程度で穴埋めでは効かない。

 先日、既に時効の年金を特別法で有効にした例がある。法律の世界でこういう事が出来るとは思わなかったが、これが可能であるなら、社保庁職員の犯罪時効を20年、30年にする特別立法を行ない、全ての横領犯罪者を処罰すべきだ。告発を見送るなどという行為は、世間一般から見れば言語道断な話だ。


年金の根本問題 (2007.08.05)

 下の記事のように我々が収めた保険料は社保庁公務員に着服され、その一方で年金記録は消されて来た。

http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070805/fks070805000.htm

 ここでの数字は1億3千万円だが、これは氷山の一角であり、本当の数字は推測も出来ない。消えた年金の多くは実は横領・着服だったのではと考えたくもなる。

 ある記録を消された被保険者は、社保庁職員に支払ってもいないのにと罵倒される一方で、警察に行ってももう時効よと、本音を言われたそうだ。つまり二十代の頃の支払いについて、その三十年後になって有る・無しを揉めて、仮に職員の着服であったとしても刑事時効なのである。社保庁職員はそうなるであろう事を見越して、横領・着服を繰り返して来たと考えられる。

http://www.ashttp://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070903it15.htmahi.com/politics/update/0802/TKY200708020318.html

 保険金流用をするなど今頃法律化しないとならない現実が悲しい。しかし公務員性悪説で法制化しなかった事が、多くの年金問題の原因である。

 企業の経営者は、経済動向の読みを誤り経営指標が下がれば当然責任を取らされる。ではなぜ厚生官僚の見通しが間違いで、保険料は上げられ・支給は減らされ、それで彼ら官僚は何も責任を取らないのか? 官僚機構と戦う事の出来る、新たな政権でまともな立法を行なわない限り、官僚天国は終わらない。


社保庁解体 (2007.07.01)

 社会保険庁の様に好い加減な組織が解体されるのは、当然の事である。

 しかし、十分な審議も尽くされずに可決された法案で出来る新組織に移行したからといって、国民本位の年金業務が遂行されるとは限らない。多くの社保庁職員が横滑りし、単なる看板の掛け直しに終わる危険性が極めて高いと言わざるを得ない。読売の記事の話ではないが、係長以上を総入替えするくらいの事をしなければ、まともな組織への再生は無理だろう。

 安倍政権が拙速に法案を可決したのは、参院選前の実績にしたかったいう事なのだろうが、これで寧ろ社保庁の過去の杜撰な業務に対する責任は曖昧にされたと言える。先ず今必要な事は、未入力・未統合等のデータが一体どのくらいあるのか、その全容を明らかにする事だ。週刊誌の記事ではないが、まだ倉庫の奥にデータ化されていない台帳が沢山眠っているのではないだろうか?

 そしてこうした杜撰なデータ管理を行なった責任が、誰に有るのかを徹底的に究明する事だ。私は民間から行った村瀬現社会保険庁長官には同情的だが、それ以前の歴代長官には多くの問題があると思う。こうした人が今現在最高裁判事や船員保険会の会長などをやっているのも許し難い事だ。天下って渡りをした結果が、本来国民の信頼を受けるべき最高裁判事というのはいったいどういう事なのだろうか? こうした天下り官僚達に直接、社会保険庁不祥事を責任を問うべきだ。それなくして年金行政の信頼回復は有り得ない。


年金とは何か? (2007.06.16)

 ここまで連日社会保険庁の問題が続出すると、年金とはいったい何なのかと疑問が湧く。

 この週末前の話題では代行返上時に、社会保険庁(SIA)側と企業側のデータがデータが合わない場合でも、SIA側が自らミスを認めない例が朝日新聞トップで報じられていた。つまり間違っているSIAが直さず、そちらに合わせて代行返上を受け付けた訳だ。そこに書かれている作家幸田真音さんの批評には、「自分の在任中を無難に過ごすため、見て見ぬふりをする役人的発想が招いたことだ。」書かれている。間違っていた所で、年金が減るのは自分ではないのだから、役所のミスなど認めないという事だ。これは国民に対する背信・犯罪行為というべきであろう。

 私が年金問題に興味を持ち始めたのは3、4年前の例の未納問題がらみの年金国会の頃からだが、基本的には複雑過ぎる年金の仕組みを知りたいという側面だった。最近噴出している問題ははっきりと言って年金以前の問題であり、この「年金問題を問う」に書くものではなく、連日書いているコラムozawa向けの問題になっている。年金の法律の問題ではなく、年金制度を支えるはずのSIA職員・公務員の質・モラル・犯罪問題になっているという事だ。

 例えば国会の福島瑞穂社会党党首の質問から、SIAが既に過去の証拠資料を廃棄している事が判っている。証拠資料というのは言うまでもなく国民の納付記録だが、SIA側から見れば早く廃棄してしまう事で自らのミスを隠蔽できる証拠資料という事だ。こうなってくると、そもそも役所・公務員に年金という制度を執行させようとする発想そのものがおかしいのではないかと思えてくる。

 以前にも書いた話だが、私は二十歳になった直後、選挙の該当演説である候補者が年金制度について訴えていた事を鮮明に覚えている。それは現役世代でお年寄りを支える賦課方式の話だったが、これを聞いて私は国家的ネズミ講ではないのかと思った。今や日本の年金はネズミ講より酷いのである。ネズミ講は子・孫と増殖出来る限りは破綻しないが、日本の年金は以前のグリーンピアなんかもそうだったが、公務員という盗人が横から盗み、庶民の納付記録を消してしまい、年金は支払わない、支払っても減額されたものにしてしまう訳だ。

 今回の問題はSIAつまり社会保険庁という特定の政府組織の問題とは私は考えない。役人・官僚・公務員全体の問題と捉える。先ずは社会保険庁の過去の職員全員に責任を取らせるのは当然の事だが、公務員全体に責任を負わせるべきだ。今回の名寄せ・照合に掛かる費用を更に国庫負担と称して納税者に押し付ける事はしてはいけない。過去も含めた社会保険庁職員が負担すべきだが、それをしないというのなら例えば共済年金の統合問題で守ろうとしている職域加算分を基金として今回の年金問題に掛かる費用に振り向ける事を提唱する。先日出来たばかりの国民投票法でその是非を問うと良いだろう。 


新たに1400万件 (2007.06.07)

 年金不信は泥沼に陥っている。社会保険庁は好い加減な役所と例の未納覗き見事件以降誰もが思っているが、ここまで好い加減が繰り返されると呆れるどころではなく、怒りではないだろうか?

 厚生労働省の責任も大きいが、先ずは社会保険庁であり、生きている過去の長官は全て証人喚問をし、どのような管理を行ない、彼らにどういう責任があるのか問い質すべきだ。仮に今回の話が民間企業であれば、会長・社長の首は飛び、株主代表訴訟で訴えられ、会社そのものが信用毀損で倒産だろう。役人・公務員の方々は自分達の責任が問われる事は無いと思っているのだろうが、そうでは無い事を知らしめる事だ。

 今回の1400万件は未だに電算化されていないデータの件数だ。例えば私は以前金融機関の情報システム部門にいたが、1980年代は第二次オンラインの時代であり、これ以前つまり70年代後半の第一次オンライン時に既に全てのデータは電算化されていた。それから30年も経って電算化されていない等というのは、そもそも電算化の意思がない、つまりこれらデータは死んでも良いという確信犯的不作為によるものと考えざるを得ない。より判り易く言えば詐欺行為である。仮に今の安倍政権が、過去の社会保険庁長官・職員の責任を取らせないのであれば、参院選で安倍政権自身に責任を取って頂くしかない。


1年以内の照合など無理 (2007.6.02)

 年金特例法案は衆院を通過した。安倍首相は参院選をにらんで、5000万件の記録照合を1年以内に行なうと言っているが、これは単なるカラ手形であり詐欺行為の繰り返しに等しい。その様に主張するのであれば、それが出来なかった時に誰がどう責任を取るのか決めてからにして欲しい。

 この宙に浮いた5000万件の騒ぎの為、社会保険庁は年金記録の確認に訪れる市民でごった返し、1時間待ちは当たり前、中には5時間待たされたという例まで報道されている。一方社会保険庁職員はその解体の有無に関わらず、公務員数圧縮の方針から今後も漸減の基本方針は決定している。

 安倍首相は5000万件の照合にどれだけの人員・時間を要するか判っているのだろうか? 朝日新聞の記事によれば、同じ様に300万件の調査を半年の予定で行なっている生命保険が2か月の調査だけで約20億円掛かったと書いている。5000万件の調査には1000億円を越えてもおかしくないという声もある。

 950億円とされる受給漏れの調査に1000億円掛かったとして誰がその費用を負担するのか? そもそも特例法案では調査費用について何も触れてはおらず、安倍発言がカラ手形である事は常識ある人間にはすぐ判る。

 行なうべき事は過去に遡り、杜撰な制度を作り・維持した厚生労働省官僚・社会保険庁長官・職員の責任を問う事だ。生保や損保が300億円規模の未払いでそれなりの責任を取らされている事と比較すれば、950億円相当の受給漏れにはそれなりの処分が必要だ。数億円の県庁裏金を過去の職員も含めて返還させているように、社会保険庁の現職員・OB全てに責任をまっとうさせる事が望ましい。そうする事をしないのならば、やはり年金は国家的詐欺・ネズミ講・振り込め詐欺と非難されても弁明の余地はないだろう。


年金時効特例法案 (2007.05.30)

 政府・与党は参院選の人気取りの為に、年金時効特例法案を強引に採決するようだ。採決より前に社会保険庁の現役・OB誰にどんな責任があるのかはっきりさせる事が先ではないだろうか? この法案は宙に浮いた5000万件の年金記録について、仮に領収書等で証明が出来ても5年前以前のものは、既に時効で認められないものを特例として認めるという趣旨のものである。しかし理工学部出身の私に言わせて頂ければ、こんな好い加減な事が認められる事自体が奇異である。

 例えば殺人罪の時効は15年だったと思うが、15年を経過しもう刑事裁判に掛けられる事がないと思っていた者が、ある日突然時効特例であなたは時効ではなくなりましたという事と、実質的に変わらない。それが許されるようでは法の安定とは何なのかと思うし、逆に時効を短くする事も出来るのかと勘ぐりたくもなる。保険金を支払っていながら認められなかった者にとっては朗報であるが、単純に喜ぶ事の出来る法案ではない。

 この法案の審議の裏では、歴代社会保険庁長官の責任を問うべきとの意見も出ているが、当然の事ではないだろうか? 長官だけにとどまらず、好い加減な年金記録保管の体制に関わった多くの社会保険庁管理職以上の官僚・元官僚全員の責任を問うくらい、強い対応を行なうべきである。そうでもしなければ、被保険者・国民の納得は得られないだろう。


宙に浮いた5000万件の記録 (2007.05.26)

 今週いきなり新聞各紙に登場したのがこの話題だ。社会保険庁解体法案の審議の中で出て来た。

http://www.asahi.com/politics/update/0523/TKY200705220441.html

 先ず5000万件という数の大きさだけでも驚くが内2900万件は既に年金受給世代という事で、本来貰える年金額より少なくなっている可能性がある。残りはこれから裁定を行なう世代であり、いざ年金の裁定を行なおうとしたら、自らの記録と違う事で領収書は有りますかと求められかねない。何十年も前の領収書をしっかり保存している人は例外であり、証明は困難である事が想定される。

 この問題は97年に基礎年金部分を一本化する為に、厚生年金・国民年金の記録を名寄せした際に、名寄せ出来なかったものとして発生したとされる。名前や住所の変更、または入力ミスといったものが原因なのは当然だろうが、良く考えてみると基礎年金一本化が無かったとしても、これに対象する方々は自らの年金額裁定を求めた際に、保険金を支払っていた時期が反映されていないと問題になっていたはずだ。つまり年金管理の仕組みそのものに欠陥が有ったと言わざるを得ない。

 例えば、銀行預金なら入金記録を示す通帳があり、証券会社なら残高照合としてその記録が送られてくる。しかし年金保険金について、例えばサラリーマンである私の場合は給料天引きであるが、厚生年金の管掌者たる政府(社会保険庁)から、保険金支払いの履歴書が送られて来た事は皆無である。それはお上がやるのだから信用しろという事だろうが、その結果信用していた5000万件の被保険者は、保険金支払い記録消滅の危機にさらされている。

 この問題が今後どう収拾されていくかは国会審議などを見守るしかないが、責任問題ははっきりさせてもらわないと困る。特に社会保険庁は解体の方向であり、解体される前にしかるべき責任のある方々にその責任を取って頂くべきだ。これが仮に民間の話であれば、社長の解任は当然として、関係部課長の処分は当然の事だ。過去の関係者まで遡って、国民の納得した処分をするべきだし、そうしなければ選挙の結果として跳ね返るだろう。


社保庁問題 (2007.05.12)

 社会保険庁の解体・再編法案は現在国会で審議されている。その一方で社会保険庁の好い加減・杜撰なデータ管理は毎日の様に指摘されている。

http://www.sankei.co.jp/kyouiku/fukushi/070511/fks070511001.htm

 上の記事は生年月日のミスが30万件というものだが、先日は加入記録自体が見つからず、最悪その分の年金支給が出来ないというケースの報道もあった。全く論外な話という他にない。これだけ国民の信頼を裏切る行政を行なっていながら、社保庁の誰が謝罪し責任を取っただろうか? 多くの社保庁職員は再編されてもそのまま再雇用され責任は曖昧のままというのが現実ではないのか?

 例えば、行政職員の試験科目免除制度などというのがある。税務署員がその経験で税理士試験の科目免除がされるように、社保庁職員が社会保険労務士の科目免除されるというものである。下の厚生労働省提出法案を見ても、今後その辺がどうなるのか判らないが、優秀な職員ならそもそも免除などされなくても受かるはずなので、そんな制度は全く不要である。社保庁後継組織については全面的に止めるべきだ。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/166.html

 国会の審議では民主党が国税庁と年金の徴収部門を合体させる法案を提出している。この仕組みの方が優れているが、残念ながら成立する見込みはない。


官のお手盛り (2007.04.11)

 これは昨日の日経社説で批判していた話だ。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20070409MS3M0900109042007.html

 話自体は7日の日経朝刊に出ていた。そもそも官民格差を無くすことが厚生年金と共済年金統合の目的のはずなのに、その目的を全く無視した法案になっている。こんな好い加減なものを認めてはなるまい。

 批判のいくつかは日経社説に譲りたいが、そもそもなぜ公務員に職域加算などがあるのか? これは大企業が企業年金をやっているものと同じとの説明もあるが、利益の出ている会社と大赤字の国・自治体を同列に論じてはいけない。国・自治体に赤字があるのならば、職域加算相当のもの、新聞記事の数字で言えば24兆円相当分は赤字の補填に使うべきだ。税金の無駄遣いの多くの責任を負っている方々に、その補填を行なって頂くのは当たり前の話である。


年金支給漏れ (2007.04.06)

 過去6年で22万件もの年金支給漏れと報じられている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070330it01.htm

 大学を卒業し就職間もない頃、厚生年金にはなぜ残高証明というか、保険金の支払い履歴が無いのか不思議であった。当然それは政府・国が行なう事に間違いはないから、疑いなど持たずに信じなさいと言う事だったのだろうが、現実にはそれは大きな間違いであった。

 22万件という数字もかなり過少にカウントされているのではないかという気がする。因みに私は転職をしたいという事もあり、昨年気になって社会保険庁に問い合わせてみたところ、何と住所が区までしか登録されていないミスが発覚した。仮にそのままであったとすれば、将来年金受給に関する資料は届かなかった事になる。

 社会保険庁は近々解体に運命にはあるが、日本で最も信頼出来ない役所の一つである。先ずはここにある情報については全てを疑ってかかり、自らのデータが正しく反映されているか、個々人が直接調べてみるべきだろう。今後国会での審議を経て、社会保険庁後継組織のあり方が再考されるが、看板の架け替え程度にされてしまう可能性も高く、信頼出来る組織への再生は期待しない方が良い。


世代間不公平 (2007.02.27)

 先日私よりも何歳か若い知り合いと飲みに行ったら、その席で彼は彼自身が65歳まで年金が支給されないのに、私はそれ以前から出るんですよねという話になった。これは例えば厚生年金の場合、昭和16年4月1日以前の生まれならば、定額部分、報酬比例部分共に60歳から貰えるのに、それ以降の生まれについては徐々に支給開始年齢が遅らされ、昭和36年4月2日以降の生まれだと65歳以降でないとどちらも支給されないという話である。

http://hccweb1.bai.ne.jp/~apadi703/txt7.htm

私の場合は定額部分は65歳までもう支給されないが、報酬比例部分はごく短い期間のみ支給される。という事で60歳から貰える人と比べると不利だが、65歳まで全く年金が払われない世代よりは多少有利という事になる。人の平均寿命が延び、定年もかっての55歳から今は60歳、そして何年か後には原則的に65歳へと移行していく。これと裏腹の関係で年金は65歳からの支払いへと支給開始が遅くなっていく。

 単に支給開始が遅くなるだけならまだ良いだろうが、現実には支給金額も今後減額されていくのが明白である。今既に高齢の年金世代の方は自分が支払った保険金の数倍の年金を貰っているという人がいる一方で、私の世代はトントンと言われている。そして更に若い世代は逆鞘との話もあり、これでは若い世代の未納者が減らないのは当然である。年金をこのように不安定なものにした犯人は当然に厚生官僚にあり、今一度彼らは過去の反省の上に、現実的且つ破綻せずに運営可能な年金の将来図を国民に示すべきである。


国保滞納差し押さえ1.7倍 (2007.02.04)

 これは本日の朝日朝刊で報じている話である。

http://www.asahi.com/life/update/0204/001.html

 年金に詳しくない方の為に簡単に説明をしよう。先日厚生年金と共済年金の統合の話題をこのコラムで書いたが、これはサラリーマンと公務員の年金の話だ。これ以外に自営業者を対象とした国民年金があり、これは基礎年金と言って年金の一階部分に相当する。私の場合は厚生年金だが、支払った保険料の一部が基礎年金拠出金として回される事で、厚生年金の被保険者は全て国民年金部分も支払っている事になる。サラリーマンは給料天引きなので当然滞納という問題も発生しない。

 一方自営業者は自ら納めるシステムなので、ここから問題が発生する。収入の少ない世帯は支払いそのものが困難と滞納し、若い世代は将来年金が支払われる保証がないと滞納し、裕福な世帯は高々年間80年万円弱の公的年金などに期待せず、私的年金でカバーしていると滞納する。賦課方式という現役世代の保険金が今の年金受給者への支払われる仕組みの結果として、真面目に保険金を納めている被保険者の負担が増えているという現実になる。

 保険金を支払わずに、いざという時に生活保護があるという態度も問題だが、支払い困難者も裕福な自営業者も13,860円/月(平成18年度価格)という定額というところにも問題がある。しかも国民年金は現在でもその3分の1は国庫負担であり、平成21年度以降は財源の手当てもされていないのに国庫負担が2分の1になる事が決まっている。

 個人的には基礎年金部分は全額国庫負担とし、その財源は消費税とするのが、今の日本の現状からして妥当と考える。消費税は当然消費額の大きい人がより多くを負担する事になり、一律定額の現行制度よりは望ましい。また消費税とすれば、国保徴収に掛かる徴収コストを削減する事が可能で、近々解体される社会保険庁後継組織や地方自治体公務員のスリム化に繋げられる。3分の1から2分の1という中途半端な体制への移行ではなく、今一度十分な年金議論を国会でやり直すべきである。


年金給付水準51%台? (2007.01.28)

 出生率1.26でも現役世代の収入の50%以上を確保可能とする厚労省の試算だが、これを信じる人は単なるお人好しだろう。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070126i116.htm

試算の前提となる運用利回りを前回の1.1%から1.6%に上げるという小細工で出した数字だが、これは以前の国会論戦で50%確保可能と言っていた体面を確保するため、辻褄合わせで作った数字と見るのが妥当である。仮に今が景気のピークであれば、今後利回りは低下する可能性は当然あるのであり、とても信頼出来る数字ではない。

 そもそも今の年金問題というのは、過去の厚労省の杜撰な予測の繰り返しの結果として生まれたものだ。重要な事は予測が悪い方に外れた場合、誰が具体的にどんな責任を取るのか明確にする事だ。責任を取らない予測なら、素人にでも出来る。


年金一元化 (2007.01.23)

 先週話題になっていた話だが、実は20年も前に閣議決定されていた話だ。公務員の共済年金を厚生年金と一元化しようという話だが、そもそも日本の年金は公務員の恩給制度が源泉であり、共済年金は有利な仕組みになっている。その象徴たるものが職域加算である。現在の年金問題が、少子化に起因して将来の支給が減るという不安、つまり財源不足になっている事を考慮すれば、この職域加算といった公務員優遇制度は即時にでも廃止すべきものだ。しかし当然ながら、それを貰っている公務員の抵抗は強い。この職域加算の扱いが、年金一元化での足枷となっている。今、政府で検討されている案は職域加算の37%削減という不十分なものでしかない。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070121i102.htm?from=main1

 年金国会と騒がれた年金改革で、例えば厚生年金ならば1000分の183になる平成29年まで毎年その保険料率が上がっていく。しかし既にこの時の前提とされていた出生率は予測を下回っており、近い将来更に見直しが必要となるのは確実である。また自民党内からは、65歳からの支給開始を67歳からにしようとの意見も出ている。将来世代に負担を先送りしない政策は急務であり、職域加算全廃を前提とした、年金一元化を一刻も早く実現すべきである。


年金問題(2007.01.01)

 年金国会と未納問題が騒がれてから何年か経つが、この問題は全く解決していない。それどころか、未納情報の覗き見、違法免除問題で国民の信頼を奈落に落としている社会保険庁は、相も変わらず杜撰な業務を継続し、例えば17年度だけで3万3,925件もの訂正を行ない更に信用を落とし続けている。真面目に保険料を支払っていても、社会保険庁という詐欺紛い集団に吸い取られてしまうかも知れないのが現実なのだ。こうした情勢に鑑み、従来コラムozawaに書いていた年金問題を2007年以降テーマとして独立させるものとした。

 そもそも私が年金問題を認識したのは二十歳の時だった。選挙権を得て初めての選挙で、候補者の街頭演説を何回か聞いたのだが、この中の一人が当時賦課方式について説明していた。これを聞いた若かった当時の私は、国家的ネズミ講だと感じたのだが、これは例の年金国会で現実になったと認識した。現役世代の保険金で、その時の老齢者の給付を賄うという方式は、人口が未来永劫に増え続けなければ維持する事は不可能であり、当然増え続ける事がないという事はどこかで破綻するのである。しかし当時の候補者は真面目顔でその構想を話し、当然その後も厚生官僚はその詭弁を続けて来た。今我々国民は、この詭弁を続けて来た厚生官僚にネズミ講を仕切った責任を取らせるべきだと考える。



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