☆☆☆ ☆☆☆タネの旅立ち☆☆☆ ☆☆☆

 秋は深まり、寒い冬がやってきます。この時期、たいていの植物は、実をつけタネを飛ばします。言いかえれば、タネが新天地を求めて旅をするときでもあるのです。さて、どんな植物の実やタネが、どんな旅をするのでしょうか。みんなで観察をしながら、その秘密をかいまみていきましょう。

 
☆☆ ところで、実やタネにはどんな旅の方法があるのでしょうか。ご紹介しますね。☆☆

風を利用して旅をする
〔大空ロマン型〕

「風散布植物」

 タンポポのようにわたげをつけたタネで遠くまでとぶ植物は、日本にたくさんあります。
マツボックリの中に入っている羽のついたタネはよく晴れた日、風にのってとんでいきます。カエデのようにプロペラの形をしたタネは、二つに分かれてくるくるまわりながらとんでいきます。バレエリーナのようなボダイジュ、空飛ぶえんばんのようなアオギリ、ゆめをのせてとんでいきます。


カエデのタネは、大空を旅するのだ

水を利用して旅をする
〔大海原ロマン型〕
「水散布植物」

 ゆめをのせてはこんでいくのは、風だけではありませんね。ヤシの実のように遠い国から海をこえてやってくるような植物の実やタネもあるのです。海まで行かなくても、川や雨のながれによってはこばれる実やタネは、みじかなところにもありますよ。
 クルミはその一つ、ネズミにかじられることもありますが・・。ハスの実ははちのすのようになっていますが、その中のタネが水ではこばれます。


ハスの実の中のタネは水によくうく

人や動物にくっついて旅をする
〔ちゃっかり型〕
「付着動物散布植物」

 みなさんのまわりにも、何でも人にやってもらってしまうちゃっかり型の人っていませんか。植物の中にもそんなちゃっかり型がいるのです。
 人やどうぶつにくっついていって、そこではらわれて落ちて、そこでめを出すちゃっかり型です。くっつき方はかぎのようになってくっつく方法、ねばねばしてくっつく方法、たくさんの毛でくっつく方法などがあります。

 
 イノコヅチやコセンダングサは、くっついてみんなを困らせる

はじけとんで旅をする
〔自分の力でゴー型〕
「機械的散布(自動散布)植物」

 植物の多くは、自分が動けないので、ほかのものにたよって旅をするのですが、ときには、自分の力ではじけとんで旅をする方法を考えたものもいたのです。
カラスノエンドウは、マメがパチンとはじけてとんでいきます。フジの実もバチンと思い切りはじけて、10メートル以上もとぶこともめずらしくありません。自分の力でとぶのです。


マンサクは、ツルツルしてとびやすい

動物がためこんで忘れ去られる
〔いちかばちかの勝負型〕
「貯食動物散布植物」

 「どんぐりころころ、どんぶりこ ♪」この歌のように、どんぐりのなかまは、むかし木から落っこちてころころころがって、旅をしていました。
 しかし、あるときぐうぜん鳥やどうぶつがどんぐりをかくして食べるようになり、わすれてしまってそこからめを出すようになりました。そこで、たくさん実を落とすようになり、どうぶつにうめてもらう方法をえらぶようになりました。


スダジイは人が食べてもおいしい

鳥や動物が食べてふんとして運ばれる
〔ちょっとにおうかな?型〕
「被食(ひしょく)動物散布植物」

 鳥やどうぶつをせっきょくてきに利用する植物はたくさんあります。
実をきれいな色にしたり、においを出したりして、鳥やどうぶつにどんどん見つけてもらい、食べられます。そして、そのタネは消化せずに鳥のふんといっしょに出てくるのです。ということは、鳥がいろいろなところに運んでくれるのと同じことになるのです。
 ただ、人間にとってはどくになるような実もあるので注意してください。


ムラサキシキブの実はおいしそう

人がいなければならない
〔人の手をかりるぜ型〕
「人為(じんい)散布植物」

 人の手によってはこばれるというか、植えられる植物は、世界中にたくさん、たくさんありますね。しかし、オオバコのように本当に人間がいなければならないような植物もあるのです。写真のキバナコスモスは、むかしはタンポポのようにわたげがあったのですが、今は・・・。


キバナコスモスはわたげがない

アリさんに運んでもらう
〔虫さん てつだって型〕
「アリ散布植物」

 どうぶつを利用する植物が多いのですが、中には花粉(かふん)のときのように、虫を利用する植物もあるのです。
 アリがすきなものをくっつけておいて、タネごとアリの巣(す)にはこんでもらい、いらなくなったタネは、その近くにすてられて、うまくめが出てくるのです。


タケニグサのタネには白いものがくっついているよ

落ちて転がっていく
〔ドスン、ころころ型〕
「重力散布植物」

 ドングリの多くは、リスやカケスにかくされて、そこからめを出すという方法をとったのですが、今でもその場に落ちてころがっていく植物もいくつかあるのです。
 フタゴヤシという大きな大きなヤシの実は、その場にドスンと落ちて、流れて旅をすることなく、その土地でめを出すものもあるのです。


カシのなかまは今でもコロコロ?

どこへも旅をしない
〔どこにも行きたくない型〕
「非(ひ)散布植物」

 このように考えてくると、植物のタネは何かしらの方法で旅をすると思いがちですが、自然の中の植物にも、なんとまったく旅をしないで、親のちかくに落ちてそのままめを出すものもあるのです。
 写真のヨメナというキクのなかまは、しめった所がすきで、ほかのキクのなかまのようにわたげでとんで行っては困るので、その場に落ちるようにわたげをなくしているのです。


ヨメナのタネには、わたげがない