小島健さんの句集『蛍光』(角川書店、2008年)を拝読しました。
- 鶏鳴のどこにもあふれ斑雪(はだれ)村 小島 健
- 空いろに越の棚田の春氷
- 川音の空へ抜けゆく青胡桃(くるみ)
- 梅雨明けの街真つ白になりにけり
- 口中の冷たくなりぬ梅の花
- 東京のきれいに暮れて桜かな
- 物陰にあり薔薇園の竹箒
- 跳躍の尻美しく秋の空
- 太々と川の力や冬景色
- かたまつて風音聞けり冬の鹿
構図の確かさ、といったら、少し単純すぎるでしょうか。しかし、小島さんの作品のよさは、こうした単純な言い方で表現できるよさだと思います。それはむろん、作品が、あるいは作品のよさが単純だということではありません。細やかで豊かな作品だと思います。
先の句集『木の実』(朝日新聞社、2002年)をめぐって、「彼は光景の合間に垣間見えるある本質を鷲掴みにする」(「日常と真向かうための」−「合歓」第22号)と記しました。鷲掴みとは、勇気のことだと思います。決断する勇気。
- カンガルーの袋恋しき万愚節(ばんぐせつ)
- あちこちへ昼寝せし顔持ち歩く
- 水吐いて蛸(たこ)逃げてゆけり春の昼
こうしたユーモアのある作品もまた、小島さんらしい確かさに支えられています。
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