俳句雑誌「六曜」第6号(2007年3月)で、出口善子さんの作品「ライバル」24句を拝見しました。
- 闇のすそ蠢き恋の猫となる 出口善子
- いちはやく急所(つぼ)さぐりあて皹の指
- 黙を溜めマスクの内の汚れくる
- 人日や指の腹もて刃を試し
- ここまでの轍そのあと冬すみれ
- シャボン玉大きく育ち歪みけり
- 眦と語尾あいまいに花粉症
現代かなづかいによる印象もあるでしょうが、全般的に少ないという感じを持ちます。少ない、という言い方は変かもしれませんが、あるいは早いということでしょうか。少なさや速さは、鋭さを生みます。それに加え、身体に直結する、あるいは身体をイメージするような質感が、作品を特徴づけているのだと思います。そして、季語が重さをもっていないことも、これらの作品の魅力かもしれません。
ただ、5句目だけが少し異なった印象です。理に傾き過ぎたという批評が聞こえてきそうな「ここまで〜そのあと〜」というちょっと危うい構成と「冬すみれ」という季語の斡旋がその理由だと思いますが、こうした作品が置かれていることも、一連を面白いものにしています。 |