俳句工房[ZA]−俳句と評論
 
 
 
[俳句をめぐるコラム]
片山由美子作品をめぐって(句集『風待月』)
 
 

 

 昨夏上梓された片山由美子さんの句集『風待月』(角川書店、2004年)を再読しながら、最初に読んだときと印象が異なったことに驚きました。当初読んだときは、オノマトペを使えば「ぽつぽつ」といった感じを受けたのですが、読み直してみると、もっとゆったりとしたなめらかな感じがしたのです。

  • 草市に背負ひ来し子を立たせおく  片山由美子
  • 切り取りしごとき日向や一茶の忌
  • 満開の桜の上に空のあり
  • はるかなるものに応へて銀杏散る
  • 立冬や父の枕の重かりき
  • 霜掃きて朝市のものならべけり
  • まだもののかたちに雪の積もりをり
  • 船の名に二世三世秋高し
  • やはらかき影の上なる寒卵
  • 夕闇の押し寄せてゐる牡丹かな
  • 栞して本を眠らす夜の秋
  • 臘梅や坂の上なる母の家
  • 足跡のふはりと乗りて春の土
  • 坂道は人をとどめず夕桜
  • ためらはず雨の茅の輪をくぐりけり
  • つぎは誰がために集まる雁渡し
  • 時雨忌や幹は一本づつ暮れて
  • 影ほどの軽さの雛を流しけり
  • 春分の日のわが影と門を出づ
  • 恐竜の卵見に行く春休み

 帯には「静かに深く/今を/見つめる」とあります。おそらくこの一冊のキーワードになるのは、「静かに」と「今を」の二語だと思います。
 やわらかなことばの使い方が片山由美子作品の魅力ですが、そのやわらかさがこの二語を支えているように思います。

 
片山由美子句集『風待月』(角川書店) 片山由美子句集『風待月』(角川書店)
 
*初出:<Made in Y>(雑記帳126:2005.2.6)
 
 
 

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