俳句工房[ZA]−俳句と評論
 
 
 
フェリス女学院大学オープンカレッジ「俳句実作講座」
2004年度春学期作品集(作品)
 
 
フェリス女学院大学オープンカレッジ「俳句実作講座」 2004年度春学期作品集
夏草/臼田まさご
貝殻骨/江島桂子
夏の雲/川久保珪子
走ったり歩いたり、今/水谷佳奈
たぽん/吉野裕之
 
夏草/臼田まさご
 

赤屋根の軒を連ねて新樹光

噴水の時々休む昼下り

風熄んでいよいよ丸き濃紫陽花

夏草や中学校舎建たぬまま

栗の花墓地反対の幟旗

利休色丹沢山塊梅雨晴間

夏草を刈る男らの外国語

ハーブ湯に指の屈伸七月来

塀向かふ数へて三つ柿の花

バス停の列の長さに大西日

黒南風に髪みだされて人と会ふ

 生麦事件資料館
「生麦」の史実を語り玉の汗

 
このページのトップ
貝殻骨/江島桂子
 

短夜を薄荷色のゆめに追ひつかず

舌下錠のごとく含むよ枇杷の種

滴りや羊歯の胞子ら海へ海へ

丸木橋六月の夜を架かりゐる

病みつゝ匂へるものに巴旦杏

朝食の位置籐椅子と風の窓

貝殻骨七月の陽に熟れてゐる

初ピアスそのあぢさゐのゐを下さい

ラムネ瓶どれにも月光泡泡泡

手花火やちちといふ名のこひびとと

青柚子にさはさはさはと音の添ふ

日向水わづかに汚し還すなり

 
このページのトップ
夏の雲/川久保珪子
 

白南風や鹿追ふ子らの声のせて

迎へ梅雨物語る母髪白く

夏の宿尽きぬ話の二人あり

我先に背伸びするや立葵

梅漬けて母の苦労を想ひたり

梅雨晴れに小さな靴の背くらべ

山の背に影残してや夏の雲

鱧食べて人の出発祈りけり

選挙カー白き手残し声は去る

日照り続き道路の上は多き影

連山に湧き出る雲や夏の空

頂に雲をかぶりて夏の富士

 
このページのトップ
走ったり歩いたり、今/水谷佳奈
 

牧場の定番ソフトに桜味

「蓮」の字に似て思い出す「花輪」くん

ビアガーデン今年は台湾風だって!

炎天下スウィングジャズで団欒す

通勤バッグするりしのばす扇子かな

梅雨の帰途空の機嫌をとりながら

30℃皆日陰に吸い寄せられて

風鈴に呼ばれた気がしたある夜道

白すぎる夏の満月闇は紺

台風に短き稲がわっさわさ

医学生皆と等しく休める夏

コーラにも氷入れ音さらに涼し

 
このページのトップ
たぽん/吉野裕之
 

しんとして滝の近くの花の家

春の水魚ばかりでありにけり

厠から九九の聞こえる新樹光

人間の顔になつたる五月かな

蟻つぶす祖父の蔵書を背にしつつ

だぶだぶと人立つてゐる木下闇

空深くまで揺らしつつ入梅す

風鈴の鳴りはじめたる父の家

テーブルに歳月はあり心太

まばたきをして夏の山夏の川

たくさんの草八月の公園に

花木槿たぽんと暮れてしまひけり

 
このページのトップ
 
 
 

HOME

What's New

現代俳句名句選

自選俳句作品

評論・エッセイ

俳句講座

2004年度春学期
講座の記録
作品集(概要)
作品集(作品)

リンク集

人名索引

profile

このサイトについて

サイトマップ

 
このページのトップ*俳句工房[ZA]
© Hiroyuki YOSHINO
http://homepage3.nifty.com/a-un/za/