職場の喫煙室で、「もう、梅雨だね」と声をかけられ、「走り梅雨…」と呟いたら、「おっ、さすが」といわれました。私が俳句や短歌に関わっていることをご存知の先輩は、そういったのです。この先輩とは、ときおりこうした季節に関わる日本語について話が盛り上がり、そのたびに、「お手元に歳時記を置いておくといいですよ」とお話するのですが、求めたというお話は聞いていません。俳句の実作をなさらない方にも、ぜひ歳時記は備えておいていただきたい。こう考えている私は、機会があるといろいろな方に申し上げるのですが、なかなか…。 このようなことを申し上げるのは、20代の頃、福岡でお世話になった歌人の久津晃・山埜井喜美枝ご夫妻のお宅に大きな歳時記があったことが影響していることは間違いありません。同じ短詩型に関わる歌人なら当然では、と思われるかもしれませんが、日本語を使う者は誰でも、それを豊かに使うように努力することが大切(努力、というと大袈裟かもしれませんが…)。歳時記は、そのために力を貸してくれる、そんな素敵な書物だと思うのです。 夏は、ほかの季節に比べ、多様な表情を見せてくれる季節のように思います。多様とは、激しさのことかもしれません。そして激しさは、同時に静かさをもつことによってより激しくなるのだとも思います。
現代俳句名句選│春│夏│秋│冬
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