俳句工房[ZA]−俳句と評論
 
 
 
[季節別自選俳句作品]
秋−歳時記の秋の季語たち
 
 
 
 
倉庫から顔出してゐる終戦日
たくさんの草八月の公園に
レポートの仕上がる気配秋の蝉
大残暑とは湖のほとりなり
レポートの溜まる九月の必死かな
古書店に小さな客や秋彼岸
べたべたと日差しありけり秋の家
熟れ柿の砕けてゐたり枝の先
馬鈴薯や家人のこゑのそれつきり
ひとりならにぎやかになる吾亦紅
 
 
待つてゐて蜩のこゑ山の方
軒下に父の自転車秋の蝉
倒れつつ鶏頭鉄の空はあり
朝刊に大きな顔や秋の風
花木槿たぽんと暮れてしまひけり
きらきらす一人が立てば秋の水
木犀の路地を通つて昔かな
十月の膨らんでゆく水があり
踏ん張つてみよ秋風のなかの牛
胡桃の実母に従ふ日暮れかな
 
 
流星や祖父の書物を大切に
野分後の山のかたちの美しく
元町の入り口に立つ秋の人
いつまでも動いてゐたり秋扇
父の庭月のしづくの中にあり
鶏頭に息ととのへてゐたりけり
 銀座・月光荘画材店
三人や扉を開けたままの秋
この男銀杏黄葉を載せてをる
ほがらかにことばを使ふ落葉かな
鎌倉の秋に疲れてゐたりけり
 
 
原爆忌路面電車の石畳
だぶだぶと九月の水のありにけり
秋づくやベランダに来る鳥の影
桃太る小さな町に来てゐたり
鶏頭を十本抜いて了ひにす
ひよいと来て二百十日の石の上
三匹が蜻蛉であれば秋彼岸
墓洗ふつむりにひかり集めつつ
秋風や力士の尻のごはごはと
秋の日を束ねてゐたるふたりかな
 
 
終戦日/八月/秋の蝉/大残暑/九月/秋彼岸/馬鈴薯/秋の家/熟れ柿/吾亦紅
[2007.9.21掲載]
蜩/秋の蝉/鶏頭/秋の風/花木槿/秋の水/木犀/十月/秋風/胡桃の実
[2006.10.23掲載]
流星/野分/秋の人/秋扇/月/鶏頭/秋/銀杏黄葉/落葉/秋
[2005.8.6掲載]
原爆忌/九月/秋づく/桃/鶏頭/二百十日/秋彼岸/墓洗ふ/秋風/秋の日
[2004.7.17掲載]
 
 
 

秋の風景−蔦紅葉

 

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