俳句工房[ZA]−俳句と評論
 
 
 
[季節別自選俳句作品]
冬−歳時記の冬の季語たち
 
 
 
 

立冬の影を掴んで立ち上がる

冬の駅から始まりし会話かな

荷揚げ場に水積まれゆく十二月

一升の薬酒づくりも年用意

冬日和動物園にゐるやうな
振り出しに話を戻し懐手
厄介な男とおもふ大晦日
ここからが今年のことでありにけり
口々に木立のことを冬の客
 瑞泉寺の
住職の顔大きくて日脚伸ぶ
 
 

バス停に頭がひとつ冬に入る

弓なりに風の来てゐる冬の家

冬の靴づかづかと来て父の前

白菜を提げてまつすぐゆきにけり

鎌倉に声生まれ来る大旦
初夢や牛の尻つぽの揺れるまで
旅人と呼ばれ見上げる寒桜
寒鯉の背骨折らるるごとき日ぞ
さはさはと皃を見せ合ふ蕪かな
風花の大きくなつて口の中
 
 

集まつて十一月の橋の上

時雨るるや棚田に集ふ葉山びと

四人目が来ない教室冬はじめ

この色を枯木のいろと定めけり

波郷忌の近づく町に戻りけり
片方が残されてゐる師走かな
湖に真向かふごとし冬襖
画学生からのメールやシクラメン
一月の夕日来てゐる駅舎かな
ほんほんと雪ほんほんと母のこゑ
 
 
湯の中に豆腐の影のありにけり
いつぽんの鉄の重さの枯木かな
鮟鱇やブラックホールのごときもの
除夜の妻ホイッスル吹くごと笑ふ
鯛焼きの頭の方が今年かな
鎌倉に冬大空のありにけり
役場までゆくバスに乗る冬田かな
一月や男の顔がくらがりに
雪の墓地雪の東京タワーかな
はるかより来て風花となりにけり
 
 

立冬/冬の駅/十二月/年用意/冬日和/懐手/大晦日/今年/冬の客/日脚伸ぶ
[2007.12.12掲載]
冬に入る/冬の靴/冬の家/白菜/大旦/初夢/寒鯉/寒桜/蕪/風花
[2006.12.20掲載]
十一月/時雨るる/冬はじめ/枯木/波郷忌/師走/冬襖/シクラメン/一月/雪
[2005.10.30掲載]
湯豆腐/枯木/鮟鱇/除夜/今年/冬大空/冬田/一月/雪/風花
[2004.8.15掲載]

 
 
 

冬の風景−柚子

 

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