第3講 レポート=小論文の書き方
I レポートとは
1 レポート=小論文と考える → 感想文やエッセイではいけない
人文科学的な内容と手続きが必要
[1]「人文科学的な内容」とは………論理的かつ実証的であること
論理整合的であること:論理に飛躍がないこと
実証的であること:事実・確かなデータに立脚していること
[2]「人文科学的な手続き」とは……論拠・出典を明示する=他人の再検証を可能にする 2 大学におけるレポートのタイプ(教員側のねらい)
[1]授業で習ったことの確認を求めるタイプ
限定された問題についての説明が求められるもの
[2]授業で習ったことからの発展を求めるタイプ
書評:『○○』を読んで○○について述べよ
やや漠然としたテーマが設定され、各自に展開が求められるもの:
○○について述べよ/○○について論ぜよ
3 感心しないレポートのタイプ
[1]他人のレポートの丸写し……気がつかないのは、書いた本人だけ
写した側だけでなく、見せた側にも迷惑がかかる最悪のタイプ
[2]論文や著作の一部の丸うつし(無断引用)
著作権を侵害する行為(「社会科学的な手続き」を無視)
引用と丸写しの違い:引用は出典を明記して正確に
[3]結論がないもの(焦点がしぼられていない、何を言いたいのか分からないもの)
[4]あいまいな論拠にもとづいたり、推測に推測をかさねて飛躍的な結論をだすもの
4 評価されるレポートのタイプ(3の反対)
[1]独自性・独自の工夫がわかるもの
ただし、「独自性」を装うよりも、きちんと引用し、参照文献を提示することが大切
[2]焦点がしぼられた簡潔なもの →論理整合性にすぐれたもの
[3]注をつけ、論拠が明確なもの →実証性にすぐれたもの
孫引き(重引)ではなく、なるべく原史料=一次史料に依拠したもの
既成の統計資料や図表などをそのまま使うのではなく、独自の加工をほどこしたもの
II レポート=小論文を書くための準備
1 情報(素材)の収集
[1]いきなり専門的(と思われる)本を読むよりも、研究史や論争点をまとめた本や辞典などでアウトラインをつかんでおくとよい
[2]なるべく最新の、あるいは研究史の焦点となる重要論文を読む
[3]可能な限り原史料・1次史料にアクセスする
[4]コピーをする場合は、複写紙現物に出典を書いておくこと
(出典が不明確な資料は使えない)
2 情報の分析
[1]多くの素材を並べて消化不良になるよりも、限られた素材を深く検討するほうがよい
[2]史料の解釈や統計資料の加工などで工夫できれば最高
3 レポート執筆の準備
[1]レポートに盛り込む項目(小見出し)をラフに列挙してみる
[2]結論に行き着くまでの筋道をつくる……これでレポートは半分完成
III レポート=小論文の書き方
1 問題の限定(提示部)
[1]自分がどういう問題について書くのかを限定する
[2]必要ならその意義、重要性について言及(できれば研究史にもふれたい)
2 主題の分析(展開部)
[1]収集した素材を利用して論理整合的・実証的に述べる
[2]出典を明示する(注は本文中に入れても、脚注、論文末でもよい)
3 結論部
[1]自分が到達した結論を簡潔に述べる
[2]やり残した部分や今後研究を深めたい点があればふれておく
4 あらかじめレポートの各部分とそこに含まれる項目の分量を考えておく
[1]全体で400字詰10枚のレポートなら問題の限定1枚、展開部7枚、結論部2枚くらい
[2]各部分に盛り込む項目の分量を考える
5 その他の注意点
[1]用紙・枚数・書き方(縦・横)の指定に気をつける
[2]ペン書き(なるべく万年筆)かパソコン(ワープロ)の印字で/鉛筆書きは不可
[3]表紙をつけ、授業名・教員名・レポートのタイトル・学籍番号・氏名などを記す
[4]かならずホチキスなどで綴じ、ノンブル(ページ数)をうつ
IV レポートの書式・手続きについて
1 レポートの構成
[1]「はじめに」「まとめ」(おわりに)をつける
はじめに → レポートの目的を簡潔に述べる
まとめ(おわりに) → レポートの結論と今後の課題を簡潔に述べる
[2]小見出しを入れる
2 注のつけかた
[1]出典の注番号をいれる
出典の注番号は、文の末尾につける(1)。
上付文字(数字)を使うと便利である(2)。
句点(。)は、ナンバーの後につける(3)。
[2]出典(典拠とする文献)の書き方 →著者名『書名』(出版社、出版年)ページ数。
注
(1)山田朗『大元帥・昭和天皇』(新日本出版社、1994年)115頁。
(2)同前、118頁。
(3)海野福寿『韓国併合』(岩波新書、1995年)100頁。
(4)前掲『大元帥・昭和天皇』120頁。
3 表記の仕方
[1]作文のルールの遵守
段落の最初は1文字下げる。
まとまった内容ごとに段落がえをする。
文体を統一する(です・ます体、である体)。
[2]「 」と『 』 の使い分け
「 」→ 引用文をくくる/特定用語を強調する
「論文名」
『 』→ 『書籍』・『雑誌』・『新聞紙』の名称
[3]歴史上の人物の取り扱い
敬称・敬語は不要
V レポートの内容について(前期レポート作成にあたって)
1 焦点をしぼる
[1]概説ではいけない。
[2]1冊の本をまとめただけではいけない。
2 独自性・個性をもつ
[1]自分の考えなのか、他人の考え(学説)なのか、区別する。
[2]他人の説をあたかも自分の意見のように書いてはいけない。
3 分かりやすさ
[1]グラフや図・表などをつかって分かりやすくまとめる。
[2]効果的に箇条書きを使う。
【関連文献】
斉藤孝『増補版・学術論文の技法』(日本エディタースクール出版部、1988年)、1300円
歴史科学協議会編『卒業論文を書く─テーマ設定と史料の扱い方─』(山川出版社、1997年)、2200円
以上