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| 経済財政政策担当大臣として、日本経済の課題と政策運営の基本的考え方について、所信を申し述べます。 一.はじめに 総理のリーダーシップを支える「知恵の場」として新たに内閣府が設置され、1年が経ちました。経済財政運営や予算編成の基本方針などについては、内閣府に置かれた経済財政諮問会議等で精力的な議論がなされております。私としても、「改革なくして成長なし」との基本的考えの方の下、経済財政諮問会議等における審議を踏まえつつ、タウンミーティングにおける国民の声なども反映させながら、構造改革を強力に推進しているところです。 ニ.我が国経済の現状とこれまでの経済財政運営 振り返りますと、日本経済は、バブル崩壊後、10年もの長きにわたり低迷を続けてきました。平成11年初からの回復は短命に終わり、現在、景気は悪化を続けています。 この背景には、民間需要を低迷させる様々な不安や、民間活力発揮の機会を制限してきた様々な要因があります。このため、政府は、構造改革への取組を抜本的に強化し、「改革なくして成長なし」との考え方の下、昨年6月に「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」を決定しました。9月には「改革工程表」により構造改革の道筋を提示し、さらに10月には構造改革を加速するために「改革先行プログラム」を決定し、これを受け第一次補正予算を編成しました。加えて、12月には経済の厳しい現状を踏まえ、構造改革に更に加速しつつ、デフレスパイラルに陥ることを阻止するため、「緊急対応プログラム」を決定するとともに第二次補正予算を編成いたしました。 三.構造改革が目指す日本の姿 さらに、今般、「構造改革と経済財政の中期展望」を策定し、日本が目指す経済社会の姿とこれを実現するための中期的な政策運営について、将来展望を示したところであります。この将来展望が国民によって共有され、構造改革への共感が深まることによって、改革は加速され、その実を結ぶことになると考えております。 構造改革が目指すのは「人」を何よりも重視する国です。人は経済成長や付加価値の源泉です。日本は高い基礎学力、豊富な金融資産、安定した社会、豊かな自然など諸外国にも誇り得る重要な基盤を現在も持っております。こうした基盤を生かして国民一人一人が自らの個性と能力を十分に発揮し、新たな創造を行うことを可能にする経済社会への構築を目指します。国民がこの国に生きることに誇りを持ち、世界の人々にとっても魅力のある国造りを進めていきます。こうしたことは経済の活性化に大いに寄与するものであります。 また、21世紀において更に強まるとみられるグローバル化の潮流の中で、改革を進めることを通じ、貿易、投資のみならず、研究開発や文化芸術、スポーツなど幅広い分野で国民が世界の中で一層活躍、貢献することを目指します。 四.中期的な経済財政運営 今後2年程度の集中調整期間は、中期的に民間需要主導の成長を実現するための重要な準備期間であります。この期間において最も重要なことはデフレを克服することであり、政府・日本銀行は一体となって強力かつ総合的にデフレの克服に向けて取り組んでまいります。 経済社会の仕組みは相互に関連し合っています。活力に溢れる民間部門と簡素で効率的な政府を目指した構造改革に継続的に取り組むことが必要です。経済社会の仕組みを全体として変化させることにより、日本の持つ潜在力が発揮され、経済の好循環がもたらされます。これらの結果、当面の集中調整期間後は消費や投資が安定的に拡大し、2004年度以降は実質1と2分の1%あるいはそれ以上の民間需要主導の着実な成長が可能であると考えます。 また、財政も持続可能なものとしてまいります。配分の重点化、諸制度の改革、事務事業の効率化、PFIの活用などを中心とする財政構造改革を推進し、歳出における質の改善と抑制を図ることにより、簡素で効率的な政府を実現します。今後約5年の間、政府の大きさは一般政府支出規模のGDP比でみて現在の水準を上回らない程度とすることを目指します。この結果、プライマリーバランスの赤字はGDP比でみて2006年度前後には現状の半分程度に低下するものと見込まれます。さらに、その後も同程度の財政収支改善努力が続けられ、民間需要主導の着実な経済成長が継続するとすれば、2010年代初頭にプライマリーバランスは黒字化するものと見込まれます。 五.平成14年度の経済財政運営の基本的態度 「改革と展望」の初年度である平成14年度において、政府は、以下の二項目を重点として、経済財政運営を行ってまいります。 まず、第一は、聖域なき構造改革の更なる推進であります。 不良債権処理及び過剰債務解消については、民間金融機関等がその本来の能力を発揮できるよう、特別検査も活用しつつ適正な債務者区分と十分な償却・引当ての確保を金融機関に促すとともに、整理回収機構等を通じ企業再生に積極的に取り組みます。 また、規制改革、特殊法人等改革、財政構造改革を推進すると共に、連結納税制度の創設等の税制改正を行います。 さらに、地方の個性ある活性化、都市再生、科学技術の振興、少子高齢化対策、環境問題への対応を進めてまいります。 重点項目の第ニは、世界経済への持続的発展への貢献であります。 日本は、WTO第4回閣僚会議で立ち上げが合意された新ラウンドに積極的に参加し、多角的貿易体制の維持・強化に貢献します。アジア太平洋地域における重層的な地域協力の枠組みの構築等に努めることにより世界経済の持続的発展に貢献いたします。 なお、以上の政策運営を行うに当たり、平成13年度第一次及び第二次補正予算と平成14年度予算を一体として切れ目なく運用する所存です。また、構造改革を推進していく中で考えられる様々なリスクに十分留意し、経済情勢によっては大胆かつ柔軟な政策運営を行ってまいります。 日本銀行においても、適切かつ機動的な金融政策がなされるものと承知しております。 以上のような政策運営によって、平成14年度は政策展開の効果が着実に発現することが期待されます。加えて、米国経済の改善が見込まれることなどから、日本経済は引続き厳しい状況が続くものの、年度後半には低迷を脱し、民需中心の回復に向けて緩やかに動き出すことが期待されます。その結果、国内総生産の実質成長率は0.0%程度と見通されます。 六. 国民生活行政の推進 聖域なき構造改革の重要なねらいの一つは、消費者・生活者本位の経済社会システムを実現するとともに、国民の安全を確保し、安心して暮らせる社会を保障することです。このため、活力ある「共助」の社会の構築を目指したNPO等ボランティアの活動促進、公共料金制度改革の推進などを通じた我が国の高コスト構造の是正に取り組みます。また、消費者政策として、消費者の安全確保、市場ルールの実効性確保、消費者教育・情報提供等を推進し、国民が構造改革のメリットを享受できるよう努めてまいります。 「暮らしの改革」という視点に立ち、未来に夢と希望が持て、安全で安心な暮らしがどのように実現していけるのか、いわば構造改革によって実現される国民生活の具体的姿を明らかにしていきたいと思います。 七. 将来の日本経済を左右する分水嶺としての2002年 政策運営を考えるに当たり、改めて問わなければならないのは、そもそもなぜ日本経済が10年もの長きにわたってこのような低成長に甘んじてきたのか、という問題です。その要因は、決して需要の一時的な不足、短期的な落ち込みにあったのではなく、日本全体の生産性が中期的なトレンドとして低迷してきたことにありました。この点は、いまや多くの専門家によっても報告されています。経済財政運営の基本的立場として改めて強調されるのは、抜本的な構造改革なくして日本経済の再生と発展は絶対にあり得ないという点であります。 21世紀を代表する経済学者ジョセフ・シュンペーターは、かつて「資本主義はその成功のゆえに失敗する」と警告したと言われています。戦後の奇跡的な経済成長を可能にした従来のシステムは時代の要請とともに明かに変化しなければなりません。過去の成功に固執して、また、目の前の小さな利害の喪失に固執して改革を遅らせれば、停滞の10年が停滞の20年、30年と更に長期化し、国民全体の利益が大きく損なわれることを認識しなければなりません。2002年は、その意味で将来の日本経済を左右する分水嶺の年になると認識しております。 周知のように、総理のリーダーシップの下、経済財政諮問会議を軸に、経済財政政策の決定に関する新しい仕組みが整いつつあります。既に述べたように昨年6月に、「構造改革に関する基本方針」を明示した上で、12月には「予算編成の基本方針」を示し、平成14年度予算を編成しました。また、本年1月には短期と長期、マクロ経済と財政運営の整合性を確保しつつ、中長期的な経済財政運営を行うために、「構造改革と経済財政の中期展望」を策定しました。さらに、構造改革に分析的な基礎付けを与え、経済財政諮問会議の審議を経済分析面からサポートすべく、「平成13年度年次経済財政報告」を公表しております。これらはいずれも、従来にはなかった新しい政策手法であります。 「改革本番の年」となる本年、経済財政諮問会議においては、これまでの作業に加え、経済の活性化のための戦略対応や税制の在り方、政府系金融機関の見直しといった課題について集中的な検討を進めます。今後、こうした検討を通じて、時間のかかる改革について「長期の工程表」を作成します。 八. むすび 堅実に経済社会を活性化していくのは国民であり、政府が行うべきことは、国民が持てる力を十分に発揮できるための環境整備です。国民の皆様とともに、民が主役の経済を目指してまいります。国民の皆様、また議員各位のご理解とご協力をお願いし、所信の表明と致します。 |
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