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| 山崎 拓 自由民主党 幹事長 私は、自由民主党を代表し、先に行われた小泉総理大臣の施政方針演説に対し質問をいたします。 まず、総理も触れられましたが、愛子内親王殿下のご誕生を、すべての国民とともに慶び、明るい未来への希望として、お健やかなご成長を心よりお祈り申し上げます。 【構造改革断行の決意について】 国民は「変化!」を求めています。 「変化を予期せよ。変化にすばやく適応せよ。変わらなければ破滅することになる。従来どおりの考え方をしていては新しいチーズはみつからない」 これはスペンサー・ジョンソンの「チーズはどこへ消えた?」にある言葉です。 総理は、昨年9月の臨時国会冒頭の所信表明演説で、ダーウィンの進化論の言葉を引用されましたが、この本も変化に対応できる生き物だけが、この世に生き残ることが出来ると説いており、だからこそベストセラーになったのだと思います。 小泉総理は、自ら「変化」を起こし、「変化」に対応できる国民性を涵養しようとしておられます。 わが国はいま、戦後最大の試練に直面し、あらゆる社会制度と国民意識の変革を迫られる歴史的転換期にあります。 日本社会に「安心」と「活力」を取り戻すため、この過渡期の痛みを乗り越え、新時代を切り拓いていかなければなりません。 冒頭に、いかなる困難をも乗り越えて「聖域なき構造改革」を断行しようとする総理のご決意を改めて確認したいと存じます。 【外務省改革断行の決意について】 緊急の経済対策を盛り込んだ13年度第2次補正予算を成立させる過程で、アフガン復興支援会議への一部のNGOの参加問題を巡って予算審議に混乱を生じました。 総理は、国会審議の正常化と外交体制の再建のために「泣いて馬謖を切る」決断をされました。 この決断が、さまざまな批判を呼び、支持率の低下を招いていることは率直に認めなければなりません。 しかし、田中前外相が強い意欲を持って当たった外務省改革を引き続き断行する総理のご決意がいささかも揺るぎないこと、そのため、きわめて有能で果断な手腕を持つ川口新大臣を登用されたことを高く評価し、期して成果を待ちたいと思います。 「外務省改革」について、総理ならびに外務大臣のご決意を改めてお伺いいたします。 【改革エンジン宣言について】 さて、総理は、この4月から始まる年度を「改革本番の年」と位置づけ、「経済再生の基盤を築く年」にすると言明されました。 構造改革を成し遂げ、経済を再生させるには、「痛み」の時期をくぐらなければなりません。このことは多くの国民の理解しているところであります。 かつて、深刻な双子の赤字に悩んだ米国、老大国と呼ばれた英国は、数年間にわたる構造改革に耐え抜き、経済を再生させるまでに、足かけ10年を要したのであります。 「痛み」が激しいから、改革をやめる、という選択は、将来の希望を捨て去る、日本の未来を諦める、ということに他なりません。 自由民主党をはじめ与党三党は、総理の「改革」にかける固い決意を一丸となって支え、改革を推進する強力なエンジンでなければならない、と私は信じます。 一方、完全失業率が5.6%という深刻な状況に、痛みを和らげる万全のセーフティネットを用意し、新たな雇用を創出するための具体策を提案することも、与党の責任であります。 私は、総理の改革にかける固い決意をもっともよく知る一人として、改革の具体的な姿を政府与党一体となって国民の前に明らかにしていく使命を痛感いたします。 この代表質問を通じて、どうしても断行しなければならない構造改革のポイントを指摘し、その必要性と改革の行程について一つずつ明らかにしてまいりたいと願うものです。 【金融システムの安定について】 そこで、まず喫緊の課題である金融安定化への取組みについて伺います。 いまなすべきことは、わが国経済がデフレスパイラルに陥らないよう、金融、税制、規制のあり方を大胆に見直し、既得権益を打破し、政策を有機的に関連させ、あらゆる知恵を総動員して効果的な景気刺激策を早急に打ち出すことです。 国・地方をあわせた債務残高は、来年度末には693兆円、実にGDPの1.4倍に達する深刻な状況を考えれば、これまでのように国債を増発し、公共事業を追加し続けるという旧来型の財政政策を選択することはできません。 日銀の度重なる金融緩和の結果、市場への資金供給は「超緩和状態」にありますが、その先の、民間金融機関から国内経済・産業活動への資金の供給は、全く不充分であります。特に最近の中小企業金融を巡る状況は深刻です。 金融は経済活動の血流であり、一刻も早くこのような状況を是正して、金融仲介機能を正常化しなければなりません。 一方、最近の株価の動向や続出する大手企業の破綻によって、国民の間に金融危機への懸念が広がっています。 総理は、金融危機を起こさないためにあらゆる手段を講じる、と決意を表明されました。 金融危機の発生を阻止し、金融システムの安定を確保することが、構造改革の推進を確実なものとし、本格的な景気回復を実現する道筋であり、また、それがわが国のみならず、米国をはじめとする諸外国の期待に応えることにつながると考えます。 私は、RCCや企業再建ファンドを最大限活用して、不良債権を早期に処理するとともに、危機に際しては、大胆かつ柔軟な措置をとること、ペイオフ解禁に向け、悪質な風評などにより、金融不安を生じさせることのないよう、適切な監視と情報の提供を行うことが重要であり、中期的には、株式市場に個人投資家を呼び戻し、市場の活性化を図るため、国民が信頼できる公正なルールの確立、市場監視制度の強化等を図ることが必要だと考えます。 不良債権処理と今後の金融システムの安定化のための取組み、証券市場の改革について、具体的にどのような方策を講じられるのか、金融危機の回避に向けた総理のご決意とあわせて、改めて伺います。 【実体経済へのアプローチについて】 不良債権処理は、単に金融機関がバランスシートから落とせばよいというものではありません。 むしろ実体経済を支える産業、企業、事業者をどのように蘇らせるかが大事であります。 優秀な技術と人材を持つ企業を再生させるためのミクロの手法と同時に、経済全体としてこれからどのような産業構造に変えていくのか、マクロの新しい国家戦略をしっかりと提示する必要があります。 そのためには、不良債権の処理を金融機関と金融庁の問題としてだけとらえるのではなく、経済産業省や国土交通省など、それぞれの産業を所管する省庁が一体となって、政府全体でこの難局に当たらなければなりません。 総理のご所見を求めます。 【経済再生に資する税制について】 次に、税制について伺います。 税制は国家構造の根幹をなすものだけに、あくまで中立・公正で、かつ国民が理解しやすい簡素なものであるべきと考えます。 当面、早期施行を念頭に置いた民間経済活動の活性化に資する「投資減税」のあり方、および「土地税制」の見直しなどを検討するよう提案いたします。 たとえば、規制改革の進展に伴い、民間事業者が新たな事業展開に取り組む場合の研究開発や設備投資に対する減税、個人投資家が企業への直接投資に踏み切りやすい環境を作る証券取引税制の透明化・簡素化を大胆に進めるべきです。 また、自由な経済活動を確保するという観点からは、複雑でわかりにくくなっている租税特別措置の見直しも必要です。 さらに、デフレスパイラルを避けるため、土地関連税制の抜本的見直しなど、資産デフレの進行を食い止める税制、さらには景気低迷の大きな要因である個人消費を回復させるため、相続税・贈与税のあり方を検討する必要を感じます。 所得格差や世代間の富の偏在を税制上、どう位置づけていくのか、消費できる人が消費することによって経済が活性化し、生産が増加し、雇用が拡大するという「あたりまえの議論」が、真剣になされるべき時期にきていると思いますが、総理のお考えをお示しください。 【産業競争力強化について】 スイスの「IMD(経営開発国際研究所)」によれば、わが国経済の国際競争力は、89年から93年まで五年連続トップであったものが、昨年、ついに49カ国・地域の中で総合26位にまで下がりました。 この背景には、企業家精神、大学教育、株主の権利と責任、政府の政策の透明性など、日本が抱える問題が横たわり、特に製造業が、その生産拠点の多くを、人件費などのコストの安い発展途上国へ移転し、国内産業の空洞化が進んでいることがあります。 しかし、IMDや日本経済研究センター、世界の政財界の大物が集まる「ダボス会議」を主宰する「世界経済フォーラム」などの調査によれば、技術開発に対する取り組みと評価で日本はトップクラスを維持しており、「構造改革にさえ成功すれば先行きは明るい」との評価を得ていることも事実です。 総理は、バイオテクノロジーやナノテクノロジーをはじめとする世界最高水準の「科学技術創造立国」の実現に向け、最先端の戦略的研究分野に重点を置き、産学官の連携、地域における科学技術の振興を図ると述べておられます。 産業競争力強化に向けた我が国の国家的取り組みの考え方をお示しいただきたいと思います。 【人材育成について】 産業競争力の強化と世界有数の知的財産の戦略的な保護・活用は表裏一体のものであります。総理は、「知的財産戦略会議」を立ち上げる考えを表明されましたが、過去の知的財産を守るだけでは、将来の発展はありません。新たな知的財産を創造する人材の育成こそが、「国家の目標」でなければならないと考えます。 昨年、ベネッセ文教総研という民間のシンクタンクの調査によると、約4千人の高校3年生を調査した結果、6年前に比べて英語を除くすべての科目で成績が下がっていることが報告されています。 特に低下の幅が大きいのは、物理、生物、数学ですが、99年にIEA(国際教育到達度評価学会)が実施した「第3回国際数学・理科教育調査」の結果との間に、残念な一致が見られることにご注目いただきたいと思います。 すなわち、当時、中学2年生を対象に、数学、理科が好きかどうかや学校外での勉強時間などを調べた結果、日本は38カ国中、最低レベルだったのであります。 知的パワーの育成と蓄積を実現していく上で、初等中等教育における理科教育の重要性がますます増大し、大学をはじめとする高等教育の成果に直結していることを考えると、理科教育の水準の低下が顕著になってきたことに、強い危機感を抱かざるをえません。 これでは「科学技術創造立国」の看板が泣き、21世紀の前半に、自然科学分野におけるノーベル賞受賞者を30名にしようという目標は到底、達成できないと思われます。 教育の目的が、単に有能な産業人の育成にあるのでないことは言うまでもありませんが、21世紀の産業のコメである「知的財産」、「人材」を開発するうえで、初等から高等にいたる各段階の教育システムの強化は喫緊の課題であります。 20世紀に世界は軍事から経済へと重心を移し、さらに21世紀はT知Uによって国家を運営する世紀に入ったといわれています。こうしたT知の時代Uを迎えて、小泉改革の最大の目玉が、「大学改革」であると考えます。 現在、政府関係機関の独立行政法人化が進められておりますが、今年は国立大学の改革の方向を定める大事な転換点に立っています。改革の目標を、「大学の教官、事務官、学生が総力を挙げて世界と競争し、トップレベルの成果を実現する体質への変革」と明確に位置付け、現行国立大学の一番の問題である、「非効率」を改革し、研究・教育・経営・管理に至るまで、徹底した競争原理が導入されるよう、講座制の改革を含めた大学システム全体の構造改革を断行すべきだと考えますが、総理のお考えをお聞きします。 【財政構造改革・財政健全化について】 「聖域なき構造改革」の中心的な柱である財政構造改革と、財政の健全化についてお伺いいたします。 わが国はバブル崩壊以来、次々と財政出動による景気対策を打ち出し、この10年間で総事業規模約130兆円を超える経済対策を実施してきました。 しかし、金融不安や世界経済の停滞、経済社会の中枢を直撃した米国での同時多発テロ、それに続くテロ撲滅のための戦いなど、さまざまな障害もあいまって、わが国の景気は民間主導の自立的成長軌道に乗ることができないまま推移しております。 構造改革がなされないまま、景気回復を財政出動による公共事業などの需要の追加だけに頼る、これまでのやり方を根本的に変えなければなりません。 歳出の無駄を省いて国民の負担割合が少ない「小さな政府」の実現を目指すだけでなく、公共投資を新たな成長分野に重点的に振り向け、国債発行額の抑制や歳出の優先順位をつけた重点配分など、財政構造改革を促進すべきだと考えます。 また、財政構造改革を進めるうえで重要なことは、優先順位をつけた事業選択が、公正で客観的な判断により行われる環境を保証することであり、このことは我々政治家1人ひとりが、強く心に銘記しなければならないことであります。 この点についての、総理のお考えをお伺いいたします。 【行政改革について】 次に、行政改革についてお尋ねします。 昨年末に改革の方針が示された特殊法人改革、公益法人改革、公務員制度改革は、21世紀の我が国が国際社会で生き残っていくために避けて通れない、行政分野の構造改革の大きな柱であります。 総理は「民間にできることは民間に委ね、地方にできることは地方に委ねる」との原則を打ち出し、「民間と地方の知恵が、活力と豊かさを生み出す社会」の実現を目指すことを明確にお示しになりました。 これらの改革について、14年度予算に反映された部分を含め、石油公団、都市基盤整備公団、住宅金融公庫など17法人の廃止、道路4公団など45法人の民営化について、必要な措置をできる限り速やかに講じると、総理は述べておられますが、目標の期限をどう考えておられるか、お聞かせください。また、その際、天下りに対する規制措置が必要と考えますが、あわせてお伺いします。 【地域社会の基盤整備について】 「地方にできることは地方に委ねる」との総理の方針が、「地方の切り捨て」と誤解されるようなことがあってはなりません。 地方の公共事業依存体質を改革し、交付税制度の見直しを進めつつも、当面、真に必要な社会基盤整備のための公共事業整備を、着実に進めていくことは当然であります。 地方の自立と活性化のために、市町村合併の促進や地方分権の推進、地方自らが知恵を出し、汗をかくなかでの産業育成など「地方の構造改革」への支援を強化していただくよう要望いたします。 また、都市、地方を問わず中心市街地の活性化を図ることは自立型経済の構築の第一歩であり、公共投資に限らず、広く民間の知恵と資金を活用していくことが肝要です。 既に法整備が行われているPFI手法を思い切って多用し、民間の事業機会を拡大し、眠っている資本・資金の活用を進めて、民間主導の経済基盤整備の途を拓くためにも、PFIの手続きの簡素化、事業決定の迅速化、対象事業の拡大などの促進策と同時に、情報・財務の透明性、自由で公正な競争環境を担保し、公共事業の「構造改革」を進めるべきと考えますが、総理のお考えをお示しください。 【社会保障の将来像について】 国民の将来への不安を取り除き、国家が用意するセーフティネットへの揺るぎない信頼を与える制度を確立することが社会保障の原点であり、政治の役割であると考えます。 先日、発表された国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」中位推計によれば、今後百年で我が国の人口は現在の1億2千700万人から、6千400万人と約半分に激減いたします。 しかも、65歳以上の人口比率は2倍の36%と予測されており、このような急激な人口減少と高齢化を経験した国家は、史上どこにも存在しないのであります。 この「未知の領域」においては、これまでのあらゆる政策分野において従来の手法がまるで役に立たないと考えなければならず、福祉政策もまた例外ではありません。 持続可能な年金・医療・保健制度などを構築し、国民の信頼をよりいっそう確かなものとするため、総理は「思いきった改革」を進めると決意を述べておられます。 この問題については、政府を挙げて、社会保障分野が構造改革のなかで「聖域」であることを許されない理由を説明し、国民の理解と協力のもとに進めていくことが必要です。 しかしながらまず、少子化問題に抜本的に取り組むことなしには、いかなる改革も机上の空論となるのではないでしょうか。 少子化の背景には、女性の晩婚化・非婚化だけでなく、「結婚してもこどもを産まない」という考えが浸透しつつあることがあります。 政府は働く女性に対するさまざまな支援措置を講じ、総理も待機児童ゼロ作戦や学童保育の充実を打ち出して着々と実施に移しておりますが、日本社会全体の意識改革をともなわない限り、少子化に歯止めはかからないのではないかと危惧いたします。 いまの、自分たちさえ良ければ、という考えが蔓延すれば、国家の行く末を考え、担う人材も育つことはありません。 地域社会も、学校も、家族でさえも崩壊し、若者の勝手な、傍若無人な振る舞いへの対処能力を失った社会にあって、こどもを産み、育てることに不安を抱く現状を、やむを得ないことと放置すべきではありません。 いまや、わが国にとって最も深刻な少子化問題を、厚生労働大臣はどのように考えておられるのか、お聞かせ下さい。 【司法制度改革について】 次に、司法制度改革について伺います。 司法制度改革は、三権の一翼を担う司法の基本的制度を、半世紀ぶりに抜本的に見直す、まさに「大改革」であります。 昨年12月には総理を本部長とする、政府の「司法制度改革推進本部」が設置され、この大改革は、小泉改革の象徴的な位置づけとなりました。 社会が複雑多様化し、国際化するなかで、自由で活力のある健全な経済・社会システムを確立するためには、明確なルールと自己責任原則に貫かれた、事後監視・救済型社会への転換が不可欠であり、司法の機能を充実・強化して、国民の権利・利益が適切かつ迅速に保護され、また救済が図られるよう改革していく必要があります。 そのため、広く利用者である国民の声を汲み上げるとともに、万全の予算措置を講ずることも肝要と考えます。 今後の司法制度改革の断行について、総理のご決意をお伺いいたします。 【狂牛病対策について】 次に、BSE、いわゆる狂牛病の問題について伺います。 狂牛病問題で国民に不安と不信を与えた原因の一端には、農林水産省と厚生労働省のいわゆる縦割り行政の弊害があると考えます。 全頭検査という世界でも類を見ない厳格な検査体制が確立されたことを受けて、不安は徐々に解消されつつありますが、農水・厚生労働の両大臣は、不退転の決意を持って、感染源の特定、情報のいっそうの公開、新たな発見に備えての迅速な対応などに取り組み、国民1人ひとりが安全宣言に確信を抱くまで、その責任を全うされることを望みます。 また、あってはならない雪印食品の詐欺事件の徹底した解明と処分を強く求めます。 国民の食卓に安心を与えるとともに、牛(うし)飼育農家の経営と生活への厳正な保障にも大胆に踏み込むことが必要と考えますが、農林水産大臣の決意をお聞かせください。 【アフガニスタン問題について】 大量の被災民を出し、極度の貧困に苦しむアフガニスタンに、国際的な支援の手をさしのべるため、我が国主導で開催したアフガン支援のための国際復興会議は大成功をおさめ、内外から高い評価を得ることができました。 東京会議では、貧困と飢えに苦しむ子どもや女性の実情が切々と語られました。 そうした窮状にあって、なお、子どもたちは「食べ物よりも、勉強がしたい」と訴えていると聞き、胸がつぶれるような思いを味わったのは私ひとりではないと思います。アフガニスタンの国民は、国家の明日に希望を抱いています。 アフガンの荒廃は、79年の旧ソ連軍侵攻以来、戦乱が繰り返され、世界からも見捨てられた状態で混乱と貧困が進み、結果としてタリバン勢力や、ビン・ラーディン率いるアルカイーダの伸張を許したことにあります。 今後は、アフガン復興に国連が中心となり、場合によってはPKO部隊が派遣され、治安・平和維持・復興支援活動が行われることも予想されますが、わが国もこの際PKO参加五原則の見直し等を行い、積極的に参加すべきと考えます。 小泉総理をはじめ、川口順子新外務大臣や緒方貞子アフガン問題政府代表を先頭に、現地で真摯に活動するNGOや、国連をはじめとする国際機関などと密接に協力・連携して、アフガン復興を支援していくことが大切だと考えますが、総理のお考えをお聞きします。 【パレスチナ問題について】 私は先月、与党三党の幹事長でイスラエルとパレスチナを訪問し、それぞれの首脳と会って和平の実現と寛容と相互理解に基づく共存の実現を訴えました。 世界を震撼させたイスラム原理主義過激派による米国同時多発テロの根底には、パレスチナ問題があるとの認識もあります。 イスラエルではパレスチナ人による自爆テロが相次ぎ、それに対する報復がさらなる過激な行動を招いて、両国人民は脅えきっております。 われわれ三幹事長は、総理への帰国報告の中でイスラエル・シャロン首相とクレイPNC議長の同時訪日を招請し和平会談を実現するよう提案いたしましたが、この度思いがけなく両者の会談が現地において実現しております。 和平仲介に最も熱心な米国が有効な打開策を見出せず、手詰まり状態にある現状では、あらゆる国があらゆるルートを用いて和平実現に努力すべきだと考えますが、わが国のパレスチナ和平に果たしうる役割について、総理にお考えをお聞きします。 【国家安全保障・有事法制について】 次に、国家安全保障およびいわゆる有事法制について伺います。私は総理の施政方針演説における前向きの姿勢を高く評価いたします。なぜなら、国家の安全保障が、国政の最重要課題であることは、改めて言うまでもないからです。 わが国においては万一、直接武力攻撃を受けた場合、防衛出動が下令される事態に際しての関連法制が未だに整備されないまま放置されています。 先日、共産党の代表が、同席したテレビ討論会で「そういう事態はありえない」と発言しましたが、それならば自衛隊も日米安保体制も必要ないということになります。共産主義国家や独裁主義国家はすべて重武装であり、侵略的です。わが国周辺にもそのような国家が存在しています。「備えあれば憂いなし」という格言は、独立主権国家の座右銘とすべきでしょう。 政府では、これまで自衛隊の行動に関わる法制の内、いわゆる第一分類の防衛庁所管の法令と、第2分類の防衛庁以外の省庁所管の法令について検討を進めてきております。 私は、日米共同対処を前提とすれば、これに米軍の行動にかかる法制を加えたものを、まず第1段階として法制化を急ぐ必要があると考えます。 さらに、所管省庁が明確ではない事項に関する法令である第3分類や、自衛隊および米軍の行動には直接かかわらないが、国民の生命・財産などの保護のための法制についても、可及的速やかに検討を進めるべきだと考えます。 政府はその上に包括規定を置く構想のようですが、与党三党としても、先に「与党・国家の緊急事態に関する法整備協議会」を発足させ、今国会での早急な法整備に向けて取り組んでおるところであります。 そこで、有事法制についての今後の取り組みについて、総理は具体的にどのようにお考えか、お尋ねいたします。 【「理想の国家論」に立脚した憲法論議の活性化について】 最後に、憲法を巡る議論についてお尋ねします。 国民が痛みに耐えてでも「聖域なき構造改革」に強い支持を寄せているのは、「共に時代の閉塞状況を打破しよう」との総理の力強い呼びかけに応えている証左であると考えます。 総理に求められているのは、戦後一貫して追求してきた闇雲な経済成長路線の限界を直視し、長いトンネルの先に見えはじめた、国民生活に真の豊さをもたらす新たな光の実像を示すことであります。総理の主張される「暮らしの改革」も同じ着想のものであると信じます。 アフガニスタン復興支援会議で来日したカルザイ議長は「汚職・腐敗にはサムライのように臨む」と語りました。高潔で、恥を嫌い、誇り高く、道義を重んじる日本人の行動原理が、いまなお世界の人々の記憶に残っていることに、私は深い感銘を抱かざるを得ません。 しかし、政治の倫理と公務員の使命感が問われ、雪印食品問題に見られるように民間の商行為のモラルが崩壊し、心の荒廃は青少年のみならず、こどもを虐待死させる親にまで及ぶ現状に、大多数の国民が底知れぬ不安を感じております。 国家は、国民の生命・財産・安全を守り、次の世代を育成し、自由で公平な社会を確立するという、最も基本的な存在理由に立ち戻らなければなりません。 憲法が掲げる平和主義を貫き、国際平和への貢献、プライバシーの保護や情報公開の原則、自立した国民を育てる教育理念を明確に示すためにも、新たな憲法論議を国民的レベルで巻き起こす必要を痛感するものです。 いまこそ、日本のあるべき姿として、内にあっては礼節や信義、そして「社会奉仕」の精神、外に対しては「国際貢献」という道徳性の高い国民精神を謳う「道義国家ニッポン」を哲学とする新しい憲法を、国民の合意のもとで築き上げていくべきと考えますが、総理のお考えをお示しいただきたいと思います。 第二次世界大戦後はじめて、ケンブリッジ大学の卒業式に招かれた当時の英国の首相・ウィンストン・チャーチルは、静まりかえる中、卒業生全員に向かって、 「ネバー・ネバー・ギブアップ! ネバー・ネバー・ギブアップ! ネバー・ネバー・ギブアップ!」 それだけを叫んで、はなむけの言葉としました。 熱弁を期待していた卒業生たちはあっけにとられましたが、やがて、式場は歓声に包まれ、割れんばかりの拍手はいつまでも鳴りやまなかったと伝えられております。 各種世論調査により、小泉内閣の支持率の低下が報じられておりますが、総理の信念である「聖域なき構造改革」に対する国民の全面的な支持は、今も変わりないものと信じます。 わが自由民主党は、公明・保守両党のご支持とご協力を得て、改めて全力で支援していく決意を表明し、質問を終わります。 小泉総理、ネバー・ネバー・ギブアップ! |
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