今朝は寒かったらしい。
煤ヶ谷で朝帰りらしい兄ちゃんと姉ちゃんが降りて、次に棚沢広場のところで仏果山に行く二人が降りる。山びこ大橋手前の信号が赤に切り替わって止まったのでマシラが降りると乗客はゼロになった。
橋の上から宮ヶ瀬尾根を眺め定点写真を撮り、更に今日登るルートを確認してから三叉路から札掛けへの県道に入る。今日も御殿場桟道あたりから釣り人があっちにこっとにと散在する。その彼らの魚篭を「今日の釣果はいかが!」を覗くと二匹三匹のワカサギが朝の冷気に晒されてかちんかちんに凍った水の中に見えた。「今日はダメだよ 明け方にちょっと釣れただけでもう2時間もゼロ! ちっとも連れやしない! 」確かに凍った氷の上には一匹もワカサギがいない。更に歩を進んで旧村道土山高畑山線が中津川に架かる橋の上にさしかかる。ここには15人ほどの釣り人が30本ほどの竿を垂れている。釣果はというと皆それぞれで多い人は数十匹だが、少ない人は数匹と言うところか。魚篭の氷の上で何匹かもがいているところを見ると、ついさっきにお祭り騒ぎが通り過ぎた後だったようだ。ワカサギは小さな群がまとまって回遊するのでたった数mで当たり場所とはずれ場所が入れ替わることが普通だ。昔、◇◇湖が完全結氷していた時代にはスケートをやりながらよく釣ったもので多いときには1時間ほどで50匹ほど釣れたことも何回かあった。その当時は冬には漁師が自転車に積んだ水桶に朝方の漁で捕ったワカサギを入れて行商で廻って来たものだったが今ではご多分に漏れずブラックバス全盛とかで釣れる量がごく少なく、その結果なのか専業漁師はいなくなり、ワカサギが食べたければスーパーで買って食べる時代になってしまった。
ともかくも魚篭の中の水が一時間もたたないうちに凍り付くように朝方の冷え込みは厳しい寒い日らしいのだが、朝日が射した下を歩いている分にはワカサギ釣りの風景でも見て「今日は寒い!」とでも思いこまなければそれと感じない。

橋から見上げる山々に一昨日に降った雪がこびりつき一面の真っ白。その白と黒の景色を見ていると、なぜかガストン・レビュファの歌が口からでる。Hさんが愛唱した歌の又聞きなので歌詞はあっていないかもしれない。まっ、あたりに耳をそばだてている人も著作権協会の人もいやしないのだから気分に合わせて適当に口ずさむのに何のはばかりがあろうか
山々は一面の銀世界
地球の一部と言うよりは並外れ独立した神秘の王国で
その王国に立ち向かい生きるための唯一の武器は
意志と熱情とテクニックなのさ
特に最後のフレーズが気に入っていた。確かに目的意識を高く保ち、それを目標に努力を惜しまないのなら大概のことに不可能は無いと思える時代もあったよな。マシラにも
今でも、それほど違った心持ちではないつもりだが、どうだか少し迷っているかも
釣りに一段落をつけ朝飯コンパを始めた集団の間を割って橋を渡り、滝の沢へのアプローチ仕事道に入る。鉄板の上にはこの間の降雪がこびりついているので足を取られないように慎重に歩を進める。橋の上からはさっきの釣り人達がコッチを見て指さしている。滝の沢のF1(湖が出きる前の今は湖底にあるF1から厳密に数えるとF3に相当する)は今の時期は冬季用水位の下に隠れF2の下まで湖面が迫っている。そのF2を鉄板道路の上から眺め、その滝の上を通過して今日のルートである滝の沢左岸尾根に入る。
この鉄板道は宮ヶ瀬ダムにより中津川の水位が変動し長者舎キャンプ場付近から鍋嵐に向かう尾根が水位の上昇により取り付けないことが生じたので、その代用として新橋のたもとから滝の沢を横断して尾根への道に合するためのものとして最近つけられたものである。この道が無かったときの満水時には不安定で急斜面がザレ地や腐れ木に陥れられないよう面倒で慎重なトラバースが必要だったのだが、この道のおかげで滝の沢へのアプローチは足が滑らないように気を付けるだけ済むようになり格段に易しくなったのだ。本来、山仕事などの限られた人のみが使う道であるがせっかく作ってくれた道を使わない手はない。滝の沢からは普通の仕事道である。この道の一番の利用者である鉄砲打ちもシーズンが終わればその陰もない。ただ斜面の傾斜が急なので少々登りもきつい。その葛籠折れの道の傾斜に合わせるために杖を調達することにする。と言っても杖を手に入れるのは簡単なものだ。仕事道を造るときの目印に立木を鉈で断ち切って折れ曲がる地点に立てた目印を二本引っこ抜いてシュリンゲテープを回す。杖は鋭利な鉈で鋭く断ち切っているので凍り付いたザラメ雪でも食い込みがよく、やがて新雪が道を覆うようになるがストックを交互にリズミカルに動かすと登りは思いの外にはかどる。
対岸のP677mと同じ高さになるまでは急だった登り道は、やがて稜線を避けて滝の沢側の杉の林の中を進んでいく。ただ稜線が離れると「この道って大丈夫かな? 植林杉の林の中で道がなくなるんでは」なんて不安がよぎり、我慢しきれなくなって稜線に戻るなんて、こらえ性がない証拠だよね。
この尾根の良いところは湖岸から見てうば分かるように、ひとしきり尾根を登って750m程の標高に達すると、そこからは平坦な頂稜が≒P810mまで続くことなんだ。橋のあたりからは平らに見える頂稜は実際は滝の沢側の急傾斜に削られてちょっと細い道だが、ともかくも刈り払いがされていて慎重に歩けば問題になるような場所はどこにもない。焼山から姫次への尾根、その手前には丹沢山から三峰への尾根が広がる。右にずっと目をやれば奥秩父の山々が今日はくっきりと見える。見晴らしはこのあたりは格別だ。
その尾根に今日は古い雪の上に新雪が15cm(20cmかな)程積もり、その合わせ目が不安定で雪が崩れるのと日の陰にあたるような場所では40cmを越えるような積雪もあるので、運動靴の足をすくわれて急な滝の沢側に滑らないような配慮は欠かせない。
ここで、この調子なら蛭ヶ岳東面とかあたりで登山道を少しだけはずせば1mを越す粉雪のラッセルが楽しめるに違いない。今が一番雪の深い時期にあたるけど丹沢でラッセルが楽しめるなんてそうそうは無いことで本当なら勇んで樹林の中を転げ回るんだろうが、今はお仕事でちょっとお疲れ中なので遠出は自重中なんだ。ざんねん もったいない。
やがて滝の沢右岸の尾根道を合わせ、そこからいったん下ると一段と深い雪と急傾斜に運動靴が滑って定まらずシックハックするけど、それはごく短いあえぎの時間だった。やがて山頂へ
鍋嵐の山頂からの見通しは良くない。木々の間から宮ヶ瀬湖も見えるし、丹沢山方向の山々ものぞけるのだが、生い茂った木々の枝越しだから、ゆっくりと景色を愛でるという場所ではないと思う。訪れる人も少なく好きな場所ではあるけども従ってマシラにとって長居は無用な場所なのだ。さてさてどこを下ろうか。南(P760mから黒岩方向)にするか、北(今日来た方向)にしようか、西(唐沢キャンプ場方向)も捨てがたいけど、楽ちんな東(もっともノーマルな物見峠へ)も捨てがたい。どこへでも道があるのがこの鍋嵐なんだけそ、手抜きが好きなマシラは南にルートをとるのが自然だろうね。
しかし、日当たりの良い方向の斜面についた雪は下の土になじまず、踏み出すと最下層の枯れ葉の下まで一気にベロッと剥げ落ちるような不安定で嫌な下降となる。滑ったって良いけど、谷には落ちないよな配慮が必要だし、滑ればびちょびちょの雪に一気にパンツまで濡れてしまうのが不愉快さ。そんな斜面を降りるというか滑るというか、まっそこは適当に駆け下るしかないか。
もう少しで物見峠という場所のP740mのピークから宮ヶ瀬尾根を下降することにする。思い出してみれば、この場所から土山峠までの尾根をつなげて下ったことはまだないのさ。それは、下降するとなると尾根のつながりが地図を見れば分かるように不明瞭で気の向くままに歩いて48瀬沢の左岸に無事たどり着くなんてことは行幸だろうとおびえているせいなんだ。地図とコンパスでも持っていけばもう少し賢く下れるかもしれないが、過去に結構手こずっているのだ。下る前に一度は登って地形をきちっと覚えないとちょっと自信がもてない尾根なんだよ。ここは
それでもまあまあ最初は良かった。二度三度と方向を修正して593mのピークまでは間違いなく尾根をたどった。特別に靴に濡れ防止のカバーを掛けることもせず、トレパンのまま歩いてきたが、ここまでは足が濡れることもなく、このまま、うまく下れば靴下が乾いたままで下れるだろうと思ったんだ。
しかし、左手から一つ尾根を合わせ(この方向は歩いた尾根だ)その次の小ピークまでは間違いなかったはずなのに(ここから左手方向に折れて進むんでやがて丹沢湖に向かって下降するのが正解だろう)、右手方向に尾根状が見えたからって進むと、やがて見覚えのある枯れ木に出迎えられた。「おっ、ここ覚えている。確かにこの場所を通ったことあるし、このまま進んだら道は不明瞭となって無くなる」しかし、その木を跨いで乗り越えると「今さら戻るのも面倒」だと思う気持ちが強く「前回だって何だかんだと言っても、この先を下ったじゃん」なんて安易な思いのままに鹿柵沿いの急傾斜にはまりこみ、梢に溜まった雪がバラバラと降り落ちるのもよけようもなく、そうなると雪の中の足が濡れるのを避けようかと考えるゆとりも無く、急斜面をただただ滑って擦りむかないで行ければいいやとかなり必死な下降が続けてしまう。
そして、降りるところが急傾斜だったのでちょっと難儀したけど、どうにか境川林道のかなり奥まったあたりに降りる。
この下りって、思い起こしてみれば少し前に二十才ヶ沢を最初に歩いたときに道に迷って下ったルートと全く同じで、何となく尾根っぽいのだが、林道(民有境林道)が見えてからは尾根も道も無い密生した檜の植林帯を強引に下る羽目になるのが何ともしゃくな下山道なんだ。(同じ所を同じに下るっていうのを繰り返すって何年経っても成長しないと言うことだね)
そうやって懸命に下ったあとは林道をブラブラ歩き。中間点の水汲み場の少し先に20名ほどが集まって地べたに座り込みリーダーらしき人がなにやらお話中だった。水汲みの人がねこ車を使って時折行き来する以外に人を見ない林道に大勢の人が座り込んでいるのを見るとなにやら異な感じがするね。きっと自然教室とやらの何かのレクチャー中なんだろう。その間を割って歩いて良いのか悪いのか悩んでしまうけど何をしゃべっているのか分からない話を聞いているほど暇じゃないから「ごめんな」の一言で失礼するさ。
土山峠では15分ほど前にバスが通過した後だった。時間調整を兼ねて旧土山峠に上がり旧道を坂尻まで歩く。杉の林の中の広幅の道を歩くのは気分がよい。法論堂あたりは白梅・紅梅が今が盛んに里の景色にアクセントを付けている。もう一雪ふた雪待てば春
写真集です。
自宅6:45〜及川バス停7:06〜山びこ大橋手前で下車〜山びこ大橋7:35〜三叉路〜土山高畑山線の新橋(名無し)8:15〜滝の沢F2上8:30〜810m10:00〜鍋嵐10:10〜?P740m10:40〜民有境林道12:00〜集団さん12:05〜土山峠12:15〜旧土山峠12:25〜道祖神12:45〜坂尻バス停12:55_13:05〜及川バス停〜自宅13:55 2005/02/27朝方快晴のち、やっぱし晴れ
頁トップへ マシラのHP