
吊り橋を渡る。
綺麗に掃き清められたキャンプ場は夏休み最後の週末の受け入れ準備は整っているようだが、キャンパーの気配はまだ感じられない。そんな場内の通路を上に向かって歩くと坊主作りの滝の下に着く。
前回来たとき、帰宅後のメモリーカード内のすべての画像データーがすっとんでしまった。取り扱い手順が悪かったのが原因だったので、腹立たしくも誰を責めるわけにも行かない。ちょうと一年前のことである。そんな、失敗話はすぐに忘れてしまえば体にも心の健康にも良いのに、そこは小心者のマシラのこと、「せっかく撮ったの」にとの思いが脳裏にこびりつき、さて「今週はどこに」と考えたときに、「フッ」と、そのことを思い出した。
左岸にボーズクリの滝直下への巻き道が以前はそこに整備されていたが、今は虎ロープが張られて進入できないようになっている。ロープを乗り越えた先にある石灯籠は笹竹に埋もれ、踏み跡はそこで終わっている。
したがって滝に行くには、ダイレクトに下の6m程の小滝を登っていくことになる。傾斜はそれほどでもないが、岩は脆くボソッと抜け落ちる可能性があり、キャンパーが大滝下まで行くのは難しいと思う。小滝の右側から登り、草付きの草を頼りに上を目指せば大滝下に付く。
ボーズクリの滝
みんなに名が知られるにふさわしい大きくて立派な滝である。高低差は25mくらいはあるかな。落ち口で跳ねた水が垂直の壁を一気に流れ下る。下から見上げつつ滝に近づくと瀑風が感じられる。その風に当たりながら何枚か写真を撮る。
しかし、そのカメラ、前回の小川谷で水分を嫌なほど吸い込んでしまい、復旧の結果なんとか自宅で液晶画面に画像が映ることまでは確認したが、何となくぼけているようにも見えた。その時は、「どうせピンボケ写真くらいしか撮れない腕」なんだから、それでかまわないとは思っていたけど、実際にここで液晶画面を確認すると、全くのピンボケだ。
ちょっとガッカリ!
やはり壊れてしまったんだろうか。
だがカメラを確認すると、早計だったのがわかった。滝煙がレンズに水滴となって付着して単に画面が白っぽくなっただけだった。今日は水没させないぞ。
ひとしきり、滝を眺めたら巻いて登る。流れの左の小さな岩瘤を登り、落ち口の下5mくらいから少し左に向かってから、再び落ち口に向かう。傾斜はきついが、立木が適度にあり木の根っ子もしっかりしているので、この滝の巻きは比較的安定している。とは言え急傾斜地なので一歩一歩に緊張して歩くことになる。そして落ち口の上1mの地点で沢に戻る。
今日の落ち口のヒョングリは大きい。水量はやや多め
<写真削除しました。あしからず 091018>
ボウズクリの滝 落ち口 水が勢い強く空中に飛び出す
上流側に3m程の小滝が続く。右側から草付きを頼りにしたスリリングな登りで乗り越す。
間をおかず4m、5m、4mcs滝と三連瀑が続く
最初の4mは流れの右側の岩のツブツブをホールドにして登る。岩が剥げそうにも思えるが、ガマンガマン・静かにそっと動くのだ。落ちても釜の中にずり落ちるだけだからたいしたことないはずだ。続く5m+は傾斜がきつく、上の樋状5mCS棚と一緒に左側の小尾根に付けられた踏み跡道を使って巻く。
次の滝まで50m程の間がある。2m+4mの滝は小さいが急なので右側から小さく巻いて登る。続く逆”ノ”字形の滝は水量が少なければ登れるのだろうけど、今日は水量多く、落ち口付近が急なこともあり、なんて言うことを理由にして、右の尾根から沢に戻ったその地点で沢を左に横断して対岸に移り、滝を見下ろしながら踏み跡道に従って、一口で言えば「巻いて登る」
<写真削除しました。あしからず 091018>
ボウズクリ滝のすぐ上の連瀑
このあたり、滝の連続なのだが、急なのと岩が脆く見えて危なそうなので、いずれも巻いてしまう。登れないのは本来は自分自身の登る技量の問題なのに、そんなのは神棚の上に乗せ、岩が脆いと沢の地質のせいにするのはいつものことである。
続くは7m直瀑
ボウズクリの滝を除けば、この沢では一番らしき滝である。当然、巻いて登ることになる。それ用らしきに左岸に虎ロープが張ってあるが、そいつは踏み跡とは少し外れていてロープ通りに歩こうとすると不安定な上に遠回りなのでショートカットしたくなる。そんな巻き道を使い、石作りの砂防堤も一緒に巻いてから沢に戻る。
<写真削除しました。あしからず 091018>
簡単なナメ滝(上に小僧の小便水道・・画像では見えず)
ここから上には沢の中に境界杭、水源の森杭が立つ。それくらいだから傾斜も多少落ちるようにも思う。だが「堂ヶ上」の領域には、まだ達していない。
右手から小沢が滝となって合する。そこから次の滝までは少し間が空く。
次の滝場は3m程の簡単な滝から始まる。3m滝と次の小滝の間の右には垂直な一枚の側壁が立ち、その側壁の高さ1.3m程の位置にφ10m/mほどの穴が開き小僧が小便を放つような感じで清水が吹き出している。
今日は湿気がねっとりと肌にまとわりつくような陽気だ。出会いからここまでの距離は300m内外であるが、滝場がきつかったので巻きが多く、水流の中で涼しむような場面がほとんどなかったので、汗をかなり出していた。そんなだから、ここの水は甘かった。山のごちそうだ。口を広げて穴のそばに持っていって「もう十分」と腹が膨らむまで飲む。
<写真削除しました。あしからず 091018>
岩壁から勢いよく迸し出る小僧の小便水
そして7+8mの二段滝 下の一段は急である。登るのなら右側からだろうが、スラブの岩肌の中間部に少しだけ手がかりが少ない。下は砂礫なので少しくらいの落下はOKであってもマシラには登れない。無理だ。二段目は一段目よりは多少傾斜が緩いので登れるとは思うが、下の一段が上れなければ話しにはならない。右岸の砂礫斜面をよじ登り、下から続くと思われる巻き道に入って、この滝をパスする。
二段滝 下が登れず(上も登れず)
短くゴーロを歩くと、次は大きな岩の中にある傾斜の緩いナメ状滝。岩の右側から登りはじめ、上部は流れの中に足を置いて通過する。その滝を過ぎると傾斜は明らかに緩くなり、右岸に仕事道が降りてくる。角10cmの赤頭の境界杭が右岸から左岸に横断していくが、左岸側にもあると思われる仕事道は見あたらない。
沢の中に打たれている境界杭の数を数えながら、上流側にしばらく進むと7mの滝が待ちかまえている。幾らか水量は減ってきているが、この滝は落ち口からの流水は放物線を描いて落下するほどに下部が垂直であり、急なので直には登れない。下からは滝から左手に連なる露岩を大きく巻かないとならないだろうとしか見えないが、左手の窪地を落ち口の高さまで登ると、そこからの露岩中に落ち口へのダイレクトに伸びる通路幅20cm程のバルコニーテラス場の道が延びているのが分かる。そこは上半身が被さり気味の露岩に空中に押し出されるように感じて少々高度感はあるが良い巻き道となっているのである。
緩いナメ状滝
そこからは小滝がしばらく連続する。左右は急な岩だが、小滝はゆるんだ傾斜の中にあって、どれも1m程度のものだから、滝から滝に飛び登っていく鮭のように進めばよい。ただ、本日も鮭の川上りほどのスピード感がなく、牛が善光寺参りする程度のモサモサ感が漂うのがマシラの沢遊びなのはいつものことだろう。そこらのホールドにする岩の窪みには多くの蛙が潜んでいて、ホールドを求めてぎゅっと握る度に「グニューッ」とつぶれる感覚が手に伝わる。つぶれずに運良く逃げおおせた蛙は空を飛んで下の小滝に飛び込む。この小滝群は、落ち口上に大きな石が乗っている6m程の滝で終わる。そして最後のこの滝は登れず、左側を巻く。
<写真削除しました。あしからず 091018>
露岩中のトラバース道路
沢の傾斜が本格的に緩くなる。バスに乗って山市場あたりから沢を見上げると、緩やかな下弦曲線の稜線続く坊主作りの沢の中流域はなだらかなカール状になっているのが分かる。晴れた日には稜線に立つ立木の葉が揺れるのも分かる。それら一体を「堂ヶ上」と称するのだろうと思っている。
その領域の中に入れば、沢が緩やかになるのは当然だ。沢の中には境界杭が点々うたれて続く。周囲で行われた間伐の余材が雨で流れて落ち込んできたのだろうか短尺の材木片があちらこちらに目につく。
そんな中で右岸に最近設えたらしい仕事道が一本延びている。P967mの隣の小ピークから南東尾根に付けられている仕事道につながっているのだろう。左岸側には道がない。
そこから100m程行った所で古い仕事道が沢を横断する。前回はこの仕事道を右岸側に降りて平山橋に降りた。今日は稜線の最後までまで詰めるのだ。
鹿が木の陰から鋭く「ピーッ」と鳴く。マシラが進むとそれと平行に進むようにして鹿の警戒音がが聞こえる。鹿でさえも自在に動き回れる程度の傾斜度なのだろう。それくらいだから、もう、この先に顕著な滝は無い。ゴーロの上を歩くが、石は割合に安定して歩きやすい。それでも時々歩調を乱すのは人が入る込むのが少ないためか蜘蛛の糸を払うために手を払うとバランスが乱れる為だろう。
<写真削除しました。あしからず 091018>
沢の終わりは杉の植林帯(砂地で登りにくい)
やがて日が燦々と当たる杉の植林帯に突き当たって沢の形がなくなる。稜線はすぐそこに見える。
しかし、そこからが長かった。距離感に違いはないのだが、傾斜が増しているのと、斜面が小さな赤黒の火山灰(富士山の砂地と同じ)のような砂のため、砂に足を取られ、足の踏ん張りが利かないから、登っても登っても埒があかない。直登りは、出来ず、斜め歩きを強いられる。こんな砂地だからか最新の間伐から数年が経っているだけなのに、仕事の踏み跡は流され、棘の尖った草が多く、それに時々身の丈程の笹の帯などが混じって登るのが煩わしい。思ったより登るのに時間がかかる気がする。
それでも終わりのない登りはない。
「ポッ」そんな感じで番ヶ平(P895m〜P867m付近)から太郎山の頭(P843m)への稜線の中間付近に出る。
10年前・晴れていれば、三国峠付近から上に浮かぶ富士山が良かったように覚えている付近である。しかし、植林された杉が伸び、見通しが悪くなったので、富士山を眺める場所はP867m山頂付近の杉木立の一部に限定されるようになった。本日は富士山は、本日は雲の中に沈んで全く見えなかった。
さてと、P867m(番ヶ平)からはP843m(太郎山の頭)に向かう。ピークに着いたら、右に折れてP648m平山方面へ。道は暫くははっきりしていたが、杉林の中の急斜面で道形が不明確になったところに砂礫集出防止工事用の仕事道が交わったところで、ついついその道に誘われてしまった。その道に入って杭うち工事現場まで進んだところで行き先が不明となる。時間ロスを最少にするのは戻ることしかない。交錯地点の元に戻る。
そしてP648mへ
<写真削除しました。あしからず 091018>
下っていくと三保ダム本体が正面に見えてくる
道標が二方向に分かれる。どっちに向かうかの選択は有意的なものではない。直進する方向は平山の茶畑上へ下る。今日は左側に入り、なだらかな雑木林の斜面の中の少しの膨らみの瘤を目印に進む。斜面は下草が無く小さな礫なのでとても歩きやすい。そのうちにに道形がはっきりしてくる。やがて木々の葉っぱの奥に大きな三保ダムが見え、切り出し材橇道をたどると河内川の対岸に神縄地区のオートキャンプ場が見える位置で川沿いの舗装道路につく。衣服に着いた泥と汗を小さな沢の水で洗う。川沿いの道では導水菅を通って河に流れ出す水の音が遠く響き、茶畑の中には蝉が「ジー」っと鳴いていた。
自宅6:30〜本厚木6:51〜松田7:23〜谷峨7:50〜棚沢キャンプ場8:05〜ボーズクリの滝落ち口8:25〜砂防堤9:00〜6m大石が落ち口に乗る滝(最後の滝)9:40〜新しい仕事道9:50〜稜線10:20〜P843m10:30〜P648m10:50〜河内川(三保ダム下11:05〜洗濯〜湯本平)11:25〜バス〜谷峨11:46JR〜新松田12:05〜本厚木2:34〜自宅11:50 2009/08/22 ねっとりとした厚さの曇りでした。
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