
久しぶりに西丹沢に行く。前回は冬だったから三ヶ月ぶりとなる。
それほど長いあいだをあけたという程でもないのだが、ちょっぴり不安だったので電車とバスの時刻は昨晩の内に確認しておいて
四時55分に家を出た。
二月には星がピシリと輝いていた時間帯だが既に朝日が当たっている。冬ならば深夜まで宴会やっていた連中が、一番の電車で朝帰りという昨日の残りの後始末というような気怠さがただよう駅舎が、今の季節は日が燦々と当たるホームで、さあこれからという元気さいっぱいの多くの人で満ちているように感じ方もまるで違う。
当然、西丹沢行きのバスだって、冬の時期なら他に一人でもいれば「今日は山へ行く人が多い」というのが、10人が行列して乗り込んでも、それhが当たり前というように変わるのだ。
たった三ヶ月のごぶたさだったけど、その間にマシラの西丹の山勘は鈍ってしまったらしい。終点から歩き、犬越路への路を右に分け、白石沢沿いに進み、手沢を過ぎ、左手に旧キャンプ場へ道が分かれ、やがて車道は山道に変わり、渓流沿いの左右にジグザグと路は移って進んでいくのだが、どうも目的の場所の見分けが付かないのである。それで二度・三度とロスる。
今日の予定コースだけなら時間はタップリあるからと、バス停で、暇そうに時間をつぶす苦しさも解消しようと時間消化も考えて、アッチの窪、こっちの窪と窪みがある毎に、砂防堤の奥に滝の一つもあるかもしれないと砂防堤をよじ登っては上流を探る動きも、鈍りを増すのに加担しているかもしれない。
右岸に移って、すぐに大石沢がある。
そうなはずなのに、行きすぎてしまったかと感じて戻ってみたが、見つからなかった。思い直して戻ってみれば、先ほど引き返した地点の50m先が、そこだった。
暫く歩いた地点で白石沢が左手に別れるはずなのに、
気がつけば登山道が渓流を離れ山裾を左側から巻き始まる地点まで来てしまう。
今日の目的は白石沢の大滝を見物することである。
その地点の渓流には水が豊富に流れるが、これは見せかけで沢沿いに直進すると砂防堤を二つ三つ超えた先で湧水帯になり、そこで渓流は無くなってしまうことが分かっている。本流はここより下流の貧弱な水流で左手に別れるので、それなりに慎重に確認しながら歩いてきたはずなのに、一体どこでどうして見過ごしてしまったんだろう。
結局、砂防堤を二つほど下った所(大石沢出会いからなら砂防堤を二つ超えた所)で出会いを見つけた。本流に見える側との水量比1:5程度で、水が僅かに広がって転ばる石っころの向こうからチョロチョロと流れているのが、それだった。言い訳じみるが見間違いしやすいのは確かだ。
白石沢
(大理石がざくざくとある沢。だが、石拾屋さんに金になりそうな大半の石は採集されて持ちさらわれたので、いまは、少なくなったらしい。それでも崩落などで新しく出てきた岩もあるので、大理石の大石もいまでも健在だ。採取は禁止 しかし持ち帰りたくもなる純白でキラキラきらめく綺麗な指先程度の細石も相当ころがっている)
ゴーロを進み、三個の砂防堤を超えると、以前に来たときの登山道から沢に下降するための踏み跡の地点に出て、程なくF1。
白石沢F1 堂々とした滝である
F1は下から見た高度差はほぼ垂直な傾斜の12〜13m相当である。実際は、その上にいくらか傾斜の落ちた5m程のナメ状を挟んで3mほどの上部の滝が一連となっているので、全てを一つの滝として合算すると20m程になる大滝である。もちろんノーザイルで登れるような棚ではなく、流れ落ちる様を眺めて納得したら巻いて登る事になる。
しかし、この巻き道、白石沢なんて柔らかい印象から受けるようには易しくない。
本来なら左岸尾根を巻く方が易しいのだろう。棚近くに、それっぽい部分があるが一箇所崩落してしまって、マシラにとってはその部分は難しすぎて通行不可だ。そうだから左岸尾根から巻くためには滝からずいぶんと沢を下ってから取りつく事になる。
右岸はどうだろう。露岩がズ〜っと上方に延びて高く、急である。しかし、落ち口につながるバンドもありそうに見える(実際はのっぺりとした夏草付きのフェース、そこからは下まですぱっと切れた垂壁をトラバースする必要があるが、確保なしでは絶望的な賭けになるのは間違いない)
そのバンドがダメでも、上には傾斜の落ちたカール状が見えるから「何とかなる」そう考えるのだ。
だが、露岩帯は見た目よりも急である。浮き石もある。頼りになるのは岩の割れ目に這えた灌木だけだ。絶対に朽ち根っ子を掴んではならない。しかも必要な時に必要な灌木がいつもあるとは限らない。浮き石を掴み、何とかならないだろうかと言う場合に限って灌木も根っ子も無いんだよな。特に今日のような雨上がりの日だと付着した泥もグニャッとして足が取られるし、頼りにしたい木の根っ子が引っ張ると土がふやけているので普段よりもググッグと怖い。
大滝沢地獄棚の棚右横の巻き道を灌木登りするよりも、少しだけ嫌らしく感じる巻き道は慎重に進むにより手だてがない。小尾根に出てF1を下に確認し、砂の詰まったザレ地を上半部は木の根っ子を頼りに、過半部は滑るようにして沢に降りる。
すぐに5mの滝である。のっぺりとした岩は取り付きが面倒だが、左側から登り、中間で足を滑らさないように慎重ぬ水流を横切りって右に移り、ぼこぼこの残りを登る。横切るのに躊躇しているとずぶ濡れになってしまうが、足場のヌルヌルとを天秤に掛けるって、好きじゃない。
次に小滝を越える。
そうすると木々の葉っぱ越しに白石沢の大滝が見えてくる。それは、この沢遊びが早くも終盤にあるということでもある。
白石滝(白石沢)
大滝は緩い下部の10m程の上に、急な25m程が連なる幅広な大滝である。南向きに向いていて明るい。右からも左からも安全に巻いて登ることが出来るが、右の方が珠洲竹が濃く、それを分けるのが面倒なことは覚悟した方がいいだろう。この大滝全部が大理石と言われているけど、付着した苔や長年の日や水にサラされているので見た目の岩は白くは輝いてはいない。どちらかというと茶色に薄汚れた岩の塊の滝と言った方があっていると思う。ただ、岩の上を流れる水は十分な日に当たって煌めくので、登山道から見れば流水が岩をはんで白く見える白水の棚と言い換えてもおかしくないかも。
左から薄く着いた踏み跡をたどって巻いて登る。
二条の滝7〜8m 二条の中央が快適である(右も左も流れの中も行けるゾ)
滝上はナメを挟んで二条に別れて水が落ちる7m滝になる。中間のカンテを登ると良い気分が味わえる。今日はフリクションにいまいち自信が持てないので水量の多い左の流水溝に入って登る。2mの小滝は右から登る。そうすると横5mで登山道に出る。
80m先がテーブルが二基セットされた休憩場。ここから奥は登山道が沢に沿って白石峠に出ることになる。
今日は稜線に出る予定はないので、テーブルで身繕いを整えたら、白石沢出会いに登山道を伝って下降する。
登山道観瀑台から見る白石滝
これなら確かに山に入る時間は僅少なのだ。
しかし9時25分のバスに乗るためには50分ほど足りない。次のバスは13時だから2時間ほどの遊び時間がある。
さて、その時間をどう過ごす。
登山道が渓流沿いに降りてきて最初に左岸から注入する沢に入る。
入り口から砂防堤が連続するが右岸側に踏み跡が付き、それを追うと自然に砂防堤を超えていく。そのまま詰めれば小滝の一つくらいはあるようにも思えるが、先が長そうだから水溜用の枡が沢の中に一つ転がっている地点で引き返す。収穫無し。
次は本流を砂防堤を二つほど下って、朝方は遠目に見ただけの大石沢出会い滝を見物することにする。
砂防堤にせき止められて広がった河原の右岸、石籠段の下から延びる細い流れの奥に小さな滝が見える。それが大石沢である。
砂防堤付近は開け明るいのに、この一角だけが薄暗く、神秘的は雰囲気がある。
小滝の奥はゴルジュ状のナメ滝に連なり、最奥は直瀑6mでせき止められている。直瀑から更に先まで行くと、下るのがめんどうなので直瀑下まで行って写真を一枚撮ったら引き返す。入り口からの距離は30m以下、往復には15分もあれば十分だ。
次に向かったのは室窪沢
モロクボ沢の大棚を見物する。
水量は雨上がりの日という割には少なめだとおもう。ただし、名瀑と言われるだけの事はあり、おおらかに流れ落ちる滝は綺麗だし、落ちる過程で岩に叩かれて砕けて空中に舞った水滴があたりをマイナスイオンで満杯にしていて、涼味も満点だ。周囲の緑も美しい。
モロクボ沢の滝
その滝を見たら、次は、山びこ橋(旧キャンプ場入り口)まで戻り、そこから雷木沢に入る。
以前に来たときは入り口から岩床の流れを水に濡れないようにと足場に注意しながら歩いた記憶があるが、車が入れる幅の道と護岸用蛇籠がナメが傾斜を持ち始める地点まで延びていた。
雷木沢のナメは靴の置き場を上部に選定すれば、流水中なのに、靴の中には水がしみこんでこないようにして、でも水の中を歩いている気分に浸れるという感覚の心地よさで登っていける。
雷木沢 F1(今日は右が行けず左に逃げる)
そして最初の12m滝(上に5m滝が一連に連なるので、20m弱になる)まではすぐだ。
前回、ここは滝の右横ランペ状フェースを登った。今日も取りついては見たが、足場がぬめった泥で体重をしっかり支えるには頼りないのに、前回は支点に出来た珠洲竹が枯れてしまったのか、いくらもない。一枚岩の六十度程度の傾斜したフェースなので、落ちても、うまくやれば滑り台を降りるような状態で軟着陸も出来る可能性もあるが、そうはならない事も十分に想定できる。
右を登るのを諦め、滝の左側ザレ地を巻いて登る。
20m二段滝(右から登り、写真中間部で左に横断して登る)
続くは二段20mの滝。
開けた場所の明るく、幅広な滝でもあり、中間に1m幅のバンドがあるのと、傾斜角が60〜65°程度なので、20mと言った感じの威圧感は全く感じない。下部は本来なら水の流れている部分を登るのが楽しいのだろうが、手軽な手がかりは見あたらない。その左横のカンテも傾斜は緩いとは言え、下部10mの高さなので高度感もある。一番楽そうな右の傾斜の緩い部分を登り、中間バンドで左に移って、傾斜の落ちた上部の草付き混じりの部分を登る。中間バンドを左に移らず直っすぐ登るのももちろん可能である。
落ち口は上流側に5m程のナメ樋の滝をつなげている。傾斜は緩いが、滑ったら20m滝下まで行くこともあり得るので、ぬめった岩に足を取られないように注意して、でも、おおざっぱに登る(簡単ということです)
すぐに20m(25m位かも)の大滝である。最初の滝からここまでは一連だ。
以前に来たとき、見物用に滝に対峙するような岩が有り、それを背もたれにすると首の角度がちょうど良い具合だったのだが、周囲を見渡してもそれらしき岩がない。
雷木沢の大滝(これで水量があったら言うこと無し)左側から巻いて落ち口に出る
「あれ〜っ」 この滝とは別の大滝があるのかな〜 いや〜 それはないはずなんだけど」
記憶の位置を辿っても、あやふやで確定できない。
しかし、小さな沢であるが、頭上を覆う若葉の間から、すっきりと水が流れ落ちてくるように感じられて、この大滝は素晴らしい。願わくば、雨上がりということで水量が、もちっと多ければというのを期待していたのだが、それはそれとして他には言うこと無し。
ボチボチ、13時のバスの時間が気になる。さて、どこまで行こうか。もしも登ってきた所を、そのまま下るのなら下降には登ってきた以上に時間がかかることを考えておけば、時間にはそれほど余裕はない。しかし、右岸尾根を見上げれば、想定した通りだが、3分も登れば頂稜に着きそうな感じがする。当然、そこには仕事道が付いているはずだから、5分もあれば山びこ橋付近に下降できるだろう。そうだったら、もう少し登っても大丈夫のはずだと引き戻し開始時刻を12:00と決める。
雷木沢 二俣から左手のナメの奥にある10mナメスラブ滝(登れず引き返す)
大滝は左の砂ザレの小カールを登る。急だが、良いところに木の根っ子もあり、薄く踏み跡も付いていて、それをたどると難無く落口の高さ迄は着く。落ち口方向に横断バンドがある。しかし、ここも最後の2mが絶望的なので行けない。バンドを元に戻り、カールを忠実に辿り、一息入れた所から滝の上方向の踏み跡に入って稜に出る。
ただし、そのまま踏み跡を追いかけると、ずっと巻いてしまう。稜に出たところから下降を行うと直下の1m下流側が落ち口と言う場所に出る。落ち口の上流側は傾斜のある狭いゴルジュ状となっていて岩のフリクションは良さそうだが、もしもスリップしたら滝の上に止まるとは限らない。
立ち止まった場所から沢床までは2.5m位、足場は二歩分はあるが、そこで立木にぶら下がったとして、もう1m程は傾斜のある岩のフリクションになる。滑ることも想定できるので、カメラをクリップしていたシュリンゲともう一本のをバックから出してつなげ、灌木に絡めて手がかりにする。1m下流は20m滝の落ち口ということであり、高度感タップリな下降である。絡めた灌木がちゃんと保ってくれるか、手に絡めたロープは回収しやすくしている分だけ外れやすいので、ぶら下がった時にはずれないだろうかと、そればっかり気になる。三歩目をぶら下がって下り、四歩目をつなげ、全てを回収して五歩目で沢床に着く。
ゴルジュを簡単に登り、3m滝をこすと程なく二俣となる。本流は右だが、左はナメの流れが続く。左に入り、ナメを暫く歩いた先のナメスラブの滝を見る。その先も見てみたい気持ちはあるが、流れは細く、そこより先に滝はそれほどは期待できないだろう。そよりも何より、もう決めた時間だ。
二俣に帰ると想定どおり12:00
予定どおり左岸尾根に上がる。
上の尾根は着くまで三分もあれば十分だろうと読んでいたが、思いの外に珠洲竹が深く、予想していたよりも手間取った。すぐに仕事道があるだろうとの読みも外れ、下降方向も不明確なので暫く行ったり来たりも行う。それでも、下降をしていくと鹿柵が出てきて、それの縁を辿り、鹿柵が直角に折れ曲がり山腹をトラバースしたら、そのトラバースに沿うように歩いていく内に幾つかの踏み跡(仕事道)を重ねて徐々に道は良くなり、P751mからはしっかりと整備された道になって、白石沢への登山道から沢を挟んだ橋の向こうに見える広場に降り着く。後半が順調だったこともあり、予備に取っておいた10分程度の時間は不要になった。その時間を広場下の河原で山で汚れたズボンシャツ靴下を脱ぎパンツ一丁になって洗濯する時間に当てる。
これが失敗だった。犬越路への分岐まで下ってきてから、帽子をさっき洗濯した場所に置き忘れて着たことを思い出し、取りに戻ったので、それからは大急ぎなので、時間余裕タップリの山遊びのはずが、いつものと同じようにセカセカと締まらないクロージングになってしまったのである。
写真集です お時間あればどうぞ
自宅4:55〜本厚木5:16小田急〜新松田5:55富士急〜西丹沢自然教室7:00〜旧キャンプ場入り口7:25〜右岸の小沢探索 4m滝見物7:25_35〜行ったり来たり〜大石沢出会8:05〜行ったり来たり〜白石沢出会8:10〜F1 8:20〜右岸から巻く 落ち口へ8:45(巻きに25分かかった)〜白石沢大滝見物9:00_10〜落ち口9:20〜登山道9:25〜下山〜大石沢出会・F1〜F4見物9:40_50〜山びこ橋10:20〜室窪沢〜モロクボ大棚10:35_50〜雷木沢出会11:05〜雷木沢F1 11:15〜大滝下11:35〜落口11:45〜二俣11:50〜左俣小滝見学〜二俣へ戻る12:00〜P751m〜山びこ橋12:20〜パンツ一つになり水浴び&泥落とし12:30〜帽子忘れに戻って走る〜西丹沢自然教室12:55_30富士急バス〜新松田14:16〜本厚木〜自宅14:55 2007/05/26 朝方は山麓から雲が駆け上り晴れていった。一日中暖かい日だった。雲が全てとれてピーカンというような天気では無かった。全国各地では黄砂がひどかったというから、山のピンぼけ風景もそれだったかも知れない。マシラの頭もピンぼけだ。
頁トップへ マシラのHP