1999.8.11。 はやく出る組は8:30に観測地に向かった。 自分は機材が少ないので後からでもokだ。 10:30のバスで行くことにした。◇皆既日食観測
インターネットルームは9:00からあくと書いてある。 しかし、9:10になっても誰もいないぞ! 仕方ないので、外に出て買い物。 ブルガリア語の"PC WEEK"(1.8レフ)を発見して購入。 ここにもコンピュータ雑誌があるのだなあ。ただ、1冊しかなかった。 どの店も規模が小さく、置いてある数は少ないのだ。
ブルガリアの"PC WEEK"の表紙には「СОФТУЕР АНТИВИРУС (ソフトウェア・アンチウィルス)」と書かれていた。 ウィルス騒ぎもあったのだろうか。 雑誌の印刷は日本のそれよりは質がよくないようだ。すぐに色褪せそう。 記事はブルガリア語だが、のっているパソコンや周辺機器は聞きなれたメーカーが多い。 XEROX、SONY、HewlettPackard、TOSHIBA、ACER、 COMPAQ、QUANTUM、CTX、DELLなど。 DELLのPentiumIIIマシンのセットが3000〜5000USD(USDは多分、アメリカドル)。 ドルや新レフで4桁の数字なんて、ここブルガリアではとてつもない高額だ!
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Добрич(ドブリッチ)周辺の地図も購入。日本ではソフィア(ブルガリアの首都) やヴァルナ周辺の地図はともかく、 ドブリッチ周辺の地図が手に入らなかった。ただ、買った地図もわかりにくい。 自分だけで遠出はできないなあ。
ホテルに戻ったらインターネットルームに人がいたので、 フロッピーディスクを渡してプリントアウトを頼んだ。 カラープリンターはなく、モノクロプリンターしかないそうだ。 ただ、ヒューレット・パッカード製プリンターで カラーカートリッジにさしかえるだけのように思えるのだが? あいにく、自分もカラーカートリッジは持っていないし、売っている店も発見していない。
ファイルを開こうとさんざん苦労している。ただのjpeg fileなのに。 Corel Drawで読み込もうとして失敗している。 Internet Browserで開けると教えると成功した。 やっとプリントアウトに成功。 銀塩にはかなわないが、そこそこ見えるものができた。 あとはこれを渡せばよかろう。 日食観測後にAさんと共に渡しに行ったら、オジチャンが1名しかいなかった。 それでもプリントアウトとフロッピーディスクを渡したら喜んで、 昨日1冊しか見つからなかった本を3冊も持ってきてくれた。 その本は夜の祝宴時のじゃんけん大会の景品となった。
◇流星観測10:30のバスでユーリ・ガガーリン農業専門学校へ。 30分程で到着。 学校前にパトカーがとまっていた。現地の人との間で面倒が起こらないように来てくれたらしい。
バスを降りると蜂蜜パンをごちそうしてくれた。非常に美味しい。 自家製の蜂蜜なので混じりっけがないそうだ。
8:30のバスで来た人達が既に設置を終えていた。 ブルガリアの人で望遠鏡を設置しているのは、わずかに1名。 上半身裸だけど、日焼けは大丈夫かな? 自分は三脚を2つ設置し、その上に双眼鏡とハンディカムをそれぞれ設置するだけだ。
8x40の双眼鏡の対物レンズ側には、5インチ・フロッピーディスクの中身を丸く 切り抜いたものを減光フィルターがわりに置く。 これだけだと明る過ぎるのでND400フィルタも置いて、フロッピーディスクの中身をはさむ。 フィルタが落ちないよう、セロハンテープで固定した。
フロッピーディスクの中身を使うのは自分の他、年配のOさんだけのようだ。 あまり知られていない方法なのかな(^^?
まだ日食観測には早いが、太陽を視野に入れてピントをあわせてみた。 黒点が2つ、淡い黒点がさらに2つ、合計4つの黒点が見える。 まだ時間はあるから交代で太陽の黒点探し。淡い2つがどうしても見えない人もいた(^^;
ブルガリアの人にもおいでおいで。気をつけるのは手の向き。 ブルガリアやロシアも含む、多くの国では上向きに呼び寄せるのが普通。 カンフー映画などでも手を上向きに、相手を呼び寄せるシーンがあったはず。 日本が逆だ。下向きでは「あっちへ行け」の意味になってしまう。 ブルガリアの人は肯定で首を横に振り、否定で首を縦に振るので他国と逆だと言われるが、 日本人もブルガリア人のことを言えない(^^; もっとも、ホテルの周辺のお店の人達は、 否定の意味でヒトサシ指を横に振っていた。外国人によく接している人は気をつけていると聞く。
さて、手の向きは問題なかったらしい。しかし、小さい子供には双眼鏡の位置がちょっと高い。 折り畳みの椅子を持参しているが、これでも足らないなあ・・・と思っていたら、 お父さんが来てだっこしてあげて解決。
ハンディカムは周辺の撮影風景などを狙う。太陽をいきなり狙うのは難しそうだし、 周辺の変化を撮影できた方が面白そうだ。
早めに昼食を終え、日焼け止めクリームを塗り直すと、水をペットボトルごともらって戻ってきた。 12:45に部分食がはじまる。少し欠けた状態をデジカメで撮影。 双眼鏡を通してデジカメで撮影したのだ。残念ながら黒点は写らないが、 欠け始めた様子はわかる。その後、欠けていく様子を適当に時間をおいて撮影。
皆既日食になるまでは余裕がある。他の人の様子を見に行く。 多重露光を狙う人もいれば、小型双眼鏡にフィルタをつけただけの人もいる。 昨夜、裸眼観測用に配布されたフィルタだ。全員分はなく、 Wさんが個人的に持参されたものらしい。 自分は5インチ・フロッピーディスクを使った裸眼観測用フィルタに、 JIS規格の日食グラスも持ってきている。 日食グラスは安全だが、見づらい。それでも太陽が欠けていくのが日食グラス越しでもわかる。
20cmはあると思われる望遠鏡とか、魚眼レンズを使った撮影もある。 小型ハンディカムだが100倍ズーム機能付きのものもある。 観測機材は本当に様々だ。
手で小さな穴を作り、こもれ日を見ると欠けた太陽が、楽に何の機材を使わずにわかる。 ただ、太陽に対する角度を調整するのがちょっと面倒だ。
1時間はあっという間に経過した。やや暗くなり、涼しくなってくるのがわかる。 皆既日食は14:10:05にはじまる。14時頃から右目だけを双眼鏡のキャップで覆い、 輪ゴムで固定した。海賊風? さらに、なるべくサングラスをかけて作業するようにする。
昨夜、W先生が皆に話してくれた内容を再度思い出す・・・ 皆既日食は今回、たったの2分半しか続かない。人間が暗順応するのに5分はかかる。 最初のダイヤモンドリングを見てしまうと、暗順応する前に皆既日食が終わってしまう。 皆既日食をしっかり見たいのであれば、その前から暗順応させておくしかない。 5分前からアイマスクをして暗順応させておく手はよくある手だ。 自分は欲張って片方だけは開けておいた。暗い部屋や建物に入るとき、 片目だけをつむっていても効果はあると聞いている。 それに、双眼鏡の位置がずれかねない。太陽は日周運動で動くが、 三脚は自動追尾してくれないのだ。
細い三日月状となった太陽を撮影後、減光フィルタを外しにかかる。 素早く行うためにカッターでセロハンテープを切断。 皆既日食のときには減光フィルターはまったく不要だ。 さらに、デジカメのシャッター速度を1/7.5まで上げる。これが一杯だ。
皆既日食のはじまりは皆の声でわかる。右目の覆いを外し、黒い太陽を見た。 裸眼で十分に見える。ほぼ同心円上にコロナが見える。意外に小さい? 太陽直径の3倍程までコロナがあったようだが、裸眼では外部コロナがわからなかったようだ。 空は思ったより暗くはなく、太陽以外に金星(マイナス4.3等)だけが見える。 水星(0.5等)も見えると思ったのだが、 自分には見えなかった。後で聞くと水星が見えた人もいたそうだ。 その他の惑星や恒星は見えない。 シリウス(マイナス1.5等)も見えなかった。 だが、自分がハンディカムで撮影した画像を見ると、かなり暗くなっていたことがわかる。 人間の眼は暗さに順応してしまうので、気付かないのだ。
双眼鏡をのぞいて美しさに驚いた。プロミネンスが幾つも見える。 全部で数本・・・10本程か。本数を数えるよりじっくりと見ていたい。 プロミネンスもコロナも動きはなかった。まるで時間がとまっているかのようだ。 コロナに微細構造があると聞いていたが、それよりプロミネンスに目が行っていた。
双眼鏡を通してデジカメで撮影。さらに太陽と金星を入れた構図で、 双眼鏡を通さずに撮影。しっかり写った。 周辺の景色も撮影。地平線が夕焼けのように赤っぽい。 空の暗さは既に一様ではない。月の影が動きつつあるのだ。 今回、シャドーバンドはわからなかった。 シャドーバンドの動きがわかるようになるには、相当慣れていないとだめらしい。 今回、シャドーバンドの動きがわかった人はほんのわずかだった。
ダイヤモンドリングを双眼鏡で観測するのは危険だ。肉眼でよく見ておいた方がよいだろう。 14:12:26。黒い太陽はまぶしい輝きを取り戻した。
金星が見えている間にWさんが手早く金星を双眼鏡に捉えた。 双眼鏡を通して三日月状の金星が見える。皆で行列を作り、順番に見る。 これをデジカメで撮影したかったが、Wさんの双眼鏡では撮影が難しかった。 Wさんの双眼鏡で見せてもらった後に、自分の双眼鏡に金星を捉えてもらい、 デジカメでの撮影を試みたが、既に遅かった。
日食はまだ終わったわけではない。完全に終わるのは15:32:31。 多重露光で撮影している人は最後まで撮影を続けている。 自分は再び減光フィルターをつけて、元に戻りつつある太陽を撮影した。
ブルガリアの人は日食にはあまり歓心がないらしい。 それより日本人の方がめずらしいらしい。 日食が完全に終わって、バスを待っていたら学生らしき少年少女(12歳前後)がいっぱい来た。 英語が少しだけわかるようだが、なかなか言葉が通じない。 結局、ガイドのシルビアさんに通訳をお願いした(^^; ここ、ブルガリアではシルビアさんのように日本語を話せるガイドさんは極めて少ない。
大人の人とは英語で話が通じる。さて、最後のバスが出るようだ。 小さい子供達は走って追いかけてくる。けなげだなあ。 ホテルまでの景色をハンディカムに収めて帰ろう。
そうか、バスからの映像はハンディカムに収めればよかったのだ。 バスの中であれば今回持参した大型のハンディカムでも大丈夫だし、 ガイドさんの紹介も映像と一緒に録音できるのだから。
夕食時、白ワインが美味しい。今回の旅行のメイン・イベントは無事終了した。 さて、日食病にはかかっただろうか? 旦那や妻や恋人を置いても見に来るようになれば立派な(?)日食病患者だ。 もっとも、このツアーの中には夫婦で参加とか、親や子供を連れてなど、 家族で参加している人もいる。夕食後、0時までは屋上に出てもよいと言うので、 希望者は外に出て、寝そべり、ペルセウス流星群を探す。 ピークの2日前だが、流星がないわけではない。 街明かりがあり、サーチライトが邪魔だが、天の川がうっすら見える。 城ケ島よりは条件が悪いが、条件が良い時の横浜郊外ぐらいだろうか。 北極星が異様に高く、カシオペアの上に見える。 大きな流星を幾つか見れた。十分だろう。
たまに羽ばたくカモメ流星が出現。 白いので、下からの明かりで流星のように見えてしまう。 曲がったり、羽ばたく流星があるか!
アルコールもまわり、眠くなってきた。部屋へ戻って寝る。 「ドーブリ・ノーチィ(良き深夜を)」。いかん、勝手なロシア語を作ってしまった(^^; 「おやすみなさい」なら「Спокойной ночи(スパコーイナィ・ノーチ)」だ。 ブルガリア語なら「Лека нощ(レカ・ノーシト)」。 だけど、まだ寝ないでがんばっている人も多い。何時までがんばれるかな?
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