「事実を述べる」自己PR、「想いを語る」志望動機。

私もこのボランティアを始めて様々な就職本を読むようになりましたが、ほとんどの本が徹底した自己分析を前提としたES・面接対策を語っています。自己分析自体は、自分が何をやりたいのか、何に向いているのかを発見するための重要な手段であり、そこで発見したモノは就職試験一般で大いに活用できると思います。

しかし広告業界への就職活動では、自己分析で志望動機を発見しただけでは、あまり意味がないと思っています。

自己PRと志望動機の関係は、告白やプロポーズの構造に似ています。自己PRは「相手にとって自分がどういう点で魅力的か、どういう存在か」を気づかせるものであり、志望動機は「自分が相手をどう好きなのか、相手をどれだけ幸せにできるか」をアピールするものです。

「人と接するのが好きだから広告を目指しました」「世の中を動かしたいと思ったからCFプランナーを目指しています」というのは、「あなたがきれいだから、好きになりました」程度の告白です。この傾向は、マスコミ一般を志望する学生にも当てはまります。一般的に派手なイメージのある広告業界やマスコミ業界、音楽やエンターテインメント業界にいきたいという結論は、多少の自己分析をすれば、たいていの学生は一度は考えるものなのです。したがって、エントリーシートの文章レベルでは、実際のところ志望動機を差別化する手段はそうありません。

断言しますが、「書いてある」志望動機だけで内定することはありえません。面接官は、業界への「想いを語る」あなた自身のプレゼンテーションを評価するのです。もともと、広告業界への「想い」を高々400字程度の文字で伝えられるわけがありません。プレゼンテーションが仕事そのものである広告業界では、書類だけでプレゼンが完了することはありません。

成績優秀、MBAホルダー、TOEIC高得点、学生広告賞受賞、有名体育会の主将など、自己PRとしては圧倒的に有利なものを持っている人は、それだけで相手があなたを好きになる可能性が高いので、志望動機はESでも面接でもさらりとこなす程度で十分かもしれません。しかし、そうでない学生は、そういうライバルの中で自分を好きになってもらえるよう、志望動機で必死の告白をする必要があります。

自己PRは「事実を述べ」、志望動機は「想いを語る」ものです。したがって、エントリーシートのような文字だけのプレゼンの場では、圧倒的に自己PRの方が完成度を求められます。そして、実際の面接の場では「なぜ広告か」「なぜうちの会社なのか」という志望動機関連の質問が中心となります。ここからが普通の学生のアピールのしどころです。

エントリーシート上での志望動機については、面接で語るあなたの想いの構想全体の中から、面接官にうまくつっこんでもらえるようなネタを散りばめることに専念し、後はあなたの全身を使ったプレゼンテーションに賭けてください。