有機栽培農家を選ぶ
まともな有機栽培農家なら
この程度の話しができるものです

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 たとえば道具の話し。

土を耕した方ならわかるとおもいます。使いやすい鍬/くわの形は作業の目的と土の質により微妙に変化するんですよ。重い粘土質の土には柄がみじかくて柄と刃の角度が小さいもの。軽い砂地では長い柄に大きな角度というふうに。土の性質は土地によって大きくちがい、村の中でも土地の性質が均一ではありません。そのうえ農具は使う人の体力や身長にあわせなと能率があわないものなんです。
江戸時代以降の「村の鍛冶屋」は、それぞれの農家の人もその畑の土も知った上で、一人ひとり専用の鍬を用途にあわせてつくっていたとか。ベテランの野鍛冶は 鍬だけでも何百種類もつくれたのだとか。右図は 江戸時代の鍬や農具。『成形図説』より。


 自然を読む

縦に長い日本列島。さまざまな気候が混在します。さらに山が多く土地の高低さも急。結果として、農家には気候を読むちからが要求されます。冬の天気から春の気候を推測し、秋の雲から夏場の台風をおもう。気候の変化に伴い植物の生長が変化し、発生する害虫や病気もかわってくるのです。有機栽培農家を自称するなら、すぐれたナチュラリストでなければなりません。山の自然や季節の動植物の微妙な変化からつぎのシーズンの天候を予測することが大事です。
ちなみに筆者は地元のカナヘビを飼っています。えさは 生餌。この生餌、たとえばコオロギなどを毎日捕らえていると、「今年は虫の発生がおそい」とか「田の畦の雑草の伸びがはやい」とかの 自然の変化をいちはやくかんじることができるんですよ。
有機栽培農家にとって自然の動植物はかけがえのないパートナーであるはずです。


 田畑のバッチワーク

現在の農産物産地は単一作です。その地方にはおなじ作物ばかり・しかもおなじ作物であるばかりか おなじ品種の場合すらあります。たとえばハウスピーマン栽培が盛んとか、コシヒカリの産地とか。都会の大量消費を支えるためには、単一作物の単一品種を大量につくり都市へと運搬するのが農業の役わりでした。
しかし、日本の地方/それぞれの土地には 前述の鍬の話しや自然の話しでわかるように さまざまな気候や土地があるわけです。単一作で同じ品質の同じ品種を作るのは じつは はじめからかなりの無理がある。有機栽培をやりやすくするためには、その地方にあった作物を その土にあった品種で それぞれの作型を組み合わせて 取りくむべきです。このほうが 土の微生物は多様化・増加するのに加え、病害虫の耐性もおさえることができるんですよ。無農薬栽培なのに 全国どこにいっても イネはコシヒカリ、トマトは桃太郎、お茶は やぶきた、イチゴは とよのか という状況は どこか変です。。
右図は麦が熟すと豆を蒔く 二毛作の様子。『大和耕作絵抄』より。


 まずは お日さまと風通し

最初からこのページをよんでくださった方は もうおわかりだとおもいます。有機栽培に大切なものは まずは太陽光線です。お日さまのあたり具合が 作物の出来を左右します。けして有機肥料ではないのです。「家畜ふん尿たい肥でつくっている」「農薬はかけない」「野菜売り場での笑顔の写真」ですむはなしではないのです。
右の写真はコシヒカリの倒伏対策例です。左上で そだちすぎたコシヒカリがあります。左中 根元から株を切ります。一部を犠牲にして日当たりを確保するためです。中央付近にすじがみえるのがわかりますでしょうか。右上 穂が出ました。右中 大雨でやっぱり倒伏。しかし、右下 株を切ったところの穂だけは倒伏しておりません。日当たりと風とうしは大切ですね。
お日さまのひかりを最大限に利用するために、たとえばイナ作では土地にあわせて作型や品種を変え、種蒔きを薄蒔きにし、肥料をかえていくわけです。
農業は 経験とたゆまぬ情報収集が実を結ぶ 知的な適地適産産業なのです。


 

■ 江戸時代の農業書/開荒須知より 【芝草の特効】

3月から4月ころ、山林の中とか道端などに繁茂している芝草を、深さ二寸くらいに土ごと剥ぎ取り、積み重ねて山のようにし、草を刈って上を覆っておく。こうしておくと芝草は根までみな腐って土のようになるから、これを耕土の浅いところとか実りのわるいところに入れて耕す。この芝草は簡単につくることができ、男二人もいれば1日百五十駄くらいはとれる。草の根にまじっている土は、毎年毎年の雨と太陽によって上等の肥えた土となる。さらに草の根の腐ったものが土と合わさってしまうので、この芝草をどこすと、どんな痩せた土地でもたちまち肥沃な土質となり、五穀の実りは上等の田畑と同じになる。

江戸時代の農業書/農業全書より 【苗肥・泥肥】

田畑を肥やすのに、苗肥・草肥・灰肥・泥肥の四種がある。苗肥には緑豆がいちばんよく、小豆・ごまがそのつぎである。その年の五〜六月に水田に厚く播いて程よく茂ったものを、七月〜八月にすき返して腐らせる。翌春に穀物を作ると二年分の収穫があり、濃い下肥を施したものよりはるかによろしい。泥肥とは、池・川・溝などの底の肥えた泥を上げて、充分によく乾燥させて砕き、肥料小屋にいれて長く貯蔵したものである。灰などとまぜあわせ、または新しい腐熟中の肥料と混ぜ合わせて使うと効果がいちじるしい。この肥料をそ菜類やほかの作物に施すと、病気などの障害を受けることとなく丈夫に育つので、とくに風のふきだまりのところに使用するとよい。生気のない作物を活気づけるので、多くの場面に使用してさしさわりのない肥料である。



いかがですか。江戸時代のこの農業技術理論。
現在の有機栽培農家で、これほど語れる方は はたしているのでしょうか。江戸時代のほうがよほど科学的な栽培をやっていると思いませんか。

多くの有機栽培農家は ただわけもわからず、「薬はかけない・化学肥料はつかってない・だからおいしい」の一点張りではないですか。
はたまた きゅう肥とたい肥の区別さえつかず、未熟な家畜ふん尿を畑にばらまき、畑の土をなめるパフォーマンスを 繰り返しますか。それともどこかの若手の農業グループのように、わけあり顔で苗箱抱えて あぜ道で空をみあげる写真を宣伝公開しますか。


■ 有機栽培の土を舐める危険度

「有機栽培農家が土を舐めるパフォーマンス」をとりあげるマスコミが多いのが 目につきます。危ないですよ。例えば O-157です。有機栽培農家が かってに感染するのはかまいません。が、見学者に対して 畑で採れた野菜をそのまま食べることをすすめるのは 危険がいっぱいです。下図は 欧米で推定されている O-157 の 感染ルートです。保菌獣である牛のふんを 野菜畑に使用することによっておこる経口感染を 説明しています。
O-157 だけでなく、病原微生物に可能性は、生産・流通・小売・消費のどこでもおこることを 認識すべきです。生産の場で 衛生管理を徹底するのは 生産者の責任であるはずです。



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