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店の命 |
私は店を昭和51年に開いて以来、「食材探しが店の命」と心しています。
走りのもの、旬のもの、季節のもの、はたまた地もの、天然ものにこだわり、
海の潮順を気にしながら魚を仕入れる「バカ」が、今も生きているのです。
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魚 |
魚は夜中の二時起床で、尾道魚市場に行きます。
私の選び方は必ず手で触れること。市場にはきらわれ者です.
小さなものも自分の目にあうものを一匹一匹よりわけます。
荷造りも、氷のあて方も自分流でやります。 店に帰り、
魚の〆時間を気にしながら水洗いします。
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脇役たち |
他の食材もお客さんやマスコミなど目耳にしたものは取寄せ、味見します。
気に入った各地の生産者に直接、電話で注文するものが、今では、
水、米、酒、山葵、味醂、醤油、酢、唐辛子、蓴菜、椎茸、筍、トマト、ふく、
などとなりました。生産者の皆さんと長いつき合いをしていただいています。
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料理の脇役たちにも心を配りたいものですが、
山葵(わさび)には四季それぞれの味があり、魚は旬の同じ大きさの物でも、
個体によって味が異なる楽しさ、こわさと、何年やっていても実に難しいものです。
ハモの季節に使う梅肉は毎年紀州産「古城の3L」。
これに赤じそを多めに使い、しっかり色をつけます。この二年物が一種だれで、
二種たれは三年物になった色おちしたものをたき込んだ、梅だれとしています。
ふくの季節に肝心なポン酢は、羅臼産昆布と、高知土佐山村の柚子絞り。
ちなみにふくは、天然物でも大ぶりな三キロ以上を使うようにしています。
喰い力のあるちり鍋が、阿じ与志のもち味です。
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(写真左)ふぐの皮はぎ:
当店の生簀でととのえたとらふぐは、
捌くのに、気迫と体力がいります。
少し生なましいですが、実際をご存知ない方も多いのではないかと思い、
ご紹介しました。 |
この一品 |
私は料理を、食材七、包丁三、と思っていますから、
お客さまが、食材は何かわからなくなる程の凝った料理はしません。
喰い切り一品料理が、修行時代からの私の仕事と思っています。
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あらためて思いますに、
走りの食材を前にして、「ほ〜お」と驚き、
旬のものに出会い、「うまいなあ」と喜ぶ。
季節のものになり、満足の言葉を聞き、
名残の味で、季節のうつろいを感じる。
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心意気あ
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こんなことって、すこし前の日本人なら普通の感覚でした。
暮らしは貧しかったけれど、心は豊かで、繊細微妙でした。
今は豊かになったけれど、大事な感覚をなくしかけている。
そんな気がします。時代にさからう気はありませんが、
小さな店の小さな心意気だけは失わないようにと、肝に銘じています。
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