Hodgkin病とは


特徴

Hodgkin細胞(H細胞)、Reed-Steinberg細胞(R-S細胞)の 出現を特徴とする悪性リンパ種の1種。 化学療法・放射線療法のいずれにも感受性があり、 進行例であっても治癒が期待できる。

疫学

人口10万人あたりの発症率 2〜3人(欧米)、1人未満(日本)
全悪性リンパ種に占める割合 20〜25%(欧米)、10%(日本)
発症年齢 20歳代、50歳代にピーク
男女比 2:1で男性に多い

症状

リンパ節腫大(無痛)のほか、 全身倦怠感、発熱、盗汗、体重減少、疼痒感等の全身症状(「B症状」)を 伴う場合がある。 初発のリンパ節から隣接するリンパ節に連続的に進展する。

診断

腫大リンパ節の生検を行い、 まずHodgkin病の確診を行う必要がある。 更に以下の検査を実施し、病期診断を行う。

病期分類

Ann Arbor分類Costword修正が用いられている。

I I 1つのリンパ節領域、、又は1つのリンパ組織の病変
IE 1つの非リンパ性臓器の限局性病変
II II 横隔膜の同側の2つ以上のリンパ節領域にわたる病変
IIE 1つの非リンパ性臓器の限局性病変を伴う1つ以上のリンパ節領域の病変
III III 横隔膜の両側のリンパ節領域にわたる病変
III1 脾、肺門リンパ節、腹腔動脈リンパ節、 門脈リンパ節のいずれかの病変を含む。
III2 傍大動脈リンパ節、腸骨リンパ節、腸間膜リンパ節のいずれかの病変を含む。
IV 1つ以上の非リンパ性臓器のびまん性又は播腫性病変 (リンパ節病変の有無は問わない)

予後不良因子の有無によって以下の記号を付記する。

A全身症状(B症状)無し
B全身症状(B症状)有り
X巨大腫瘍(10cm以上、縦隔腫瘍の場合は胸隔の1/3以上)有り

限定期症例(Stage I,II)の治療

放射線療法(拡大照射)が原則。 但し、予後不良因子を有する場合は、 放射線療法に先行して併用化学療法を実施するのが一般的。 頚部、腋窩、肺門および縦隔リンパ節への照射を「マントル照射」、 マントル照射に脾臓と上腹部および骨盤内リンパ節への照射を加えたものは 「全リンパ節照射」と呼ぶ。 マントル照射には6MV程度のX線が用いられる。 放射線治療は、照射野内では高い効果が期待できるが 照射野外には原則として無効な局所療法である。 放射線による正常組織の反応には、急性および晩性の反応があり、 前者は総線量、後者は1回線量の大きさに依存する。 悪性リンパ腫の反応は、正常組織の急性反応に類似し、 1回線量の影響が少ないため、 大照射野を用いる場合は、1回線量を1.5Gy程度にすることができる。 放射線療法の副作用としては、治療後の2次癌の頻度の増加が挙げられる。 このため、予後不良因子を有しない場合も、 化学療法を行い、照射線量の減少、照射野の縮小をはかる場合がある。

進行期症例(Stage III,IV)の治療

併用化学療法が適用される。 化学療法は、抗癌剤を血流に乗せて全身に広げ腫瘍細胞を殺す全身療法である。 進行期症例で治癒が得られるようになったのは、 1960年代にMOPP療法が導入されて以降である。 その後、さまざまな併用化学療法の比較検討が実施され 現在ではABVD療法が標準的治療法として確立している。 AVBD療法の副作用としては、 重篤な肺毒性、心毒性の報告があり、 現在、BEACOPP療法、Stanford V療法など 新たな化学療法の臨床研究も進められている。

再発例・治療抵抗例の治療

限定期症例の放射線療法後の再発には標準化学療法が有効。 進行期症例に対する初回化学療法と同等の治療成績が得られる。 進行期症例の化学療法に対し、10〜15%は不応性を示し、 寛解後も20〜25%に再発が見られる。 初回治療抵抗例、1年未満の再発例に対する併用化学療法は、 効果が乏しく極めて予後不良である。 こうした予後不良例に対しては、 自家造血幹細胞移植(ASCT)併用超大量化学療法(HDCT)の有用性が認められている。 最近では、幹細胞のソースとして 骨随に代わって末梢血がひろく用いられるようになった。 HDCTの治療関連死は、G-CSF等、副作用対策の進歩により、 5〜10%以下と低下してきており、 治療抵抗例・再発例でも40〜60%の無病生存率が得られている。

参考資料

笹井啓資. 放射線治療の最近の進歩. 臨床医 2001; 27: 2602-3.
小椋美知則. 薬物療法の進歩. 臨床医 2001; 27: 2604-10.
江崎幸治. Hodgkin病. 臨床医 2001; 27: 2616-8.
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