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1997年のある日、サークルの後輩がCGをアップしたというので、大学のマシンにそのCGをダウンロードした。しかし、結局私はその日彼のCGを見ることはできなかった。なぜかというと、そのCGにはmagなどというけったいな拡張子がついていたからである。
学校のマシンは当然のように窓95。しかも、CPUがSX486、メモリが12M、HDが133Mなどというスペックのマシンに窓3.1と窓95を両方乗っけてあるなどという無茶をしているため、CGソフトなどというものは窓に付属しているペイントしかない。
そんなマシンでmag形式のCGなんぞ落としてもみれるはずもなく、後日あらためてビューアをダウンロードするまでそのCGを見ることはできなかった。
その後輩に聞いたところによると、そのCGはMSXのグラフィックソフトを使って描いたものらしい。そう、その当時すでに生産中止になってから5年以上経過していたあのMSXである。
そもそもMSXというのはアスキーの提唱した規格をもとに作られたパソコンのことなのだが、専用のモニタを必要としない(家庭用のテレビに接続する)、価格もパソコンに比べ安い、ゲームに特化した性能を持つ、などの特徴をもち全盛期は多数のメーカーから発売されていた。
昔っからのN88ベーシッカーだった私は音源が標準搭載でスプライト機能を持つMSXをずいぶんとうらやましく思っていたのを覚えている。
すでに絶滅が危惧されて久しいMSXではあったが、使っている人は大事に使っていたのである。彼の所持するMSXは、学園祭におけるサークルの出展品としてファミコンやメガドライブとともにその勇姿を見せることとなる。
さて、そのMSXであるが、現在現役で使っている人はいるのだろうかと思い「MSX」というキーワードでYahooで検索をかけてみた。すると、予想通りというか、驚くべき事にというか、ハードウェアに MSX というカテゴリが存在していた。エミュレーターではなく、現役ハードとしてのカテゴリがである。
エミュレーターもあるが、正真正銘のMSX用ソフトウェア(主に MSX BASIC によるゲーム)も結構な数があるようだ。
インターネットはほとんど同人業界のようなものだからファンある限り消えてしまったりはしないだろう。では、ゲーム誌やパソコン誌などの雑誌ではどうだろう?
MSX専門誌といえば、MSXファンという雑誌があったがこれは当の昔に廃刊になっている。では、MSXの記事を掲載している雑誌がないかというと、実はある。電波新聞社のマイコンBASICマガジンである。
マイコンBASICマガジン(以下ベーマガ)はその名前が示すように BASIC で作られたプログラムを掲載している雑誌である。MSXに限らず、PC8801 や X68000 といった骨董品的マシンのプログラムも掲載しているある意味貴重とも言える雑誌である。
さすがに時代の流れには逆らいきれないのか MSX BASIC も徐々に掲載確率が下がってきてはいるものの、優秀な投稿作品があれば MZ1500 だろうが J3100 だろうが掲載するような雑誌だからMSXが消えるのは当分先の話だろう。
さて、そんなベーマガに、一時期付録の CD-ROM がついていた時期があった。雑誌の性質からして、BASIC のソースファイルがその中に収められていたわけだが、MSXにはCD-ROMドライブなどという気の利いたものはついていない。パソコンからFDに落とせばいいわけだが、MSXしか所持していないユーザーを考慮したのか、MSXのプログラムは他のハードとはまったく違う形で保存されていた。
なんと、オーディオCDから再生する音声データ、いわゆるピーガガが入っていたのである。ユーザーはCDラジカセなどでそのデータをテープに録音し、データレコーダーから読み込むのである。これこそ真のマルチメディアというべきだろう。いやはや、電波新聞社もまったくもって粋なことを考えてくれたものだ。
私はMSXの外部記憶媒体はテープとFDしかないと思っていたのだが、実は他にもあることが件の後輩が証明してくれた。なんと、MSX用のSICIボードがあるらしいのだ。ということは、MSXにハードディスクが接続できるということになる。
そして、2GのハードディスクをMSXにつないだらしい。まあ、ここまではいいとしよう。問題はそのあとである。
なんとMSXは32M以上の領域を持つパーティーションを認識してくれないのだ。窓95でさえ古いバージョンは512M以上のパーティーションを切ると認識してくれないという現象が起こる。ましてや、MSXというのはハードディスクなんてない時代に考案された規格である。むしろ32Mも認識してくれるだけでもありがたいと思うべきかもしれない。
2Gというのは2000M…ということは2000÷32=62.5でなんと都合63個ものパーティーションを切ってやらなければいけない計算になる。いやはや、果てしない話である。
実際は三つほど32Mで切って置いて残りを他のWinマシンで使用することにしたようだが、いったん63個のパーティーションを切っていたため領域の開放が非常に手間だったそうだ。
もし、場末の中古ショップなどでMSXを見かけたなら、それは非常に貴重なものであるから迷わず購入して、そして、大事に使ってやって欲しい。
骨董品だなどとあなどるなかれ。MSXはあなたの知的好奇心をおおいに満たしてくれることだろう。 |