パソコンよた話 〜インターネット上のタワケ者〜

パソコンよた話 〜インターネット上のタワケ者〜

 今回のお題は、パソコンからやや離れることになるが、インターネットである。あと、多少お硬い話になるのを覚悟していただきたい。
 ここを見ている諸氏はそもそもインターネットとは何か理解しているだろうか? かくいう私自身理解しきっているとは言い難いのだが、いわゆる一般ユーザーよりは詳しいという自信はある。
 一応、最低限の説明だけしておこう。もともと internet とは直訳すれば相互ネットワークやネットワークの内側といったような意味となる。ようするに、インターネットとは小さな規模のネットワークをたくさん寄せ集めて作ったネットワークのことだ。詳しいことはこちらでも参照していただくとして、今回理解しておいてほしいのはその仕組みではなく特性である。
 昔のコンピュータネットといえば、センターのホストマシンに各ユーザーが接続してホストマシンとユーザーの間で情報のやり取りをし、ユーザー同士のデータのやり取りは一旦ホストマシン内で処理されてから各ユーザーに送信されるという形式のものがほとんどだった。
 ところが、インターネットでは明確なホストマシンというものが存在しない。だから、ホストマシンの能力に制限されず簡単な登録をするだけでどんどんネットワークを拡張することができる。インターネットが爆発的に普及した原因はこの、拡張性にあるといっていいだろう。
 その反面、管理するためのホストが存在しないため誰が何をしたかというのを監視することが困難となる。できないというわけではないのだが、日本国内だけで2000万人近いといわれるユーザーの数を考えると、そのすべてを監視するというのは事実上不可能に近い。

 だから、インターネットという世界はほとんど無法地帯である。これはたとえ国際的にネットワーク犯罪関連の法律が出来たとしても変わらないだろう。

 さて、ここまで理解していただいたところで、本題に入ろう。つい先日、核燃料の事故が起こったのはご存知だろうか? 事故が起こった日の深夜、YAHOO JAPAN の原子力政策関連の掲示板はすさまじい状況にあった。もう深夜だというのに1分に2回のペースで新しい書き込みが入り、さまざまな情報、意見や憶測が飛び交っていた。
 YAHOO JAPANの掲示板は簡単なユーザー登録さえ行えば誰にでも書き込むことが出来る。ハンドルネームはみな好き勝手につけており、本名などの個人情報は表面には現れないし、偽造も簡単に出来る。つまり、書き込んでいる人間が誰かまったく分からないように出来ているのである。もっとも、これはほとんどの掲示板でそうなのだが。そして、閲覧だけなら、それこそインターネットにつなげさえすれば誰でも出来る。

 仮にも核融合研究室の研究生だった私からすれば、書き込み内容のほとんどは憶測によるデマか余計な心配だった。そして、多分に不謹慎ではあるが、第三者の立場から見るとこの掲示板は非常に面白い読み物であった。
 まあ、未知のものに対する恐怖から的外れな発言をしてしまう当事者がいるのはしょうがない。知らないということは不可抗力だから。彼らを嘲笑することは私には出来ない。
 見ていて滑稽なのが、ただ文句だけを書き連ねている非当事者である。私は彼らが無知であることはしょうがないと思っているし、無知であることがイコール馬鹿だとは思わない。だが、無知であることを自覚せずに先走って偉そうなことを言っている人間は馬鹿だと思う。
 この日見かけた馬鹿の中でも極めつけのタワケ者はほとんど犯罪者だった。少なくとも確信犯だった。私は彼のことを私はアジテーター(扇動者)と呼んでいる。
「 ■逃げろ!死ぬぞ!明日の朝まで屋内退避?政府はアホか! 」だの「■明日はパニックだ!■今なら逃げれるぞ!■家族を守れ!」といった過激なタイトルの発言を何度も繰り返し、肝心の発言内容はどこかのニュースサイトのコピー。タイトルだけ変えて同じ内容の発言もあった。
 明らかに読んでいる当事者の不安を煽るだけの愉快犯である。煽らないでくださいと何度も注意されていたが、温厚なものは無視、非難口調のものは馬鹿呼ばわり。このアジテーター君、いったいどういう教育受けてこういうひねくれものに育ってしまったのだろうか。まったく、親の顔が見てみたい。いや、本人に会うのは気分を害するの目に見えてるので勘弁してほしいが。

 まあ、今回の例に限らず、こういうタワケは結構存在する。いわゆる荒らしと呼ばれている人たちである。私には何が楽しいのだか理解に苦しむのだが、彼らは人に嫌がらせをすることを目的にネットに入ってきている。MLになんの意味もないメールを匿名で大量に出してみたり、掲示板で誹謗中傷のたぐいの書き込みを繰り返してみたり。
 ネットへの書き込みを学校のトイレに落書きしているのと同じ感覚でやっているのだろう。経験論だが、そういう連中を非難しても喜ぶだけである。管理権限のない人間のベストな対処方法は無視である。
 また、ネットでナンパなどという危険極まりないことをする輩もいる。(なぜ危険なのかは後述) ネットの知人からの又聞きなので、どこまで本当かは分からないが次のような逸話がある。

 ある日、その知人(男性)がチャットをしているときに、チャットの相手がナンパしてきたらしい。しかも、そのナンパ男は知人のことを女性と勘違いしてたという。
 別に知人が性別を詐称していたわけではない。確かにどちらとも取れるハンドルネームでよく女性と勘違いされていたが。私は実際に彼とは会ったこともある。間違いなく男性である。
 しかし、ネット上でナンパとは間抜けな男もいたものである。(いや、そいつが本当に男かどうかは確かめるすべはないのだが)
 インターネット上のチャットや掲示板に参加するのに個人情報は公開する必要はない。(というより、うかつに公開してしまうと大変なことになる)だから、男性なのに女性のフリをしてチャットしたり掲示板に書き込んだりする人がいる。いわゆるネットカマと呼ばれる人たちである。また、そこまでひどくなくても年齢などを偽っている(もしくは隠している)人は多いはずだ。
 そういう人間がいるかもしれない中で、しかも誰が見ているかわからないチャットでナンパなんて危険な真似は私にはとても出来ない。
 そして、この話には続きがある。ナンパのあまりのしつこさ(男だと言っても信じなかったらしい)に閉口した知人は、そのタワケ者の使っているマシンにアクセスしてWindowsのシステムファイルの位置をすりかえるという強制手段に出てしまったのである。こういうことをされるとWindows95は起動できなくなる。
 断っておくが、このような真似は素人には出来ない。(もちろん、私にも出来ない) また、Microsoft Internet Explorer 以外のブラウザを使っていればそういうことをされる恐れはそうそうないことも追記しておこう。
 かくて、そのナンパ男のマシンは強制再インストールと相成ったのであった。自業自得ではあるが、ナンパ男にとってはいろいろな意味で相手が悪かったとしか言いようがない。

     先日、当の知人に確認したところ『そこまで悪質な罠は仕掛けていない。せいぜいレジストリ破壊』とのこと。また、Internet Explore 以外のブラウザにもセキュリティーホールがないわけではないという話も。まあ、 Internet Explore が群を抜いて危険なのは動かしようのない事実なのだが。

 この手のタワケは、たいてい自分が迷惑行為を及ぼしているという自覚に欠けている。まれに先天的うっかりやさんが我を忘れてはしゃいでいるだけというケースもあるが…。
 また、自分が安全な場所にいると思っている。ちゃんとした知識と権限を持つ管理者にかかればIPアドレスを割り出して使っているパソコンを逆探知される、ということすら知らない。
 インターネットのような公共の場では、責任の所在がない発言はどんなに深刻な内容を持っていても、単なる戯言となる。インターネットのユーザー秘匿性からすると、ほとんどの発言が戯言ということになる。が、もちろんその中に価値のある情報が含まれているのは確かで、うまく活用すれば非常に有益である。
 インターネットの普及はあまりにも急激だったためそのあたりの情報の活用の仕方、情報を取捨選択する方法をわかっていない人が多い。
 だからこそ、いたずら感覚で真実と偽って虚言を吐いたり、情報を悪用しようとするタワケは迷惑なのである。しかも、迷惑を被っている被害者が被害を認識できていない。悪質この上ない。
 私がそのようなタワケを相手にする場合、知らず知らずやっている可能性もあるので、一度は注意する。が、同じことを繰り返すようだとそいつは私にどうしようもないタワケとして認識されることになる。そうなった場合、もはや人間扱いしない

 ここを読んでいる諸氏にそのようなタワケがいないことを祈る。

参考資料
インターネット白書98
YAHOO 掲示板 原子力政策


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