|
先日、大手ゲームメーカー6社(カプコン、コナミ、四角いとこ、セガ、ソニー、ナムコ)が中古ゲームショップわんぱく小僧に対し、販売差し止めを求める提訴をしていた件に判決が下った。判決は、原告であるソフトメーカー6社の言い分を認め、「ゲームソフトは著作権上の“映画の著作物”であり、頒布権は存在する」としたうえで、権利者に許諾のないゲームソフトの中古販売は認められないとする判決を言い渡した。
ゲームの著作権に関しては、昔からいろいろ論議されてはきたが、正式な結論というのは出ていない。ゲームというのは、現在の著作権法が保護している対象としては少々特殊なのだ。
まず、何といってもコピーが簡単であること。これに尽きる。パソコンが普及するようになってから登場しだしたデジタルデータは、まったく同じ物を誰でも簡単に複製することが出来る。当然、ゲームもデジタルデータであるからして、簡単にコピーすることが出来る。
また、今回のポイントには「データは劣化しない」ということもある。パッケージさえ我慢すれば、中古ソフトは新品と何ら変わりがないのである。これはメーカー側にとっては大問題だ。新品に価値がないということになるのだから。
現状を考えると中古販売を根絶することはできないが、新品の売り上げを著しく阻害するレベルのものはある程度規制しなければメーカー側としてもやってなけないのである。
もっとも、今回の判決はまだ地方裁レベルの判決であるので、最終的にはどうなるかわからない。
ユーザー側から見れば、この判決は憂えるべき物のように見える。ようするに、商品が安くで手に入らなくなるのだから。だが長期的な目で見れば、商品が必要以上に安く入手できるということは、実はユーザーにとってもあまりいいことではない。
ゲームの開発にある程度のコストがかかる以上、それに見合った額の収入がなければ、メーカー側が支払われた額に見合った質の商品しか生産しなくなるからだ。
結果として、クソゲー、ダメゲーのオンパレードとなり、ユーザーは真に面白いゲームを入手することが出来なくなる。
コンシューマソフトの中古販売程度ならまだいいのだが、パソコンゲームだとさらに状況は厳しくなる。こちらは正真正銘、エンドユーザーレベルでコピーが出来てしまうからである。フロッピー時代からこの問題は常に付きまっていたのだが、法的にはまったく整備されていないため、メーカー側がコピープロテクトなどの自衛手段を講じるしかなかった。(それもすぐに破られていたが)
昔からのパソコンユーザーなら、ほとんどの人間が不正コピーの恩恵にあずかっているのではないだろうか。いや、不正はしていなくとも恩恵にあずかっている可能性はあるのだ。
しかし、もはや需要がなくなって生産されなくなったゲームを入手するためには中古品を探すしかないという現実もある。また、ゲームに新しさを求めないユーザーにとっては、新品を買わされること=新しさを抱き合わせで売りつけられている、とも考えられるのだ。
またゲームの中古市場は、ユーザーは、どんなに大手メーカーが作ったものでも、クソゲーは即たたき売るし、誰も買わない。そういうゲームは二束三文で売り買いされる。逆に、面白いゲームはいつまでも遊ばれ続け、いつまでたっても値崩れすることはない。ユーザーの評価が、もっとも公平で正確にあらわれる場所なのだ。売るために美辞麗句しか書かない、ブームが過ぎ去ればもはや見向きもしないゲーム雑誌とは違う。いや、すべてのゲーム雑誌がそうだというわけではないが。
中古市場そのものは存在に意義があるのだ。
しかし、不正コピーを前提に成り立っているような悪質な中古業者も存在する。発売直後のゲームソフトを異様な高値で買い取りをする中古メーカーがそれだ。一部の悪質なユーザーは新品でソフトを購入し、買ったその日に不正コピーを行い中古販売店に持ち込む。発売日から日が経っていなければ、高価買い取りをするメーカーはこのようなユーザーを助長しているのである。
発売日の次の日に割安の中古ソフトが店頭に並んでいたら、たいていのユーザーは新品ではなくそちらを買うだろう。これはメーカーにとって大問題である。
例えば、定価10000円のゲームがあったとしよう。悪質な中古メーカーが発売日当日に7000円でそれらのゲームを買い取って8000円で販売したとする。そして、悪質なユーザーによって30本のソフトが持ち込まれたとしよう。
悪質なユーザーは10000円のソフトを買い7000円で売却する。つまり、7000円得しているわけだ。中古ソフトを買ったユーザーは10000円のソフトを8000円で買うのだから一人頭2000円得している。そして、中古販売店はリベートを1本頭1000円得ている。それらの得の合計=メーカーの損というわけだ。
この場合、もっとも悪いのは不正コピーを行った悪質なユーザーである。しかし、彼らを摘発しようとした場合、警察は非常なまでの努力を必要とするだろう。なにしろ数が多い。そして、根絶やしにすることは不可能だ。そうなると、摘発されるべきは中古販売店となる。この中古販売店が法的に保護されてしまうと…。
ゲームが電子情報である以上、時間が経過すればその価値が劣化してしまうのは仕方がない。が、同時にゲームが著作物であることも確かである。現状では電子情報の著作物に対する法が、ほとんど整備されていない。
業務用のソフトウェアなどは、使用するライセンスに対し金額を支払うという形が取られている。CD−ROM1枚に対して価格がつけられているわけではない。だから、コピーをとっても、ライセンス料金さえきちんと支払っていればそれは不正コピーにならない。しかし、一般の商品にそのような概念が導入されるのは、まだまだ先の話になるだろう。
何にせよ、求める価値に応じた対価を消費者が支払い、需要と供給のバランスによって価値が変動するのが健全な市場のあり方というものだ。第三者が労せずして供給を著しく増大させるような真似はしてはいけない。それは犯罪だ。
これは筆者の知人の提案であるのだが、発売日から一定期間は中古品の買い取りを禁止するというのはどうだろうか。
たとえば、RPGの場合、ゲームそのもののブームはせいぜい半年程度しかない。ブームを過ぎてしまえば中古品として出回ってもメーカー側にもほとんど影響はない。これなら、ブームが過ぎて需要が減ってからのコストパフォーマンスの悪い小規模の再販要求に応じる必要がなくなる(いや、なくなるわけではないか…)ので、かえってメーカー側も楽になるかもしれない。
途中でも述べたように、中古市場そのものには存在意義があるし、認められてしかるべきだ。
|