聞いた話であれなのだが、先日遊戯王TCGの限定カードがインターネットオークションでン百万というべらぼうな値段で出品されたという話があった。TV番組で取り上げたらしいということだが、どうしてたかが一枚のカードにそれほどまでの値がつくのだろうか? 某番組で放映されていたというあれはオークション開始価格で実際の落札価格は225万だっとかなんとか。ほんまにそんな値がついてるのかどうかYahooオークションのTCGのところを覗いてみたところ、あるわあるわ。これならいけると踏んだのか出品価格百万円級の品がぞろぞろと。まあ、落札希望者がいるものに限ってみても最高価格が40万円(2000/9/6 14時現在)。参考までにMagic: The Gathering とポケモンTCGも見てみたがさすがに40万という額は破格のようだ。
まあ、どうして遊戯王TCGだけこんな額がついてしまうのかは大体理解できる。結論から言ってしまえばやることがあこぎなのである。
コレクターという種類の人間の情熱はすさまじく、切手一枚にン百万円級の金を出す人というのは昔からいた。そういう観点から見れば遊戯王TCGの一件も納得できないことはない。たかがカード一枚にと思う人もいるかも知れないが、それがコレクターの価値観なのであってあなたがどう思おうともそれは覆しようがない事実だ。理解できなくてもそーゆーものだと納得するしかない。
ただ、コレクターがいかにブルジョワだとしても遊戯王TCGだけ法外な値段がつくことの説明にはなっていない。世界レベルで浸透している Magic: The Gathering にしろ、米国で大ブレイクし今や反日感情の象徴になっているポケモンTCGにしろ、ここまで法外な価格のつくカードはそうそう出てこない。
その違いを考察する前に、ちょっとトレーディングカード(以下TCと表記)というものについて触れてみよう。
TCという名前が日本で広まったのは比較的最近の話だが、もともとTCと似たようなものはたくさんあった。ビックリマンシールや仮面ライダーチップスなどという名前を聞けば、「ああ、あれか」となっとくする人も多いはずだ。ようするに、買って開封するまで中に何が入っているかわからないコレクション用のカードをTCというのだ。
ダブったカードを自分が持っていないカードと交換(トレーディング)することからTCと呼ばれているわけだが、トレーディングする相手が都合よく欲しいカードを持っているとは限らないし、そもそもトレーディングをする機会のないコレクターもいる。そういったコレクターはトレーディング専門店に行き要らないカードを売り払い欲しいカードを手に入れることができる。そういった店に行くと本来購入前には中を見ることのできないカードが一枚一枚ばら売りされている。アメリカではけっこう古くからトレーディング専用の店があったようだ。日本では Magic: The Gathering が流行しだして以降、そういう店ができ始める。
さて、それではカードの価格を決める基準とはいったいなんだろう? それはカード自体の価値とレアリティである。
カード自体の価値とは、たとえば有名なイラストレーターの絵であるとか、人気のある選手の写真であるとか、きらきら光る特殊加工がしてあるなどといった付加価値のことである。また、TCGの場合はゲームとして遊んだときに強いかどうかもカードの価値判断の基準となる。
レアリティとはそのカードの珍しさのことである。コレクターという人種が珍しいものを集めることを至上とする以上、レアリティの高いカードは自動的に価格も跳ね上がる。普通のTCでは最もレアリティの高いカード(レアカード)はレアリティの最も低いカード(コモンカード)十数枚に対して1枚くらいの割合で存在する。
さて、ここで本題に戻る。遊戯王TCGのカードが高騰する原因はいくつかある。まず、ゲーム自体が大雑把で強いカードは誰が使おうと文句なく強いということ。他のTCG、たとえばMagic: The Gatheringの場合、レアカードは特化された効果を持つという側面が強い。使い方次第で非常に強力な効果を発揮するものの、それが自分の得意とする戦法でなかった場合ほとんど役に立たない。故に、人によってカードの価値に差が現れ猫も杓子も同じカードを欲しがるということはあまりない。が、遊戯王TCGの場合は、原作が子供向けマンガであるせいかカードの優劣が単純明解でため誰もが同じカードを欲しがる。結果として一部のカードの価格の高騰を招くのだ。
そしてもっとも問題なのがレアリティの調整。遊戯王TCGの原作には「世界に4枚しかないカード」が平気で登場し、それがゲームに問題なく使用できたりする。普通のTCGではそんなことはありえない。そのレベルまでレアリティが上がってしまうとゲームととして遊ぶ上で有害なので、ものの役に立たないかゲームには組み込めないのが普通なのだ。
ところが、遊戯王TCGは実際にそれをやってしまったのである。件のン百万円の値がついたカードはオフィシャル大会の上位入賞商品として配られた非売品カードで、世界に数枚(オークション出品者の言葉を信じれば6枚)しかない。しかもそれが普通に使えてしまうというのである。そりゃあ、売りに出せば法外な値段もつきますわな。
で、最初の結論にもどります。こんなとほうもないカードを作った責任はどこにあるのでしょう? それは販売元です。デザイナーではありません。あまりにもうかつというか、あこぎというか。これだけ話題になってるのだから宣伝効果は確かにすばらしいものがありますが、悪いほうに認知させてどうするよ(笑)
遊戯王TCGをゲームとして楽しませようと考えていれば、こういう真似はできないはず。なんですが、金もうけのためならそんなささいなことは無視されてしまう。ああむなしいかな資本主義。こういうあこぎな企業に躍らされているに過ぎない。そうとわかっていても単なる紙っきれに勝手に価値を付けて大枚はたいてしまう。ああかなしいかなコレクター。
TCにはまって身を滅ぼすほどカードに金をつぎ込んでしまうことをカード破産といいます。みなさん、そうならないように注意しましょう。
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