TRPGコラム 〜ダイスとルールのお話〜

ダイスとルールのお話

 TRPGをするときに、ダイスは欠かせない。一部例外はあるものの、ほとんどのシステムはダイスを使って何かしらの判定をする。
 また、システム設計に当たって留意しなければならない点に、事象の再現性がある。
 例えば、レベルが上がればあがるほど紙一重の勝負になるようなルールを作るときに、レベルの個数だけダイスが振れる無限上方ロールは適さない。ばらつきがあまりに大きいからだ。このようなルール技術があって偶然が重なればどんな事でも出来るような事象の再現に適している。
 たとえば、ソードワールドだと、6面ダイスを2個と技能レベルと能力値ボーナスの和を使って判定する。(以降6面ダイス2個のような表記は2D6のように略す) 高い値の方がよいというルールになっている。また、同じD6の和を使用するGURPSでは、3D6のうち低いほうがよいというルールになっている。
 あるシステムがどのような再現性を持っているかを調べるには、どの値がどのくらいの確率で出るかを計算する必要がある。これをグラフ化したものを、ここでは確率分布と称することにする。(数学用語での確率分布とは多少意味が違うが、便宜上こう称する)
 では、代表的な4種類のダイスロールについて特徴をまとめてみよう。

ダイスを一つだけ使用する
 ロードス島戦記RPGや指輪物語などで使用されているシステムだ。
 ほとんどの場合、%ダイス、すなわちD100を使用する。期待値などの算出が直感的に分かりやすく、エンドユーザーにも見ただけで理解できるため結構使われている。が、ダイスが特殊で手に入りにくいといったデメリットもある。
 出目の確率分布は一様で平坦。わかりやすいが、その分面白み?にかける。

出目の和を使用する
 ソードワールドやGURPSなどに見られる、もっとも多用されているパターン。多用される理由は何と言っても計算が単純で分かりやすいこと。足し算なら誰でも出来るから、ルールがあまりややこしくならない。ただし、%ダイスに比べれば予想期待値の算出などが多少複雑になる。
 出目の確率分布は期待値に近い値が一番多く、極端な値ほど少なくなる。また、ダイスの種類や数を変化させることで、さまざまな分布曲線を出すことが出来る。ただし、どの分布曲線も期待値を挟んで左右対称になる。
 例外として、振り足しシステムがある。出目が特定の条件を満たせば、振りなおして今の出目にさらに加算することができるというルールだあ。無限に大ききな値を取り出すことができるが、ダイスの数が増えれば増えるほど計算がややこしくなっていく。この場合、分布曲線は左右対称にはならない。また、期待値も算出できるとは限らない。

出目の積を使用する
 数は少ないが、ウィッチクエストなどいくつか採用例がある。少々計算がややこしくなるのと、出目の確率分布に不自然な偏りが生じるためあまり使われていない。が、反面少ないダイスで大きな幅の出目がでるという利点もある。
 確率分布は、小さい値ほど細かく、大きい値になると粗くなるが、大きい値にも偏りが生ずる。

条件を満たす出目をカウントする
 シャドウランや天羅万象などに採用されている、ダイスをたくさん振り、その出目の中で特定の条件を満たす出目ダイスの数ををカウントするというシステム。  計算をしなくてもロールの成功失敗がはっきりするのでわかりやすいと言えばわかりやすい。が、たくさんのダイスを用意しなければならない割に出目の幅が狭いと言うのが難点。
 確率分布は出目の条件により変化するが、正規分布に類似するような分布になる。

 だいたいにおいて上記の4パターンに分類することができる。使用するダイスや、特定の条件下での振り足しなど、出目の選択等それぞれに様々なバリエーションがある。
 自作ルールを作る際には、上記の特徴を理解しておくといいだろう。再現したい事象をもっともシンプルな形で表現できるようなルールを追求することが、システムを設計する上で非常に重要なことだからだ。
 ばりばりの理系である筆者はシステム設計に当たって、必ず確率分布と期待値は算出することにしている。もちろん、確率分布や期待値をいちいち算出せずともシステムを設計することはできる。が、それではテストプレイを行うまでバランスがわからないなどという事態になりかねない。
 振り足しルールの場合などは、確率分布を算出するのは非常に困難となる。筆者の場合、そうでなくても確率分布の算出にはコンピュータを利用する。プログラムを組んでやるば複雑なシステムも正確に確率分布を算出することができる。

 期待値算出のプログラミング手法は、出目のすべての組み合わせについて値を計算するものと、ランダムロールを平均値が安定するまで繰り返すものの二種類がある。
 前者は正確な期待値と確率分布を算出することができるが、振り足しを使用するシステムには使用できない。そういうときは後者の手法を利用する。
 振り足しシステムも漸化式を使用した数学的帰納法によって期待値は算出できることが多い。が、値の確率分布は無限に近い回数ロールして統計を取る以外に有効な方法はない。実際に平均値が安定するまでサイコロを振るなどという単純作業はコンピュータでも使わないとやっていられない

 実際、どのようなルールを作成するかはシステムコンセプトと照らし合わせて試行錯誤するしかないのだが、上記の事項があらかじめ理解できていればシステム設計は非常に楽になるだろう。



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