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ハンセン病問題における患者の権利の確立に向けて(前号の続き)
ハンセン病国賠訴訟西日本弁護団 小林洋二
ハンセン病問題における患者の権利(続き)
らい予防法廃止、熊本地裁判決によって、日本のハンセン病政策が転換したことは確かです。しかし「患者の権利」の観点からみた場合、未だに、非常に特殊な制約が課せられている状況だと言わざるを得ません。
その制約は、ハンセン病患者・元患者が利用できる医療機関が、事実上、ハンセン病療養所に限定されているという点に端的に現れています。入所者には国民健康保険法の適用が除外されているため、療養所あるいは委託治療先以外の医療機関を利用する場合、自由診療とならざるを得ません。また、退所者は、元患者であることが知られることを恐れ、療養所以外の一般医療機関への受診を躊躇せざる得ない状況です。
利用できる医療機関が限定され、他の選択肢が存在しない状況では、患者はその医療機関に全面的に依存することになります。治療方針に納得できなくても従わざるを得ません。医療水準は低下し、医療過誤は頻発するでしょう。「お任せ医療」は患者の権利侵害の温床なのです。
このような状況を打破するためには、在園者・退所者が一丸となって、ハンセン病問題における患者の権利を確立していく必要があります。
医療協議の当面の課題
以上のような観点から、私は「医療選択権・医療参加権の確保・充実」を医療協議の優先的課題の一つとして考えています。
従来、療養所の医療体制については医師・看護婦などの人員確保を重点的に要求し、一定の成果を上げてきました。もちろん、このような取り組みは今後も重要です。しかし、患者の権利を確立するためには、それだけでは足りません。
昨今の医療事故頻発を踏まえ、医療事故防止はいまや厚労省の政策目標の一つになっており、各療養所には医療安全委員会が設置されています。職員からはヒヤリ・ハット報告が集められ、事故が起これば原因が分析され、再発防止策が講じられているといいます。しかし、例えば「トイレの中で倒れ朝まで放置された」といったような事案が、きちんと事故として認識されているのか、どのような再発防止策が講じられているのか、私たちの眼には見えません。安全管理体制に患者側が参加し、その意見を反映した安全対策が講じられてこそ、安心して過ごせる療養所が実現するはずです。
また、療養所入所者が一般市民と同様の医療選択権を行使しうるよう、健康保険への任意加入を検討すべきです。それと同時に、療養所外でもハンセン病患者・元患者が安心して受診できる医療機関を確保する必要があります。これによる療養所の医療レベルの低下を心配する方もいるようですが、それは平成一三年一二月の基本合意によって許されません。療養所医療の充実は医療選択権の放棄と引き換えに実現されるべきものではなく、その獲得と並行して実現されるべきものです。
厚労省との医療協議に臨むにあたって、在園者と退所者とが十分議論し、お互いの立場の違いを認識した上で団結しなければなりません。ここに示した愚見が、その議論の叩き台になれば幸いです。
以上
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