| 『真の人間回復を』 熊本で判決三周年集会 国の隔離政策を違憲とし断じたハンセン病国賠訴訟の熊本地裁判決から三周年を 記念した集会が、五月十五日、熊本市水前寺江津湖公園で開かれた。今年の集会の テーマは「ふるさとに帰りたい」−今こそ壁を壊す時−真の人間回復を目指して。 主催は全原協、全国弁連、そして全療協の三団体。生憎の雨の中、全国から 入所者、退所者、支援者ら約三百人が参加した。 野外集会は午後三時過ぎ開会、原告団を代表して西日本原告団副団長の志村康さんが 「判決の精神を社会の隅々に行きわたらせるまで人間回復の歩みはやめない」と 開会宣言をし、全員で黙祷をささげました。 次に、主催者を代表して全療協会長の曽我野一美さんが「最初に提訴した九州の 十三人と寝食を忘れて活動してくれた弁護団、そして全国の支援者など、集会が 開催される源になった多くの皆さんに感謝する。国が控訴を断念したあの喜びを 胸にさらなる人間回復に取り組もう」と訴えた。 続いて来賓として、ハンセン病問題に関する検証会議副座長の内田博文(九州大学 法学部教授)、映画監督の中山節夫、地もと国会議員の松野信夫(民主党)の各氏 からそれぞれ支援と激励の挨拶があった。 西日本訴訟弁護団代表の徳田靖之弁護士は「宿泊拒否は、差別・偏見が今なお 根深く残っていることを教えてくれた。入所者自治会や原告団への中傷など 二重差別構造もある。怒りと共感をもって、残された課題に取り組もう。」 と基調報告を行った。 宿泊拒否事件を起こしたホテルを経営するアイスター社を旅館業法違反で 行政処分した熊本県の東明正健康づくり推進課長「本年度から恵楓園で入所者と 市民が気軽に触れ合える訪問事業を行う。市民一人ひとりが人間回復を身近に 考える機会にしたい。」と再発防止を誓った。 次に、全療協菊地支部長の大田明さんが宿泊拒否事件について報告した。 太田さんは「かつて経験したことのない悪夢の毎日であり、差別の連鎖ここに 極まれリという状況であった。しかし励ましの電話や手紙も三百件を越え、 事件を通して多くの教訓を学び取った。事件発生は不幸だがハンセン病問題を 社会につきつけた。事件をさらなる啓発の好機ととたえ、当事者の手で偏見・ 差別の打破に向けて、社会の扉を開きたい」と決意を述べた。 会場には、五月二十日付での解雇通告を受けた「アイスターレディース宮殿 黒川温泉ホテル」の従業員十八人も参加、同労働組合分会長の永野弘行さんが 「宿泊拒否問題と廃業、従業員の解雇は全くの無関係である。廃業は経営の 放棄であり、従業員に対する人権侵害である。不当解雇に断固反対する。」 と支援を訴えた。 大田支部長は永野分会長に「最大の被害者はホテルの従業員である」として 恵楓園入所者からの支援カンパを手渡した。 最後に、弁護団の八尋光秀弁護士が集会の意義を総括し、 集会は午後四時三十分閉会した。 集会に先立ち、県内最大の強制収容だった「本妙寺事件」(1940)の舞台と なた花園の同寺参道で鎮魂の火が採火され、弁護団、菊池恵楓園職員、 熊本県立大学、大分、熊本の支援する会の有志ら二十六人による 「人間回復アピールマラソン」が市街で繰り広げられ、水前寺会場までの 9.2キロの道のりを二本のトーチをかかげながら駆け抜けた。 また、会場ではデメール男声合唱団のリードによる「ふるさと」を全員で合唱した。 引き続き、午後六時より会場を市内のニュースカイホテルに移し「記念レセプション」 を開催、歓談しながら各園の出し物で夜八時ますぎまで賑わった。 |