秋山徹也の音楽に対する考え方

 

 これまで私は、音楽学を専攻した後、教育・研究用レコ−ディングスタジオに勤務するかたわら、大学(含:一般教養)・高校・音楽専修学校・ソルフェ−ジュ専修学校・楽器店系音楽教室などさまざまな街の教育現場で多種多様な生徒を対象に、ソルフェ−ジュ・ピアノ・音楽史・音楽理論など、音楽(基礎)能力全般の指導に携わってまいりました。この間、のべ414人ほど(2009年3月現在)の音楽学校受験のお手伝いもしてまいりました。またこれらの体験を基に、ソルフェ−ジュの教材を共著で作ってみたり音楽史の文章を執筆したり音楽書の翻訳なども行いました。PTNAピアノコンペティションの審査やピアノステップのアドヴァイザ−に参加させていただいたりもしました。さらに1995年以降、音楽大学入試問題集・音楽高校入試問題集(音楽之友社刊)の解答・解説作成などを通じて、全国の音楽学校入試の実状についても触れてまいりました。

 音楽能力の総合的な訓練は必要です。音楽学校にも基礎能力訓練科目として、楽典・聴音・新曲視唱・初見視奏などの名目で入学試験に課してあります。しかしこれまでの体験から、これらの内容にとどまらず(というよりもっと本質的な内容で)より多くのさまざまな訓練をすると、すべての音楽指導にとても有効であると強く考えるようになりました。ピアノをはじめ専門教育において、自ら音楽をつくることのできる解釈力・音楽構成力の育成は、音楽基礎能力の総合訓練でこそ体得できるものであると考えるようになったのです。この具体的な方法は、数々の現場を体験できたおかげで、私なりになんとなく把握できつつあります。これを社会に還元しようと、音楽(基礎)能力を総合的に訓練する教室(秋山徹也音楽研究所)を20世紀末に主宰しはじめました。当初は「ソルフェージュ」主体の専門教室でしたが、近年ではピアノ指導とソルフェージュ指導の2分野を柱とした教室とし、各楽器間の交流を計りながら室内楽指導も積極的に行うなど、総合的に音楽能力を育成する教室に特化しております。2007年からは、PTNAでアナリーゼをテーマにしたステップを始めさせていただけることになりました。

 ピアノでは、基本奏法と音楽性とをバランスよく習得することが重要だと考えております。多様な基本奏法を正しく身につけ 美しくバランスのよい音色表現を可能にすることがまず重要ですが、と同時に音楽総合能力訓練の一貫として、音楽の構造・様式なども習得させ、自力で解釈・表現が可能になるような訓練も早期から同時に行うことも重要だと考えております。中・上級者では、和音進行・構成・様式などの綿密な分析とそれに基づく自立した演奏解釈を指向し、学習者の考えた通りの表現に聞こえているかどうかをバランスや一貫性などから多面的に総合的に自力でチェックしつつ、理論と実際とが一致するように演奏できるようにさせることが重要だと考えております。

 ソルフェ−ジュでは、調性感・和声感・リズム感の十分な取得がなにより重要だと考えます。そのためにはまず、和声進行の明快な曲を演奏したり楽譜にする作業を通じて、調性感・和声感・リズム感をある程度まで自然に感覚的にとらえられるようにすることが重要です。これを一部具現したのが、共著によります全曲伴奏つきのソルフェ−ジュ教材(ステップ・バイ・ステップ ソルフェ−ジュ205 〜きく・うたう・ひく〜 全曲伴奏付き 共著 ヤマハミュ−ジックメディア社刊)です。この教材で、調性感・和声感を自然と有してもらうようにしながら 楽譜の読み書きが自然にできるようになるものと、ある程度確信しています。これをさらに深めて、早期からの和声・対位法の積極的な実習・実践を行うことが重要だと考えております。この訓練によって、暗譜・伴奏つけ・移調奏などの力が総合的につき、楽曲の理解が深まり、最終的には音楽の構成に応じた音楽演奏をできるようになるものと確信して実行しております。

 街の音楽教師として、今後とも多角的に教育現場に携わってゆきたいと考えています。  


 秋山徹也の既刊著作・活動の一部

ソルフェ-ジュ205 〜きく・うたう・ひく〜 全曲伴奏付き (ソルフェ−ジュ教材)

   ヤマハ・ミュ−ジック・メディア社刊(共著1999年)

音楽大学・短大入試問題集/音楽高校入試問題集(楽典 解答解説作成編集)

   音楽之友社刊 (共編1995年〜2008年)

・オ−ケストラのかたち  (見聞塾シリ−ズ 「オ−ケストラの鼓動」の一部分)

   ベネッセ・コ−ポレ−ション社刊(共著1998年)

・はやわかり音楽史    (「聴く音楽史」の一部分)

   音楽之友社刊(共著1995年)

・総合的な音楽基礎指導:実践モデルの提案

   −音楽のしくみを自ら理解して 創作・演奏・鑑賞できるようになるために− (2006年)

   日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究(C)『日本の音楽教育学の再構築に関する基礎的研究』

・音楽研究における、録音・録画スタジオ実践的活用の試み

   東京芸術大学音楽学部紀要 第23集(1997年)

・音楽性を育てるピアノ指導者のための音楽通論研究

   全日本ピアノ指導者協会刊「わたくしたちの音楽」誌(1995年〜1998年 連載15回)

・受験生のための楽典研究 / 音楽通論研究

   全日本ピアノ指導者協会刊「わたくしたちの音楽」誌(1987年〜1995年 連載28回)


自立して解釈・表現させるようにできる系統的指導法

               PTNAピアノ指導セミナ− vol.6 (1999年4月25日)

       PTNAピアノ指導セミナ−vol.29 (2006年4月23日)

 

 

 

 

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