オブジェクトな小話

アジャイルソフトウェア開発エコシステム
ジム・ハイスミス (著), テクノロジックアート (翻訳)
長瀬 嘉秀, 今野 睦 監訳, 株式会社テクノロジックアート 訳
404 p ; サイズ(cm): 21 
出版社: ピアソンエデュケーション ; ISBN: 4894717379 ; (2003/09) 

原書:
Agile Software Development Ecosystems

 

    本書は、アジャイル開発の第一人者である、Alistair CockburnとJim Highsmithがシリーズエディタとなっている、The Agile Software Development Seriesの、日本におけるアジャイルソフトウェア開発シリーズの第三弾です。原書シリーズの第五弾にあたります。

本書はいろいろなアジャイル開発方法論について、その提唱者(アジャイリスト)とのインタビューも交えて、シリーズエディタであるJim Highsmithが自らまとめあげたものです。したがって、単なる寄せ集めの集大成ではありません。各アジャイル開発方法論の概説と事例以外に、インタビューから各アジャイリストの思想(思考)が理解できます。
本書では、以下のアジャイル開発方法論について採り上げています。
・ XP
・ DSDM
・ LD
・ ASD
・ FDD
・ クリスタル
・スクラム
アジャイル開発方法論を「方法論」と称するには、アジャイル開発の焦点である、人、強調、不確実性にそぐわないです。したがって、ASDE(アジャイルソフトウェア開発エコシステム)と「エコシステム」という用語を本書では使用しています。方法論という用語は、「アクティビティ、プロセス、ツール」といった物事のビジョンを想像させます。エコシステムという用語は、いきもの(人)のビジョンと食物連鎖のような相互依存関係を連想させます。つまり、エコシステムという用語を使うことで、組織図というような静的なものでなく、組織のメンバの動的な相互作用に焦点を当てていることを強調しています。また、本書の大きな特徴として、あらゆるソフトウェア開発の組織には、カオーティック(カオスと秩序)があり、予想可能な線形の計画プラクティスと実行プラクティスでは管理できず、成果は予測不可能で、プロセスは再現できないと明示しているところです。このように断言している書籍今までなかったのではないでしょうか。

本書で採り上げられているASDEを利用して成功した組織の事例は、読者の組織へのASDEの導入に役立つでしょう。そして、本書で採り上げられているASDEのよいところどりをして、読者の組織やプロジェクトにふさわしい開発プロセスを構築することを祈ります。



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