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「中国茶」入門(1) 中国茶の分類

 Lefiaの主宰者葦原瑞穂さんから「八宝茶」というのをいただいたこと、中国茶を特集した番組の再放送(NHK教育「趣味悠々」。番組名「中国茶の愉しみ」)を観る機会があったことなどで、「中国茶」をかじってみる(いや、実際にガリッとやるわけではない)ことにしました。

1 「茶」の基本のきほん

 中国のウーロン茶、日本の玉露、インドやスリランカの紅茶・・・・・これらが全く別物であるとお考えの人はいませんか?
 これらは、基本的に同じ「茶」葉で、発酵の度合いによってこうした違いが出てくるのです。それでは、まず中国「茶」の種類から見ていきましょう。

2 中国茶の分類

 中国茶は、一般に6つないし7つに大別されます。

区分 発酵 代表的銘柄 特徴
緑茶 龍井茶、碧螺春 生産量が一番多い
白茶 白毫銀針 高級品
黄茶 弱/後 君山銀針 高級品
青茶 安渓鉄観音、凍頂烏龍茶 日本では最も有名
紅茶 キーマン紅茶 世界中で飲まれている紅茶の原点
黒茶 普洱茶 やせる効果に注目が
(花茶) 各種 茉莉花茶、桂花茶 各種のお茶に花の香りをつけたもの

(1) 緑茶
 お茶は、摘むと葉の中の酵素により、発酵が進みます。
 摘んですぐに「殺青」という加熱工程により発酵を止めてしまうのが、一般に緑茶といわれるものです。よって、無発酵とか不発酵などと表現されます。
 いわゆる日本茶も同じ工程を取るのですが、日本では蒸して発酵を止めるのに対し、中国では釜で煎るのが特徴です。

 浙江省杭州西湖付近を名産地とする龍井(ロンジン)茶や、江蘇省の太湖(東及び西洞庭山)を名産地とする碧螺春(ピロチュン)が有名。
 製茶法で歴史的に最も古いのは緑茶であり、中国での銘柄数、生産量とも最大なのも緑茶です。

(2) 白茶
  加熱せず、風通しの良い所で弱い日光にさらす「萎凋」(いちょう)という工程を取るごく弱い発酵度の茶。
 福建省でつくられる白毫銀針(はくごうぎんしん)は、白い産毛が特徴的。

(3) 黄茶
 緑茶と同じようにいったん殺青して発酵を止めるが、後に「悶黄」(もんこう)という工程を取って、軽い発酵度に仕上げる。そのため後発酵でかつ弱発酵などと表現されます。
 湖南省の洞庭湖(君山)で産する君山銀針(くんざんぎんしん)が有名。

(4) 青茶
 段階的な萎凋や「揺青」(ようせい)といった工程を経て発酵をさらに促進し、その後に殺青で発酵を止めるので半発酵と表現されます。
 福建省に産する安渓鉄観音(あんけいてっかんのん)、台湾の凍頂山で産する凍頂烏龍茶(とうちょううーろんちゃ)などが有名。

 緑茶は日本茶と混同されがちで、一方、白茶、黄茶は生産量も少なく一般には知られていません。紅茶といえば、インドとかイギリスというイメージがあります。
 そこで、日本では中国茶というと、なんといっても烏龍茶とか鉄観音が連想されます。缶入りウーロン茶の影響も非常に大きいと考えられますね。

(5) 紅茶
 「転色」(てんしょく)などといわれる発酵を促進する工程を取り、逆に、殺青(発酵を止める)は一般的に行なわず発酵を完了させるため、全発酵などと表現されます。
 安徽省き(示+阝)門県に産するキーモン紅茶は、世界三大紅茶のひとつといわれています。

 さて、三大紅茶は、あとインドのダージリンとスリランカのウヴァ。インドやスリランカの紅茶をイギリス紳士が優雅に楽しむ・・・というイメージが強いですね。
 しかし、イギリスへ初めて輸入されたのは中国茶であって、17世紀中頃のこと。インドやスリランカ(当時はセイロン)で紅茶栽培が本格化したのは、19世紀も後半に入ってからです。

 アメリカに移住したイギリス人に対する課税、とりわけ茶税に対する反対運動の中から1773年ボストン茶会事件が起こり、アメリカ独立戦争へとつながりました。
 また、茶の輸入超過に悩んだイギリス東インド会社が、決済する銀の代わりに民間会社にアヘンを密輸させたことから、1839年アヘン戦争につながったことは皆さんご存知のとおりです。

(6) 黒茶
 緑茶と同じ工程を取るが、乾燥の前に、水をかけ積んだまま放置する「握堆」(あくたい)という工程を取って後から発酵させるため、後発酵と表現される。
 雲南省が名産地で、普洱茶(ぷあるちゃ)が代表的。

 かび臭いにおいが特徴だが、年代を経た物ほど珍重され、こうしたビンテージ物になると、かおりも良くなる。
 油を分解しやすいので食事時に飲むと良いとされ、ダイエット効果も期待されています。 

(7) 花茶
 緑茶や青茶に、花の香りを加えたもの。
 日本の中華料理店でもよく供されるジャスミンの香りのする茶は茉莉花茶(まつりかちゃ)。このほか、きんもくせいの香りをつけたお茶は、桂花茶(けいかちゃ)、ハマナスの香りがするお茶は玫瑰花茶(めいくぇいかちゃ)といいます。
 このほか、菊花もよく用いられます。


 お茶の分類で、けっこう長くなってしまったので、お茶の入れ方については次回といたします。

 なお、この辺の記載にあたっては、上記TV番組のほか、布目潮フウ(サンズイ+風)氏の『中国 名茶紀行』(新潮選書)及び『中国喫茶文化史』(岩波現代文庫)、『中国茶図鑑』(共著:工藤佳治・兪向紅。文春新書)、『茶の世界史』(著:角山栄。中公新書)などを参考にしています。