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2001年9月のひとこと書評
(掲示板に書いた文章の転載。評価は★5つが最高)



(016)『70年代カルトTV図鑑』(著:岩佐陽一。文春文庫)

 「読むTV探偵団」という感じで、データとしてはおもしろいんだけど、もう少し文章に「おさえ」がほしい。
 もちろん、こんなこと(←と、一般に思われるようなこと)をほじくり返し、調べ上げ1冊の本にするには、本人の思い入れのたまもの以外のなにものでもないのは百も承知ですが、あまりそれがストレートに出すぎると、読む側はきつい。

★★


(015)『最終戦争論』(石原莞爾。中公文庫)

 中公文庫の『最終戦争論』、読みました。
「いよいよ真の決戦戦争の場合には、忠君愛国の精神で死を決心している軍隊などは有利な目標ではありません。最も弱い人々、最も大事な国家の施設が攻撃目標となります。」
 この一節に、つい先日の事件を想起したのは私だけではないでしょう。

 石原莞爾は日蓮の熱心な信者であり、それに基づき「仏教の予言」といった章を起こしている。で、私は信じておりませんので、議論はどうしてもかみあわないのですが、本の中には、今、私の職場でさかんに取り沙汰されている「燃料電池」とおぼしき記述などもあり、やはり、いわゆる「天才」であると思わざるを得ないように感じます。

★★★


(014)『チベットで食べる・買う』(著:長田幸康。祥伝社黄金文庫)

 さらっと書かれているが中身が濃い。
 著者は10年以上チベットにこだわりつづけ、ここ数年チベットで日本人向けガイドをしているとか。10の知識を13に水増しして1冊の本にしたのではなく、100の知識を「パックツアーで参加する観光客」の視点で10に凝縮した本といえる。
 奥さんがイラストを担当したそうだが、これがまた、いい感じ。

★★★



(013)『顧炎武』(著:井上進。白帝社)

 顧炎武は明末清初の、考証学の開祖といわれる人物。『日知録』の著者で知られる・・・がそんなメジャーな人物でもない。
 そうした人物が堂々と1冊の本になって読めることは非常にありがたいことであり、内容もそこそこオーソドックスである。
 ただ、この著者、どうも地の文と引用文との区別がわかりにくく(出典の明示も不明確)、読みにくいと感じられた点が残念。

★★☆



(012)『お茶からお茶へ、旅から旅へ』(著:伊藤ユキ子。新潮OH!文庫)

 茶館の女性の見事なお手前の描写を読んでいて、あれ?あの写真は?と探してしまった。
 先日読んだ『旅 中国・世界遺産への旅』(01年10月号。JTB)所収の写真
と混同していたのだ。奇妙なシンクロニシティを感じる。
 著者は、無防備に他人(ひと)の善意を信じる人。豊かなみのりにうらやましさを
感じます。

★★☆



(011)『宋姉妹』(伊藤純/伊藤真。角川文庫)

 これを読んで、先日見たビデオ「宋家の三姉妹」がかなり史実に忠実につくられていたこと、そしてキャスティングも実際の風貌に合わせてうまく配されていたなあ、と思った。

★★★



(010)『纏足物語』(著:岡本隆三。東方書店)

 資料的には、なかなか他書に類をみないユニークなものであると思うが・・・。

★★☆



(009)『ものがたり ゆんぼくん』(西原理恵子。竹書房)

 新編集版上下2冊。最近では『どばくちさいゆうき』(かっぱぎ山崎銀玉親方と共著。角川文庫)も読んだ。
 さいばらはうまいなあ。

★★★☆



(008)『仙人の壷』(南伸坊。新潮文庫)

 すっきりした線がここちよい。おすすめ。

★★★☆


(007)『中国ひとり突撃旅行記』(大原利雄。光文社知恵の森文庫)

 題材自体はおもしろいが、文章というか、作者に「品」が感じられない。

★★


(006)『遊心譜』(宮崎市定。中公文庫)

 明治生まれの押しも押されもせぬ御大なのであるが、文章が(新奇な表現をとっているということでなく、こめられた精神が)実に若々しい。

★★★☆ 


(005)『万邦の賓客』(陳舜臣。集英社文庫)

 いろいろな本のあとがきや解説を集めたものなので、やや散漫。特に『故宮』(NHK出版)を読んだばかりだったので、目新しさがなかった。

★★☆


(004)『紫禁城の黄昏』(ジョンストン。岩波文庫)

 訳注とあわせ読むと、彼のエキセントリックな所や「ごまかし」がわかるのだろうが、私にとっては、まだ明確ではない。
 これから、順次他の本などと突き合わせていきたい。

★★★


(003)『三蔵法師』(中野美代子。中公文庫)

 法師と太宗との静かなる「せめぎあい」が興味深かった。

★★★


(002)『鬼趣談義』(澤田瑞穂。中公文庫)

 『中国史談集』はおもしろかったが、これはやや、煩瑣である。「きょう屍」(キョンシー?)のくだりは、おもしろかった。

★★★


(001)『洪秀全と太平天国』(小島晋治。岩波現代文庫)

 太平天国が、少しも平等でなかったことを淡々と描く。陳舜臣さんの小説を読み返したくなった。

★★★☆

 

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