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『中国トイレ旅行記』を読んで

 鈴木了司氏の『寄生虫博士の中国トイレ旅行記』(集英社文庫)、中国、トイレ、この合わせ技では買うしかないでしょう!ってことでさっそく手に取りました。
 なかなか、示唆に富む内容だったので、ご紹介いたしましょう。


1 中国の公共トイレには、扉がないのか?
 私は、まだ中国へ旅行したことはありません。しかし、「中国のトイレは、扉がなくてねえ」という話は、よく耳にします。
 さて、筆者の鈴木氏は寄生虫予防等に関する国際協力に参加されている関係で、これまで中国各地のトイレを何千箇所と見学したそうです。

 で、「中国の公共トイレには戸はふつうはないが、あっても高さは1メートル位だから、しゃがんでいても頭が見え、どこが空いているかはトイレの入り口から一目瞭然だ」(P35)とのことです。


2 中国のトイレは、男女の区別があるか?
 日本は、この点けっこうルーズでしたよね。外国人が驚いたって話も聞いたことがあります。

「中国では男性用と女性用の区別ははっきりしている。男女が共通のトイレはまずない」(P40)とのことです。


3 中国のトイレの男女の区別(表示)は?
 これは、文字かマークかに分かれますね。
 文字では「男厠」、「女厠」と書かれるのが普通なので、日本人ならまず大丈夫だろうとのことです。

 ただ、マークの場合、
(1) 「両方とも黒」で首から上のシルエットの場合が多いので、髪の毛の形や量に注意しなければならない。
(2) 上海市内の四川料理の大きなレストランでは、「男女とも赤」で描かれていた。
(3) 海南省の高速道路のドライブインでは、「男性が赤のズボン」、「女性が青のスカート」だったそうです。

 要は、色で区別しちゃいかん、ということですね。


4 中国でのトイレの名称は?
 もっとも、普通なのは「(ツアオー)」で、あと、公共トイレとしては洗手間、盥洗所が通常とのことです。
 あと、厠牀、厠溷、茅房、茅司、茅坑、行来処、衛生間、浄坊、洗漱間、便池、東司といった名称が紹介されていました。

 また、端的に男(男界)、女(女界)というのもあるそうですが、これはトイレそのものの呼び名というより、そう表示してあることもあると理解すべきなんでしょうね。


5 しゃがむ方式か、腰掛ける方式か?
 
P45に「トイレで腰かけるか、しゃがむかはトルコが境だと言われている」とありました。また、「一般には中国は北方がしゃがむ式で、南方が腰かけ式と言えるかもしれない」ともありました。
  


6 昔ながらの処理方式は?
(1) 穴を掘っただけのトイレ
 「坑厠」という。一般には、土中の微生物で分解させるのだが、肥料として使うことを前提とする中国の場合(基本的に日本も同じですよね)は、「貯留」する点が他の国と違う。
(2) ブタトイレ
 「圂」(こん)という。ブタの餌にする。前漢時代(劉邦とか、武帝の頃ですね)からあるらしい。
 中国から東南アジア諸国に広まったようで、日本でも沖縄や奄美群島、韓国の済州島、ブータン(ダジャレではない)、インド、ネパール、フィリピン等でも見られるとか。
(3) 川トイレ
 東南アジア諸国では多いが、「肥料として活用する」中国の農村では、筆者は見かけなかったとのことです。
(4) 魚トイレ
 ブタトイレの魚バージョン。南方で、養魚池上のトイレを見かけたそうです。


7 「おまる」あれこれ
 杓桶、杓盆、尿桶、褻器、清器、虎子、夜壷、夜浄児、尿瓶、尿壷、便壷、馬桶、馬桶児、馬子、浄桶、便桶、尿盃などなど、呼び名も形も様々なようです。 

 おまるを御虎子と書くのは、漢の時代の李広が、銅で虎の形を鋳造して便器にしたから、と李家正文氏が書かれているそうです。
 李広といえば「石に立つ矢」(ある日、草むらにひそむ虎めがけ、李広は渾身の力をこめて弓をひきしぼり、ひょうと射たところ、みごとに命中した。しかし、物音も身動きもしない。不思議に思い近づくと、それは虎に似た色、形の石であった。「ほう、石にも矢が立つのか」そう思って、同じように射たが、何度射ても二度と突きささることはなかった・・・という話)で有名な、悲運の名将ですよね。

 また、馬桶(マートン)というのは、高さ40センチほどの、真鍮の輪がはめてある木製の朱塗りの桶で、今でも江南地方の古い家では、トイレがなく、この馬桶で用をたすそうです。
 おもしろいことに、この馬桶、かつては嫁入り道具のひとつで、その際、赤く染めたゆで卵を桶の中にいれる風習があり、その卵をもらった娘は早く嫁に行けるといわれたそうです。
 花嫁が投げたブーケを受け取った娘が・・・というのは聞いたことがありましたが、おまるの中の卵ねえ。もちろん、嫁入り道具なんだから「サラ(新品)」なんでしょうが、祖母から母、そして娘に3代伝えた伝統の馬桶・・・なんてのだといやだなあ。


8 トイレの神様
唐の時代の僧侶は、トイレに入る時、鬼を驚かせて追い払うために指を3回はじいてから入ったそうです。

 また、トイレの神様として、「紫姑神」という女性の神様がおり、正月の15日には花を供え、お香を焚いておまつりをするとのことでした。(右図は、その厠神紫姑)
紫姑


9 有料トイレ事情 
 筆者が初めて中国で有料トイレ(中国語では収費厠所)を見かけたのは北京郊外の頤和園で、1987年のことだったそうです。
 最近では有名観光地にはほとんどと言ってよいほど有料トイレが見られ、清潔で個室式になっているので日本人も安心とのこと。

 97年11月の朝日新聞の記事ということで、河南省鄭州市に2階建てでエアコン、シャンデリア付き、接待室ではソファでくつろげ、カラオケも楽しめる超豪華なトイレが作られたが、利用者が少なく、閉鎖されたと紹介されてました。そら、そうやろなあ。


10 何で拭きましょ?
 世界各地のホテルのトイレットペーパーをコレクションしている人がいると何かで読んだことがあります。たしか、共産圏のホテルでは黒っぽくてゴワゴワで・・・とか各国の特徴を述べておられたと思います。

 筆者は、中国では色は一般にピンクで、幅は9センチのものが多く、日本では通常11.4センチなので、わずか数センチの差だが慣れないうちは使いにくいと書かれています。
  それと、中国語でトイレットペーパーは「手紙」と書くので、筆談で「手紙」と書くと照れくさいので、なくなったぺーパーの芯を見せて受け取ったそうです。

 

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