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まずは、『耶律楚材』(集英社文庫上・下巻)などを取り上げてみたいと思います。
(No1)
「おまえは契丹王室の末裔であるそうだ。わしは契丹をほろぼした女真の金をほろぼそうとしている。とすれば、わしはおまえのために、父祖の讐を雪いでやることになるのう。そう思わぬか?」
楚材はチンギス・ハンの声が、垂れた頭のうしろからかぶさってくるようにかんじた。そして心の奥深いところで、それをはね返そうとする強い意欲がわいてきた。
「おそれながら、臣の父祖は、一身をささげて金につかえて参りました。いったん臣となったのに、どうして君に讐をなすことができましょうや」
→上巻P208
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☆ひとこと☆
太師耶律阿海は楚材に
「ハンはそなたのあの答えが、いたく気に入られた。ふつうの人間なら、あそこで、遼のために金を討っていただいて有り難うございますと、ぺこぺこするところだろう」と伝えています。
(No2)
狂気の源泉は権力であったとしかいいようがない。自分の言うことに、誰もが従い、誰もが自分にむかって頭を下げる。その地位をめざしているうちに、正気を失ってしまうのであろう。
→『大平天国』(講談社文庫)第四巻P236
☆ひとこと☆
自由や独立を目指していた筈の革命団体が、権力闘争に明け暮れ、お互いを弾圧し合う。よくある図式です。
北王韋昌輝はにこやかに揉み手ばかりしている人物でしたが、今やライバル達を何のためらいもなく虐殺する、憎悪の怪物に変身しています。
権威に弱い男である故に、いざ権力の座に近づくときわめて残忍になるのでしょう。
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