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それ行け!中華探偵団(4) 「豚児」「図南の鵬雛」
さて、半年以上ご無沙汰してた中華探偵団のコーナーです。
今回のご依頼は、うちのサイトの掲示板の、次のような書き込みによるものです。
豚児って? 投稿者:まいね
投稿日: 4月15日(日)22時08分26秒
はじめまして。ニフティインターネットで紹介されたのを読んで寄らせていただいて以来大はまりにはまって拝見させていただいてます。中国史にお詳しいとお見受けしてちょっと質問させてください。
3月新刊の「読むクスリ29」上前淳一郎(文春文庫)で、「豚児来たる」という話がのっていて、昭和20年ころ、自分の子供を「豚児」と表現して周りの人に受けてしまった話が紹介されてました。結構私はこのことばを気に入っているのですが、豚児に対して、自分の娘を謙遜して言う場合はなんて言ったらいいもんでしょうか? もしご存じでしたらご教授ください。
となんのほうすう? 投稿者:まいね
投稿日: 4月16日(月)10時24分12秒
うちの豚児(^^;)が小学校に入りました。校歌の歌詞が体育館に掲げられていて、暇な入学式の最中、見てました。「図南の鵬雛」なんて歌詞が出てビックリ。小学生に歌わせる歌詞でしょうか(^^;) で、この、となんのほうすうって、なんか謂れのあることばなんでしょうか。(手元の辞書では、鳳は飛び立つ前に南に羽を広げる事から、なんて書いてありましたけど)
1 豚児 >自分の子供を「豚児」と表現
これで思い出したのが、赤壁の戦い以後なかなか孫権に勝てない曹操の「子供を生むなら孫権みたいな骨のある子が欲しいもんだ。
それに比べると、おめおめと投降した劉j(劉表の子)など、ブタやイヌの子なみだ」というセリフ。
〜操、嘆息して曰く、「子を生まば孫仲謀がごとくなるべし。さきの劉景昇が児子は、豚犬のみ」。『十八史略』
>自分の娘を謙遜して言う場合はなんて言ったらいいもんでしょうか?
豚児の同意語の「愚息」なら、すぐ思いつきますが・・・
関係ないですけど、お見合いの席で、自分の娘を謙遜して「ふつつかな娘」と言おうとして「ふしだらな娘」と言ってしまったという笑い話を思い出しました。
冗談はさておき、ご存知の方、どうぞ教えてください。
・・・と書いたところ、お二方から書き込みが。
(1) バルカさんの「ヤートウ」説 >日本では使われない言葉ですが、中国では、軽いニュアンスの言葉で、「ヤートウ」(ヤーは「Y」のような字で音読は「ア」、トウは「頭」)というのがあります。
>ヤーというのはあげまきに結った髪型の事で、転じて女の子や小間使いを指すようになり、自分の娘に対しても使われるのですが、「豚児」ほどの破壊力はないようです(^^;) (2) とびかげさんの「豚女」説 >豚児に対しては豚女(とんじょ)というかもしれません。
>うちの母が昔、中村メイ子さんのトークか何かを聞いたそうですが、その時に
出た話。
>メイ子さんのお父さんは、娘のことを「わが娘、豚女は…」と言っていたそうです。
>不確かな情報ですがご参考までに。 ご存知の方、継続して情報お待ちしてます。
2 図南
>となんのほうすうって、なんか謂れのあることばなんでしょうか
私も「広辞苑」をひくと「(鵬が南方に向かって翼を広げようとする意で)
〜大事業を企てること」とありました。
出典が『荘子』とあったので、さがしてみると、逍遥遊篇に出てきました。
大意を申し上げれば、
「鵬(ほう。おおとり)」という何千里ともしれぬ大きさの鳥がいる。
この鳥がひとたび飛び立つや、ひたすらに南のかなた(南冥。天の池)をめざす。
風に乗って九万里の上空まで舞い上がった鵬をさえぎるものはない。かくして、鵬は、一路南冥をめざすのである(而後乃今将図南)。
セミやコバトは「ニレの梢にとびつくのも大変なのに、九万里も飛ぼうとする奴の気がしれぬ」と鵬を笑う。笑わば笑え。小さな世界に住む者には想像もつかぬ、大きな世界があるのだ。
さて、セミやコバト、又はスズメは鵬の壮大な志が理解できないという辺は、「陳勝呉広の乱」で有名な陳勝が言ったとされる「燕雀(えんじゃく)いずくんぞ鴻鵠(こうこく)の志を知らんや」というセリフを連想させます。
3 鳳(鵬)雛
また、鵬雛という言葉ですぐ思い出すのは、『三国志』における蜀の軍師龐統ですね。
諸葛亮は伏龍(臥龍)、そして彼は鳳雛にたとえられました。
「〜此間自有伏龍鳳雛〜」:『三国志』「蜀書」諸葛亮伝注
小学校の校歌だから、子供たちを、将来、雄雄しく飛び立っていく鵬の雛に見立てているのでしょうね。
豚児の対意語がもひとつはっきりしませんでした。力不足をおわびします。
さて、この話題と同時期に「汗血馬」のことも話題になりました。掲示板ログが消えてしまうのは惜しいので、一緒に記録しときます。
きっかけは、よく書き込みをしてくれる伊勢さんの「地元の新聞で、ほんものの汗血馬の写真が載っていた」というカキコ。
これにとびかげさんが、以下のようなナイスフォローを。
>これでしょうか?↓
>右下の方に汗血馬発見というリンクが張られています。
>(違うでしょうけど)関羽の赤い顔も実は寄生虫で血が出ていた!
> …だったら、ものすご〜く嫌です(^^;)
>http://www.asiawave.co.jp/KANKETSUBA.htm
バルカさんからも、次のような書き込みをいただきました。
>『後漢書』崔イン伝の注には「血のような汗を流すというのは、力を労する(よく働く)という意味だ」とあるので、その時期には既に、実際に血を流す馬であるよりも、イメージとしての名馬になってしまっていたんでしょうねえ(¨ )
関係ないですけど、「カバは血の汗を流す」という言い伝えは、ホント。
正確には、カバが体の乾燥を防ぐために出す油性の分泌物(カバには、汗腺がないので、「汗」は出ない)に、血液中の成分であるヘモグロビンが含まれている。この中の鉄分が酸化して、赤く見えるのだそうです。
決して、「汗血馬」とは、「スマートなカバ」をさすのではありません。(←誰もゆうてへんて、そんなアホなこと)
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