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中国歴史ものビデオあれこれ

「ジョイウォンの水滸伝」

 「アジア映画れびゅう」と「ビデオ、コミック紹介」で取り上げる映画とを、どこでどう線引きするかはなかなか難しい。
 これも迷ったのだが、(リー・リンチェイの映画は、「アジア〜」の方で取り上げたし)実質はどうであれ、古典である『水滸伝』を名乗っているので、中国史部門:「ビデオ〜」の方で紹介することとする。

 原作『水滸伝』は、究極のオムニバス映画のような小説(ある好漢が活躍し、次の好漢と知り合って、今度はその好漢のエピソードに移る)だが、今回取り上げるのは、林冲が悪代官に命を狙われるあたり。

 原作でいうと、林冲の妻が高俅大尉の息子高衙内(こうがない)に見染められる。高俅は邪魔になった林冲を罠にかけて、滄州へ流罪におとす。さらに高俅の命をうけた護送役人が野猪林で林冲を殺そうとした時、魯智深が現れ救う・・・というあたりである。

 魯智深は、脳みそも筋肉でできているタイプとして描かれている。単純粗暴だが、一本気のきわみ。常に怒鳴ってるみたいだが、これが地声。
 初登場のシーンで、杖をブンブン回すと、その風で野次馬たちは後ずさりするし、地べたに落ちた子どもはごろごろ転がるし・・・ってのは笑えた。

 ビデオテープには「ジョイ・ウォンの」水滸伝とあった。
 出演者で一番ネームバリューがあるのが、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」などで有名なジョイ・ウォンだから、このタイトルもやむを得ないと思う。
 しかし、彼女は林冲の妻で、カオ長官のバカ息子(ほんとにバカ)に横恋慕されたあげく、誘惑から逃れようとする拍子に刺されて死んでしまう。事故死みたいな感じで、途中で姿を消してしまうのは残念だった。
 家に遊びに行った魯智深が、林冲に「俺もあんな妻がいたら・・・出家しなかった」と言ったが、本音でしょうねえ。

 林冲は、竹を割ったような魯智深に比すと、「餅をついたような性格」(byつかこうへい)といえよう。
 遵法精神が異常に豊富というか、冤罪で流され命を奪われそうになったというのに法秩序は守らねば・・・とウジウジしていたが、妻が殺された報せ(林冲の弟子チョウが最後、首だけになって手紙を届ける。実はこれも、敵方がわざと泳がせていたのだが)を聞いて、ついに爆発する。
 着火点が高かっただけに、いったん火がついたら、どっかんどっかん止まらない。

 それにしても、敵役のルー(最初の頃は「ええもん」で登場している)が、戦いの最中にやたら冠の乱れを気にするのが、おもしろかった。おそらく、彼の誇り、プライドの象徴なのだろう。
 最後も、林冲の槍で、ピン止めされた昆虫標本みたくなって血を吐きながらも、冠を正して息絶える。
 孔子の弟子の子路は、討ち死にの際、最後に冠のひもを結びなおしてこときれたとかいうが、それをモデルにしてるのだろうか?

 最後にひとこと。この映画、ラストシーンで、出演者の名前を紹介してくれる。どの名前の俳優さんが、どの役をやってるのかわからない例が多いので、こういうのは他の作品でもどしどしやってもらいたい。


(資料)
1993年香港作品

監督:陳會毅

主演:リン・チョン(林冲)→レオン・カーフェイ(梁家輝)、ロー・チシン(魯智深)→ジョ・ガンゴン(徐錦江)、林沖の妻→ジョイ・ウォン(王祖賢)、ルー・チェン→ラム・ウェイ(林威)、カオ長官(高俅)→ラウ・シュン(劉洵)、バカ息子(高衙内)→バル・シン(単立文)、首相→ウー・マ(午馬)、チョウ・ウー→ラウ・チンワン(劉青雲)、山賊ホー→ウェイ・テンチー(恵天賜。この人は、ほんと冒頭しか出てこなかったのだが、ラストの人物紹介のトリだった)

原題:水滸伝之英雄本色 ALL  MEN  ARE  BROTHERS   - BLOOD  OF  THE LEOPARD
★★☆

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