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(No30) 娘との会話 星座&カッパ
さて、娘である。今、中二の長女は反抗期とかで嫁さんとはよくもめている。
嫁さんと娘は、見てると性格が同じなのだ。一種の「近親憎悪」ってやつだろう。
嫁さんに
「お前も、子どものころ、親からこんなふうに言われて、素直にあやまれたか?悪いとわかってても、意地になってたんちゃうんか」
「それは、そうや」
「そしたら、まゆかて一緒やん。性格同じやねんから」
「いや、それとこれとは話がべつやん」
その点、おやじは娘に甘いもんで、まだなついてくれてるというか、けっこうよく話をしてくれる。
娘がクラブの練習で遅くなって、最寄り駅のT駅に着く時間が私と同じ頃になることがたまにある。たいていは、私が家に電話した時に、嫁さんが「まゆもおんなじくらいになるわ」といって、嫁さんがまゆに再度連絡するのがパターンだ。(暗くなった時は女の子なんで、嫁さんが駅まで自転車で迎えに行っているのだ。時間が合う時には、私が嫁さんの代わりに一緒に帰るというわけ)
駅前のコンビニで待ち合わせをして帰る。私が缶チューハイやら末っ子たけし用のポカリスエットをかごに入れていると、娘がポッキーとかのお菓子をすべりこませる。さて、支払をしようとすると、
「お父さん、あんまん買っていい?」
「ええよ、ついでに肉まんも1個持ってきて」
バスケットボールクラブなんで、とにかくお腹がすくらしい。娘と並んで、あつあつのまんじゅうをほおばりながら歩く。
「お父さん、寒かったけど、あったまったなあ」
「おなかの中からなあ」
「やっぱ、冬はあんまんが最高やな。D駅前のコンビニでもよう売れてるで」
「他人事みたいにゆうな。あのきつい坂道のぼりながら、食べてんねやろ」
「ばれたか」(←D駅は娘が通っている中学の最寄駅。学校は駅前から長い坂を上がったところにある。ほんまに食べてたんか・・・)
午後9時過ぎ、ハナの「寝る前散歩」の時間である。ハナにひっぱられながら、またまた娘と並んで歩く。(夜の散歩は、親のどちらか、たいていは私がついていく)
「お父さん、今日は寒いなあ」
「もう、あんまんはないで」
「はははは」
「星がきれいやなあ」
「ごっつまたたいてるなあ」
「あれ、三つ星やなあ」
「あ、ほんまや」
「あれ、めっちゃ明るいな」
「あれはシリウスやわ」
「ふ〜ん。シリウスって一番明るい星やろ。やっぱ、群抜いて明るいな」
「お父さん、どれがリゲルか知ってる?」
「う〜ん。お父さんは生物は強かったけど星座とかは弱かったからなあ」
「うちは星座強いで。あの星、三つ星の右がリゲルや」
「あの青いやつか?」
「そう、そんで左がぺテルギウス」
「あの赤いやつ?で、どれや、プロキオンは?」
「冬の大三角やな。シリウスとペテルギウスで、正三角形になるから、ほら、あっこや」
「があ〜ん。感動やなあ。冬の大三角て、言葉は知ってたけど、ちゃんと見たん初めてやわ」
「せやろ、せやろ。感動やろう?これもまゆちゃんのおかげやで」
「わかった、わかった」
さて、いつまで、こうやって並んで歩いてくれるんでしょうか。
「お前はうちの子じゃない」こんなことは教育上絶対に言ってはいけない。
でも、不思議と言ってしまうのだ。ついつい、おもしろがって。
「そんな子に育てた覚えはない」とか「うちじゃそんな教育はしなかったぞ」と叱るのなら、これはシリアスな話。
そんな真面目な話じゃなくて、子どもはかわいいのだけれど、あんまり安心してもたれかかってるものだから、ひょいと体をかわしたらどうなるだろうというイタズラ心が芽生えてしまうのだ。
私も言われた。私はオーソドックスなパターン。橋の下で拾ったってやつ。親父が釣りが好きだったので、「お父ちゃんが釣りに行った時に見つけた」という修飾語がついていた。
ユニークなところでは「デパートの福袋を買ったら入ってた」というのもあるようだ。自分は、親からどんな風に言われたか、というのをネタにしたマンガがあったから、世間でもけっこうよく言われているのだと思う。
私も昔、娘に言った。お前はカッパの子だと言ったのだ。お前はカッパの国のお姫様なんだと言った。当時、まだ小さかった娘は当然
「違うもん。まゆは人間やもん」と言った。(←そりゃ、そうだ)
しかし、どうにもこうにも止まらなくて、
「そう、確かに今は人間の格好をしている。しゃあけどな、かぐや姫の話、あるやろ。あれみたいに、お前がおおきなったら、頭に皿がでける。そしたら、カッパの国から王様と女王様が迎えに来るんや」
家の前に川が現れて、そこへ大きなキューリでできた船がやって来て・・・とかでたらめを言っているうちにとうとう娘が泣き出してしまって、あわてて
「うそや、うそや。お父さんが悪かった」となだめたのだが。今思い出しても、ほんとにひどいことを言ったなあと思う。
先日、何かのかげんでばい菌でも入ったのか、娘がくちびるをはらしてしまった。 上くちびる、しかもその真ん中のとこがえらく大きくはれてしまったのだ。わかりやすく言うと、上くちびるが「クチバシ」のようになったのである。
朝、起きてきた娘の顔を見て、思わず顔を真っ赤にして、嫁さんと顔を見合わせてしまった。
「お父さん、あの言葉はゆうたらあかんで」
「うっ、あの、一番上に「カ」のつくやつか」
「そうそう。一番下に「パ」のつくやつ」
「しかし、よう似てるなあ」
「あかんて。本人もうすうす気にしてるんやから」
「あれは、病気やのうて、「進化」と違うか」
「あかんて、ほんまに。まゆ、聞いてるで」
「頭のてっぺんがかとう(固く)なったりして」
「朝ごはんにキューリ出したら、怒るかな」
「お前までゆうな」
皆さんは、決して子どもに心ない言葉をあびせては、いけません。(おかげ様で、娘のくちびるはすぐ治りました。でも、ほんと、迎えが来なくてよかったです)
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