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エリート出版社刊の怪著『四遊記』から「西遊記」(王志新・徐建文訳 堀江和正監訳)、やっと最終の第3巻、いよいよクライマックスです。
今回も、今まで通り、まずエリート版で読み進め、ツッコミや疑問点を書き出します。それから、わけがわからん所だけ(全部やったりして)は、太田辰夫・鳥居久靖両氏の訳による『西遊記』(平凡社 中国古典文学全集)を参考にして注釈を付けていきたいと思います。
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第31章は「法師、連環洞の危機」。
ええと、これまで内容紹介をして、迷訳の個所は引用をしていたのですが、今回は全文引用に近くなってしまいます。
「法師と生徒四人は陥空山で別れた。」←学校の遠足やないんやから。
「悟空は師父の命に従ってどこを捜して行きます。」←どこへ行くんやろう?
「怪物がひとついる。両側は一群の小妖が立っているが、風や霧などをさせています。」←何をさせてんねん?(註1)
「法師は悟空に「どんな妖魔だか。」を問われるが、悟空は嘘の皮を答えて言います。
八戒はその嘘の皮を聞きますと、「兄さんはもう食べてしまいましたか。」(註2)と言います。
悟空は「少し食べたが味はあまり塩辛くて、油も濃いですね。あの食べ物はあまり好きではありませんよ。」と話します。
「へ、何言ってるんだい。油と塩が多くておいしてですね。兄さんは私に連れ合って行ってできましょうか。」八戒はその言葉を言います。」←まあ、おおよその内容は想像できますが。
「悟空は法師に見る見るながら八戒に見るも憐れだ。」←ヤクルトミルミル?
「八戒はすぐ駆け足で行きながら体が細る和尚になった。「何を恐れるか。」、「野菜や豆腐やご飯など・・・」あの言葉を言います。」←何か、ダイエットがらみのお話なのでしょうか?(註3)
「「我々は奴を捕っていて、蒸して食べる(註4)欲しい物で、あいつは何を食べるか。」小妖が言います。八戒は実に驚いた場合でも原形に復していた。」
「そして老妖は出撃して、見るからに奇(あや)しき八戒を喝ります。「あいつはなに物だか。」「八戒ぢぢ」は知りませんか(註5)。「来い」と答える。「わっぱ」。」
「老妖は八戒の名前を聞いて法師の肉を食べると思います。これから戦闘を開始する。おにおにしくて激しいです。」
「師父を保護して遠からず行くと原野の中に〜」
「老妖はこれを聞いたとき驚きは如何ばかりであったろうか、それから、法師を〜」←これは別に誤訳ではないのですが、こんなしゃれた言い回し使わんでええから、他の所で「日本語」を書いてくれ、日本語を。
「法師はさっきあの人がわかりました。あ、樵夫ですね。彼の家に老母が待っている。誠に同命あいあわれむ。」(註6)
「悟空の勝になった。師父と沙悟がどこにいますか。馬を急がして荷物を肩に担(つ)んで山の四方がどちらでも見えて捜して呼び出していません。全く知らない。」
「あの先鋒として外に見て「大王、何も恐れることはない。その猪八戒の本領が下手ですが雷公嘴(らこうし)な孫悟空が実に恐ろしい(註7)ものです。」と言います。」
「老妖はどこにも逃げませんから。悟空は棒で老妖を打った。あ、怪物の身元が豹ですよ。(註8)」 「行装を片付けて、師徒たちはぢよぢよに続いてすすみます。あの樵夫は家でお出でお出でします(註9)「あした行きましょう。」と言います。」
「母に山の事実を申し上げ、そして「何もありませんが田舎のお粗末」を法師たちに申し上げます。「お腹がこれから誠に空いたから、粗末な上品なのは構いませぬ、申く下いませんか」八戒はこれを求めます。」
さて、これで皆さんもよくわかったことと思います・・・って、わかるかいな、こんなもん。
そこで、まず、『西遊記』(平凡社)第85回を見ていくことにします。
なお、84回については、エリート版では省略されています。
84回は、国王が突如1万人の坊さんを殺すという願をかけたという滅法国のお話。悟空は、右腕の毛で小悟空をたくさんこしらえ、夜の間に国王から皇后、宮女、宦官に至るまで頭をつるつるに剃り上げてしまう。
「これは僧侶を殺した報いか」と国王、あっさり仏法に帰依し、国の名も欽法国に代えてめでたし、めでたし。
しかし、今までに殺された9996人のお坊さんは、どないなんねん。ま、それはほっといて、85回に行きましょう。
(補注)
ということで、滅法国あらため欽法国の見送りの人々と別れた一行、高い山へ分け入りました。悟空が様子を探ると、妖精たちが懸命に霧や風を吹き出しています。←(註1)
悟空は、今こいつらをやっつけるのは簡単だが、闇討ちじゃ名にかかわると、あの霧は、村人が僧侶に施すために飯や饅頭を蒸す湯気ですと嘘を言います。それで、八戒が、兄貴はもう食べたのか、と聞いたのですね。←(註2)
八戒は、何とかその斎(とき)を先に食べようと知恵をめぐらします。
悟空に「無様な僧じゃ斎をくれんぞ」と言われ、小柄な和尚に化け、お経は知らないので「小児の習字手本の文句」を唱えながら村人(妖怪)の所へ急ぎます。←(註3) 妖精に「きさまら坊主をつかまえ、蒸籠(せいろう)に入れて蒸して食うのだ」←(註4)といわれ、悟空にだまされたことを悟り、本性を現して暴れる八戒。
妖怪の親分にきさまは誰だと聞かれ、「自分のご先祖の猪さまを知らないか!」と八戒が言い返す。←(註5)
悟空の応援を受けた八戒が奮闘し、妖怪を撃退。そこで、妖怪は分断作戦を取り、孤立した法師をさらって、樹に縛り付けました。
見ると、向かいの樹に木こりが縛られています。
法師は取経の旅が、木こりは老母が気がかりだとして、二人は樹上で涙を流します。←(註6)
続いて、『西遊記』(平凡社)第86回で謎解きを。
連環洞を探し当てた三人たち。先鋒の妖精は、妖怪に「猪八戒は、腕前も知れたものですが、おそろしいのは、あの毛むくじゃらの雷公のような坊主です」とご注進。←(註7)
妖怪たちは、結構あっさりとやられてしまいました。南山大王と称する妖怪の正体は豹でした。←(註8)
木こりを助けてやって、立ち去ろうとすると木こりが「どうかわたくしの家においでいただき、お礼いたしたい」と言います。←(註9)
精進料理のもてなしを受け、一行は再び西へ急ぎます。めでたし、めでたし。
第32章は、「悟空は獅精と戦闘」。
これは、原作88回から90回の内容。
いきなり季節の描写。「秋風が吹く、秋湿はだんだん秋めいて来た。もう秋になりましたね。」←そない、秋、秋って言わんでも・・・。
「ここは天竺国の玉華県です。玉華王がいます。老人はこれを言います。」←まるで、初めて英語を習った時の文章のようやな。
一行は、王の宮殿でご馳走になってたかと思うと、王子たちと戦いはじめます。しかし、何やらムードは和やか。やがて、「兵器ら妖精に倫盗(ろんと)をせられて行く。」
(補注)
『西遊記』(平凡社)第88回によると、ここは玉華州といって、天竺国王の宗室が封じられています。
玉華王は法師を宮殿に招きましたが、悟空らを見て妖怪ではないかと心配に。そこで、腕自慢の三王子が戦いを挑みますが、軽くあしらわれ、悟空たちに弟子入りすることになりました。
得物も真似させてもらおうと、金箍棒、九歯のまぐわ、降魔の杖を借りて「型」を取ろうとしたところ、通りかかった妖怪に盗まれてしまったのです。
三人は、竹節山へ。「あの小妖は次第に遠退いていった。三人が相談してその「九霊元聖」は何物だか。みんなは知りませんよ。」
(補注)
『西遊記』(平凡社)第89回によると、武器を盗んだのは豹頭山虎口洞の黄獅。良い武器が手に入ったということで、その小妖は、祝いの宴会の招待状を竹節山の九霊元聖に届けに行くところだというのです。
悟空ら三人は、黄獅を追い散らし、虎口洞を焼き払って、宮殿に凱旋しました。
黄獅は敗れて、老妖にすがります。
老妖らは報復にやって来ました。
「悟空三人は、城門の上に待っている。彼らの真中にいる怪物は九霊元聖だかも知りませんがどうしたらいいだろう。皆はそうと思います。」
「半日ごろ交戦した。晩になって八戒は股が和らんで誘感惑に負けた。」
黄獅はやっつけましたが、法師や国王親子は老妖に連れ去られました。
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(補注)
八戒の負けっぷりは、字面からムフフなシーンを予想してました。
しかし、『西遊記』(平凡社)第90回でも「戦うこと半日、いつか日も西に傾くころおい、ようやく足もともあぶなっかしくなって来た八戒は、まぐわを一つから振りすると、敵にうしろを見せて逃げ出した」とあるだけでした。
どんな原文で、あんな訳になるのでしょう?
悟空は、妖怪の正体が太乙救苦天尊の九頭獅子だということを知って、天尊に助力を求めます。
みんな無事に救出されて、めでたし、めでたし。
第33章は、「三妖怪は仏爺に変わる悪」。
前章でほんの少しもち直したと思ったのですが、この章では再び全文引用状態に。
「三蔵法師四人が〜なんの名が知らない城下(註1)に着いた。」
「僧も師弟に告げるようで「仏爺が現したばかりで、この油がないだ(註2)」。八戒は「仏爺が油を飲(く)んでるしようと思います(註3)」という。」
「八戒は「おかしいな、私はどの仏爺が香油を飲んで聞かない」という。ちょうど、大きい風が吹く。」
「法師は風の中に三の仏爺をみた。それから地面にひざまずくで、法師に「かれは三の妖魔です」という。」
「法師は不愉快で「私は三方仏爺をよくみた。あなたは失礼ではない」という」
「突然、三の妖魔を法師と香油を吹んで行った(註4)。」
「洞のドアがプラと聞いて(註5)から、いくつか牛斗精はでて来た。悟空は大きい声で「私は孫大経です。師父を出し届ける(註6)」という。」
「悟空は気を吹いでチューンを解く(註7)。」←チューン?ネプチューン?
「金星は「それは三つの犀牛精です。かれらは人の肉を食べすぎです」という。悟空は降伏の方を教しえる!」←いきなり「!」使わんように。
「四木金星は三つの妖王洞の中から出てみる。「ばか、失礼しない(註8)」と叫ぶ。」
「悟空は二つの星に「井と角の二つの星海のゆ仁妖を捜す(註9)。」
「三つの犀牛精は慌れて本体が復する。」
「悟空は「二つの活の牛精が金平邸宅へ携帯しれる(註10)」という。」
(補注)
『西遊記』(平凡社)第91回によると、一行は玉華城を離れ五、六日旅を進め、金平府という城下町(註1)に着きました。
元宵(げんしょう。一月十五日)の日、街へ金灯を見に出かけます。千五百斤もの香油が元宵の翌日にはなくなる(註2)と聞いて、「きっと、仏さまが油をもっていっちゃうんだろう(註3)」と冗談を言う八戒。
話をしているうちに怪しい風が吹きはじめました。この風は、仏の降臨のしるしだから、この場を去るのがしきたりですと僧たちは言い、悟空は、これは妖怪ですと言います。
しかし、三蔵は、仏にお会いできるなら、と帰ろうとしません。灯火が消えたかと思うと、妖怪が器に油を入れ、法師ごとさらってしまいました。(註4)
悟空は青竜山玄英洞を見つけ、大声で叫ぶと、門がガラッと開いて(註5)、どやどやと牛の精たちが現れました。「師匠を返せば命だけは助けてやる(註6)」と悟空。
しかし、三魔王に取り囲まれ、仕方なくいったん悟空は引き返しました。
『西遊記』(平凡社)第92回によると、悟空は、「解鎖法」を用い、錠に手をふれて、はずします(註7)。ところが、逃げ出す途中で見つかってしまい、三蔵は再び捕われの身に。
悟空は、太白金星から、やつらは犀の精で、降伏させるには四木禽星が最適という情報を得ます。
悟空はさっそく、四木禽星と共に玄英洞へ。禽星は「業ざらしの畜生め!そこ動くな!(註8)」と叫びます。
四星のうち、斗木獬と奎木狼は法師らの救出に、井木犴と角木蛟の二星は逃げた妖怪を探して海中に潜り(註9)ました。
なお、『新字源』によると、犴は、「野犬、胡地の犬」、獬は、「牛に似た神獣」、また、蛟は「みずち。竜の一種で四足があり、よく大水を起こす」とありました。
三匹の犀の精のうち、一匹は犴に首を噛み切られ、死んでしまいました。悟空は、金平府へ戻り「ほかの二匹は生け捕りにして、ここへつれて来た(註10)」と報告します。
悟空が、にせ仏であることを証明したので、もう、高価な香油を献上する必要がなくなり、人々は大喜びでめでたし、めでたし。
なお、エリート版では、罪を素直に認めない片方の犀を八戒が殺してしまい、生き残った犀は四星とともに天宮へ帰ります。
しかし、『西遊記』(平凡社)第92回では「八戒は急に癪にさわって」二匹とも首を斬ってしまったと書かれていました。ここばかりは、エリート版の方が筋が通っているような。
それと前章の獅子も、今回の犀も、原作では皮を剥ぎ、肉は肉で、みんなで分かち合って無駄なく利用しているようですね。 |
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さて、ますますクライマックスが近づいてきたのですが、ちょっと迷訳のおかげで文章が長くなってしまいました。次回、Part3でフィニッシュとさせていただきます。
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