ハワイアン・マスターピーセス

発売予定日:10月3日(日)
規格番号:OSR-706
定価:2,835円
(税抜価格2,700円)
JANコード:4560132377068
日本のハワイアン・ギタリストの第一人者として知られる山内雄喜。この夏も様々なアルバムやライヴ活動、さらにはテレビ出演と、多忙を極めている彼ですが、いよいよ最新録音のソロ・アルバムがリリースされることになりました。
今年発売されたKONISHIKIのアルバムなどに参加している山内ですが、ソロ名義の新録ハワイアン・アルバムとなると、実は2002年に当社から発売した『スラック・キー・パーティ』(ライス OSR-528)以来で、約2年ぶりとなります。
本作のテーマはずばり<ハワイアンの代表作>。古くからハワイに息づくトラディショナル・ソングからはじまりアロハ・オエに代表されるハワイ王室にまつわる歌、ハワイ音楽の発信源となったハワイ・コールズ、さらにはギャビー・パヒヌイ以降に登場した若手の曲やジャワイアンまで、山内が思い描くハワイアンのそれぞれの時代を代表する曲を、彼らしいアクースティックな演奏で楽しませてくれるといった内容のアルバムです。
アルバムのほとんどは山内1人による多重録音。“ハワイアンの三種の神器”ウクレレ、スティール・ギター、スラック・キー・ギターを中心にしたシンプルな楽器構成ですが、それぞれの楽曲にあわせて多彩にプレイをコントロールするその様は、まさに匠の境地。さらにゲスト・ヴォーカルにハワイアーナの上原まきとアロハ・シスターズの石川優美、そしてパーカッショニストのANNSANも参加。アルバムに彩りを添えてくれました。
極上のリラックス・ミュージックとしても永く親しまれそうなアルバムです。
---収録曲---
1. ハワイアン・パーカッション
2. ヒイラヴェ
〜ヘエイア
〜イア・オエ・エ・カ・ラー
3. オン・ザ・ビーチ・アット・ワイキキ(ワイキキの浜辺)
4. モアナ・チャイムス
5. カウア・イ・カ・フアフアッイ(湧き出る情熱)
〜クイーンズ・ジュビリー
〜アロハ・オエ[vocal:アロハ・フレンズ]
6. トミ・トミ〜パーロロ〜カイマナ・ヒラ
7. イミ・アウ・イア・オエ(貴女を捜し求めて)
〜ケ・カリ・ネイ・アウ(ハワイアン・ウェディング・ソング)
8. ワイ・オ・ミネハハ(ミネハハの滝)
9. フラ・ガール
10. スウィート・レイラニ
〜イン・ア・リトル・フラ・ヘヴン(フラの天国で)
〜ブルー・ハワイ
11. アクロス・ザ・シー
〜ヘヴンリイ・アイランズ[vocal:アロハ・フレンズ]
12. テンプル・ダンス
〜アイル・リメンバー・ユー
13. タハウアラ
14. ハワイアン・ソウル
〜ムーンライト・レディ
15. ハワイ'78
〜クウ・ホメ・オ・カハルウ(カハルウの我が家)
16. ラヴ・コールズ
〜チャチャ・マリチャ
〜ラサ・サヤン
17. ヒイラヴェ(リプライズ)
---解説---
久しぶりに展開される<山内ワールド>
田中勝則
当社で山内雄喜さんのアルバムを作るのは、『スラック・キー・パーティ』(ライス OSR-528)以来、2年ぶりのことだ。本当は昨年もアルバムを作りたかったけど、他の会社のアルバム制作の予定がどんどんと入って、それらが終わるのを待っていたら、知らないうちに2年が経過してしまった。
それくらい、最近の山内さんは多くのレコーディングをこなしている。この夏にも、当社のとは別の個人名義アルバムを出しているし、上原まきとのコラボレートで作られるハワイアーナ・プロジェクトもあった。さらにKONISHIKIのアルバムにも参加したり、アロハ・シスターズにも参加したり…。きっと、1〜2曲参加しただけのアルバムも加えたら、かなり多い数字になるに違いない。
でも、これはぼくがあくまで個人的に考えることだが、こうしてさまざまなスタイルの音楽のレコーディングに関わるようになった山内さんも、他の人が持ち込んだアイディアを山内さんなりにこなしたレコーディングは増えているが、逆に自分でアイディアを搾り出して作ったアルバムは少なくなっているのではないだろうか。山内さんは、すごく良い人だから、断ることを知らない。どんな企画が持ち込まれても、すぐに受けてしまう。そしてそれらを、どれもソツなくこなしてしまう。特に最近の山内さんは、そういったセッション仕事を、以前よりも軽々とこなしているように感じられる。
ぼくはそのことを良いとか悪いとか言っているわけではない。ただ、ぼくはいつも天邪鬼だから、他のアルバムとは違ったアプローチのものを作ってもらいたくなる。だから今回は、そんな最近の山内さんには珍しく、久しぶりに自分のアイディアを搾り出してアルバムを作ってもらうことにした。それも、山内さん本来の姿である、ハワイ音楽にまっすぐ取り組んだアルバムを最初から目指した。
山内さんには、自分の思うハワイ音楽の名曲集を作ってくださいとお願いした。世間では夏になるとハワイ音楽の有名曲を集めたような編集盤がたくさん発売される。それらは、それなりの売り上げを記録しているのだそうだが、でもその内容たるや、いい加減なものがほとんど。本当の意味での名曲名演集かは疑わしい。それなら、ここはひとつ、ハワイ音楽について世界で一番詳しい山内さんが思うハワイ音楽の名曲集を、山内さん自身の思うアレンジで演奏してもらい、録音するのも良いのではないかと考えたのだ。本当の名曲集とはどういうものなのか、お手本を示してもらおうと思ったのである。
そんなわけで、今回の山内さんのアルバムは、これまで当社で作られた他のアルバムとはずいぶん違うものになった。当社の自社原盤は、基本的にプロデューサーであるぼくの色が濃く出たものがほとんど。いつもぼくが陣頭指揮して制作するのだから、それも当然だ。でも、今回の山内さんのアルバムに関しては、山内色を強く出してもらうために、ぼくは出来るだけ制作にタッチしないことにした。最初に選曲の流れを決めるときにぼくも打ち合わせに参加させてもらったが、その後は出来るだけ自分の意見を言わないように務めた。ライスで制作したアルバムの中で、ぼくがこれだけスタジオにも顔を出さなかったアルバムというのも、珍しいだろう。全体の中で、ぼくがスタジオで録音を見れたのは20パーセントくらい。山内さんにはご自分で選曲された曲を、まったく自分のアイディアで録音してもらった。
お聞きいただいてもわかるように、このアルバムではハワイ音楽の長い歴史の中で生まれた名曲たちが、ほぼ歴史の流れの順番に、その音楽の変遷がわかるような形で収録されている。これ自体は選曲段階でのぼくのアイディアだったが、それを山内さんに求めたのは、実は聞く人にハワイ音楽の歴史のお勉強をしてもらおうと思ったからではなかった。当社ではすでに『山内雄喜プレゼンツ ハワイ音楽物語』(ライス OSR-405)という歴史ものアルバムを発表している。ぼくがここで山内さんに改めて歴史ものをお願いしたのは、むしろ山内さんを思ってのことだった。
というのも、山内さんは本来、こういう歴史ものが好きな人なのだ。それは山内さんが所有される膨大なSPやLP、書籍などのコレクションを見せていただけばわかる。世界でこれほど多くのハワイ音楽の音源を所有している人は、他にいない。山内さんは音楽家であるだけでなく、日本を代表するハワイ音楽の研究家でもあるのだ。どんな曲を与えられても引き受けてしまう山内さんだが、そんな気軽な面と同時に、けっこうアカデミックな部分をいつも持っている。そんな研究家としての部分が、ほど良く出たときの山内さんが、一番山内さんらしいと、ぼくはいつも思っていた。
『ハワイアン・マスターピーセス』というアルバム・タイトルは、ぼくがつけさせてもらったが、これもそんな研究家である山内さんに敬意を表してのものだ。最初の時点から、山内さんが思うハワイの名曲集を録音してもらおうというアイディアだったし、事実そのようになったのだから、これはふさわしいタイトルだと思う。こんなタイトルのアルバムを作れるのは、日本で、いや世界でも、山内雄喜しかいない。
そういうわけで、このアルバムは、山内さんとしては久しぶりに<山内ワールド>を全面展開してくれた、いわば原点回帰のアルバムということになるのだと思う。ジャケットでもさりげなく描かれているように、山内さんによるハワイのマスターピース地図完成への旅は、まだまだ完結されたわけではない。これから先も、山内さんは折に触れて、自分にとっての最高のハワイ音楽を目指したアルバムを作り続けてゆくことになるのだろう。このアルバムがそれに向けた一里塚になってくれたらとても嬉しいし、また今後も山内さんのハワイ音楽探求の旅にお付き合いさせていただけるようなら、もっと嬉しい。
山内雄喜のライフ・ワークは、このアルバムからスタートする。
2004年9月13日