分かりきってるプロは書かない一眼レフカメラ入門


サンフランシスコの夜景です

ローマの遺跡が朝を迎えました



〜適当に入賞したりしてる撮影会とかで学んだ知識をまとめたページです〜


話の都合上,銀塩カメラ(35mmフィルム式一眼レフ)でのポジの作り方の話から始めますが,
シャッタースピードや絞り,被写界深度などの話はディジタル一眼レフカメラでも同じ,というより
ディジタル一眼レフカメラを深く理解するには銀塩カメラの知識がメチャ役立つように思います.


ポジって何?

スライドのことです.「リバーサル(reversal)フィルム」というもので撮影すると嫌でもスライドが作れちゃいます.普通のカメラ屋さんで売ってます.コダックなら「コダクローム」,「エクタクローム」のように「クローム」という名前がついています.リバーサルフィルムは普通のネガフィルムより少し高価なだけです.プリントせずにプロジェクタで見てるぶんにはそれ以上のお金はかかりません.カラー写真の最も贅沢な楽しみ方はスライド上映でしょう.メチャ大きくして見れます.ただし30秒以上見てると劣化します(焼けます).これが嫌なら複製を作って,複製で鑑賞を楽しむこともできます.スライドが普通だった当時,プロはオリジナルは大切に保存しておき,講演などでは複製を使っていました. 普通のカメラ屋さんで「(ポジ)デュープしてほしい」と頼めば複製してくれます. 「ダイレクトプリント」を頼めばスライドから直接プリントをしてもらうこともできます.が,本気で銀塩カメラを選び,複製やダイレクトプリントをかなりすると思うときはリバーサルフィルムを使うことに決める前に値段を調べてからにしましょう.ネガフィルムの場合より高価です.



リバーサルフィルムでの撮影の注意点は?

スライド用のリバーサルフィルムは普通のカラーフィルム(ネガフィルム)と比べてラティテュード(露出の許容範囲)が狭く,露出アンダー(露出不足)側に余裕があります.危ないと思うときは, 暗めに撮影した方が安全です. これは普通のネガフィルムと逆です.ネガフィルムでは明るめに撮影した方が安全です.フィルムが暗く仕上がる方に安全側があるという見方をするとリバーサルでもネガでも同じです.

普通のネガフィルムではプリントの段階で手を加える余地がありますが,リバーサルフィルムではシャッターを切った瞬間にすべてが決まります.プリントするなら,リバーサルでも, 普通のカラーフィルム(ネガフィルム)と同じだという人もいますが,そうでしょうか?「ダイレクトプリント」は, 適正な露出が行われていて始めて美しい仕上がりになります.

プリントで救えるというなら,リバーサルフィルムでの撮影を(ポジ)デュープで救うという手段もあります.複製を頼むときに,適当なフィルターを使うようにお願いすれば,カラーバランス(後述)の補正だってできちゃいます.撮影チャンスが2度とない作品を救うには止むを得ない手段ですね.

スキャナで取込んでホームページに貼るという使い方のときは,ネガフィルムでもリバーサルフィルムでも,Adobe Photoshopで補正するという手段もあります.が,シャッターを切る瞬間にベストの撮影を心がけるに越したことはありません.

ホームページに貼る写真の保存形式は"jpg"(ジェイペグ)が普通です.写真ではなく,単純なカラーの図形なら"gif"(ジフ)の方がサイズの小さなファイルになります.



フィルムに書いてあるDAYLIGHTって何?

色温度(いろおんど)が5500K(ケルビン)の光があたってるときに偏りのない発色をするという意味です.色温度(color temperature)というのはカラーバランスを表現する目安で,5500Kは,日中の太陽光に相当します.昼間,普通の太陽光の下で撮影するなら「デイライト(DAYLIGHT)」のフィルムで良いわけです.これが夕方になると色温度が下がって, 全体に赤みがかった写真になります.「デイライト」の他にも「タングステン」というフィルムが売られてて, この場合は3200Kの色温度で偏りのない発色をします. 室内の撮影で照明がタングステンだったりするときに使います. タングステンのフィルムは店頭にないことが多いので, 早めに取り寄せておいて使うことになります.デイライトのフィルムをタングステンの照明で使うと,やたら赤みがかった発色になります.デイライトのフィルムを室内で使うときは, やはり「デイライト」と書かれたハロゲンランプとかを使うことになります.

「デイライト」のフィルムを感光させる光りを補正しちゃおうという目的でシアン,マゼンタと言ったフィルターも売られています.カラーバランスを直すフィルターをLB(ライトバランシング)フィルターと言います.色温度が低い朝夕やタングステンの照明下で「デイライト」のフィルムを使うにはシアンを使います.ケンコー(Kenko)からはC4とかいうフィルターが売られています.蛍光灯で照明された室内での撮影は全体に緑がかりますが, これをフィルターで補正するにはマゼンタを使うことになります.ケンコー(Kenko)からは,蛍光灯下での撮影の色調補正フィルターとしてFL-Wという品が売られています.レンズの口径にあったフィルターを探します.カラーバランスを正確に読む目的でカラーメータという測定器も売られてます.

海や山のように紫外線の多いところの撮影では,青みがかるのを防ぐために,紫外線を除いてくれるUVというフィルターを使います.UVフィルターはレンズの保護を兼ねて常用するのが普通です.やたら明るい太陽の下での撮影のために, 光りを弱めるだけのNDフィルターというものも売られています.

色温度の話はディジタル一眼レフカメラにもあって,設定できるのが普通です.色温度を自動判別するAuto White Balance(AWB)がついているのも普通です.蛍光灯下での撮影も自動補正してくれちゃいます.最後の方で説明する"RAW"で撮影していれば後からの補正も可能です.ディジタル一眼レフカメラの場合はUVフィルターも必要ありません.レンズの保護用のプロテクターだけでOKです.



ISO感度って何?

フィルムスピードです.100でなく400を使えば4倍速いシャッターで同じ露出が得られます.スポーツ写真など速いシャッターが要求されるときや暗い所での撮影には100より400を使うことになります. が, 感度の高いフィルムになるほど解像度(粒子のきめの細かさ)が下がります.見た目で, ハッキリ分かるほどの違いです. 50とか64なんていうフィルムが売られてるのはこのためです. 十分な明るさが期待できる撮影では100,スピードが必要なときは400という使い分けがいいと思います.

ディジタル一眼レフカメラでもISO感度を設定できます35mmフィルム式一眼レフカメラがディジタル一眼レフカメラとの対比で「銀塩カメラ」と呼ばれるのは,ハロゲン化銀を感光主体として使用しているためです.高感度フィルムを使うと銀塩カメラでは粒子が粗くなって解像度が下がるように,ディジタル一眼レフカメラでも400あるいは800などの高感度を設定すると高速なシャッターが切れる分ノイズを拾いやすくなるなどの欠点があります.ハイエンドのディジタル一眼レフカメラではできるだけ低いISO感度を自動で選ばせることも可能です.

ISO感度(ISO speed)は歴史的には銀塩カメラのネガフィルム,カラーフィルム,カラーリバーサルフィルムのそれぞれに対して定めた測定法に基づくフィルム感度の表示です.ASA感度(ASA speed)はISO感度の元になったアメリカの規格で,数値的には同じです.DIN感度(DIN speed)はドイツの規格です.ISO 100/21゜という表示がされるとき100はASA感度に, 21゜はDIN感度に対応してます.DIN感度では数値が3増すごとに2倍の感度になります.200で24゜,400で27゜, 50では18゜だったりします.



ねぇねぇ「一眼レフ」って何?

「一眼」はレンズが1個(single-lens)だという意味です.「レフ」はレフレックス(reflex)の略で,レンズに入射した光りをミラーで反射させてピントグラス(focusing screen)上に像を結ばせてることを意味します.シャッターボタンを押すとミラーが跳ね上がり,絞りとシャッターが指示された露出を行います.ピントグラスとフィルム(あるいは撮像素子)はレンズからの距離が同じになっており,ピントグラスで確認した絵がそのまま撮影される仕組みです.自由にレンズを交換でき,ピントグラス上で構図などを確認して撮影できるところに醍醐味があります.

カメラの画面サイズの横×縦はアスペクト比と言われます.35mmフィルムの場合は36mmx24mmの3:2になっています.パトローネに納められて引き出され,左右に送られる市販の35mmフィルムの上下幅はこの縦幅の24mmを納めて,横幅36mmの像を24枚撮りでは24枚, 36枚撮りだと36枚を横並びで記録できます...フィルムの箱の能書(のうがき)を読んでみて下さい.36x24mmの像を36枚記録できるとか書いてあります.

ディジタル一眼レフカメラの画面サイズは様々です.これについては後述します.
ディジタル一眼レフカメラでは液晶のモニターで作画を確認することもできます.



っで,露出はどうするの?

カメラのAE(自動露出)機能は,被写体からの反射光を見てるわけです.反射光型の露出計といいます. 反射光型の露出計は被写体が標準的で反射率は18%だと仮定して露出を決めます. 被写体の反射率が18%に近ければこれで問題なく撮影できるわけです. が, たとえば雪景色は標準的な被写体より光をたくさん反射します. AE機能は, それを標準的な被写体のつもりで露出を決めるので,「やけに明るいなぁ」と, 露出を絞り込みます. その結果,灰色がかった雪が撮影されてしまいます. 雪景色を見た目どおり白く撮るには, 露出オーバーの側に露出補正する必要があります. カメラは被写体が何であるかを認識できません. 単体の露出計が市販されているのは, カメラについてる反射光型の露出計には,このような弱点があるからです.

単体で市販されてる入射光型の露出計は,入ってくる光りを直接計ります.可能なら被写体の近くに寄って, 被写体に注ぐ光りを入射光型の露出計で直に測定するべきです. 露出は絞り(aperture)のF値とシャッタースピード(shutter)で決まります.入射光型の露出計はISO感度(フィルムスピード)とシャッタースピードを指定すれば絞りのF値を教えてくれます.ISO感度とF値を指定すればシャッタースピードを教えてくれます. 露出計の読みを「出た目」といい, プロはそのままは使わないという話がありますが,勘で決めた露出で1枚だけ撮ってるわけではないでしょう. 思った露出だけでなく上下に1段くらい振った(変えた)写真も撮りたいところです. シャッターチャンスを逃した場合とかを含めて,私自身は10枚に1枚,使い物になる写真があれば上出来だと考えています.

F値(f numbers)は焦点距離(focal length)をレンズの有効口径で割った値です.像の明るさ(面積)はF値の2乗に反比例します. F値の大きいほど絞り込んでいることを意味します.同じF値に絞り込んでいれば,どんなレンズでも明るさ(通す光の量)は同じです. F値の1段は√2刻みになっています. 絞りが1段,つまり1/√2だけ数値が小さくなる撮影では明るさが2倍になり, シャッタースピードを2倍速くしても同じ露出が得られることになります. 具体的に,絞りがF5.6で1/125秒のシャッタースピードのとき適正な露出が得られるなら,F4で1/250秒の撮影でも同じ露出が得られます.露出計も同じ意見を言う筈です.

Ev値(exposure value)は露出を簡単な加減算で扱う工夫です.明るさを表したりもします.詳しくはこちらをご覧下さい.


露出補正を考えてる余裕がなかったり,入射光型の露出計が使えないときは,自動で露出を振ってくれる機能:AEB(Auto Exposure Bracketing)が便利です.プログラムAEならシャッタースピードと絞り,絞り優先ならシャッタースピードを,シャッタースピード優先にすれば絞りだけをを振ってくれちゃいます.

露出については,ディジタル一眼レフでも話は同じです.



そのシャッタースピードは,どうやって選ぶの?

作画意図以前の問題として, 分子を1, 使ってるレンズの焦点距離を分母とする値より速くないと手振れが問題になります.50mmのレンズなら1/50秒より速い(露出時間の短い)シャッターを切らないと手振れが問題になると考えて下さい. ピンが甘い(ピンぼけ)写真だと思う作品の殆んどが手振れです. 画面サイズが35mmのフィルムより小さいディジタル一眼レフカメラの場合はもっと高速なシャッターを切らないと手振れします.

作画意図で動きを出すにはスピードを遅くします.逆になにかを止めたいときは速いシャッターを切ることになります.カメラのAE(自動露出)機能を使うならシャッタースピード優先AEを選びます.シャッタースピードは露出時間なので線形で,2倍速くすれば2倍暗くなります.F11で1/30秒の撮影が適正露出なとき,50mmのレンズでの手振れの影響を考えて1/60秒のシャッターを切りたいならば, 絞りをF8まで1段開けばいいわけです. シャッタースピード優先AEはシャッタースピードを1/60秒にするだけで絞りをF8にしてくれます. F11で1/30秒という露出が入射光型の露出計の読みなら,F8で1/60秒という露出をマニュアル(手動)で設定します.

ストロボの光りを暗い被写体にあてるときは, ストロボの発光時間が被写体に対するシャッタースピードになります. カメラに設定したシャッタースピードはストロボの光りが届かない, 背景に対する露出時間になります. 暗がりでの安易なストロボ撮影では, この背景に対する露出が十分でないことが多く, 被写体だけが明るくて,穴蔵にいるような写真になります. それ以前の問題として,手前の被写体だけが明るく撮影されてしまうという失敗もしがちです. ストロボの光は距離の2乗に反比例して減衰します. 撮影しようとする被写体がどれも同じ距離にある構図を選んで下さい. 背景も明るく撮影したいときは, 絞りの値がストロボで決まる場合は, その絞りの値の下で背景の明るさに対して十分に遅いシャッタースピードを定めることができればいいわけです. このときストロボの発光時間は被写体に対する適正露出を担当します. ストロボがシャッタースピードを決める場合は,そのスピードで背景が適正露出になるような絞りを定め, その絞りのF値で, 被写体に対する適正な発光をストロボにお願いすることになります.

光の良くあたっていない被写体を, 昼間, 同様な方法で撮影することを「日中シンクロ」と言います.太陽光とストロボの両方を組合わせて使う撮影が日中シンクロ(synchro-sunlight)です.最近のカメラは自動でこれができると宣伝してますが, 私は信用してません. プロは,メイクさんや照明さんを連れて歩いて撮影してるのです.

ディジタル一眼レフの場合も話は同じですが,1秒で何枚撮影できるかが搭載している画像処理プロセッサの性能に左右されたりします.



レンズは?

どんなレンズであるかの主要な尺度は焦点距離(focal length)と明るさのF値(f numbers)です.

市販されてるレンズは焦点距離50mmが標準レンズ(normal lens),これより短い焦点距離のレンズは広角レンズ(wide-angle lens),長い焦点距離のレンズは望遠レンズ(telephoto lens)という呼び方で売られています.

広角レンズでは遠近感(深み)やデフォルメ(deform)が楽しめます. 広角レンズを使うと文字通り広い範囲が撮れますが, 遠近歪み(perspective distortion)によって近いものが大きく,遠いものが小さく撮影されます.この遠近歪みが起ることを逆手にとれば,強い印象を与える作画も可能です.

広角レンズで顔のアップを撮影したりは避けるのが普通です.真ん中がボワっと膨らんだ面白い顔が撮影されてしまいます.極端な例が魚眼レンズでの撮影です.

人物写真(portrait)には85mm〜115mmくらいの長い玉(望遠レンズ)が好んで用いられます.上に書いたように,このときは1/120秒より速い(露出時間の短い)シャッターを切らないと手振れすると考えて下さい.カメラのAE(自動露出)機能を使う場合は,シャッタースピード優先AEで,高速なスピードを選ぶことになります.画面サイズが36x24mmのフィルムより小さいディジタル一眼レフカメラの場合は50mmでも十分長い玉になります.このことについては次の「レンズの呼び名の由来が知りたい...」で詳述します.

レンズのF値は焦点距離をレンズの有効口径で割った値です.絞りを開ききったときのF値です.F1.2のように小さいものほど明るいことを意味してます. レンズには1:1.2のように書かれています.絞りのF値をレンズのF値より小さくすることはできません.F値の小さなレンズは暗い所でも使えるなど,幅の広い撮影ができます.それだけ高価でもあります.非球面だったり手振れ補正をしてくれちゃうレンズはもっと高価です.どこまで拘るかですね.

人物写真の場合,ピントは目に合わせるのが基本です.その人に相応しい服を着てもらうことも大切です. 良く晴れた日の屋外での撮影では, 鼻が影になることにも注意しましょう. レフ板で顔に下から光をあてるのもひとつの対策です. 適当に曇った日の方が,撮影日和(びより)だと考える人もいます.



レンズの呼び名の由来が知りたい...

画面サイズの対角線程度の長さの焦点距離をもつレンズが標準レンズ(normal lens)です.レンズの中心から像の対角線を見込む角度はこのとき約53.1度(2arctan(1/2))となり,人間の視野に近いとされています.画面サイズが36x24mmの対角線の長さは43.3mm(√(36×36+24×24))です.が,普通は50mmのレンズが標準レンズと呼ばれています.

対角線の長さ43.3mmを50mmのレンズの中心から見込む角度は46.8度(2arctan((43.3÷2)/50)です.人間の視野より少しアップという感じでしょうか.本当に画面サイズの対角線程度の長さの焦点距離をもつレンズを使ったときの53.1度より視野は少し狭くなっています.50mmのレンズは明るくても比較的安価です.

現在市販されているディジタル一眼レフカメラは一部の高級機を除いて画面サイズが36x24mmより小さく様々です.その小さめな画面サイズの対角線の長さくらいのレンズが,そのディジタル一眼レフカメラにとっての標準レンズになります. 使おうとしてるレンズの焦点距離を35mmフィルム相当に換算するには36mmをディジタル一眼レフカメラの画面の横の長さで割った倍率を考えます.画面が小さいことで倍率分だけ焦点距離の長いレンズを使っていることになるわけです.24mmを画面の縦の長さで割っても同じです.ディジタル一眼レフカメラは横×縦のアスペクト比が銀塩カメラと同じ3:2になっているのが普通です.

具体的に画面サイズが22.5mm×15mmのディジタル一眼レフカメラなら倍率は36÷22.5=1.6倍で, 50mmのレンズは35mmフィルム式一眼レフカメラにとっての80mmに相当します. 35mmフィルム式一眼レフカメラに50mmのレンズを付けての撮影と同じ画角を得るには倍率が1.6倍なら50÷1.6=31mm程度で撮影する必要があります. 対角線の長さが短くなるとそれだけ短い焦点距離で同じ画角が得られるわけです.ディジタル一眼レフカメラには同じメーカーの銀塩カメラのレンズなら流用できるのが普通です.

35mmフィルム式一眼レフカメラに換算すると焦点距離が長くなることはそれなりに便利でもあります.35mm換算で480mmになる銀塩カメラ用の300mmのレンズをつけただけの安易な撮影でも月の写真がこれだけ撮れるという例がこちらでご覧になれます.

広角レンズ(wide-angle lens)は,レンズの中心から像の対角線を見込む角度が広いという意味ですが, 実際にはレトロフォーカスタイプ(retro-focus type)になっています.「逆望遠」と言われます.焦点距離が短いとミラーを置く場所が確保できないため,バックフォーカスを長くして標準レンズと同じにしています.バックフォーカス(back focus)はレンズ後面から焦点面までの距離です.バックフォーカスは焦点距離と必ずしも同じではないのです.

画面サイズの対角線程度の長さより長い焦点距離をもつレンズは,一般には,長焦点レンズ(long focus lens)と言われます. 望遠レンズ(telephoto lens)という呼び名はテレフォトタイプであることを意味します. レンズを適当に組み合わせて, 焦点距離に比較して短いバックフォーカスをもたせた長焦点レンズがテレフォトタイプ(telephoto type)です. 同じ焦点距離でテレフォトタイプでない長焦点レンズと比較すると,望遠レンズはずっと短く出来ちゃってます. 扱いやすくするためです. 望遠レンズだからと言って人物写真(portrait)に用いられるなど,必ずしも遠くの被写体の撮影に使うというわけではありません.被写界深度を考えての作画意図を満してくれる手段であったりもします.



被写界深度って何?

ピントを合わせた被写体の前後どのくらいの範囲が鮮明に写るかを被写界深度(depth of field)と言います. 人間の眼の分解能などが,正確にピントを合わせているとみなせる範囲に許容度をもたせているのです.被写界深度は焦点距離と, 絞りのF値そして被写体までの距離に左右されます.50mmを標準として, レンズの焦点距離は長いほど被写界深度が浅くなります. 絞りは2.8とか1.8とか,数値が少なくなる方向に開くほど被写界深度が浅くなります. 被写体に近づくほど被写界深度が浅くなります. 長い玉(望遠レンズ)を使って絞りを開いて近づいて撮影するとピントを合わせた被写体の前後の狭い範囲だけが鮮明に記録され, 短い玉(広角レンズ)を使って絞りを絞り込んで遠くから撮影すると被写体の前後の広い範囲を鮮明に記録できるわけです.


具体例がご覧になれます.



被写界深度を浅くしたくて絞りを開くと適正露出を得るためにはシャッタースピードを速くすることになります. 絞り優先AEで絞りの値を小さくして絞りを開いてシャッターを半押ししてみて下さい. 動きが止って良いならそのまま速いシャッターを切ります. 背景をぼかしたまま被写体の動きを出したくて, 遅いシャッターを切りたいなら, NDフィルターで光を弱めてしまうという方法があります. それ以前に50とかいうISO感度のフィルムを選んでおいてもいいわけです.粒子が細かく,高い解像度が得られます.

前後の広い範囲にピントを合わせたくて絞りを絞りこむ場合はシャッタースピードを遅くしないと適正露出が得られなくなります.絞り優先AEで絞りの値を大きくして絞りを絞ってシャッターを半押ししてみて下さい.シャッタースピードが遅くなることで動きが出て良いか, それ以前に手振れが問題にならないか確認する必要があります.画面サイズが36x24mmのフィルムより小さいディジタル一眼レフカメラの場合は特にこの注意が必要です. 絞り優先AEで16まで絞り込んでシャッタースピードは1/30秒だと言われて手振れが気になったら,11まで絞りを1段開けば2倍,8までの2段開けば4倍高速なシャッターが切れます.絞りを絞りこんだままで4倍速いシャッターを切りたいなら簡単には100ではなく400というISO感度を選んでおいてもいいわけです.照明が明るくなる工夫をしてもOKです.

前述したように,ハイエンドのディジタル一眼レフカメラでは,できるだけ低いISO感度を自動で選ばせることができます.銀塩カメラの場合は,事前に,どんな撮影になるかを考えておいてフィルムを選んでおくか,感度の違うフィルムを入れた複数のカメラを用意しておくことになります.複数のカメラを持参することは,ディジタル一眼レフの場合でも,レンズ交換の余裕がないと思うときには有効です.



っで,自分はどんなカメラを使ってるの?

16年間!(笑)A-1(Canon)と簡易露出計を愛用してましたが, 1999年春に,

カメラ:EOS-1N(Canon)
露出計:AUTO METER IV(MINOLTA)

を買いました.50mmの標準レンズと,短い玉(広角レンズ),長い玉(望遠レンズ),
ストロボや露出計とかを揃えると30〜40万円です.私は安いと思ってます.
マニュアルには肝心なことの記載がなかったりするので,本も必要だと思います.
私は下記を買いました:

馬場信幸,内藤雅光著:35mm一眼レフカメラ100%操作法,学習研究社(1999)
ISBN4-05-602120-1

以下のカメラを扱ってます:

  1. EOS-1N,EOS-3(Canon)
  2. F5,F100(Nikon)
  3. Z-1P,MZ-3(PENTAX)
  4. α-9,α-807si(MINOLTA)

5年後にディジタル一眼レフカメラを衝動買いしました(笑).
2004年にはディジタル一眼レフカメラが16万円程度で出回るようになっていました.



手頃な入門機のおすすめは?

とりあえず, 最小構成で一眼レフカメラを使ってみようと思うなら,本体と35-105mmくらいのズームレンズ1本があればいいと思います. 画面サイズが35mmのフィルムより小さいディジタル一眼レフカメラの場合は適宜換算して下さい.銀塩カメラならレンズに合うUVフィルターも買います.前述したように,ディジタル一眼レフカメラならレンズの保護用のプロテクターでOKです. これだけで,標準の50mmでの撮影を含む,広角や望遠での撮影が楽しめます. 三脚もあると便利です. 遅いシャッタースピードでの手振れを防ぐためには手元でシャッターを切るためのレリーズが普通は必要です.が,セルフタイマーの機能があれば,三脚に載せることで遅いシャッタースピードでの撮影や自分自身の撮影もできちゃいます.

最小構成をセカンドカメラとして持ち歩くのも正解ですね.どんな旅行にも,できる限りカメラを持参しましょう.思いがけず想い出に残る写真を撮らせてくれちゃいます.

最小構成しか持ってない場合だと,レンズのF値が4.5くらいで比較的暗いことが不満になってくるかもしれません.だったら次の1本のお勧めは85mmの固定焦点レンズです.F1.8でも高価ではありません. 背景をぼかした人物写真も簡単に撮れちゃいます. 標準の50mmの固定焦点レンズは明るくても高価でなく, 絞りを変えて被写界深度の変化も楽しめる筈ではあります. が,意外に難しい気がしています.だったら被写界深度の深い写真は3本目に35mmを買うまで待って,2本目は長めの玉を買ってしまおうという話です.85mmなら1/90秒でも使えるし, 明るいアップはたぶん満足してもらえると思います.



銀塩かディジタルか迷うけど...

銀塩カメラ,特にシャッターを押した瞬間にすべてが決まるリバーサルフィルム(スライド用)を使っての撮影経験では腕を磨けることは確かです. 絞りやシャッタースピードの選び方はディジタル一眼レフカメラでもそのまま生きる知識です. が,パソコンを持っていてそれで管理する気でいて, 画面サイズが35mmフルサイズより小さいことで35mm換算の焦点距離が長くなっていいなら, いきなりディジタル一眼レフカメラでいいかもしれません. ディジタル一眼レフカメラは出来映えがその場で確認できるだけでなく,撮影データ(シャッタースピードや絞り,レンズなど)が自動的に記録される点も大変便利です.撮影するとすぐ明るさのヒストグラムが表示され,明るすぎて飛んでしまった個所を点滅して知らせてくれるなどという機能はディジタル一眼レフカメラだから出来る離れ業ですね. 私自身,35mmフルサイズでなかったにもかかわらず,ディジタル一眼レフカメラ(3072x2048=630万画素)を手にして以来,殆んどの撮影をディジタル一眼レフカメラでするようになりました.

画面サイズが銀塩カメラと同じ35mmフルサイズのディジタル一眼レフカメラは2005年に店頭価格が40万円を切りました(EOS 5D). その後は後継機(EOS 5D Mark II)がそのくらいの値段で売られています.高価なのは歩留まり(ぶどまり)の問題で量産が高くつくためです.歩留まり(yield)という言葉は広くは原料のうちのどのくらいの割合が製品になるかを意味します. ディジタル一眼レフカメラにとって重要な「歩留まり」は半導体のウエハーからどのくらいの割合で良品の撮像素子を切り出せるかになります. 歩留まりは大ざっぱに言うとチップのサイズとウエハーの格子欠陥(defect)の影響で決まります.35mmフルサイズだとチップサイズが大きく,歩留まりが悪くなるわけです.が,私は35mmフルサイズのディジタル一眼レフカメラの時代が来ると思っています.画面サイズが大なことは画質の点でも有利であり,半導体業界は日進月歩だからです.

ディジタル一眼レフカメラによる撮影での記録形式は"RAW"(生のデータ)と"jpg"(ジェイペグ)の2通りで,解像度は様々に指定できます."jpg"で撮影しても撮影データは記録されます.

35mmフルサイズのディジタル一眼レフカメラでは"RAW"と"jpg"の両方が4368x2912=1,280万画素(EOS 5D)あるいは5616x3744=2,100万画素(EOS 5D Mark II)で記録できたりします.前述したように"RAW"なら後からでも作品の色調調整可能です.「スタンダード」,「ポートレート」,「風景」などに分類される色調の選択をCanonは「ピクチャースタイル」(picture style)と呼んでいます.Picture Style Editorを使えば簡単に色調を調整できます."jpg"で記録していても,Adobe Photoshopを使えば,同様な色調調整は可能です.どこまでこだわるかですね.

私自身は,暇をみつけては,古い作品(スライド)を,スキャナ(Nikon)でディジタル("jpg")化しています.「スキャン地獄」という人もいるくらい,手間はかかります.が,昔はあきらめてた作品が思いがけずAdobe Photoshopで救えたりして嬉しかったりもしています.

余談ですが,カメラを落としたショックなどで,CFカード内の作品がカメラ附属のソフトで読めなくなっても,SanDiskが供給しているコンパクトフラッシュ・リーダー(SanDisk Extreme USB 2.0リーダーなど)では読める場合があります.


私は3千円弱で「USB 2.0リーダー」(上の写真)を入手しました.「データ・リカバリ」(復旧)のサービスもありますが,高価です.

いずれにせよ,一度一眼レフカメラの醍醐味を味わうと,いわゆるデジカメなど使う気はなくなります.




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