中野節に変わりなし
中野翠『斎藤佑樹くんと日本人』(文春新書、2007年)
★★
ミーハーで流行りものに対する興味は持ち合わせているが、肝心な部分は決して時代に流されない。中野翠はそんな書き手だ。例えば、この本のタイトルは「斎藤佑樹くん」であって、「ハンカチ王子」ではない。スポーツ選手を「ヤワラちゃん」だの「ゴジラ」だのやたらにニックネームで呼びたがる風潮を中野さんがきっぱり拒絶しているためだ。これだけでも本書がありふれた便乗本ではないことはわかるだろう。
本書の中身は斎藤投手を題材とした日本人論、美意識論だ。自分の中の「日本」を洗い出していくようだった、とあとがきで本人が語っている。斎藤投手という現代の人気者を主題に据えても中野節にはいささかの変わりもない。四字熟語に関する議論のあたりはいささか知識不足で危ういと感じる部分もあるが、楽しく読めた。一挙に書き上げられた即席本なので星は少なめにしたが、中野ファンには薦めたい。2007/4/28
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