2007年このミステリーがすごい!
1988年から宝島社のはじめたミステリー小説のランキング。略称は「このミス」。ランキングは投票形式で選ばれ、国内部門と海外部門よりそれぞれベストテンが選ばれる。
『このミステリーがすごい!』公式ホームページ

大賞 独白するユニバーサル横メルカトル 平山夢明 123点  
本年度日本推理作家協会賞受賞作。 凝視せよ。ここにあるのは宝石だ。実話怪談のスーパースター・平山夢明の恐るべき結実。圧巻の第一短編集。メルカトル図法によって書かれた地図による独り語りという奇抜な手法を用い、幻想ホラー小説として高い完成度を誇る表題作をはじめ、生理的嫌悪感を感じさせたら随一の著者が、奇想を駆使して読者に襲いかかる。書かれているのは、まぎれもなく異形の世界。しかし、計算され尽くした緻密な構成と端正な筆致が、ある種の荘厳さを醸し出す。ホラー、鬼畜系と総称されてきたジャンルにとどめをさし、さらに先へと読者をいざなう、感動的作品集。
2 位 制服捜査   佐々木譲 117点  
警察官人生二十五年。不祥事をめぐる玉突き人事のあおりで、強行犯係の捜査員から一転、単身赴任の駐在勤務となった巡査部長の川久保。「犯罪発生率、管内最低」の健全な町で、川久保が目撃した荒廃の兆し、些細な出来事。嗅ぎつけた“過去の腐臭”とは…。捜査の第一線に加われない駐在警官の刑事魂が、よそ者を嫌う町の犯罪を暴いていく、本物の警察小説。
3 位 シャドウ   道尾秀介 110点  
人間は、死んだらどうなるの?―いなくなるのよ―いなくなって、どうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、鳳介の母はこの世を去った。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まって数日後、幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び降りたのだ。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが…。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは?話題作『向日葵の咲かない夏』の俊英が新たに放つ巧緻な傑作。
4 位 狼花   大沢在昌 106点  
日本国のあり方を問う大事件の発端は、新宿中央公園でのナイジェリア人同士のささいな喧嘩だった。地獄を覗かされ、日本を捨てた国際犯罪者・仙田。外国人犯罪を撲滅するため、限界を超えようとするエリート警官・香田。どん底からすべてを手に入れようとする不法滞在の中国人女性・明蘭。自ら退路を断ち突き進む男女の思惑と野望が一気に発火点に到達した時、孤高の刑事・鮫島が選ばざるを得ない「究極の決断」とは?
5 位 銃とチョコレート   乙一 90点  
少年リンツの住む国で富豪の家から金貨や宝石が盗まれる事件が多発。現場に残されているカードに書かれていた“GODIVA”の文字は泥棒の名前として国民に定着した。その怪盗ゴディバに挑戦する探偵ロイズは子どもたちのヒーローだ。ある日リンツは、父の形見の聖書の中から古びた手書きの地図を見つける。その後、新聞記者見習いマルコリーニから、「“GODIVA”カードの裏には風車小屋の絵がえがかれている。」という極秘情報を教えてもらったリンツは、自分が持っている地図が怪盗ゴディバ事件の鍵をにぎるものだと確信する。地図の裏にも風車小屋が描かれていたのだ。リンツは「怪盗の情報に懸賞金!」を出すという探偵ロイズに知らせるべく手紙を出したが…。
6 位 名もなき毒   宮部みゆき 89点  
愛犬との散歩の途中、コンビニに立ち寄った古屋明俊は、紙パック入りの烏龍茶を買い、歩きながらそれを口にした。その直後、唸りながら口から白い泡を噴き、手足をばたつかせ、のたうちまわり、そのまま絶命するという凄惨な事件が起こる。誰が見ても異様な死だった。彼が連続無差別毒殺事件の4人目の犠牲者の可能性があると報道されたのは、事件発生後3時間後のことになる……。時を同じくして、今多財閥の娘と結婚し、可愛い子供にも恵まれ、何不自由なく暮らす杉村の周辺で「轢き逃げ事件」「毒物混入事件」「飛び降り自殺」など奇妙な事件が次々と起こる。毒殺事件被害者家族の古屋美知香との出会い。ある事件がきっかけで、会社をクビになった元部下からの執拗なまでの嫌がらせ。死期間近の元刑事……。事件の真犯人は?事件の真相は?バラバラに起きる事件の関連性は? 杉村が様々な事件で垣間見た、「名もなき毒」の正体とは?
7 位 贄の夜会   香納諒一 84点  
“犯罪被害者家族の集い”に参加したふたりの女性が殺された。ハープ奏者は両手首を切り落とされ、もうひとりは後頭部を石段に叩き付けられて―。刑事の大河内は被害者の夫の行動に疑問を覚えるが、なぜか公安部からストップがかかる。また、“集い”にパネラーとして出席した弁護士は、19年前に起きた少年猟奇事件の犯人だったことを知る。洗脳によって社会の暗闇に潜みつづける真犯人は…。猟奇的殺人鬼とプロの殺し屋がぶつかる時、警察組織の腐敗を目の当たりにした刑事も孤独な一匹狼として暴走を始めた。執筆に6年を費やし、かつてないスケールとスピードで展開する待望のサスペンス巨編。
8 位 怪盗グリフィン、絶体絶命   法月綸太郎 74点  
ニューヨークの怪盗グリフィンに、メトロポリタン美術館(通称メット)が所蔵するゴッホの自画像を盗んでほしいという依頼が舞いこんだ。いわれのない盗みはしないというグリフィンに、依頼者はメットにあるのは贋作だと告げる。「あるべきものを、あるべき場所に」が信条のグリフィンがとった大胆不適な行動とは(第一部)。政府の対外スパイ組織CIA(アメリカ中央情報局)作戦部長の依頼を受けたグリフィンは、極秘オペレーション「フェニックス作戦」を行うべく、カリブ海のボコノン島へ向かう。その指令とは、ボコノン共和国のパストラミ将軍が保管している人形を奪取せよというものだったが…。
9 位 赤い指   東野圭吾 72点  
直木賞受賞後第一作。構想6年の後に書きあげられた書き下ろし長編小説、ついに登場! 身内の起こした殺人事件に直面した家族の、醜く、愚かな嘘に練馬署の名刑事、加賀恭一郎が立ち向かう。ひとつの事件を中心に描き出されるさまざまな親子像。犯罪を越えたその先に、本当の闇がある。二日間の悪夢と、孤独な愛情の物語。東野圭吾にしか書き得ない、「家族」の物語。『放課後』でのデビューから数えてちょうど60冊目にあたる記念碑的作品。
10 位 夏期限定トロピカルパフェ事件   米澤穂信 71点  
小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。
デッドライン   建倉圭介 71点  
日系人部隊で欧州戦線に参加し、負傷して米本国に帰還したミノル・タガワは、ペンシルベニア大学に復学し、世界初のコンピューター開発計画に加わる。このプロジェクトの顧問、フォン・ノイマンとの交流をきっかけにして、ミノルは、日本への原爆投下が間近であることを突きとめる。もはや日本に残された道は「降伏」の二文字のみ。一刻も早く政府高官を説得し、日本政府を動かさなければならない。ミノルは、幼い息子を義父母によって日本に連れ去られたナイトクラブの踊り子、エリイと共に日本への密航を決意する。北米大陸を横断し、アラスカを経由して千島列島へ―。冒険小説の新たな傑作、誕生。