2008年12月2日
鹿児島県知事 伊藤祐一郎 様
県大島支庁長 元山 義和 様
NPO法人 環境ネットワーク奄美(代表 薗 博明)
奄美の自然を考える会
奄美哺乳類研究会
奄美大島の自然環境の保護・保全に関する申し入れ
県をはじめ市町村自治体が野生化ヤギの駆除に取り組んでおられることに敬意を表し
ます。かつて、鹿児島県知事に提出した「奄美の開発事業に関する申し入れ書」(1995
年9月7日付)の1項に「マングース、ノイヌ、ノネコ、コイ、テラピアなどの駆除対
策を早急に確立すること」を要請したことを振り出しに、野生化ヤギ駆除についても再
三要請した当時を振り返りつつ、行政と住民が共通認識を持つことの意義を改めて感じ
入っています。
さらなるご奮闘に期待しつつ次の申し入れをします。
記
1 奄美の貴重な植物の盗掘防止のための対策を急ぐこと
これまでにも、とりわけ奄美の自然環境が広く注目を浴びるようになってから貴重か
つ希少な植物の盗掘はあとを絶ちませんが、近年はさらに目に余るように思えます。
環境ネットワーク奄美ならびに奄美の自然を考える会が最近確認した種だけでも▽サ
ガリラン(絶滅危惧?A、1982年に発見された北限種)、▽カシノキラン(絶滅危惧
?類)、▽チケイラン、コゴメキノエラン(絶滅危惧?A、北限)、ヒメトケンラン
(絶滅危惧?B)、キバナノセッコク(絶滅危惧?B)、▽クスクスラン(絶滅危惧
?A)、▽イワヒバ、ナゴラン(絶滅危惧?A)、アマミエビネ(絶滅危惧?A)などが
あります。▽印の種は名瀬市内の店頭で売られています。これらの種の中には奄美で
は絶滅寸前のものもあり、焦眉の急を要する課題です。
取り締まりの強化、条例制定などの法的規制を急ぐと共に啓発活動を強力に進め
られるよう要請いたします。
2 林道整備の在り方を見直すこと
復帰後の奄振事業は自然環境はもちろん奄美の産業、文化、生活、人心にわたっ
てさまざまな課題を残しました。なかでも林道の広がりによる自然環境の破壊は深刻
です。自然環境を破壊するだけの無駄・過剰な工事があること、マングース、ノイヌ
、ノネコの森深くまでの進入を容易にしたこと、貴重植物へダメージを与えたこと、
アマミノクロウサギなど貴重な動物への輪禍を増やしたこと、景観を損ねたことなど
反省すべきことが多々あります。
次のことを強く求めます。
(1) 林道の新設、拡幅・舗装を計画しないこと
(2) 既設の舗装箇所を見直し、舗装の撤去箇所検討すること
(3) 舗装面にステップを設ける箇所を選定すること
3 砂防ダムの新設ならびに急傾斜地区防災対策のあり方を見直すこと
砂防ダムを設置しなければならない所は皆無に等しいと考えます。既設の砂防ダム
を見ても無駄なダムが多すぎます。砂防ダム計画のまえに既設の砂防ダムを見直すべ
きと考えます。また、急傾斜地区防災対策としてあちこちで持ち上がっているようで
すが、これまた無駄な計画がほとんどのように見えます。極力避ける方向で再検討を
されたい。
4 森林の伐採対策を急ぐこと
最近、森林の皆伐が増えています。私有林の場合、行政指導には限界があること
は承知のうえで要請します。皆伐規制の方策を検討していただきたい。さもなくば奄
美大島の多様な生態系は決定的なダメージを受けることになるでしょう。奄美の自然
は、「地球の宝」と言われているように世界の宝です。固有の生きものでにぎわう多
様な生態系を維持してこそ、奄美の将来への展望は開けると考えます。奄美の先人た
ちは苦難の歴史のなかにあっても自然への畏敬の念をもって「自然の宝」を今に残し
てきました。今を生きる私たちの使命はこれを後世につないでいくことです。今一度
、奄美の歴史・文化と自然、先人たちの係わりを検証していただき、開発防止の方策
を確立していただきたい。現状のままに推移していくと世界遺産登録の実現も困難に
なるに違いありません。世界遺産登録の実現は結果であって目的ではないことを申し
添えておきます。
ご検討をよろしくお願い致します。
2008年12月5日
奄美市市長 平田隆義 様
大和村村長 永田武光 様
宇検村村長 国場和憲 様
瀬戸内町町長 房克臣 様
龍郷町町長 田畑茂光 様
NPO法人 環境ネットワーク奄美(代表 薗 博明)
奄美の自然を考える会
奄美哺乳類研究会