「キリエ」と「オルガンの祈り」は1895年6月に、サティが出入りしていた
ジュール・ボアの率いる秘教的グループの雑誌に掲載されています。
オリジナル楽譜には「主イエスに導かれる芸術のメトロポリタン教会のミサ」と
記してあります。作曲の2年前の1893年、自宅に「主イエスに導かれる芸術のメトロポリタン教会」
を創設し、司祭兼聖歌隊長に就任。礼拝堂は部屋の戸棚の中。その教会のミサ曲。
第1曲の<キリエ>にだけソプラノとバスの声楽があり。
<キリエ>は七の和音の連続と、小さなモチーフの組み合わせが目立つ。
第2曲では、グノシェンヌの特徴である、長二度の音程を含む旋律があります。
第3曲、第4曲はトニックの和音の連続がパンディアトニスムを思わせます。
第5曲は短いが二つの部分からなり、第1部はすべて三和音、第2部は、
ほとんどが七の和音・九の和音からなります。そして、この第2部は、旋律が次の
第6曲と同じ。しかし、第6曲の和音はすべて基本位置の三和音で、和声的には
別のものとなっていて、この和音は、右手と左手で逆方向の反進行になっています。
中世の単旋聖歌(プラン・シャン)ふうの自由な旋律を、自由な無関係な和声と
結びつけるという、この時代の特徴が表れています。
第7曲はACBCAというシンメトリーを示し、「バラ十字教団のファンファーレ」にみられた
旋律のみで奏し、次に和声づけされてそれを繰り返す、という形になっています。
今まで、これほどまでに荘厳且つ厳かな曲が他にあったでしょうか?