梨の形をした3つの小曲
(Trois Morceaux en Forme de Poire)


出版は1911年にされていますが、作曲は1903年9月。正式な曲名は、

<<3 Morceaux en forme de Poire(à 4mains) avec une Manière de Commencement, une Prolongation du Même & Un En Plus, suivi d'une Redite>>

「(四手のための)梨の形をした3つの小品と、始まりのようなもの、同じものの延長、おまけ、繰り返し」

Poireには、俗語で「間抜け」や「お人よし」の意味があります。名前には3つの小曲とありますが、7曲から成ります。

曲の並びは、

<始まりのようなもの> <同じものの延長> <梨の形をした3つの曲小品T> <小品U> <小品V> <おまけ> <繰り返し>

この曲名に関しては、有名な話があり、ドビュッシーがサティへの忠告として 「もっと曲の形式というものを考慮するべき」

というようなことを言ったとか。するとサティはこの曲を作ってきたそうです。後に、

「こういう曲名をつけておけば、誰もこの曲に形式がないとは言わないだろう」と言ったそうです。

<始まりのようなもの>の楽譜には、「<星たちの息子>の中で用いたグノシェンヌ」と注釈があります。

少し前、「<星たちの息子>への3つの前奏曲」の長大なピアノによる劇音楽版が発見され、この中に、調は異なりますが

<始まりのようなもの>がそっくり使われているそうです。

アンヌ・レイはグノシェンヌ第6番と<始まりのようなもの>を関連付けていますが、秋山邦晴氏は<星たちの息子>の

オリジナル・ピアノ楽譜を調べ、無関係と結論しています。

しかし、なぜ「グノシェンヌ」なのでしょうか。グノシェンヌは6番までありますが、7番のようなものも構想にあり、

それを使ったのでしょうか・・・。

<同じものの延長>は軽快なテンポの短い曲。<梨の形をした3つの曲小品T>はメランコリックな中、途中に現れる

四つの八分音符のフォルティシモが非常に印象的。<小品U>は中間部をもつキャフェ・コンセール風の軽快なテンポの曲。

<小品V>は始まりが激しく、「乱暴に」と指示が書かれています。しかし、その後には美しいBの部分へと続いています。

<おまけ>は、アンヌ・レイによると「ジムノペディの一種」だそうですが、ジャン=ジョエル・バルビエによると

「伴奏のあり方や旋律におけるリズムの変化の仕方からみても、またとくにこの曲に神秘的、感動的なアクセントを与えて

いるような一小節分の挿入句のおかげもあって、<ジムノペディ>とは全く異質な存在」だそうです。

<繰り返し>は曲の終わりにふさわしい短いがゆったりした曲。

このように、多様性に富んだ曲となっており、サティの傑作の一つだと思います。






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