<<3 Morceaux en forme de Poire(à 4mains) avec une Manière de Commencement, une Prolongation du Même & Un En Plus, suivi d'une Redite>>
「(四手のための)梨の形をした3つの小品と、始まりのようなもの、同じものの延長、おまけ、繰り返し」
Poireには、俗語で「間抜け」や「お人よし」の意味があります。名前には3つの小曲とありますが、7曲から成ります。
曲の並びは、
<始まりのようなもの> <同じものの延長> <梨の形をした3つの曲小品T> <小品U> <小品V> <おまけ> <繰り返し>
この曲名に関しては、有名な話があり、ドビュッシーがサティへの忠告として 「もっと曲の形式というものを考慮するべき」
というようなことを言ったとか。するとサティはこの曲を作ってきたそうです。後に、
「こういう曲名をつけておけば、誰もこの曲に形式がないとは言わないだろう」と言ったそうです。
<始まりのようなもの>の楽譜には、「<星たちの息子>の中で用いたグノシェンヌ」と注釈があります。
少し前、「<星たちの息子>への3つの前奏曲」の長大なピアノによる劇音楽版が発見され、この中に、調は異なりますが
<始まりのようなもの>がそっくり使われているそうです。
アンヌ・レイはグノシェンヌ第6番と<始まりのようなもの>を関連付けていますが、秋山邦晴氏は<星たちの息子>の
オリジナル・ピアノ楽譜を調べ、無関係と結論しています。
しかし、なぜ「グノシェンヌ」なのでしょうか。グノシェンヌは6番までありますが、7番のようなものも構想にあり、
それを使ったのでしょうか・・・。
<同じものの延長>は軽快なテンポの短い曲。<梨の形をした3つの曲小品T>はメランコリックな中、途中に現れる
四つの八分音符のフォルティシモが非常に印象的。<小品U>は中間部をもつキャフェ・コンセール風の軽快なテンポの曲。
<小品V>は始まりが激しく、「乱暴に」と指示が書かれています。しかし、その後には美しいBの部分へと続いています。
<おまけ>は、アンヌ・レイによると「ジムノペディの一種」だそうですが、ジャン=ジョエル・バルビエによると
「伴奏のあり方や旋律におけるリズムの変化の仕方からみても、またとくにこの曲に神秘的、感動的なアクセントを与えて
いるような一小節分の挿入句のおかげもあって、<ジムノペディ>とは全く異質な存在」だそうです。
<繰り返し>は曲の終わりにふさわしい短いがゆったりした曲。
このように、多様性に富んだ曲となっており、サティの傑作の一つだと思います。