2003/02/22 田無「進士」




2003年 2月22日(土)13:30過ぎ

快晴を期待していたのだが、曇天になり寒い。遠くに出かける気にならない。
長男(高一)にせがまれ、次男(小五)も連れ、田無駅南口から徒歩5分のところにある「進士」までチャリンコで出かける。

店内には、30〜40歳台の男性1名しかおらず、すこぶる静かだ。「進士」のご主人は、荻窪の「本むら庵」で修行したそうで、本格的な蕎麦屋である(雑誌に載っていた)。
家族(家族と呼べるならだが・・・)で何回か来ている。

寒いので一番お安い「緑川正宗(新潟県)」を熱燗で頼む。

「お好きなものをお選びください」と、籠一杯のお猪口を差し出される。「本むら庵」一派(ご当人達は喜ぶと思えないが)の荻窪「高はし」と同じテクニックだ。

熱燗は、湯煎(?お湯の中に徳利が入っている土器)で出てきた。長男が非常に気に入る。つけ出しで、切干大根の煮付けが添えられる。甘辛く美味しい。長男に拉致される。

「鳥わさ」は、軽く湯がいてあり、柔らかく蕩ける様だ。
人によっては「絞まりがなさすぎる」と酷評するかもしれぬ。
この辺りは、趣味趣向の分かれ目だ。

「穴子の煮こごり」は、ゼラチンがしっかり固まり、中の身は十分しまっている。歯ごたえがあり、穴子の旨味が口中に拡がる。この濃厚さは、寒い日の熱燗にぴったしだ。

「たたみいわし」は、香ばしく、いわしの風味が引き出されている。今まで食べたことが無いと長男が注文したのだが、満足していた。

長男は、好物の「焼き味噌」を追加注文する。
しゃもじにたっぷりと盛られた焼き味噌は、焦げ目がついて実に食欲をそそる。
長男は「ご飯が欲しい!」と歓喜のあまり絶叫する。
次男は「ネギ味噌じゃん」とそっけない。歳によって嗜好は大きく変わるのである。

二人は、せいろを食べ始める。
僕は、ゆっくり2合目をつぎ出す。

長男は「俺は箸の使い方がへたなんだよな」と言いながら蕎麦に手をつける。
つかさず「ブッキー(不器用の現代風アレンジ)」と次男があいのてを入れる。

突然ひらめいたらしく、突然、長男は汁に焼き味噌を混ぜる。
「梨みたいな味だが美味しい」と自画自賛する。
天に唾するような行為である。しかし、前例、慣習の打破により新しい世界が開けることもあるので、眉をひそめ、一言止めるように諭しただけで、傍観した。
「一口どう?」と勧められたが、勿論断った。
長男は大盛を食べていたが、途中で「汁が足りない」と言い出す。
次男が「つけすぎだよ」と指摘すると、長男は珍しく素直に「そうか」と納得する。
「兄ちゃんが初めて(僕の言う事を)認めた」と次男は驚く。
普段は、長男は次男を奴隷の様に扱っているのだが、美味しい食事は、人の心を開くのであろう。

長男は、長い間、毎日3時間余り、チャットに興じていた。それを最近卒業し、そのかわり小説を書いていると言う。僕が読み終わって置いてあった「海辺のカフカ」(村上春樹)を読み、転身を図ったそうだ。
「誉めるのではなく批評してくる人が大事だ。インターネットでサイトを見つけて投稿したら、誉め言葉だけで失望した。」等と生意気なことを言う。

今は、ガンダム系の原作や、思索系の話など、色々と書き分けているそうだ。最も、最初に投稿したい賞は、少年ジャンプだそうだから、文学がどういうものかは無知に等しい。
長男が第三者から小説家と認められる確立は、グリーンジャンボ宝くじより低いが、この話題で数十分会話が出来たのは、極めて珍しいことだ。今読んでいるポール・オースターの文庫を一揃い、プレゼントしよう。
すでにインターネットで予約販売が始っているが、村上春樹が訳したサリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」が近々発売になる。話題沸騰、ベストセラー入り間違いなし、多数の感想、評論が出される事であろう。しばらく落ち着いてから読むことにする。

二人が食べ終わる頃を見はかり、「鴨せいろ」を頼む。
二人には先に帰ってもらいたかったが、返って一人だけ美味い物を頼むではないかという不信を買ってしまった。

止む無く、鴨肉の切り身を一枚ずつ分け与える。合鴨の親子になってしまった。

汁は薄めであった。薄く、しかし長いネギは歯ごたえがあり美味い。鴨肉の切り身(5枚)は、野趣にあふれ鴨の旨味を堪能した。
残念なのは、蕎麦を汁につけると、粉っぽさが浮き出る点である。今まで、せいろを何回か食べたが、こんなことは無かった。鴨汁のせいか、それとも今日の打ち方のせいか?

蕎麦湯は、重湯の様に、白濁していた。胃が落ち着く。

< 本日のお会計 >
緑川正宗     550円×2= 1,100円
穴子煮こごり             600円
鳥わさ                550円
たたみいわし             500円
焼き味噌               400円
一口せいろ              450円
大盛せいろ              800円
鴨せいろ             1,200円
=========================
合計               5,650円+税

пD0424−68−8388

    以上


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