
2003/8/24 蕎麦紀行100回記念 荻窪「本むら庵」
蕎麦紀行100回記念
2003年8月24日(日)13時半頃
記念の日には、お気に入りの店に行きたいものだ。
突然、夏を迎えた東京は昨日は35℃近くなり、今日も朝から暑い。
NYで買って来たJAZZフェステイバルのTシャツ、かなり昔にマウイ島で買い色が褪せてきた短パンを着て、玄関の転がっていたサンダルをつっかける。
そしてNYで買って来たNBA公認のヤンキーズのキャップをかぶり、チャリで出発する。見事なおじさんファッションだ。
薄着だって暑いものは暑い。しかし楽しみが待っていると思えば、45分間の苦労は苦労ではない。
予想通り待合場に人がひしめいている。20数名は待っていた。家族連れ、特にじいさんばあさんが目に付く。
御酒を楽しんでいる人は少なく、回転は早い。10分程で4人席に座る。
「お一人の方がいらっしゃいましたら相席にさせていただきます」と仲居が事前に断る。
最後まで一人であった。
生ビールはすぐにでてくる。泡がとてもクリーミーでビールは冷たく美味い。火照った身体に、息が吹き込まれる。
炒った蕎麦の実が香ばしくて美味い。ポロポロこぼしながら楽しむ。
「冷やし茄子」は半分に切ったヨレヨレなるまで汁が染み込んだ半身の茄子が2個(ヘタまで柔らかい)、ダイコンおろし、千切りにした生姜がついてくる。ああ美味い。「夏は茄子だ」なんて軽口が聞きたい。
最初、隣には高校生ぐらいの見るからに扱いにくそうな茶パツで足にマニュキアした一人娘(独断である)と、小奇麗な服装をした両親が座っていた。
会話は盛り上がらず、暗い雰囲気が漂う。父親が払っていた。財布の役割しか果せないらしい。
この家族の後はカップルであった。
男は、ほとんど白髪であるが、若そうである。
女性は会釈して席に着く。礼儀正しい。
途端に気持ちが和らぐ。
外は猛暑だが、後先考えず剣菱樽酒と、鳥わさを追加する。
剣菱は枡で出てくる。塩は別の小皿で出される。
何度やっても枡の角に塩を盛り、飲むのが格好良く出来ない。こういうのは天性の技なのであろうか。
「鳥わさ」の鳥は身の側はピンク色をしているが、肉はちょっと緩めになっている。これが夏にはぴったりだ。生山葵をこってりと盛り、濃い口の醤油にたっぷりひたして口に含む。柔らかい鶏肉とピリリとした刺激が、口の中で競い合う。幸せだ。
白装束の若いあんちゃんが「鴨せいろですね。冷たい方でよろしいですか。出来次第お持ちしてよろしいですね」と話し掛ける。
この店の接客は、丁寧だが、わざとらしくなく、まとわりつかず、こちらの心に余裕がある時は丁度いい。オーダーが出てこない時に、こういう接客をされるとかえって反発を感ずる。さっきの家族がそうであった。
接客(サービス)は難しい。
「鴨せいろ」が出てくるまで、小さなおろしガネで生ワサビをおろす。この店の流儀だ。
鴨汁は濃厚であった。コマ切れした鴨肉を長ネギの青緑の部分がたっぷりと入っている。あまりに多いので蕎麦をつけるのが難しい。
おろした生山葵をいつ入れるか、刻んだネギ(白い部分)をいつ入れようかと、心の中でタイミングを楽しんでいる内に、細い蕎麦は伸びてしまった。手際の良さが肝心なのだ。
罪作りな「鴨せいろ」である。
生山葵を入れても、ネギを入れても鴨汁は強い。
蕎麦湯で割る。鴨せいろと蕎麦湯は一緒に出された。
「ぬるい蕎麦湯じゃ嫌だな」と心の中では不安だったが、蕎麦湯は熱かった。タイミングは計算されている様だ。
汁の表面に小さな脂が多数煌いている。至福の時を迎えることができた。
「本むら庵」荻窪店は良い店だ。休日の午後は人で賑わい活気がある。厨房に入っていた8人の職人は手を休める事無く、自分の役割を果している。
終始、オーダーの声と、食器類を片付ける音、お客の話が渾然一体となって店内に響き渡っている。
「お名前をお聞きしていないお客様はいませんか」という店員の声が待合場に響く。
活気がある。ちょっとした幸せがある。
ここでは、良き日本を感ずる事ができる。
朝の討論番組で、声高に「日本人」を叫ぶ政治家・評論家は、良き日本とは何なのか分かっているのであろうか。
奥の座敷で、坊主も混じって法事の後の懇親会(?)をやっていた。小さな子供がいた。大人になった時に何も覚えていないだろうが、この店がまだあることを望む。
外に出る。
駐車場のおじさんと明るく声を交してから、店の写真を撮る。
暑い・・・・。
< 本日のお会計 >
サッポロ生ビール 550円
冷やし茄子 650円
鳥ワサ 650円
剣菱樽酒 550円
鴨せいろそば 1,300円
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合計 3,700円+税
電話:03−3390−0325
以上
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