
2003/04/20 新井薬師「松扇」
2003年4月20日(日)午後2時過ぎ
今日は、時々雨が降るあいにくの天気になった。こんな時は電車で行ける「松扇」が一番だ。
午後2時すぎだというのに、祝祭日と日曜は中休みのないこの店は、ほぼ満席であった。中年以降のカップルが多いのがこの店の特徴だ。
店内は、日本では場違いなシャンソンがずっとかかっている。
寒いので焼酎のお湯割を頼む。腹具合は、あいかわらず良くないが、アルコールが体に染み渡れば一時期は回復する。
「穴子煮こごり」は、色合いが美しい。金色にかがやくゼラチンがかけられた穴子に、湯がいて濃い青色がひきたつ春野菜、くるみ入りに赤味噌、鴨肉のミンチ(?)が入っている白味噌が、穴子をひき立てる。
口の中でゼラチンがとろけ、若干歯ごたえを残した穴子がゆっくりと口の中で拡がっていく。美味い。頭の中に残っていた嫌な事が一瞬で吹き飛んだ。
「鴨ロースと細ネギの梅肉和え」は、小山に盛られたネギと鴨が躍動的な一品だ。濃い緑色と乳白色のネギ、そして椎茸が、また美味い。
一人なのでカウンターに座る。厨房の古株の職人は、手と足を休める事がない。調理しながら、カウンターの客と会話を交わす。無駄がない。手先がきびきびとして、見ているだけで美味しい一品が期待できる。若手の職人に、ときおりコーチしながらオーダーを片付けていく。
ポールオースター「シテイ・オヴ・グラス」を、焼酎を飲みながら読みつづける。ポール・オースターのニューヨーク三部作の一つで、ニューヨークの通りがいくつも出てくる。
「せいろ」は、灰色で蕎麦の実が混じる。ちょっと硬い感じがする。顔色に気が付いたのか厨房の職人が声をかける。
「水かえて一番釜ですんで・・・」。
勿論、了解の会釈で返す。
客が次第に少なくなって来た頃、バンダナをした若い女性が一人で入って来た。お店の人達は彼女が来るのを待っていた。
彼女は、この店のトップの職人(同志社大学卒。実家は大阪で料理屋を経営。50歳近い)の友達である斎藤さん(関西外語大学)の姪の様だ。斎藤さんは、常連客で、今日も来ていた。
彼女は、実家は山口で、親の反対をおしきり、一人で上京し、今は蓮田(!)に住んでいる。半月は派遣社員として借金の督促電話をかけ、半月はミュージシャンとしてクラブに出演している(プロダクションには属していない)。
妹はお嬢様学校の手塚山を出て、少し働いたが今は演劇の道に進んでいる。父親もミュージシャンだと言っている。
「友達と一緒に食事に行くと、みんなは讃岐饂飩を食べますが、私は蕎麦を頼んです」
斎藤さんは姪のために、美味い蕎麦を食べさせてやろうと職人さんに頼んだようだ。
職人さんは、ここぞとばかり腕を奮いだした。まずは蕎麦の刺身から始める。
友情溢れるとても良いシーンであったが、カウンターに座っていると、プライバーシーはなくなるので、この後のエピソードには付き合わず帰路についた。
さて、今年の夏はNYに行くか、それともパリに行こうか?
< 本日のお会計 >
焼酎蕎麦湯割 500円×2=1,000円
穴子の煮こごり 900円
鴨ロースと長ネギの梅肉和え 900円
せいろ 950円
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合計 3,700円+税
中野区上高田3−18−3
電話:03−5343−3483
以上
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