![]()
自分達で勉強したり、素晴らしい作品に出会ったりした事をご紹介して行くコーナーです。今回は99年9月にSWEDENのMALMOで行われたVAVメッセの様子をご報告いたします。

年に4回定期購読しているSWEDENの織物雑誌には、毎年メッセの広告が大きく掲載されます。いつかは行ってみたいと憧れていたメッセに99年9月やっと行く事が出来ました!!
1999年のVAVメッセは9月24,25,26の3日間SWEDENのMALMOで開催されました。このメッセは毎年1回SWEDENの何処かで開かれます。今回の場所であるMALMOという所は、SWEDENの最南端に位置し、DENMARKからフェリーで45分というところです。直行便でコペンハーゲンまで行き、そこに滞在すればDENMARKの美術館も見られます。また、MALMOから15分ほど電車に乗ると、そこにはkulturen野外博物館があります。博物館は古いテキスタイルを多く所蔵しており、それだけを見るために、わざわざ行く事が難しい場所です。でも今回メッセと一緒に観れたらこんなに素晴らしい事はありません!そう考えると今年を逃すと後がないような気になって・・・恐る恐る家族に相談すると「もう決めたんじゃないの?」という返事。さすが私の性格を良くご存知で・・・問題は職場です。やや緊張しつつ相談すると「勉強していらっしゃい。それを生徒達に反映させてください」とのご返事に心から感謝した私です。生徒にもよーく言い聞かせて「お土産忘れないでね!」としっかり頼まれて、9月23日SASにてDENMARKに旅立ちました。
次の日の朝、早めに起きてしっかり朝食を取り、フェリーに乗ってSWEDENをめざします。思ったよりも揺れも少なく45分はあっという間でした。パスポートを見せて外に出ると、そこは1ヶ月ぶりのSWEDENです。もう風がかなり冷たくなっていて確実に冬の訪れを感じさせました。タクシーでコンベンションセンターへ行き、中に入るともう沢山の人達です。どこから見たら良いのか目移りする気持ちを押さえつつ会場に入って行きました。最初に目に付いたのは、幅2メートル長さ3メートルもあろうかと思われる大きなタピストリーです。シンプルなデザインですが、使われている色は透明感があって、とても北欧的だと思いました。近づいてみると素材は糸ではなく布を裂いたものでした。テクニックはルーロカン、古典的な技法を素材を変える事で現代的にアレンジされています。

作家達の斬新な作品や、北欧各国の特徴に溢れた作品の展示が通路の右側に並んでいます。ふと見ると「動物の毛皮」が・・・壁一面に掛かっています。何故メッセに毛皮が・・・と思って近づいてみると、動物の形に織られたれっきとした織物でした。テクニックはリヤ、絨毯を織る技法です。こんな所にアイデアと笑いを入れてしまうなんて!やられた!という感じでした。

次はNORWAYのブース。このホームページの表紙の写真にもにも使われていますが、木の枠に釘を打った簡単な織機を使って、古典的なデザインを織っていました。驚いたのはたて糸が麻ではなく、撚りの強い毛糸だった事です。確かに麻糸をたて糸に使うと、織っているうちにだんだんと弛んで来て織りにくくなってしまいますが、毛糸を使っていたとは思いませんでした。触ってみると多少柔らかめではありましたが、普段織っている物とそんなには変わりません。充分美しいその出来に今度試してみようと思いました。

その先はSWEDENのブースです。ハーフクラバ、グラバスノール、ルーロカン、フレミスクヴェーヴとSWEDENを代表するテクニックを1つのタピストリーに入れてある作品はため息ものです。手仕事の粋を集めたような作品の前にしばし立ちすくんでしまいました。実際に織りにかかわる仕事をしている身として、どんなに大変かが判っているだけに、素晴らしかった・・・。色彩的には古典作品のレプリカという事で、地味目ではありますが、それぞれにバランス良く重厚な作品に仕上がっていると思いました。何時も思うのですが、SWEDENは本当に古典を大切にする国だと思います。でも、古典に固執しているわけではなく、その中に斬新なアイデアが含まれています。織物文化の奥行きを感じました。
そして、FINLANDのブース。FINLANDはリヤのマットが多く、見た目(表側)はシンプルに見えますが、裏を返すと「あっ!」っと驚くような色彩や模様が入っていました。私個人としては最も興味を持ったブースです。日本にも着物の裏地を表と全く違う色彩を持って来て、動くたびにチラリ、チラリと見えた時に感じる美しさを表現する事がありますが、このマットもそれに通じるものを感じて興味深かったです。
このデザインを考えた人はきっと日本の着物を知っているに違いないと思ってしまいました。写真では残念ながら見えませんが、右側のグレーのマットは裏が鮮やかなオレンジ色で、ルーゼンゴングの模様が入っています。実際に使っている時は見えなくても、細部まで気を抜かないその姿勢が素晴らしいと思いました。こんなところに北欧人の気質を見るように感じるのは、私だけでしょうか?是非見習いたい所です。作品の用途を前面に出し、1歩控えた所で主張する態度が私の理想とするところなのですが、なかなか自我を捨てられずに何時も苦労しています。「私には潔さがないな・・・」と反省し、少しでもそこに近づきたいと思いました。色々な事を考えさせられたブースです。
この後、会場の中央スペースに入って行きました。中は思ったよりも広く、沢山の人達が熱心に見て回っています。(それも結構年齢層は高めです)糸や織機、織物関係の本、コンピューターのソフト、ウイービングスクールの案内、作品の販売、講習会と様々な織りに関わるSHOPが目白押しです。このメッセに来れば織りに関する情報が1度に得られるという感じでした。それもSWEDENに限らずNORWAY、FINLANDの情報も沢山ありました。

ホール中央の講習会に、人だかりが出来ているので覗いてみると、よこ糸を糸ではなく植物の茎(何の植物でしょう?麦かしら?)を入れて織る作品のレクチャーを行っていました。SWEDENの織物雑誌でも何度か見た事があります。今はそれが流行(?)しているのか、数多くの人達が熱心に見たり、質問したりと盛り上がっていました。私達日本人から見ると「花茣蓙」を思わせる織物で、親しみがわき、すぐに作ってみようという気になります。テクニックはダールドレルやリップスなど古典的なものですが、素材の変化などで、現代的にアレンジするのは、SWEDENの方たちの得意とする所です。
このメッセは3日間連続で行われ、私達は2日参加させて頂きました。感想は「とにかく来て良かった!」という事です。「百聞は一見にしかず」という諺のごとく、あの熱気や雰囲気は行って見なければ判らなかったものです。来ている方が思ったよりも高齢であったのには正直驚き。だ自分は初心者でもっと勉強しなければ・・・と思うと、嬉しくなってしまったのも事実です。生徒達に沢山伝えたい事が出来ましたし、日本に帰って製作するのがとても楽しみです。必ずまたメッセに参加するぞ!!と堅く心に誓いました