はじめに

 かつて大型自動二輪免許は、運転免許試験場で技能試験を受ける以外、取得する方法はなかった。しかも「合格率は10%以下」などと言われる超難関。10回以上受験する人は、ぼくの回りにもざらにいた。しかし、そんな大型自動二輪免許も、1996年9月から教習所でも取得できるようになり、門戸は大きく広がった。

 とはいえ、大型自動二輪の教習が受けられる教習所は、まだそれほど多くはない。教習費用も10万円以上かかってしまう(妙に安いところは、技能試験免除の認可を受けていないはず)。運転免許試験場の技能試験は1回4,350円だから、10回受けても半分以下で済む。平日の日中にしか受けられないのはサラリーマンにはちょっと辛いが、金銭的魅力は捨てがたいのだ。

 そして何より、合格したときの充実感は、教習所での取得では味わえない。教習所での取得を否定するわけではないが、かつて苦労して取得した人たちから、「なんだ、教習所免許か」と軽く見られてしまうのも悔しいではないか。

 ここはひとつ、ぜひ運転免許試験場での技能試験に挑戦してほしい。などと偉そうなことを書いているぼくだが、実は自動二輪の免許歴は浅く、普通自動二輪免許の取得が2002年4月15日、大型自動二輪免許は同年5月2日なのである。このときの年齢は、40歳まで一ヶ月を切っていた。
 ここで鋭い読者なら気づいたと思うが、ぼくは普通二輪免許取得から17日後には、大型自動二輪免許を手にしているのだ。しかも「日本で一番厳しい」と噂される埼玉県鴻巣の運転免許試験場である。ちなみに受験回数は3回。合格までに、自動二輪での公道走行経験は一度もない。

 すごいだろ……という話ではない(本当はちょっと自慢したい)。ぼくが言いたいのは、「試験のポイントさえ押さえておけば、大型自動二輪免許は決して難しくはない」ということなのだ。そして、ぼくが簡単に受かってしまったのは、そのノウハウをいち早く喝破できたからだと考えている。
 ならばそれを、これから受験しようとしている人に伝授するというのが親心。かどうかは知らないが、技能試験を突破するために必要最低限なテクニックをまとめたのが、このページである。
 なお、本ページは、普通自動車免許や普通二輪免許などを持っている人、すなわち、技能試験とはどういうものかを知っている人を対象に書かれているので、そうでない方は「技能試験とはどういうものか」については、各自で勉強してほしい。
 また、情報はすべて2002年のものであり、その後、変更されている可能性があることをご承知置きいただきたい。

1. 試験のしくみを知ることが、合格への近道

 ぼくが大型2輪免許に合格した日、最後の受験者は「ZZR1100に乗っていたけど、取り消しになった」という人だった。ならばライディングテクニックは優秀だろうし、その日に受かるだろうと思っていたのだが、結果は不合格。それも、法規走行コースを半分も走らないうちに減点超過で検定中止というありさまだった。
 この事実からもわかるように、大型自動二輪免許を取得する上で最も重要なのは、ライディングテクニックではないのである。もちろん、まるでライディングテクニックがないのでは合格しないが、普通自動二輪免許を教習所で取得できる程度にバイクに乗ることができれば、大型自動二輪免許だってほとんどの人が取得できるはずなのだ。
 では、合格するためには何が必要なのか? それは「試験の仕組みを知ること」だ。
 試験の仕組みを知り、「確実にやるべきこと」「絶対にやってはいけないこと」をきちんと把握して実践すれば、バイクを操るのが特別に上手でなくても、必ず合格することができる。特に試験官は、みんながミスを犯しやすいポイントは、特にしっかり見ている(と試験官が言っていたんだから間違いない)。それを知っていて受けるのとそうでないのでは、結果は違って当然である。
 そこでまず、試験の仕組みがどうなっているのかを説明しよう。

(1) 採点の仕組みを知る

 大型自動二輪に限らず、運転免許試験場の技能試験の採点方法は、持ち点100点からの減点法で、70点以上なら合格となる。満点で合格しようとすると非常に難しいが、5点減点のミスを6回やっても、70点ギリギリで合格できる。だから、満点で合格しようという考えは、今すぐ捨てる必要がある。
 技能試験の項目には、誰でも苦手なものは1つや2つあるもの。それを完璧に克服しようとすると大変な努力が必要だし、プレッシャーも大きくなる。だったら苦手なものは、最初から捨ててしまえばいいのだ。
 減点数は、対象行為によって、5点・10点・20点、検定中止の4つに分けられている。詳細は各章に譲るが、おおざっぱに言って、うっかりミス系が5点、安全に関わるミスのうち、事故につながる危険性が軽度なものが10点、事故につながりやすいものが20点、事故につながる可能性が非常に高い行為や、転倒や脱輪など公道なら「事故」と判断されるものが検定中止の対象である。
 そんなわけで、大型自動二輪免許試験に合格するには、まず「一発検定中止項目を絶対にしない」ということと、「20点減点項目も極力避ける」ということが大事だということがわかってもらえると思う。

(2) 採点の方法を知る

 試験官が試験車両に同乗できない自動二輪の場合、採点は展望室からの展望や、試験官がクルマで追尾することによって行われる。展望室からの採点の場合、走行状態を双眼鏡でチェックされるほか、要所にはテレビカメラが、速度やタイムを計測する場所には光電管などの計測装置が設置されている。
 展望試験の場合、試験車両にスピーカーと受信機が搭載されており、試験官の指示は無線を通じてスピーカーから流される。

(3) 試験の組み立てを知る

 自動二輪の技能試験は、「法規走行」と「課題走行」の2つのセクションで組み立てられている。
 法規走行とは、公道に模したコースを使用して、交差点や踏切などで法規に則った適切な走行ができるかどうかがチェックされる。
 課題走行とは、「直線狭路(一本橋)」、「波状路」、「連続進路転換(スラローム)」、「急制動」の4課題。それぞれに定められた規定の数値内でこなせるかどうかがチェックされる。通常、課題コースは、試験コース内の一カ所に固まって設置されているところが多く、技能試験の最初か最後に、まとめて行うようになっている。坂道発進やS字(または8の字)、クランクなどは課題走行とも言えるのだが、法規走行ルートに組み込まれている試験場が多い。

(4) 合格のための戦略を立てる

 さて、試験の仕組みと採点方法がわかったら、合格のための戦略を立てよう。
 もうおわかりだと思うが、まず、法規走行での減点を極力減らすことを考える。減点対象項目は法規走行の方が圧倒的に多く、不合格者の多くは、法規走行での累積減点が原因で不合格になっているのだ。
 技能試験というと、一本橋だのスラロームだのという話になりがちだが、法規走行をきちんとこなすことのほうが、よっぽど合格への早道なのである。
 一本橋やスラロームは、無難に通れさえすれば良い。そのレベルのテクニックであれば、休日にちょっと練習すれば、すぐにできるようになる。

【合格のヒント1】
二輪車安全講習を受けよう!

 ぼくがあっという間に大型自動二輪免許を取得できた大きな理由は2つある。ひとつは、普通自動二輪の教習所取得を終えた直後だったから、法規走行の勘所がほぼ完璧に身に付いていたこと。そしてもうひとつは、埼玉県二輪車安全普及協会の主催する講習会に参加したことだ。
 この講習会は、実際の検定コースを使って行われる上、白バイ隊員の模範走行を追尾して周回させてくれるため、合図を出す位置から車線変更を開始する場所など、法規走行のポイントがすべてわかってしまうのだ。
 もちろん、課題走行の練習も、何度も繰り返してじっくりとやらせてもらえるし、タイムの計測までしてくれる。休憩時間には主催者側(白バイ隊員含む)と自由に話ができるので、わからないことや苦手なセクションについて、アドバイスを求めることもできる。さらに埼玉県の場合、有料でナナハンも貸してくれる上、レンタル車両の中には、検定で使う車両と同じモデルまであるのだ。
 要するに、二輪車安全講習は模擬試験のようなもの。特に検定コースの順路や合図を出す位置ななどが、映像として頭に入る。「○番の標識で左折して……」というように文字で覚えるのに比べて、よほど覚えやすいから、それだけでも十分価値がある。主催者側の話では、「講習後、1回で受かる人が1人ぐらいはいる」ということだ。
 埼玉県の場合、実施は毎月、第2・第4土曜日の2回でワンセット。料金は1回目が5000円(レンタル車両3000円)、2回目が1万円(レンタル車両・昼食込み)で、2回とも受けると事前審査が免除される(講習の最後に事前審査と同じタスクがあるのだが、事前審査に使うGSXより、講習会で使うバイクはどれも軽いのだ)。
 注意してほしいのは、都道府県別に内容はバラバラであること。たとえば東京都の場合、参加費は無料だが車両は持ち込みとなるし、事前審査も免除にはならない。あるいは都道府県によっては「参加者が少ないので、現在はやっていない」というところもある。
(金額等の情報は2002年12月のものであり、現在の埼玉県の情報については、埼玉県交通安全協会のサイトを参照のこと。)

2. 試験を受ける前に準備すること

 大型自動二輪免許試験合格への早道は、まず法規走行を完璧にこなすこと。そのためには、ミスコースやウィンカーの出し遅れなどで減点を取られないように、コースを熟知しておく必要がある。
 まずコース図を入手したら、コース図を読む。コース図は単に順路を示しているだけで、合図を出す場所や進路変更をする場所、徐行すべき場所などは、いっさい書いていない。自分でコース図を読み、判断するしかないのである。
 そこで、手に入れたコース図を何枚かコピーし、ウィンカーを出す場所や進路変更をする場所、注意すべきポイントなどを記入したオリジナルコース図を作成すると良い。そこでこの章では、試験を受ける準備段階として、オリジナルコース図の作成方法を中心に解説しよう。

(1) 試験場を見学に行こう

 高校や大学を受験したときにもそうだったと思うが、試験会場の見学は必須だと言って良い。受付や待合室、出走のしかたなどを見学しておけば、当日、会場でうろうろする心配はなくなる。自宅から試験場までの所要時間も計測しておけば、遅刻しそうになって慌てる心配もない。
 最近は、空き時間を使ってコース内を歩かせてもらえる試験場も増えてきたので、もしコース見学が可能な試験場ならば、ぜひ歩いて確認しておきたい。コースが開放される時間は、朝の開場から受け付け開始までと、昼休みの一定時間というところが多い。事前に電話で確認しておき、見学に行くときはコース開放の時間に合わせていくのが良いだろう。

(2) 走行パターンを覚えよう

 コースの順路を覚えることが、大型自動二輪免許試験受験の第一歩。試験場見学の際にコース図を書き写してくるか、試験場内の売店で売っていれば、それを買ってこよう。走行順路は待合室に掲示してあるはずだ。
 コース見学可能な試験場ならば、昼休みの1〜2時間前に行ってコース図を書き写し、昼休みになったら歩いてコースをチェックしてくるというのが賢い方法だ。
 コースは最低でも2パターン、試験場によっては3パターンあり、その日の試験がどのコースで行われるかは、試験当日、試験場が開場してから発表になる。どのコースになっても慌てないように、すべてのコースを暗記しておこう。
 ところで、採点基準では「ミスコースそのものは減点の対象ではない」とされており、試験が始まる前に、そう説明されることがある。ミスコースに気づいた時点(あるいは試験官からミスコースを指摘された時点)でバイクを左に寄せて止め、それ以降は試験官の指示に従ってコースに復帰すれば減点は取られないのだ。が、これはあくまで「うっかり間違えてしまった場合の救済措置」であり、覚えていなくても大丈夫ということではない。
 そもそもミスコースをするということは、曲がる場所を間違えるのと同義だから、合図を出すべき場所で合図を出していない上に、進路変更するべき場所でしていないはず。それぞれの減点は5点ずつだから、ミスコースをした段階で、少なくとも減点10になっているはずなのだ。
 さらに、正規のコースに復帰するまでも採点の対象になるから「進路変更の3秒前に合図を出し、右左折を開始する30m手前で進路変更を完了する」という基準が適用される。ミスコースをしてパニックになっているところへ、「○番を右折して、△番を右折して復帰して下さい」と想定外のルートを指示されて、3秒前の合図と30m手前の進路変更がきちんと実行できるかと言えば、絶望的と考えた方がいいだろう。曲がり角ごとに10点づつ引かれるとすると、コース復帰までに3回曲がれば減点超過で検定中止だ。
 というわけで、もし試験場で「ミスコースそのものは減点の対象ではない」と言われても、額面通り取らない方がよい。コースは確実に暗記しておくのが基本なのだ。

(3) コース図から要注意ポイントを読みとる

 コース図を入手したら、順路の確認と同時にやっておきたいのが、交差点のチェックと指定速度区間のチェックだ。
 検定コースには、「見通しの悪い交差点」と「等幅道路の交差点」がたいてい作られている。詳しくは後の章に譲るが、見通しの悪い交差点で徐行しなければ20点減点。等幅道路の交差点で左右の確認を怠れば10点減点である。「直進だから」と何もせずに通過してしまうと、あっという間に減点30点だ。コース図で該当する交差点を見つけたら、色つきのペンで記入しておこう。
 検定コースには、基本的には制限速度は表示されていない。では、いくらでもスピードを出しても良いのかと言えばそうではない。道路交通法では、自動車専用道路でない公道の最高速度は、特に指定のない場合は60km/hと定められているのである。
 そうした中で、試験場によっては速度制限区間が設けられており、公道で見かけるのと同じ道路標識が設置されている。その区間内では表示された速度を超過すると減点。5キロ未満の超過で10点、それ以上で20点の減点となるから、速度制限区間がどこにあるかも、コース図に書き込んでおこう。
 狭い面積に複雑に設置された検定コースだが、一時停止が必要な場所は意外に少ない。一時停止の標識がある場所と踏切以外は、基本的に一時停止する必要はないのだ。一方で、指定場所での一時停止は確実に行わないと、即検定中止となるから、一時停止の指示があるところを良く確認しておこう。

(4) 合図・進路変更の場所を読む

 右左折する際には、「進路変更は右左折開始の30m手前までに完了する。進路変更の合図は、進路変更開始の3秒前」と定められており、これより遅くても早すぎても減点5点となる。
しかし「30m」と言われても、巻き尺で測るわけにもいかないし(見学の時に測ることもできないわけではないと思うが)、おおよその山勘でやるしかない……かと言えば、決してそんなことはないのだ。
 コースには必ずセンターラインが引いてあるから、これを利用して距離を読む。コース見学時に歩幅を利用してセンターラインの長さを測っておけば、かなり正確に「30m」の位置を割り出すことができる。ちなみにセンターラインの間隔は、ラインの長さと同じにするように政令で決められているので、一カ所だけラインの長さを歩測すればOK。わかりやすい場所で30mを読んだら、その場でコース図に記入してしまおう。ほかの場所はその長さを基準に、帰宅してから記入すればOKだ。
 コース見学ができない場合でも、コース図から「30m」を読む方法がある。コース図が正確な縮尺で書かれていることが前提となるが、一本橋の長さを利用するのだ。一本橋の長さは15m(傾斜部除く)なので、この2倍が30m。この長さを、曲がるべき交差点の手前に書き写していけば、進路変更を完了すべき場所は正確に割り出すことができる。
 では「3秒前」の距離をどう読むか? これは時速を秒速に直せば良い。時速40キロで走っていると想定されるところなら、3秒は33.3m、30キロなら25m、20キロなら16.7mだ。それに、実際に進路変更を行うための距離を加えれば、合図を出すべき位置がわかるはずだ。

(5) オリジナルのコース図が完成

 ここまでチェックしてきた項目を、すべてコース図に書き込もう。そうすれば、オリジナルコースの完成だ。これで、どうやって走ればよいかのイメージがつかめてくるはず。あとはこれを実践できれば、もう合格したも同然だ。

【合格のヒント2】
 試験車両の個性に注意!

 ほとんどの人は、生まれて初めて乗るバイクでいきなり試験を受けさせられるのだから、考えてみれば無茶な話。試験場によっては、若干の完熟走行をさせてくれるところもあるようだが、わが埼玉県の場合、「コースインから100mは採点しないから、その間にバイクに慣れてね」という、これまた無茶なことをさせられる。
 しかも現在のところ、埼玉県の試験場では検定用のバイクはホンダの'89年式VFR750Kというモデルが9割がた使われているのだが、これがけっこうクセがあって乗りにくいのだ。
 特に、アイドル回転数が速く、1,400〜1,600rpmぐらい回っている。同社のCBやカワサキのゼファーに比べると1.5倍ぐらい速いのだ。そうなると困るのが、低速走行時のギヤ選択である。
 たとえばS字などは、一般的な教則本には「2速で走るのがよい」と書いてあることが多いが、VFRだと2速では速すぎる。1速でアクセルをちょっと開け、半クラッチで微調整するほうが走りやすい。
 見通しの悪い交差点などの徐行も、1速まで落とさないと、再加速する際にエンストのリスクを背負うことになる。実際、見通しの悪い交差点の徐行を2速で通過しようとしてエンストしかかったことがあるぼくが言うのだから間違いない。
 アイドリングの速さは、一本橋にも影響する。発進して橋に乗せたらすかさずリヤブレーキで減速しないと、マシンがトコトコと走っていってしまうのだ。ブレーキをかけなければ、たぶん8秒そこそこで渡ってしまうだろう。
 スラロームも要注意。スラロームは基本通り2速で行けるが、2速にアップした直後のアクセルワークが要注意。不用意に開けると吹け上がりすぎて、コースアウトしそうになる。
 そんなわけで、もしあなたの受験する試験場の車両がVFRだったら、このコラムを思い出して対応してほしい。埼玉以外にも、神奈川県や千葉県も、VFRが多いという話だ。

3. いざ、受験当日

 走り方の戦略を立てたら、あとは試験を受けるだけ。受付前にコース見学できる試験場ならば、早めに行ってコースの最終確認をしておくと良い
 試験の申し込みは、予約制だったり、先着順だったり、キャンセル待ちが可能だったり、試験場によってさまざまなので、各自で確認してほしい。先着順の場合、受験者が多いと午後の試験に回されてしまうので要注意。予約制のところは、キャンセル待ちが可能かどうかも確認したい。

(1) 書類関連の準備

 技能試験受験の申請は、試験場に用意してある申請用紙に必要事項を記入して行う。その際必要なものは、下記の通りだ。申請用紙は、試験場見学の時にもらって帰り、家で書いてから持っていくと良いだろう。
? 申請用紙
? 縦3cm×横2.4cmの顔写真2枚
 写真はカラーでも白黒でも構わないが、無帽・無背景で、顔が正面を向いているものでなければならない。写真の裏には、氏名と撮影年月日を記入して、申請書の所定の場所に貼り付ける。
? 受験手数料
 受験手数料は、収入印紙で納付する。金額は4,350円(2002年現在)で、印紙は試験場の中で売っている。合格した場合、運転免許の申請に、さらに1,750円が必要になるが、これは合格した後で説明があるはずだ。
? 住民票または運転免許証
 運転免許証を持っている人は運転免許証、持っていない人は住民票が必要になる。免許を持っている人でも、引っ越したばかりで住所変更をしていない場合、住民票が必要になる。

(2) 服装(雨具)の準備

 技能試験を受けるためには、服装を整えておく必要がある。安全に対する心構えが現れる部分なので、なるべくバイク専用品をそろえたい。
最低限、必要なものは、下記の通りだ。
? ヘルメット
 ヘルメットは、道路交通法で許可されたものでなければならない。工事用安全帽(いわゆるドカヘル)は不可。フルフェイスかジェットヘルを選び、ストリート用の半キャップは避けた方がいい。
 シールドはクリヤタイプが良い。ミラーシールドやスモークシールドでも受けられると思うが、試験官に与える印象は良くないだろう。
 展望採点の試験場では、単色ヘルメットでは安全確認時の頭の動きが見えにくいため、真ん中に色つきのビニールテープを貼っておく人もいるようだ。
 あたりまえだが、かぶる際にはあごひもをしっかり締めること。
? グローブ
 かつては軍手でも受験できたそうだが、今はダメなところのほうが多いらしい。やはり専用の革製グローブを用意するのが理想だ。
? ウェア
 ウェアは長袖・長ズボンが基本。半袖や短パンでは、受験させてもらえない。上は革ジャン、下はジーパンなど丈夫なものを選ぶと良いが、ジャージでも受験はさせてもらえる。
? 靴
 転倒した時、マシンと道路の間に足首を挟む可能性があるので、くるぶしまで覆うハイカットのシューズが必要。理想はライディングブーツだが、ハイカットのスニーカーやトレッキングシューズ、ワークブーツでも受験は可能。土踏まずに硬質プレートの入ったトレッキングシューズなら、センタースタンドかけの時に、スタンドの踏み込みがやりやすい。
? レインウェア
 技能試験は、雨天決行。よほどの大雨でもない限り、中止になることはない。当日、雨が降っていたら、自分でレインウェアを用意しなければならない。ゴム引きの汎用雨合羽でも良いが、バイクを買ったらいずれ必要になるのだから、専用のものを買ってしまおう。バイク用品店で5,000円ぐらいからあるはずだ。

(3) 申請書の提出

 服装を (万全に整え、必要書類も用意したら、申請書を提出する。窓口は、受験科目によって違ったり、初回受験と2度目以降では違うことがあるので、注意が必要だ。

(4) 適性検査を受ける

 申請書の提出が終わると、適性検査が待っている。適性検査と言っても、視力検査だけなのだが。

(5) 事前審査を受ける

 初回受験時には、事前審査を受ける必要がある。事前審査は、転車起こし、センタースタンドかけ、8の字押し歩きの3項目。最近は、センタースタンドかけを省略している試験場も多い。
 事前審査は、一度パスすれば半年間有効なので、再受験の際には半年以内なら免除される。
? 転車起こし
 大変そうに見える転車起こしだが、コツさえ知っていればそれほど難しくない。試験場のバイクにはバンパーが付いているため、完全に横倒しにはならないからだ。腕力で起こそうとせず、「足と腰で起こす」ということを意識しよう。
 左から起こす場合は、左手でハンドルグリップを、右手でシート下をフレームごと握る。シートだけつかむと壊れてしまうことがあるので、確実にフレームごと握るように。
左足を引き気味にして、体は若干前向きに「斜に構え」る。右ヒザはしっかりと曲げ、シートの下に右太ももを入れるようにして腰をシートに密着させる。あとは足の力で腰を押し上げていけばよい。ちょっと起きたらすかさずバイクににじり寄り、体とバイクの隙間をあけないのがコツだ。
 このとき、左手を引き込むと、左にハンドルが切れて、起き始めると同時に前輪が転がってバランスを崩すことがあるので、左手は引きすぎないよう注意する。事前にギヤを1速に入れておけば、マシンの動きは多少抑えられる。
右から起こす場合も要領は同じだが、前ブレーキを握っておけば、ギヤを1速に入れる必要はない。また、右から起こす場合、サイドスタンドを出しておけば、起こしてから反対側に倒さずに済む。
? センタースタンドかけ
 センタースタンドは、てこの原理でできている。このてこを効率よく使うのが、センタースタンドかけ成功のポイントだ。
 まず、左手で左のハンドルグリップを握り、右手でリヤバンパーかシート下をフレームごとつかむ。
 そして車体をなるべく垂直に保持し、センタースタンドの足が均等に地面に接するように、センタースタンドのステップをゆっくり踏みおろす。センタースタンドが地面に付いた段階で、マシンを左右に軽く傾け、接地状態を良く確認しよう。センタースタンドが均等に接地していないと、まずかけることができない。
 センタースタンドが均等に接地したら、センタースタンドのステップを土踏まずで強く踏みこみ、その反動を使って右手を斜め後方に引き上げる。体はなるべくマシンに近づけ、腕は伸ばして、脚力と背筋力で持ち上げるようにすればうまくいく。
 左手は、マシンのバランスを取るためだけに使う。左手を強く引いてしまうと、ハンドルが切れてバランスを崩してしまうので、ハンドルが切れないように保持しよう。
 センタースタンドを外すには、バイクの反動を使う。まず、両手で握ったハンドルを手前に引く。引き方は強めに、リヤタイヤが接地するぐらい引き込む。次にその反動を使ってハンドルを前に押し出せば、スタンドは簡単に外れる。
 勢いが付いているので、すかさず前ブレーキをかけてマシンを抑えないと、倒してしまうことがあるので要注意。最初にハンドルを引き込む際に、右手の指を1本でもいいからブレーキレバーにかけておくと良い。
? 8の字押し歩き
 装備重量250kgのナナハンといえども、まっすぐ立っている間は自転車と同じ。体力が無くても支えられる。ところが、ひとたび傾き出すと、その重さは傾斜角に比例してのしかかってくる。だから、いかに傾けずに押すかがポイントとなる。
 まず、マシンの左側に立ち、両手でそれぞれのグリップを握る。体はなるべくマシンに近づけ、マシンを若干、手前に傾けて、腰で支えるようにしておくと楽だ。
 あとは、路面に描かれた8の字に沿って押し歩くだけだが、動き始めが少々重い。ぐっと腰を落としてヒザを曲げ、ハンドルをしっかり前に押し出すようにしてスタートしよう。
 動き始めてしまえば、あとはコロコロと転がっていく。ハンドルをフルロックしても地面に引かれたラインの通りに曲がりきれなかったら、切り返しても構わない。歩幅は小さく、腰を落として歩けば力が入れやすい。
 バランスを崩しやすいのは、左ターンから右ターンに切り替える瞬間だ。マシンの「垂直・気持ち自分より」を維持して、向こう側に倒さないように注意しよう。
 逆に、向こう側に倒さないように気を遣いすぎて自分の側に傾けすぎると、支えきれなくなってしまうので注意が必要だ。

4. 技能試験のポイント・法規走行編


 第4章では、実際の技能試験で、「やるべきこと」と「やってはいけないこと」について解説する。特に法規走行では、気を付けてさえいれば特別なテクニックはなくても実践できることばかりなので、しっかり覚えてしまいたい。
 なお、カッコ内に不履行の場合の減点数を示しておく。「特」というのは「特別減点項目」で、1回目ならば減点されないが、2回目以降は1回目にさかのぼって減点される。

(1) 乗車のポイント

 乗車時には、的確な安全確認と、無駄のない動作が必要とされる。特にサイドスタンドは、通常はまたがってからはらう人が多いと思うが、乗車前にはらわないと減点(5点)される可能性が高い。
 乗車の手順は下記の通り。細かい減点が多く、下手をすると走り出す前にハンディを背負ってことになるので、確実にこなそう。
1. マシンの左側に立ち、後方と周囲の安全確認をする(10点)。確認は確実に頭を振って、指さし確認しても良い。
2. 両手でハンドルグリップを握り、前ブレーキをかけてマシンを垂直に立てる。
3. サイドスタンドをはらう(5点)。
4. 後方の安全を確認する(10点)。
5. マシンにまたがり、右足をステップに乗せ、ブレーキペダルを踏む。(右足を地面に着くと特5点)
6. バックミラーをあわせる(5点)。
7. イグニッションキーをONにし、ニュートラルランプの点灯を確認する(5点)。
8. エンジンを始動する。

(2) 発進のポイント

 乗車から発進までの間に待機時間がある場合、バイクをよく観察しておこう。特に、ペダルの位置、ブレーキの遊び、アクセルの遊び、アイドル回転数などをチェックする。座る位置も、腰を前後させて、ニーグリップしやすい位置を確認しておこう。
 完熟走行をさせてくれる試験場であれば、完熟走行中に座る位置を変えたり、クラッチを引きずってみたりすると良い。スラロームに備えて、2速全閉からちょっと開けたときの吹けあがり方も、チェックしておきたい。
 発進の手順と減点は下記の通りだ。エンストは特別減点項目(5点)なので、1回までなら減点は取られないが、2回目以降は、1回目にさかのぼって5点づつ引かれるので、しないに越したことはない。ちなみに、同一発進機会に4回エンストしたら、減点20ではなく検定中止だ。
 発進の手順は下記の通りだ。
1. 後方の安全を確認し(10点)、前ブレーキをかけてから、足を踏み換えてギヤを1速に入れる。
2.後方の安全を確認し(10点)、足を踏み換えて左足を着く。右足はステップへ載せ、ブレーキペダルを踏む。
3. 周囲の安全を確認して(10点)、発進の合図をする(5点)。
4. 後方の安全を確認し(10点)、クラッチをつないで発進する。頭を振って後方を確認した後、しっかりと前に向き直ってから発進しないと、減点(10点)を取られる。
5. マシンが動き出したら、左足はただちにステップに乗せる(5点)。
6. 走行ラインに乗せたら合図を消す(5点)。消すのが早すぎても減点(5点)。

(3) 乗車姿勢のポイント

 普段、バイクに乗っている人ほど、自己流のクセが着いてしまっており、それが原因で減点を取られることが多い。ここでは、ライディングフォームと、レバー・ペダル類の操作時に減点されやすいポイントを解説しよう。10点減点項目が多いので、くれぐれも軽視してはならない。
?乗車位置
 検定車両に使われるネイキッドタイプのバイクの場合、乗車位置は「ステップに立ち上がり、そのまま座った位置」が正解。リラックスして自然に座れてさえいれば、まず減点されないと思うが、妙に背中が反っていたり、おしりが左右にずれていたりすると減点を取られる可能性大(10点)。
?手・腕
 腕が伸びたり肘が張ったりしないように注意(10点)。レバー操作は4本の指で確実に行う。3本でもOKだが、2本がけは減点(10点)。
?足・脚
 土踏まずをステップに乗せ、足の裏はペダルに触れる程度に水平にし、つま先は進行方向に向ける(10点)。つま先が少しでも開いていると減点されやすいし、つま先を閉じることによってニーグリップも決まるので、意識してつま先を閉じよう。シフトペダル操作時は、変速するたびに足を水平に戻すこと。シフトアップが続くからといって、シフトペダルの下に足を入れっぱなしにしていると減点(10点)。
?ヒザ
 ニーグリップは、常にしっかりと(10点)。車線変更時や右左折時にヒザが開くのも減点の対象。

(4) 走行する位置

? 直進時の走行位置
 直進時はキープレフトが基本。道路の左端から1mというのが目安だ。あまり左に寄りすぎると、左折時の左寄せの時にメリハリが無くなるので注意すること。クルマで走るときに左タイヤが通るあたりがちょうど良い。
? 左寄せの走行位置
 道路交通法によると、左折をする場合「その前からできる限り道路の左側端に寄り、かつ、できる限り道路の左側端に沿って徐行しなければならない」とされている。技能試験でも、できるだけ左に寄せよう。縁石や路側帯からなら、マシンの左グリップ端を縁石や路側帯ギリギリに、路肩に排水用のコンクリートがあれば、コンクリートと舗装の境目までタイヤを寄せる。左にまったく寄せなかったり、50cm以上離れていると減点(5点)。
? 右寄せの走行位置
 左折同様、右折する前にもマシンをできるだけ右に寄せる。ただし、車体の一部がセンターラインをはみ出さないように注意する。右グリップ端がセンターラインギリギリに来る程度が目安だ。右に寄せなかったり、50cm以上離れていると減点(5点)。

(5) 直線の走り方

「直線なんか、誰でも走れる」と思ってはいけない。メリハリのある加速をしないと、必ずと言っていいほど加速不良を取られる(特10点)。警察相手の試験なので、安全運転をアピールするあまり、ついおとなしく走ってしまいがちだが、そうするとまずこの減点を取られる。加速不良は特別減点項目なので、取られるときは20点になる。これほど馬鹿馬鹿しい減点はないので、十分に気を付けよう。特に展望採点の場合、試験官を横切る方向の直線でしっかり加速する。
 では、どの程度の加速をすればいいのかというと、「信号でクルマを置き去りにできる程度の加速」という感じ。ナナハンといえども、意識してアクセルを大きく開けないと、この加速は得られない。
 短い直線でも、メリハリ良く加速してどんどんシフトアップする。ただしシフトアップを行うたびに、左足をチェンジペダルの上に戻さないと、減点の対象となる(5点)。
 外周路等で速度制限標識がないところならば、制限速度は一般道最高の60キロだから、55キロぐらいまで出したいところ。50キロ未満だと課題外速度の減点(特10点)を取られる可能性が高い。
 一方、速度超過は5キロ未満が10点、それ以上が20点の減点だ。規定の速度より、メーターの針1〜2本ぶん低い速度で走るのが確実だ。

(6) ブレーキは3回ポンピング

 時速30キロ以上から減速する場合は、必ずポンピングブレーキを使う(特5点)。後続にクルマがいると仮定して、そのクルマに減速を知らせるイメージでかけると良い。特に長い直線などスピードの出るコースの次に来るコーナーの手前などは、試験官もよく見ているポイント。基準では2回かければ良いことになっているが、見落とされないように3回かけたい。
 コーナーにさしかかってもブレーキが残っていると減点(20点)なので、ブレーキは直線部分で終了するように。「1,2,3,シフトダウン、コーナリング開始」というリズムで減速すれば、コーナー進入にブレーキが残ることはない。
前 後のブレーキを同時に使用しない場合も減点(10点)。ただし徐行時や、課題走行時にスピードコントロールする場合、後輪ブレーキだけ使用しても減点は取られない。

(7) 進路変更のポイント

 交差点を右左折する30m手前までに、進路変更を完了しなければならないのだが、その進路変更を行う3秒前に、進路変更の合図を出さなければならない。
?「3秒」は確実に確保する
 合図を出してから進路変更を開始するまで、確実に3秒を確保しないと、減点の対象となる(5点)。多少、長いぶんには減点されない。
「3秒」を確実に作るには、動作ごとに1秒づつ確保すると良い。まず合図を出し(0秒)、ミラーで後方を確認し(1秒)、頭を振って後方を確認し(2秒)、前を向き直って(3秒)、進路変更を開始すれば良い。試験の時は緊張してリズムが早くなりがちなので、一つ一つの動作を確実に区切って行うようにしよう。
?変更開始は前を向いてから
 進路変更を開始するのは、後方確認のために振った頭を、しっかり前方に戻してから行う。公道ではつい、後方を確認したら頭を戻しながら進路変更を始めてしまいがちだが、技能試験では減点の対象なのだ(10点)。
?進路変更はダイナミックに
 進路変更はテキパキと行う。ダラダラとやっていると、交差点から30m手前までに進路変更が終了しなくなってしまうからだ(5点)。特に右折前の進路変更の場合、スラロームをやるぐらいの気持ちで、しっかり体重移動をして歯切れ良く寄せよう。ただし調子に乗りすぎて、バンクが深すぎて車体が接地したら減点(10点)なので、何事も「やりすぎ」は禁物だ。
?二車線は一気に寄せる
 片側二車線道路では、左側車線を走るのが原則。そこから右折する場合、2車線分を一気に寄せて構わない。一車線ずつ寄せても減点はないと思うが、「30m」が足りなくなる恐れがある。

(8) 交差点通過のポイント

 法規走行の中でも、減点されやすいのが、信号のない交差点の直進。直進だけに、そのまま通過してしまいがちだが、確実に安全確認を行わないと、必ず減点が待っている。特に等幅道路の交差点と見通しの悪い交差点は、知らない人にとっては「引っかけ問題」とも言えるもの。コース図を手に入れた段階で、この2つがどこにあるかは必ずチェックしておこう。
? 等幅道路の交差点の通過
 同じ幅の道路が交差している交差点を直進する場合、手前で左右の安全確認をする必要がある(10点)。徐行する必要はないが、優先車に気づいたら止まれるような速度で通過しなければならない。
 等幅道路の交差点では「左方優先」が原則。自分から見て左側からクルマが来ていたら、自分の方が多少早く交差点を通過できそうでも、一時停止して待たないと、優先車妨害で減点を取られる(10点)。優先車に急ブレーキを踏ませたり、停止させてしまったりすると、減点ではなく検定中止になるから注意が必要だ。試験場はたいてい見通しがきくので、十分手前から周囲のクルマの動きに気を配っておきたい。
? 見通しの悪い交差点の通過
 法規走行で減点超過になる原因の筆頭がこれ。見通しの悪い交差点は、充分に徐行して、左右の安全確認をする必要があるのだが、それと気づかず通過してしまったら、徐行違反(20点)と安全不確認(10点)で、もう持ち点が無くなってしまう。試験場における「見通しの悪い交差点」は、交差点の周囲だけ生垣や塀が作ってあるので、見学すればすぐわかるはずだ。
 通過のポイントは、手前で最徐行して、身を乗り出して安全確認をすること。ギヤは1速で、半クラッチとリヤブレーキで徐行速度を維持しよう。
 徐行時にふらつくと減点(10点)なので、自信のない人は一時停止してしまおう。このとき、ギリギリになって足を着くと、バランスを崩して足を着いた(10点)と思われてしまうので、手前から足を出して「私はここで止まるんです」ということを試験官にアピールし、不自然にならないように足を着こう。そうすれば減点は取られない……と、埼玉県警の白バイ隊員が言っていた。基準は都道府県によって違うこともあるので、もし試験後に注意されたら「減点ですか?」と確認しておこう。
(その後、宮城県で合格した人から、「一時停止しても大丈夫だった」というメールをいただいた)
? 信号のある交差点の通過
 青信号ならば、そのまま通過しても良いが、黄色で突っ込むとたいてい検定中止になる。微妙なタイミングの時は、止まった方が賢い。黄色信号で止まりきれずに停止線を越えてしまっても、減点(20点)で済む。
 そうならないためには、ある程度手前から歩行者信号などを見ておき、変わりそうであれば、あらかじめ速度を落とすなどして対処しよう。
 赤信号の停止線オーバーは、即検定中止。停止線に前輪の先端がかかったらアウトなので、50cmぐらい手前で止まるようにしよう。信号待ちの最中にリヤブレーキを放してしまうと、減点を取られる可能性がある(特5点)。
 信号待ちからの発進では、左右および右後方の安全確認を忘れずに(10点)。

(9) 右折のポイント

 右折をするには、30m手前までに右寄せを完了しなければならないが、事前の進路変更に関しては本章(7)を参照していただくとして、ここでは右折そのものの注意点を説明したい。
? 安全確認は確実に
 一時停止の標識がなければ止まる必要はないが、左右の安全確認は必ず行う(10点)。一時停止の場合、発進前に後方の確認も忘れずに(10点)。
? 速度は徐行で
 道路交通法では、交差点の右左折は徐行が義務づけられている。技能試験も同様で、どう見ても徐行していないと減点(20点)。
? なるべく鋭角に曲がる
 右折はダラダラと曲がってはダメ。できるだけまっすぐ出て、鋭角に曲がろう(5点)。センターマークがある場合、ギリギリを小回りする。ただしマークを踏まないように注意する(5点)。

(10) 左折のポイント

 基本的には右折と同じだが、左折特有のポイントもあるので要注意。
? 安全確認は確実に
 一時停止の標識がなければ止まる必要はないが、左右の安全確認は必ず行う(10点)。一時停止の場合、発進する際には後方の確認も忘れずに(10点)。また、あまり停止線に近づきすぎると、発進と同時に左折を開始しなければならず、ふらつき(10点)の原因になるから、少し余裕を持って止まると良い。基準は2m未満なので、1mぐらい開けても問題はない。
? 速度は徐行で
 道路交通法では、交差点の右左折は徐行が義務づけられている。技能試験も同様で、どう見ても徐行していないと減点(20点)。
? 左折はインベタで
 左折時はインにべったり付けないと、左折大回りを取られる(5点)。縁石からなら、左ステップが縁石ギリギリを回るイメージで。路肩が排水コンクリートになっている場合は、舗装との境目を踏んでいくつもりで左折する。低速小回りなので、半クラッチ+リーンアウトで回るとスムーズに回れる。低速でのリーンアウトは、最初は倒れそうで怖いかもしれないが、アクセルを開けて駆動力をかければマシンは起きあがってくる。
? 「右振り」は御法度
 左折のきっかけを作るため、一瞬、右にハンドルを切るクセが付いている人もいると思うが、これは減点の対象(5点)。
? 左折後はふくらまないように
 左折の後半でふくらんでしまい、走行ラインを修正すると減点(5点)。

(11) 側方通過のポイント

 障害物や停車車両の横を通過する場合、進路変更して安全な側方間隔を確保しなければならない。
? 障害物の側方通過
 検定コースには、道路の左端にパイロンなどで障害物が作ってあるので、事前に場所を確認しておこう。障害物の手前30mで進路変更を完了し(5点)、50cm以上の側方間隔を開けて通過する(20点)。ただし「50cm」は最低値なので、1mぐらい開けて通るのが無難。片側2車線のコースであれば、車線変更してしまった方がよい。片側一車線でセンターラインをはみ出す場合、対向車が来ていたら一時停止か徐行でやり過ごす(検定中止)。
 障害物を避けるために右への進路変更が完了したら、「3秒前」に間に合うように、すぐに合図を左に切り替える(5点)。
 障害物を通過しきったところで左後方を確認し(10点)、すみやかに走行ラインへ復帰する。復帰したら、すぐに合図を消す(5点)。
? 停車車両の側方通過
 二輪車専用の検定コースでない場合、乗用車や大型トラックなど、ほかの検定車両もコース内を走行している。中には、路肩に止まって試験官から説明を受けているケースもある。基本的には、発進の合図を出していない限り、抜いてしまって構わない。ただし、その場合も交通法規に従わないと、減点の対象となる。
 人が乗っているクルマの場合、側方通過間隔は最低1m(20点)。ほとんどの場合、30m手前の進路変更は不可能なので、進路変更は適宜行えばよい。ただし、変更前の合図(5点)と安全確認(10点)は忘れないように。

(12) 降車のポイント

 最初は完走すら難しい大型自動二輪免許試験だが、逆に、完走できれば、ほとんど合格と思って間違いない。ただし、降車のときの減点で減点超過になる可能性があるから、全コースを回らせてもらえたからと言って油断しないように。下記の手順を守って、減点されないように降車しよう。
? 発着位置の目印にマシンを寄せて止める
 発着位置の目印にマシンを止めたとき、停止位置の目印から前後30cm以内に止まっていない場合も減点(5点)。マシンが道路と平行になっていなかったり、縁石から車体の左端が30cm以上離れている場合は減点(各10点)。ただし、路肩が排水コンクリートで傾斜がついている場合、サイドスタンドが傾斜部にかからないように寄せないと危険。この場合、縁石から車体が30cm以上離れていても減点にはならないが、サイドスタンドの接地位置が舗装とコンクリートの境から10cm以上離れると、減点される可能性が高い(10点)。
? 止まるときは右足を着かない
 停車時に着いて良いのは左足だけ。チェンジペダルの操作以外に、右足を着くと減点(特5点)。
1. 後方の安全を確認し(10点)、前ブレーキをしっかり握ったまま、足を踏み換えてギヤをニュートラルに入れる。
2. 後方の安全を確認し(10点)、前ブレーキをしっかり握ったまま、足を踏み換えて左足を着く。右足はブレーキペダルを踏む。
3. イグニッションキーをオフにしてエンジンを止める(5点)。
4. 後方の安全を確認して(10点)降車する。前ブレーキは握っておく。
5. サイドスタンドを出す。
6. マシンをサイドスタンドに立てかけ、ハンドルを左へいっぱいに切る。
7. 周囲の安全を確認して(10点)、マシンから離れる。

【合格のヒント3】
他人の走りは、見る? 見ない?

 マニュアル本には、よく「試験場では、うまい人の走りを見て参考にする」と書かれているが、ぼくは「人の走りは見ない方がよい」と思う。
 うまい人の走りと言われても、誰がうまいかわからないし、技術的にうまい人だからといって、正しい法規通りに走れるかと言えば、これは別の問題だからだ。
 逆に「うまいなぁ」と思って見ていた人が、一本橋で落ちたり、スラロームでパイロンを蹴飛ばしたりすることだってある。そういうのを見てしまうと「自分もそうなるのでは」という悪いイメージが頭から離れなくなってしまう可能性もある。実際ぼくは、一本橋を実にスムーズにゆっくりと渡った人が、波状路で転倒したのを見てしまい、「ああ、見るんじゃなかった」と思った経験がある。
 そんなわけで、他人の走りは特に見る必要はないと思う。そもそも「そんなんで受けに来るなよぉ」と思うようなレベルの人が半分ぐらいいるので、見たところで参考にはならない。
 せいぜい「あんなのが受けに来ているんだから、俺なんかまだいいほうだよなぁ」と思える程度の効果しか期待できないのだ。

5. 技能試験のポイント・課題走行編

 難しいと思われている課題走行だが、それは減点ゼロで通過しようとするから。苦手なのであれば、5点ぐらいの減点は「織り込み済み」で試験を組み立てれば良い
 大切なのは、一発検定中止項目を絶対にやらないこと。無難に走り抜けられさえすれば、それだけで減点超過になることは絶対にないのである。

(1) 一本橋のポイント

 基準タイムは「10秒以上」。1秒不足するごとに減点を取られる(5点)。つまり、9秒以上で渡れれば減点5点、8秒以上で渡れれば減点10点で、必ずしも10秒以上かけて渡る必要はないということだ。ただし普通二輪(中型)の基準である7秒以上をクリヤできなければ、減点ではなく検定中止と思った方が良いだろう。
 タイムの測定は、前輪が一本橋の水平部分にかかってから降りるまでだが、前輪が通過しきってタイム計測が終わった後でも、後輪が完全に渡り終える前に脱輪すると、検定中止になる。
 15mを10秒で渡るのを時速にすると、5.4キロになる。だいたい、大人がすたすたと歩いている速度だ。誰かが歩いている横を、バイクで併走してみよう。意外と速いことに気づくはずだ。それでも「こんなにゆっくり走れない」と感じたら、目標タイムは9秒でいい(5点)。とにかく落ちないで渡りきることを最優先させよう。
 むしろ注意したいのはニーグリップ。バランスを取ろうとしてヒザを開くと、ニーグリップ不足で減点が待っている(10点)。ニーグリップが甘くならないようにする秘訣は、つま先をしっかり絞めることだ。また、たとえば右にふらつくと、左膝を開いてバランスを取りたくなるものだが、むしろ右膝でタンクを押して起こすようなイメージの方がよい。
 一本橋の走り方は下記の通り。多くの合格者に聞いても、ほぼ同じ手順で渡りきっているから、これがセオリーと考えて良いだろう。ポイントは、乗ったらすぐにリヤブレーキで確実にスピードを落とすこと。最初のひと踏みが甘いとタイムが速くなりすぎるか、後半で粘ろうとして脱輪の恐れが高くなる。
1. 一本橋の中心とできるだけ一直線になるように、停止位置で一時停止する。助走距離を長く取る方がうまくいく人は、50〜70cm程度手前で止まって助走距離を確保する。
2. 右後方の安全を確認する(10点)
3. 前輪を乗せるべき場所をよく見て、発進はごく普通に行う。
4. 前輪が橋に乗ったら視線を遠くに向け、クラッチを切る。一本橋の延長線上に、何か目標物を見つけておくと良い。
5. 後輪が橋に乗ったら、リヤブレーキをじわっと踏んでスピードを落とす。
6. 同時に半クラッチをつなぎ、リヤブレーキは引きずったままで速度を調整する。
7. もし大きくふらついたら(10点)、少しスピードを上げてマシンを安定させ、とにかく渡りきってしまう。

(2) 波状路のポイント

 なかなか練習する機会がないせいか、苦手な人が多いのが波状路。長さ9.5mの間に9本の突起が、不等間隔で並んでいる。幅は70cmで、はみ出したり途中で止まってしまったりしたら検定中止だ。また、波状路通過中はステップに立って走行することが求められる(10点)。
 基準タイムは5秒で、それより速いと減点となる(一律10点)。時速に直すと約6.8キロだから、あまり極端に速度を落とす必要はない。むしろ、速度を落としすぎて途中でふらついたり(10点)、勢いが死にすぎて突起を乗り越えられなくなることに気を付けた方がよい。
 セオリー通りだと「ギヤは1速で、突起物の手前で軽くアクセルを開けて半クラッチをつなぎ、乗り越えた瞬間にアクセルを戻してクラッチを切る」ということだが、乗り越えるのは前後輪同時にはならないので、これだと失敗する恐れがあるし、試験の時にそんなに落ち着いて操作できるとも限らない。
 実践的なのは「ギヤは1速で、常にアクセルを小刻みにあおり(2000回転ぐらい)、半クラッチをちょこちょこ当てながら通過する」という方法だ。
 試験前には、まず、「ステップの上に立ち上がる」という練習を十分にしておこう。重心も視線も高くなるので、不安定に感じるかもしれないが、しっかりニーグリップをしていればマシンは安定する。
 立ち姿勢のフォームは、ステップのほぼ真上に立ち上がってヒザを軽く曲げる。突起物通過時のショックをヒザで吸収するためだ。腰が引けていると、前後方向の振動(ピッチング)でバランスを崩しやすいばかりでなく、乗車姿勢不良で減点(10点)となる。ヒザを曲げすぎると、へっぴり腰に見えるだけでなく、ニーグリップも甘くなりがち(10点)なので、思い切って高いポジションで走ろう。最初は怖いかもしれないが、すぐに慣れるはずだ。
 重心はつねにステップの真上に置き、ハンドルに体重はかけない。ハンドルに体重をかけると言うことは、前輪が突起を乗り越えるときの抵抗を自ら大きくしてしまうのと同じなのだ。
 実際の走り方は下記の通りだ。
1. ギヤを1速に入れて、ステップの上に立ち上がる。突起物には、なるべく直角にアプローチする。
2. 最初の突起物は、惰性でも超えられる程度の徐行速度で進入する。
3. アクセルを小刻みにあおり、半クラッチをちょこちょこと当てて、スピードが落ちすぎないようにする。

(3) スラロームのポイント

 スラロームは、27mの間に4.5m間隔で並べられた5本のパイロンを7秒以内で通過する課題。パイロンは一見するとジグザグに並べてあるような気がするが、よく見ると、回るべきパイロンは一直線に並んでいるだけだ。
 コース幅は3m以上4m以下で、はみ出したら検定中止。パイロンにぶつかっても検定中止だ。タイムが7秒を超えた場合、1秒ごとに減点が増えていく(5点/秒)。ただしこちらも一本橋同様、普通二輪(中型)の基準である8秒を上回ってしまうと、減点ではなく検定中止と思った方が良い。
 スラロームは、ほかの課題から止まらずに進入する試験場と、手前で一時停止してから進入する試験場がある。いずれも、最初にリズムを作れないと後半が厳しくなるので、最初の2本をうまく回ることが大切だ。それには、パイロンに寄るタイミングが早すぎないようにすることだ。早く付けすぎてしまうと、ターン後半が大回りになり、次のターンが苦しくなって、だんだん振り幅が大きくなってしまうのだ。
 教科書通りに走るなら、手順は下記の通り。これができれば7秒は確実に切れる。
1. 計測開始点までにギヤを2速に入れ、加速しながら進入。
2. アクセルオフで減速しながら1本目のパイロンにアプローチする。リヤブレーキを併用して減速しても良い。
3. 左に体重移動して、リーンアウトでマシンを寝かせてパイロンを回る。このとき、内ヒザが開かないように注意する(10点)。
4. パイロンの横を通過したら、軽くアクセルを開けると、駆動力でマシンは起きあがってくる。と同時に、体重を中立状態に戻す。
5. マシンが起きたらアクセルを閉じ、減速して右に体重移動し、右にバンクさせる。あとはこれをリズミカルに繰り返し、パイロンをクリヤしていく。
6. 最後のパイロンをクリヤしたら、思い切りアクセルを開けて計測点を通過する。

 技術的にポイントとなるのは3点。アクセルの開け方と体重移動、それにライン取りだ。
 ナナハンはトルクがあるので、アクセルはほんの少し開けばよい。スロットルグリップを軽く回し、抵抗を感じたらすぐにもどすような感覚だ。吹けあがるのを確認してから閉じていては、回転があがりすぎてコースアウトは確実。最初はアクセルを開けるのは怖いかもしれないが、開けすぎたらリヤブレーキを踏んで抑えればよい。最初は終始、ブレーキを引きずり気味で走っても良い。これができれば、アクセルを開けるのは怖くなくなるはずだ。
 いきなりスラロームでアクセルワークを試すのが怖ければ、完熟走行のときに、まずまっすぐ走りながら、2速でアクセルを開閉して、エンジンの吹けあがり具合を知っておくと良い。
 車体をバンクさせる際は、意識して体重移動を行うと良い。左ターンの時はおしりをほんの少し(1〜2cmで良い)左にずらしてバンクさせ、右ターンの時はその反対に動かす。バンクしていくバイクの真上から体重をかけるイメージでやると、切り返すとき楽だ。
 ライン取りは、もっともパイロンに近づくのはパイロンの真横ではなく、真横を少し通りすぎたあたりになるようにする。マシンを早めにバンクさせ、パイロンの横を通過するときには起こし始めていると、リヤバンパーでパイロンを引っかける可能性を低くしながらパイロンの近くを回れる。実はこれ、スキーのスラロームと同じライン取りなのだ。

 以上が教科書どおりの走り方だが、これができなくても心配することはない。パイロンタッチとコースアウトさえしなければ、検定中止にはならないのだ。
 アクセルのオンオフができずに2速アイドリングで走って、体重移動ができなくてハンドル主体で曲がっても、スムーズにパイロンを回れれば、8秒以内で絶対に走れる(5点)。あとはニーグリップ(10点)にさえ気を付ければ、減点5で済むのである。
 実はぼくは、1度目と2度目の試験では教科書通りに走ったのだが、パイロンタッチを指摘されて検定中止になってしまった。
 普通二輪免許の教習中は普通に5秒台を出していたので、スラロームは得意だったし、当たっていない自信は100%あったので抗議のひとつもしたいところだったのだが(当たれば音がするので、ライダーでもわかる)、「当たった」と言われれば仕方がない。そこで3回目の試験では、2速アイドリング+ハンドルターンで大きく回り、どこから見ても絶対にパイロンに当っているようには見えないように回ったら、合格したのだった。もちろん、合格後「スラロームが遅いね」と言われたが、それでも合格は合格なのだ。

(4) 急制動のポイント

 普通(中型)二輪免許取得時に経験していると思うが、急制動は、時速40キロから11m(路面が濡れていたら14m)以内に停止するという課題。停止線までに止まれなければ検定中止だが、一時停止などと異なり、タイヤの前端が停止線の前端を越えていなければOKだ。
 課題走行のほとんどのセクションは、普通二輪より大型二輪の方が要求水準が高いが、急制動に関しては同じ条件が適用される。ならば難易度も同じかといえば、実は大型の方が簡単と言っても過言ではない。なぜなら、ナナハンは指定速度の40キロには簡単に達してしまうので、制動開始ポイントよりずっと手前で指定速度を作り、余裕を持って制動体制に入れるからだ。
 制動開始ポイントまでに40キロに達していなければ、減点(10点)を取られた上で1回だけやりなおしをさせてくれる。やり直しをしてもダメだった場合、減点ではなく検定中止だ。もし指定速度不足でもやりなおしをさせてもらえなかったら、その時点で減点が超過してしまったのだ。
 また、制動開始ポイントより手前でブレーキランプが点いても減点(10点)された上でやりなおしとなる。
 急制動の手順は下記の通り。これもほとんどセオリー化している。
1. 右後方の安全を確認する(10点)
2. 発進したら素早く加速して3速までシフトアップする。
3. なるべく早く、速度を40キロに到達させる。メーター読みで40と45の目盛りの真ん中を指すぐらいが理想的。
4. 制動開始ポイントの1〜2m手前でアクセルを戻す。
5. 前輪が制動開始ポイントを通過したら、前後のブレーキを同時にかける(10点)。クラッチは切らずに、エンジンブレーキを使用する(5点)が、シフトダウンする必要はない。制動中に後輪がロックしてしまい、1m以上滑ったら減点(10点)。
6. 指定位置で停止したら左足を着く(右足接地は特5点)。
7. 右後方の安全を確認して(10点)、足を踏み換えてギヤを1速にする。
8. 右後方の安全を確認して(10点)足を踏み換え、次の課題に移行するのに適切な方向に合図を出し(5点)、発進する。
 技術的なポイントは、前後のブレーキ力配分と、前ブレーキの力の入れ加減。一般的には「ブレーキは前7:後ろ3」などと言われるが、技能検定では前ブレーキだけで止めるぐらいのつもりで臨んだ方がよい。後ろブレーキは、ブレーキランプを点灯させる程度に踏めば十分だ。
 前ブレーキのロックは即、転倒につながるので、いきなりガツンとかけてはいけない。最初は軽くかけ、徐々に絞り込むように力を入れていく。
 タイヤのグリップ力は、「路面とタイヤの摩擦係数×接地荷重+接地面積」によって決まる。静止状態のバイクの重量配分は前後輪ほぼ50:50だから、接地荷重もほぼ同じ。通常は前タイヤの方が後ろタイヤより細いから、前輪のほうが接地面積が小さく、グリップ力が小さい。ここで前後同じ強さのブレーキをかけてしまったら、先にロックするのは前輪のほうだ。
 しかしバイクは(自転車やクルマもだけど)、ブレーキをかけると前寄りに荷重移動が起きる。すると、前輪の接地圧が高まり、前輪のグリップ力が増してくる。すなわち、ブレーキングの進行とともに、前輪の方が後輪よりロックしにくくなると言うわけだ。
 そこで、急制動のブレーキングでは、まず前後輪のブレーキを同時にじわっとかけて荷重移動を起こさせてから、前輪のブレーキ力を徐々に強めていくと良い。減速Gが高まれば高まるほど前輪の接地圧が高まってグリップ力が増すから、さいしょの「じわり」さえ気を付ければ、あとは少しぐらい強くかけても、ロックさせることなく短い距離で止まることができるのだ。
 ポイントは、手応えを感じる程度までブレーキレバーを素早く握ったところでいったん止め、フロントフォークの沈み込みを感じてからブレーキを強めていくこと。フロントフォークの沈み込みは、荷重移動が起きている証拠だから、それを目安に、ブレーキレバーを握る力を強めていけば良いのだ。
 練習は、普段の走行中にもできる。ブレーキ力とフォークの沈み込みの関係を意識してブレーキングしていれば、自然に身に付いてしまうだろう。

(5) S字のポイント

 S字は、半径5.5mの円を2つつなげたコースで、幅は2m。課題走行の中では、比較的失敗の少ないメニューだ。むしろS字そのものよりも、出入りで減点を取られることが多い。
 使用するギヤは2速でも良いが、出口で安全確認をする際のスローダウンを考えると、1速+半クラッチのほうが安心できる。特に検定車両のアイドリングが高い場合は、1速+半クラッチがおすすめだ。
 ライン取りは、イン側のパイロンに接触しないように、若干、外寄りがセオリーだが、ほぼ真ん中でも無理なく通れる。
 S字には、右折で入る場合と左折で入る場合がある。
 右折で入る場合、交差点の右折同様、30m手前までに進路変更を完了している必要がある。進路変更した後は、入り口ぎりぎりまで直進し、できるだけ直角に曲がってコースに入る。あまり早いうちから曲がり始めると、交差点の右折同様減点を取られる(5点)。右後方の安全確認も忘れずに(10点)。
 左折で入る場合も、交差点の左折同様、30m手前で進路変更を完了し、縁石ぎりぎりを回って左折する。縁石から離れすぎたり、入る直前でハンドルを右に切ったりすると減点(各5点)だ。
 S字でもっとも減点を取られやすいのは出口。左右の安全確認と、右左折の大回りは、試験官が特に厳しくチェックしている。
 S字を出る際の安全確認は、2つめのターンの後半に開始しなければならないが、このとき、2つめのターンの曲がっていく向きと逆方向の確認は、進行方向とほとんど変わらないため、首を振らなくてもできてしまう。しかし展望採点では目の動きまでは分からないので、「これじゃ向きすぎ」というくらい頭を振ってアピールしないと、減点を取られる可能性が高い(10点)。
 S字を左折で出る場合、大回りには特に注意する(5点)。縁石からなら50cm以内、路肩が排水コンクリートならば、舗装との境目ギリギリを回ろう。回り終わってからふくらんでしまうのも減点だ(5点)。コツは、コース幅を広く使うこと。安全確認をするころにはアウト寄りにラインを変え、そこからリーンアウトでバンクさせ、思い切ってインに寄せていく。出口の角にはパイロンはないので、けっこう大胆に寄せられるはずだ。
 S字を右折で出る場合、入るとき同様、なるべくまっすぐ出て、できるだけ直角に曲がる(5点)。
 S字は次の手順で通過する。
1. 入り口の30m手前までに、進路変更を完了する(5点)。
2. ギヤを1速に落とし、できるだけ小回りでS字に入る。
3. 後輪がS字に入ったら、すぐに出るべき方向に合図を切り替える(5点)。
4. 2ターン目の後半に入ったら、頭を大きく振って安全確認する(10点)。
5. 右左折の大回り(5点)に気を付け、S字を脱出する。狭路から広路に出るため、クルマが来ていたら停止して待つ(20点)。

(6) クランクのポイント

 クランクは、パイロン接触や転倒が多いセクションのひとつ。S字よりも狭いコースを、より低速で鋭角に曲がらなければならないため、ふらついたりエンストしたりしやすい。コース幅はS字と同じ2mだが、S字がコース幅を目一杯使えるのと異なり、クランクはコースの内側にパイロンが立ててあるから、実質のコース幅は1.4mぐらいになっている。
 クランクの通過は、1速+半クラッチで行う。特に屈曲部では、半クラッチが使えないとバランスを崩しやすい。歩く程度の低速で、車体はあまりバンクさせずに通過するのがポイントだが、慎重に行き過ぎてスピードを落としすぎても失敗するので、慎重かつ大胆に行こう。
 特に取られやすい減点は、ニーグリップ不足(10点)。バランスを取るためにヒザを開くだけで取られる可能性が高いので、ニーグリップはしっかり絞めよう。
 パイロンタッチは、減点の場合と検定中止の場合がある。パイロンが移動しない程度の接触で減点(20点)、パイロンが動いたり倒れたりすれば検定中止だ。もし軽いパイロンタッチであるにもかかわらず検定中止になってしまったら、それまでに累積減点が10点を越えていたことになる。
 また、通過できずに途中で止まってしまっても検定中止だ。
 右折でクランクに入る場合、交差点の右折同様、30m手前で進路変更を完了しておく(5点)。進路変更した後は、入り口ぎりぎりまで直進し、できるだけ直角に曲がってコースに入る。あまり早いうちから曲がり始めると、交差点の右折同様減点を取られる(5点)。
 左折で入る場合も、交差点の左折同様、30m手前で進路変更を完了し、縁石ぎりぎりを回って左折する。縁石から離れすぎたり、入る直前でハンドルを右に切ったりすると減点(各5点)だ。
 もう一つのポイントは、入る手前で半クラッチの位置を確認しておくこと。クランクに入るために減速して1速にギヤチェンジしたら、クラッチをつなぐ際に、リヤブレーキを引きずりながら半クラッチの位置を確認しておくのだ。あとは半クラッチの度合いを微妙にコントロールしながら通過すればよい。
 ライン取りの基本は「アウト寄り」。特に屈曲部分の内側にあるパイロンをリヤバンパーで引っかけやすいので、屈曲部分にさしかかる手前で、なるべくアウト寄りに付けておく。
 特に難しいのが「左折で入って、最初の屈曲が右折」というパターン。入りで左折大回りを取られないようにインに付けた後、クランクに入ってから少しでもふくらんでしまうと、次の屈曲に対してイン側に寄ってしまい、右ターンが苦しくなってしまう。
 克服のポイントは、左折で入る際にリーンアウトでできるだけ小さく回ること。これができるかできないかで、クランク通過の成功率は大きく違ってくる。パイロンで狭く見えるクランクだが、入り口の角にはパイロンはなく、2mのコース幅を目一杯使えるから、大胆にインに付けて小回りしよう。
 クランクもS字同様、出口で減点を取られやすい。左右の安全確認と、右左折の大回りには、特に注意しよう。入口同様、出口の角にもパイロンはないので、ここでもコースをできるだけ広く使って脱出するのがポイントだ。
 クランク通過の手順は、下記の通りだ。
1. 入り口の30m手前までに、進路変更を完了する(5点)。
2. ギヤを1速に落とし、できるだけ小回りしてクランクに入る。
3. 走行ラインを、最初の屈曲に対してアウト側に寄せる。
4. 後輪がクランクに入ったら、すぐに出るべき方向に合図を切り替える(5点)。
5. 軽く減速してひとつめの屈曲部にアプローチし、ターン後半ではクラッチをつなぎ気味にして駆動力をかけ、マシンを安定させる。
6. 2つめの屈曲に対してアウト側に寄せ、ひとつ目と同じ要領で通過する。
7. 2つ目の屈曲の後半に入ったら、頭を大きく振って安全確認する(10点)。
8. 右左折の大回り(5点)に気を付け、クランクを脱出する。狭路から広路に出るため、クルマが来ていたら停止して待つ(20点)。

(7) 坂路発進のポイント

 10%勾配の坂道で一時停止し、再発進するのが坂路発進。エンストや急発進、3000回転以上の空ぶかしは減点(5点)。エンストは4回すると検定中止になる。発進時、後退してしまうのも減点。30cmまでは許されるが、それ以上で10点、50cm以上で20点、1m以上で検定中止だ。発進のための安全確認から5秒経過しても発進できない場合も減点(10点)。
 発進できても油断は禁物。坂を下りるときにエンブレを使わなかったり(5点)、前後のブレーキを同時に使わなかったり(10点)したことでも減点されるので、注意が必要だ。
 坂路発進の手順は、下記の通り。
1. 坂道にさしかかったらギヤを1速に落として、坂道の指定位置で停止する(停止目標から30cm以上離れると5点)。
2. 発進の合図を出す(5点)。ただし、発進後30m以内を左折する場合、合図は左に出すケースもある。
3. 後方の安全を確認する(10点)
4. フロントブレーキを解放してリヤブレーキでマシンを止めた状態にする。
5. アクセルを軽く開け、エンジン回転を2000〜3000回転程度まで上げる。
6. クラッチを徐々につないでいき、エンジン回転が落ち始めたらリヤブレーキをゆっくりリリースする。同時にクラッチをつないでいき、アクセルを開けながら発進する。
7. 坂の頂点で2速にシフトアップ。
8. 2速エンジンブレーキ(5点)と前後ブレーキを同時に使い(10点)、坂を下る。
 発進の際のコツは、後輪ブレーキだけで止まっている状態を作ったら、ブレーキを徐々に放していき、ズリ下がり始めたところでほんのちょっと踏み込んで止める。あとはアクセルとクラッチだけに集中して、ブレーキはひきずったまま発進すれば、発進時に下がってしまうことも、エンストすることも避けられる。

【合格のヒント4】
走行中の「足つき」は減点? 検定中止?

 一口に「足つき」と言っても、減点で済む足つきと、検定中止になる足つきがある。
 減点で済む足つきには、「バランスの崩れを立て直すため」という定義がある。一方、検定中止になる足つきは、「バランスを失い横倒しになるのを防ぐために足で支えた」と定義されている。いったい、どこが違うのだろうか?
 判断の目安と考えられるのは、足を着いても走り続けていたか、その場で止まってしまったかということだ。バランスの崩れを立て直すだけならば、足はついても車両は停止せずに走り続けられるはず。たとえば左折時などで、アクセルを開けるのが遅れてよろけたときに、地面を一発蹴って立て直し、そのまま走り続けることができれば、減点(10点)で済むだろう。
 一方、足を着いた際に、本来なら止まるべきではないところで止まってしまうと、「走行すべきところで走行が続けられなかった=転倒防止のために足を着いた=転倒」とみなされてしまい、検定中止になる可能性が高い。
 ただし、一本橋・スラローム・波状路での足つきは、走行が続けられたかどうかにかかわらず検定中止となる。
 クランクとS字の足つきは、特別減点項目。1回の足つきは免除されるが、2回つくと1回目にさかのぼって10点づつ引かれる。もちろん、足をついて止まってしまえば「転倒」と見なされ検定中止だ。
 止まるべき場所(一時停止、赤信号、急制動、坂道発進など)でも、右足を着くと特別減点5点となる。

6. 不合格後の対処法

 5章までの項目を70%実行できれば合格するはずだが、残念ながら不合格になってしまった場合でも、慌てて帰らず、以下のことに注意しよう。

(1) 試験官のアドバイスを聞く。

 試験場によって、インターホン越しだったり直接だったりの差はあるが、検定後に試験官から不合格ポイントについて話を聞ける時間が必ずあるので、良く聴いてから帰るようにしたい。もし分からないことがあれば、どんどん質問してしまおう。対応は試験官によって異なるが、教えてもらえたらもうけものだ。

(2) 申請書「副」の受け取りを忘れずに

 合格率の低い試験だけあって、毎回新しい申請書を出さずに済むシステムになっている。申請書には「正」と「副」があって、不合格になると「副」を返されるので、それを受け取ってから帰ろう。受け取り忘れても、次回、受けに来たときに返却してもらえるが、どこに保管されているかは試験場によってまちまち。当日、試験場内をうろうろすることがないように、申請書「副」の受け取りは忘れずに。

【合格のヒント5】
必要なテクニックは、半クラッチとリーンアウトだ


 1章で「大型自動二輪免許を取得する上で最も重要なのは、ライディングテクニックではない」と書いたが、最低限、できるようにしておきたいのが、半クラッチとリーンアウトだ。
 半クラッチは、一本橋やクランク、坂路発進などの課題走行だけでなく、左折小回りをスムーズに行うには必須のテクニックだ。
 左折大回りの減点を取られずに走るには、左折時にマシンをしっかりバンクさせて小回りするのがポイント。バイクはバンクさせていくと、ハンドルの切れ角以上に小回りできる性質を持っているからだ。徐行しながらバンクさせるのは、かなり勇気がいるものだ。このとき、半クラッチをスムーズに使い、バンクさせたバイクを駆動力をかけながら起こすことができれば、左折小回りは格段にスムーズにできるようになる。
 さらに、「低速でマシンをしっかり寝かせて小回り」に有効なのが、リーンアウトのライディング。上体はなるべく垂直に保ったまま、マシンだけ寝かし込んで小回りするテクニックだ。リーンウィズに比べ、上半身を傾けないため、低速でも安定してマシンを傾けることができる。視野も広く取れるし、次の動作にも移りやすい。
 もちろん、リーンアウトで寝かしたマシンをスムーズに起こすためにも、半クラッチは必須だ。この二つのテクニックを組み合わせて使えるようになれば、左折関連での減点はほぼゼロにすることができるはず。市街地走行の際にでも、よく練習しておこう。

あとがき

 どうです。このページを読み終えて?
 あなたも何度か受ければ、受かりそうな気がしてきたでしょ?
「運転免許試験場で大型二輪免許を取った」という事実は、とても誇らしい気分にしてくれます。たとえば自動車の場合、ほとんどの人が受かる普通自動車免許を持っていれば、フェラーリだってポルシェだって乗れます。ですからフェラーリに乗っていても「ああ、お金があっていいねぇ(何かあこぎな商売でもしてるんじゃネェか?)」としか見えません(カッコ内は筆者の偏見)。
 しかしビッグバイクに乗っていれば「この人は難関といわれる大型自動二輪免許を持っているのだな」という目で見てもらえます。最近は教習所で取得できるようになったとはいえ、それでも特別な努力をしなければ手に入れることのできない免許であることに代わりはないわけで、ドゥカティに乗っていたからといって「宝くじでも当たったんじゃネェのか?」と思われる心配はないのです。
 そんなわけで、思わず胸を張りたくなるのが大型自動二輪免許なのですが、人間の体は良くしたもので、胸を張ると自然に背筋が伸びるようにできており、ビッグバイクに乗ると「大型二輪免許を持っているのだから、模範的ライダーにならなければ」という、自覚というか誇りのようなものが出てくるんですね(自意識過剰と言わば言え)。
 ところで、「はじめに」に「テクニックをまとめた」と書きましたが、それは「試験を突破するためのテクニック」であって、公道を走るためのライディングテクニックではありません。だから、このページを読んで技能試験に合格しても、ライディングテクニックが上達したわけではないと言うことを、肝に銘じておいてください。
 すでに普通二輪に長いこと乗っている人ならおわかりだと思いますが、ライディングテクニックは、各自が自己責任で向上させるもの。自分で試行錯誤を繰り返すことによって上達するものであって、人が書いたものを読んだからといってうまくなるものではありません(ヒントぐらいにはなりますが)。ぜひ謙虚な気持ちで、ビッグバイクライフをスタートさせてください。
 え? まだ受かっていないのに気が早いって?
 心配いりません。このページに書かれているとおりにやれば、すぐに受かります。仮に落ちても、1回、受ければ、「これならなんとかなりそうだ」という手応えをつかめるはずです。
 最後に、このページは、特に「かつて限定解除に何度も挑戦したけれど、受からなくて諦めた」という人に読んでもらいたくて書きました。ここまで読んでくださったあなたなら、自分がなぜ受からなかったのか、どうすれば受かるのかが、もうわかったのではないかと思います。
 やり残した宿題は、早めに片づけちまったほうがいいですよ。
 健闘を祈ります。


    

 
 誰も書かなかった大型自動二輪免許一発試験必勝法

                                                   安藤 眞

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